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心配になっちゃう

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 茉莉花は、さっきまでとはうってかわってちょっと言いづらそうに答えた。

「お二人共イケメンだしかなりいいのが撮れる自信あるんだよね。ほら、せっかく撮るんだしぃ。他の人にも見てもらいたいっていうかぁ。だからできたら同人誌即売会のイベントで、頒布したいなぁって」

「え?コスプレ写真売るってこと?絶対に嫌ですよ。見られたくない」

 智紀は慌てて言うと、茉莉花も慌てて手を振りながら言い訳する。

「あの、名前は出さないし、化粧しっかりして弟ちゃんってわからないようにするから!!あと、売るんじゃないの。頒布!」

「何が違うんですか?」

「著作権のグレーの部分の話だろう」

 祥太が口を挟んできた。

「俺は別に見られることは構わないですが」

 ナルシストめ!と智紀は祥太を少し睨む。祥太は智紀の目線に一切気づく素振りもなく、何やらメモを取っていた。

「しかし、コスプレ写真の著作権のグレー部分を完全無視はしたくないので、一応その件についてはこちらでも調べてから回答したいと思います」

「あ、うん、そこは弁護士さんに盾突くつもりは無いんでぇ」

 茉莉花はゲヘヘ、と変な笑い方をしてみせた。


「てなわけで、どうでしょう?」

「いいと思います」

「いいの!?」

 思わず智紀は目を剥いて祥太に訴えた。

「ねえ、本当に?兄貴忙しいよね?もう少しなんか手軽な方法を……」

「手軽?」

 祥太は智紀に向かって呆れたような目を向けた。

「ほう、なんだ、お前の祖母孝行っていうのはそんなお手軽なものなのか?」

「はぁ?」

 智紀は少し苛ついた声をあげた。しかし祥太は、フッと軽く微笑んてみせた。

「いや、お前はいつもばあちゃんの部屋に行って世話をしたり気にかけてくれたり、それに、ヘルパーさんに色々聞いて介護についても学んでくれていると聞く。俺よりずっと祖母孝行してくれている。俺は、そんなお前ならきっと、自分が乗り気じゃなくてもばあちゃんの為に何でもするもんだと思っていた。お前はばあちゃんの為なら俺とキスできると言ってたくらいだからな」

「えっ!キスできるの!?」

 茉莉花が興奮してギラギラした表情で智紀をみてくるので、智紀は慌てて首を振る。

「いや、違」

「逆に俺は仕事優先であまり何もできないし、お前とキスする気もサラサラ無い。だからせめて、と思ったんだが……お前はもっと手軽に孝行したかったんだな」

 寂しそうな目をする祥太に、思わず智紀は目をそらしてモゾモゾしだした。

「いや、その……」

「無理するな智紀。大丈夫だ」

優しい目で、祥太は智紀に頷いてみせる。

智紀はなんとなく罪悪感に襲われてしまった。

「あ、いや、あの。違うんだ、そのぉ。うん、アイディアは、いいと思うから」

「思うから?」

「やってもいいと、思います……」

「そうか」

 祥太はニッコリと智紀に微笑んだ。

「だそうで。茉莉花さん、とりあえず進めていきましょう」


 そんな二人の一部始終を見ていた茉莉花は、苦笑いしながら呟いた。

「弟ちゃん、チョロすぎて私心配になっちゃう」


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