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大仕事⑥
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早速三人は御神木の近くに向かった。
アウルは御神木の根本すぐ近くに座り込むと、荷物の中から大きな水晶を取り出す。そして、目をつぶって何やら長い間ブツブツ呟き続けた。
しばらく続け、ようやく立ち上がると、クロウに向かって言った。
「この木は健康体だった。完全に雷のみで折れちまってる。だから、雷が落ちた日までだ」
「うーん。すると、今回は3日くらいで大丈夫そうかな?」
「多分な。頼めるか」
「オッケーオッケー。まあそのくらいかなって予想してたし」
二人はジャスには全くわからない話をする。
「あ、じゃその件村長さんに伝えてくるね。御神木に魔法をかけるのは明日かな?もう暗いしね。村長さんに今日泊まれる所ないかも確認してくるよ」
そう言って、クロウはスッと消えた。
「依頼は受けるんだな」
ジャスは確認する。アウルは短く「ああ」とだけ言うと、そっと御神木に触れた。
「確認ができたからな。ちゃんと元の大木に戻してやる」
それは、魔法使いとしてのプライドを表明するかのような強い言葉だった。
「本当に、生き返らせることが出来るの?」
ジャスは以前クロウが言った事を思い出す。クロウは「そんな事出来る訳がない」と言っていたが…。
「生き返らせる事はできる。まぁ実質は生き返らせる魔法じゃなくて…」
アウルが説明しようとしたが、途中で言葉を止めた。
「まあ、うまく説明できねえから明日実際見せてやる」
クロウはすぐに戻ってきた。
「とりあえず、宿泊施設ほとんど機能してなくて汚いから今日は村長さんの家に泊まってだってさ。サア行こう」
「わかった」
アウルはそう言って、クロウに付いていく。ジャスも一緒に行こうとしたが、スッとアウルに止められた。
「テメェは今日違うところに泊まれ」
「え?ど、どこに泊まれば?」
「んなこと自分で考えろよ。さっきの女のことでもいんじゃねぇか?」
そう言ってクロウの後を追うと、すぐにサッと消えてしまった。
「自分で考えろって、そんな無茶な……」
ジャスはひとり残され途方にくれてしまった。
~~~
「あれ、置いてきちゃったの?」
ひとり村長の家の一部屋に一人で現れたアウルに、クロウは驚いてたずねた。
「何してんの。かわいそうでしょ」
「いいんだよ」
アウルはそっけなく言う。あまりに言ってもアウルが機嫌悪くするのでそれ以上追求しないようにした。
「まぁ、あの子ならなんとか出来そうだよね。さて、明日の準備してゆっくり休もうか。魔力大量に使うからね」
そう言ってクロウはサッサと寝る準備に取り掛かる。
「おい、テメェもここで寝るのか」
「そうだよ、一つしか部屋無いし」
「マジか」
アウルは頭をかきながら、自分も寝る支度をした。
「久しぶりだねー、二人で同じ部屋に寝るの。100年ぶりくらい?」
「さあな」
関心なさそうにアウルは布団に潜り込む。
「ちゃんと朝起きてね。また朝寝坊したらチューして起こしちゃうからね」
「やめろって。浮気したことになるだろ」
アウルがそっけなくそう言うと、クロウは目を丸くした。
「えー、アウルが凄く真面目!」
「うるせぇ。早く寝ろ」
そう言ってアウルは布団を頭から被り、それ以上何も言わずに寝てしまった。
アウルは御神木の根本すぐ近くに座り込むと、荷物の中から大きな水晶を取り出す。そして、目をつぶって何やら長い間ブツブツ呟き続けた。
しばらく続け、ようやく立ち上がると、クロウに向かって言った。
「この木は健康体だった。完全に雷のみで折れちまってる。だから、雷が落ちた日までだ」
「うーん。すると、今回は3日くらいで大丈夫そうかな?」
「多分な。頼めるか」
「オッケーオッケー。まあそのくらいかなって予想してたし」
二人はジャスには全くわからない話をする。
「あ、じゃその件村長さんに伝えてくるね。御神木に魔法をかけるのは明日かな?もう暗いしね。村長さんに今日泊まれる所ないかも確認してくるよ」
そう言って、クロウはスッと消えた。
「依頼は受けるんだな」
ジャスは確認する。アウルは短く「ああ」とだけ言うと、そっと御神木に触れた。
「確認ができたからな。ちゃんと元の大木に戻してやる」
それは、魔法使いとしてのプライドを表明するかのような強い言葉だった。
「本当に、生き返らせることが出来るの?」
ジャスは以前クロウが言った事を思い出す。クロウは「そんな事出来る訳がない」と言っていたが…。
「生き返らせる事はできる。まぁ実質は生き返らせる魔法じゃなくて…」
アウルが説明しようとしたが、途中で言葉を止めた。
「まあ、うまく説明できねえから明日実際見せてやる」
クロウはすぐに戻ってきた。
「とりあえず、宿泊施設ほとんど機能してなくて汚いから今日は村長さんの家に泊まってだってさ。サア行こう」
「わかった」
アウルはそう言って、クロウに付いていく。ジャスも一緒に行こうとしたが、スッとアウルに止められた。
「テメェは今日違うところに泊まれ」
「え?ど、どこに泊まれば?」
「んなこと自分で考えろよ。さっきの女のことでもいんじゃねぇか?」
そう言ってクロウの後を追うと、すぐにサッと消えてしまった。
「自分で考えろって、そんな無茶な……」
ジャスはひとり残され途方にくれてしまった。
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「あれ、置いてきちゃったの?」
ひとり村長の家の一部屋に一人で現れたアウルに、クロウは驚いてたずねた。
「何してんの。かわいそうでしょ」
「いいんだよ」
アウルはそっけなく言う。あまりに言ってもアウルが機嫌悪くするのでそれ以上追求しないようにした。
「まぁ、あの子ならなんとか出来そうだよね。さて、明日の準備してゆっくり休もうか。魔力大量に使うからね」
そう言ってクロウはサッサと寝る準備に取り掛かる。
「おい、テメェもここで寝るのか」
「そうだよ、一つしか部屋無いし」
「マジか」
アウルは頭をかきながら、自分も寝る支度をした。
「久しぶりだねー、二人で同じ部屋に寝るの。100年ぶりくらい?」
「さあな」
関心なさそうにアウルは布団に潜り込む。
「ちゃんと朝起きてね。また朝寝坊したらチューして起こしちゃうからね」
「やめろって。浮気したことになるだろ」
アウルがそっけなくそう言うと、クロウは目を丸くした。
「えー、アウルが凄く真面目!」
「うるせぇ。早く寝ろ」
そう言ってアウルは布団を頭から被り、それ以上何も言わずに寝てしまった。
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