10 / 24
私の、いいところ?
しおりを挟む
「え、でも‥私は何も秀でているところはありませんし、特技もないですし‥今日はこんなに着飾っていただきましたけど、特に見目がいいわけでもないので」
そうぼそぼそと呟くリオーチェの手を片手で握ったままにして、もう片手でロレアントはリオーチェの頬を撫でた。大きな手、頬がすっぽり収まってしまう。
なぜか頬が熱くなった。
「リオ。リオは優しくて親切で、屈託なく笑っていていつも俺に幸せをくれる、毎日、リオの顔を見てリオが嬉しそうにしているのを見られれば俺は幸せなんだ。‥このところ、俺のせいでリオが、大変な目に遭っていたみたいで、‥それに気づけなかった俺は、まだ未熟だが‥」
「いえ、ロレアント様のせいではないですし」
「いや、俺が遠因なのはわかっている」
ロレアントは下からじっとリオーチェの顔を見つめた。熱のこもった目がリオーチェの目を射抜かんばかりだ。ロレアントは、こんな目をしていただろうか?
リオーチェはもう色々な事が目まぐるしく起こって、頭の中がいっぱいいっぱいだった。顔はどんどん熱くなるし、握られた手は汗ばんできている気がする。まずい、手汗がロレアントについてしまう‥!
「あの、ロレアント様、そろそろ手を」
「ロレン」
「はい?」
「ロレンって呼んでくれるとさっき言ったよな」
あー確かに言ったな‥リオーチェはとにかく手汗がロレアントにつくのを何としても阻止したかったのでためらわずに言った。
「ロレン様。手を離してください」
ロレアントは、ぽっと顔を赤くしてようやく手を離してくれた。席についてくださいね、と促すとしぶしぶ自分の席に戻っていった。
それを確認した侯爵が優しく微笑みながらリオーチェに言った。
「私もリオは素晴らしいお嬢さんだと思っている。リオが我が家に来てくれると雰囲気がよくなるし、明るくなる。人柄は努力で手に入るというものではない。そういう意味ではリオはとても素晴らしいと思っているよ」
「あ、ありがとうございます‥」
二人からの手放しの褒めようにどぎまぎしながら返事をしたが、性格を褒めるのって褒めるところがない時の定番ではなかろうか。デビュタントの件も含め、どのように返事をすればいいか迷っていると、侯爵は言葉を続けた。
「まだデビュタントまで二か月ある。リオももう少し考えてくれないか。ヘイデン家としては賛成なんだ。だが、リオの気持ちを一番に大切にしたいとも思っている。ロレアントは私からみてもまあまあ優秀な方だと思うし、リオに嫌な思いをさせることはないだろうと思っている。少し考えてやってみてくれ」
「‥わかりました」
グラスに残ったワインをぐっと飲み干してから侯爵はまた言葉を続けた。
「それから一か月後に我が家でガーデンパーティーを開くことになっている。チェロバンや二エラと相談しながらその差配をしてくれないか。まあ、こういう事も経験だと思うしな。‥それから申し訳ないが、その時ばかりはロレンにエスコートされてやってくれ。私的なパーティーだからただのパートナーでも話は通る」
何ですと?
侯爵はその爆弾発言をするや否や席を立ち、「ではお休み」と言って広間から出て行ってしまった。
ちょっと待って、パーティーの差配って夫人のやる仕事だよね?侍女の仕事じゃなくない?いや、二エラさんもやるって言ってたから侍女の仕事‥?いやいやいやここは夫人のいない家だったわ。え、それ私が関わっていい案件なのか?
再び色々な事で頭の中がぐるぐる混乱してきたリオーチェに向かって、ロレアントが嬉しそうに言った。
「リオ、そのパーティーの時のドレスは俺に誂えさせてくれ。今から楽しみだ」
情報量が頭の容量を超えてしまったリオーチェはただもう頷くことしかできなかった。
「はい、確かに一か月後にガーデンパーティーが行われる予定です。主に私設騎士団の関係者の方の慰撫が目的ですが、それにかかわる資金集めも目的に入っていたかと存じます」
寝る前のお肌と髪のお手入れ、というルーティーンを入れられることになったリオーチェが、それを行ってくれているベラにパーティーの事を聞いてみたところ、このような返事が返ってきた。
結構ちゃんとしたパーティーのような気がする。ヘイデン家の関係者も数多く来るようだし、規模を聞けば「200人くらいでしょうか?」と言われてまた驚いた。
確かにこの家の庭園ならそのくらいのパーティーも余裕で開けるだろう。
「二エラさんと相談して差配してくれって言われたんですが‥正直私にできることなんてない気もするんですよね‥」
うなだれながらそう言うリオーチェの顔を、ベラはぐいと掴んで鏡の前に向けさせた。
「リオーチェ様、初めからそのようにご自分を低くみられるのはよくないと思いますよ。リオーチェ様は素敵なご令嬢です。それはヘイデン家使用人全員がそう思っておりますよ」
「ええ~‥どうして皆さんそんなに私をかってくださるんでしょうか‥」
常々心の中に溜まっていた疑問が、思わずこぼれだしてしまった。ベラは微笑んでリオーチェの顔をクリームで優しくマッサージしながら言った。
「リオーチェ様にとっては些細なことかと思いますが。リオーチェ様がお小さい頃からヘイデン家の使用人は色々リオーチェ様にお世話になっているんです。‥‥みな、辛いことがあった時落ち込んだ時、リオーチェ様に救われていたんですよ」
突然そんなことを言われても、リオーチェ自身には全く心当たりがないので思わず目を瞬いた。そんなリオ―チェの顔を見ながらベラは言葉を続けた。
「かくいう私も、奥様がお亡くなりになってから化粧の仕事もなくなり、ここでずっと働くべきか悩んでいたことがあります」
「そうなんですね‥」
全くその話に自分がどうかかわってくるのか見えてこないリオーチェは曖昧な相槌を打った。ベラはくすっと笑って話を続けた。
「そんな時、たまたまお屋敷の中ですれ違ったリオーチェ様が急に立ち止まって私を見つめておっしゃったんです、『どうしたの?何かつらいことがあるの?』って」
えっ、なんてぶしつけな子どもだ、私。
「私は、屈託を顔には出さず普通に出来ていると思っていたのに、リオーチェ様からそういうお言葉をいただいて‥思わず涙ぐんでしまったんです。‥そうしたらリオーチェ様が『頑張ってるんだね、偉いね!でも辛い時は辛いって言って少し休むといいんだよ。侯爵様に言ってあげようか?』っておっしゃってくださって…」
うう~む、何とおせっかいな子どもだ。夫人が亡くなったあとなら十一か十二歳くらいの時である。大人の事情に生意気に口を突っ込む子どもだったとはお恥ずかしい。
「生意気な子どもだったようで恐縮です‥」
ベラは驚いて手を止め、柔らかく反論した。
「そんな!‥リオーチェ様にそう言っていただけて、私は心が軽くなったんです。そうか、辛い時は休めばいいんだ、出来ることをしていればいいんだって。それで、お務めを続ける気力が湧いたんです。今でも本当の感謝申し上げています」
ベラはそう言って今度は髪にヘアオイルを少しずつ塗りこめ始めた。いい匂いが辺りに広がって気持ちが癒される。‥そして知らぬところで感謝されていたことを知ったことによっても、心は温かくなっていく。
「そういう使用人が、ヘイデン家にはたくさんいるんです。‥ですから今回、リオーチェ様がおいでになることを知ってみなとても喜んだんですよ。侍女やメイドはみなリオーチェ様付になりたがったんですけど、何とか私がリオーチェ様の専属侍女の座をもぎ取りました!ですから、出来るだけのお世話をさせていただきたいんです」
そうぼそぼそと呟くリオーチェの手を片手で握ったままにして、もう片手でロレアントはリオーチェの頬を撫でた。大きな手、頬がすっぽり収まってしまう。
なぜか頬が熱くなった。
「リオ。リオは優しくて親切で、屈託なく笑っていていつも俺に幸せをくれる、毎日、リオの顔を見てリオが嬉しそうにしているのを見られれば俺は幸せなんだ。‥このところ、俺のせいでリオが、大変な目に遭っていたみたいで、‥それに気づけなかった俺は、まだ未熟だが‥」
「いえ、ロレアント様のせいではないですし」
「いや、俺が遠因なのはわかっている」
ロレアントは下からじっとリオーチェの顔を見つめた。熱のこもった目がリオーチェの目を射抜かんばかりだ。ロレアントは、こんな目をしていただろうか?
リオーチェはもう色々な事が目まぐるしく起こって、頭の中がいっぱいいっぱいだった。顔はどんどん熱くなるし、握られた手は汗ばんできている気がする。まずい、手汗がロレアントについてしまう‥!
「あの、ロレアント様、そろそろ手を」
「ロレン」
「はい?」
「ロレンって呼んでくれるとさっき言ったよな」
あー確かに言ったな‥リオーチェはとにかく手汗がロレアントにつくのを何としても阻止したかったのでためらわずに言った。
「ロレン様。手を離してください」
ロレアントは、ぽっと顔を赤くしてようやく手を離してくれた。席についてくださいね、と促すとしぶしぶ自分の席に戻っていった。
それを確認した侯爵が優しく微笑みながらリオーチェに言った。
「私もリオは素晴らしいお嬢さんだと思っている。リオが我が家に来てくれると雰囲気がよくなるし、明るくなる。人柄は努力で手に入るというものではない。そういう意味ではリオはとても素晴らしいと思っているよ」
「あ、ありがとうございます‥」
二人からの手放しの褒めようにどぎまぎしながら返事をしたが、性格を褒めるのって褒めるところがない時の定番ではなかろうか。デビュタントの件も含め、どのように返事をすればいいか迷っていると、侯爵は言葉を続けた。
「まだデビュタントまで二か月ある。リオももう少し考えてくれないか。ヘイデン家としては賛成なんだ。だが、リオの気持ちを一番に大切にしたいとも思っている。ロレアントは私からみてもまあまあ優秀な方だと思うし、リオに嫌な思いをさせることはないだろうと思っている。少し考えてやってみてくれ」
「‥わかりました」
グラスに残ったワインをぐっと飲み干してから侯爵はまた言葉を続けた。
「それから一か月後に我が家でガーデンパーティーを開くことになっている。チェロバンや二エラと相談しながらその差配をしてくれないか。まあ、こういう事も経験だと思うしな。‥それから申し訳ないが、その時ばかりはロレンにエスコートされてやってくれ。私的なパーティーだからただのパートナーでも話は通る」
何ですと?
侯爵はその爆弾発言をするや否や席を立ち、「ではお休み」と言って広間から出て行ってしまった。
ちょっと待って、パーティーの差配って夫人のやる仕事だよね?侍女の仕事じゃなくない?いや、二エラさんもやるって言ってたから侍女の仕事‥?いやいやいやここは夫人のいない家だったわ。え、それ私が関わっていい案件なのか?
再び色々な事で頭の中がぐるぐる混乱してきたリオーチェに向かって、ロレアントが嬉しそうに言った。
「リオ、そのパーティーの時のドレスは俺に誂えさせてくれ。今から楽しみだ」
情報量が頭の容量を超えてしまったリオーチェはただもう頷くことしかできなかった。
「はい、確かに一か月後にガーデンパーティーが行われる予定です。主に私設騎士団の関係者の方の慰撫が目的ですが、それにかかわる資金集めも目的に入っていたかと存じます」
寝る前のお肌と髪のお手入れ、というルーティーンを入れられることになったリオーチェが、それを行ってくれているベラにパーティーの事を聞いてみたところ、このような返事が返ってきた。
結構ちゃんとしたパーティーのような気がする。ヘイデン家の関係者も数多く来るようだし、規模を聞けば「200人くらいでしょうか?」と言われてまた驚いた。
確かにこの家の庭園ならそのくらいのパーティーも余裕で開けるだろう。
「二エラさんと相談して差配してくれって言われたんですが‥正直私にできることなんてない気もするんですよね‥」
うなだれながらそう言うリオーチェの顔を、ベラはぐいと掴んで鏡の前に向けさせた。
「リオーチェ様、初めからそのようにご自分を低くみられるのはよくないと思いますよ。リオーチェ様は素敵なご令嬢です。それはヘイデン家使用人全員がそう思っておりますよ」
「ええ~‥どうして皆さんそんなに私をかってくださるんでしょうか‥」
常々心の中に溜まっていた疑問が、思わずこぼれだしてしまった。ベラは微笑んでリオーチェの顔をクリームで優しくマッサージしながら言った。
「リオーチェ様にとっては些細なことかと思いますが。リオーチェ様がお小さい頃からヘイデン家の使用人は色々リオーチェ様にお世話になっているんです。‥‥みな、辛いことがあった時落ち込んだ時、リオーチェ様に救われていたんですよ」
突然そんなことを言われても、リオーチェ自身には全く心当たりがないので思わず目を瞬いた。そんなリオ―チェの顔を見ながらベラは言葉を続けた。
「かくいう私も、奥様がお亡くなりになってから化粧の仕事もなくなり、ここでずっと働くべきか悩んでいたことがあります」
「そうなんですね‥」
全くその話に自分がどうかかわってくるのか見えてこないリオーチェは曖昧な相槌を打った。ベラはくすっと笑って話を続けた。
「そんな時、たまたまお屋敷の中ですれ違ったリオーチェ様が急に立ち止まって私を見つめておっしゃったんです、『どうしたの?何かつらいことがあるの?』って」
えっ、なんてぶしつけな子どもだ、私。
「私は、屈託を顔には出さず普通に出来ていると思っていたのに、リオーチェ様からそういうお言葉をいただいて‥思わず涙ぐんでしまったんです。‥そうしたらリオーチェ様が『頑張ってるんだね、偉いね!でも辛い時は辛いって言って少し休むといいんだよ。侯爵様に言ってあげようか?』っておっしゃってくださって…」
うう~む、何とおせっかいな子どもだ。夫人が亡くなったあとなら十一か十二歳くらいの時である。大人の事情に生意気に口を突っ込む子どもだったとはお恥ずかしい。
「生意気な子どもだったようで恐縮です‥」
ベラは驚いて手を止め、柔らかく反論した。
「そんな!‥リオーチェ様にそう言っていただけて、私は心が軽くなったんです。そうか、辛い時は休めばいいんだ、出来ることをしていればいいんだって。それで、お務めを続ける気力が湧いたんです。今でも本当の感謝申し上げています」
ベラはそう言って今度は髪にヘアオイルを少しずつ塗りこめ始めた。いい匂いが辺りに広がって気持ちが癒される。‥そして知らぬところで感謝されていたことを知ったことによっても、心は温かくなっていく。
「そういう使用人が、ヘイデン家にはたくさんいるんです。‥ですから今回、リオーチェ様がおいでになることを知ってみなとても喜んだんですよ。侍女やメイドはみなリオーチェ様付になりたがったんですけど、何とか私がリオーチェ様の専属侍女の座をもぎ取りました!ですから、出来るだけのお世話をさせていただきたいんです」
72
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!
仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。
ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。
理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。
ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。
マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。
自室にて、過去の母の言葉を思い出す。
マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を…
しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。
そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。
ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。
マリアは父親に願い出る。
家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが………
この話はフィクションです。
名前等は実際のものとなんら関係はありません。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
旦那様の不手際は、私が頭を下げていたから許していただけていたことをご存知なかったのですか?
木山楽斗
恋愛
英雄の血を引くリメリアは、若くして家を継いだ伯爵の元に嫁いだ。
若さもあってか血気盛んな伯爵は、失言や失敗も多かったが、それでもリメリアは彼を支えるために働きかけていた。
英雄の血を引く彼女の存在には、単なる伯爵夫人以上の力があり、リメリアからの謝罪によって、ことが解決することが多かったのだ。
しかし伯爵は、ある日リメリアに離婚を言い渡した。
彼にとって、自分以上に評価されているリメリアは邪魔者だったのだ。
だが、リメリアという強力な存在を失った伯爵は、落ちぶれていくことになった。彼女の影響力を、彼はまったく理解していなかったのだ。
私と結婚したくないと言った貴方のために頑張りました! ~帝国一の頭脳を誇る姫君でも男心はわからない~
すだもみぢ
恋愛
リャルド王国の王女であるステラは、絶世の美女の姉妹に挟まれた中では残念な容姿の王女様と有名だった。
幼い頃に婚約した公爵家の息子であるスピネルにも「自分と婚約になったのは、その容姿だと貰い手がいないからだ」と初対面で言われてしまう。
「私なんかと結婚したくないのに、しなくちゃいけないなんて、この人は可哀想すぎる……!」
そう自分の婚約者を哀れんで、彼のためになんとかして婚約解消してあげようと決意をする。
苦労の末にその要件を整え、満を持して彼に婚約解消を申し込んだというのに、……なぜか婚約者は不満そうで……?
勘違いとすれ違いの恋模様のお話です。
ざまぁものではありません。
婚約破棄タグ入れてましたが、間違いです!!
申し訳ありません<(_ _)>
婚約者の恋人
クマ三郎@書籍発売中
恋愛
王家の血を引くアルヴィア公爵家の娘シルフィーラ。
何不自由ない生活。家族からの溢れる愛に包まれながら、彼女は社交界の華として美しく成長した。
そんな彼女の元に縁談が持ち上がった。相手は北の辺境伯フェリクス・ベルクール。今までシルフィーラを手放したがらなかった家族もこの縁談に賛成をした。
いつかは誰かの元へ嫁がなければならない身。それならば家族の祝福してくれる方の元へ嫁ごう。シルフィーラはやがて訪れるであろう幸せに満ちた日々を想像しながらベルクール辺境伯領へと向かったのだった。
しかしそこで彼女を待っていたのは自分に無関心なフェリクスと、病弱な身体故に静養と称し彼の元に身を寄せる従兄妹のローゼリアだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる