1 / 5
後悔
しおりを挟む空を見てまた思う、「ああ、また噴火した」そして地面に積もる火山灰をほうきで掃きながらまた今日も始まる。
私の名前は、林 真由 17歳 鹿児島県在住、1年前に東京から引っ越してきた。
見た目は童顔すぎて初めて会う人たちは大抵私のことを小学生?中学生?と言う。
今日も一日何事も無く仕事が終わった。
さあ、家に帰ろう。
「ただいま~」
「おかえり~」
ああ、またゲームしてる。
家のことは何もしてない。
疲れて帰ってきて、こんな事を思う毎日。
私の目の前で真っ暗な中ゲームをするのは、絶賛ニート満喫中の彼氏・・・。
谷口 良二くん。20歳
私と地元が同じで一緒に鹿児島に引っ越してきた。
最初は幸せだった、あの日までは。
彼をいつも通り夜勤に見送った、そしたら朝方、彼からの連絡で車に突っ込んでしまった・・・。
と、連絡があった。
幸いにもお互い怪我はなく終わったが、次の日彼は鞭打ちになってたみたいで1週間ほど仕事を休んだ
そしたら行きにくくなったみたいで、そのまま仕事を辞めてしまった。
そこで私も見切りをつければよかったものの、彼なら大丈夫と、私が彼を支えないとっていう母性本能に駆られて彼から離れることができなかった。
いや、それだけじゃないね。
良二くんはとにかく優しかった、そして家族、友達をすごく大切にしてたの。
ほら、親に対する態度は彼女、嫁に対する態度と同じっていうでしょ?
そうゆうところ大事だよね。
ただ、働かないところだけが本当にダメなんだよね。
そんな事を続けてもう半年がった。
彼は、何も変わらなかった。
毎月少ない給料で彼を養って。
月に一回デートに行く事だけが私の生きがいだった。
それさえあればとりあえずは幸せだった。
一緒にカラオケに行ってみたり、ちょっと贅沢なご飯にしてみたり、観光しに行ってその後に温泉に行ったり、素敵な1日を過ごして、また今月も頑張ろう。
苦しいかったけどすごく充実していた。
ある日祖母から電話が来た、おばあちゃんとは昔っから気が合わなくて怒鳴り合いの喧嘩ばっかりしてきた。
けど、子供の頃お母さんが働いてる間ずっと面倒を見てくれた。
私は正真正銘のおじいちゃん、おばあちゃんっ子だ。
「私、腰を悪くして来月手術をするかもしれない。もう死ぬかもしれない」
と、おばあちゃんは気が強い悪いにすごい臆病でいつもオーバーに考えちゃうんだ、
そういう所私とそっくりなんだよね。
「帰ってこれないのか?」
と聞いてきたおばあちゃん。
私は、「まだ帰れるタイミングじゃない。」と答えた。
そしたらいつもなら食ってかかってくるのに、
「そうか。」で終わった。
それにはさすがにグサッとくるものがあった。
一旦東京帰ろうかな。様子を見に行こう。
私はすぐに飛行機を取った。
せっかくなら友達にも会って帰ろう。
またひとつ楽しみができた。
ワクワクしながら毎日仕事をしていてついに帰省の日がやってきた。
帰省すると、おばあちゃんのしんどそうな姿。
「大丈夫?と声をかけるも、おばあちゃんは「もう私は終わりよ・・・。」と
ああ、きっと良くなるまで言い続けるなこれ、と思ったが私は滞在期間中はおばあちゃんの手伝いをなるべくして、また鹿児島に帰った。
そしてまた何も無い毎日に戻った。
その数日後、またおばあちゃんから電話が来た。
「なんともなかったわ~」
といきいきした声が聞こえた。
「よかったね~でも無理は禁物よ」と私はおばあちゃんに言ってその電話は終わった。
半年のある日休みなのになぜか二人して早起きをしてしまった。
早く寝たわけでも無いのに休みってなるとワクワクして早く起きてしまう。
体はきっとゆっくり寝たいんだろうけど、これが遠足現象ってやつかな?
二人で布団でゴロゴロしながら一緒に動画をみたりお喋りして、こんな時間も私の至福のひと時。
そんな事を思ってたら良二くんがいきなり「なんか嫌な予感する、体調悪くなってきた」と言ってきた。
私はこの人何言ってんだろ??と思いながら薬を飲ませた。
気のせいじゃない?って言いながらも普段と違う良二くんに私にも不安がよぎる。
なんだろうね、と話していると滅多に連絡をしてこない母から電話があった。
不審に思いながらも電話に出た。
そしたら母の今にも消えそうな声が聞こえて母の言葉に私は頭が真っ白になった。
「おばちゃん死んじゃった・・・。」
え?どうして?この前元気になったって言ってたのに・・・。
「詳しいことは後で話すから一旦帰っておいで」
「うん、わかった」
私は何もわからないまま、帰ることにした。
涙がずっと止まらなかった。
あんなに嫌いでムカついてうざかったのに、こんなにも悲しいなんて
もっとちゃんと向き合っていれば何か変わったのかな
私が帰ってきてって言われた時にちゃんと帰って側にいればよかった。
まだ私の子供も抱かせてあげれてないよ。
私は今やっとおばあちゃんの大切さに気づけたのに。
行かないで。
いろんな思いを抱えながら私は東京に帰省した。
冷たくなったおばあちゃんを見て私は泣き崩れた。
葬儀も無事に終わり、別れ際に「いい孫じゃなくてごめんねおばあちゃん。ゆっくり休んでね。」
とおばあちゃんに言っておばあちゃんとはお別れをした。
立ち直るには時間が必要だけど、今はこの悲しみとしっかり向き合っていかないといけないと思った。
そしてやっぱり私はこんなところにいつまでもいるわけにはいかない。
せめておじいちゃんには私の子供を抱かせてあげたいし、そばにいて助けてあげたい。
私の気持ちが揺れ始めたのであった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
銀杖と騎士
三島 至
恋愛
名門クラヴィスト家の子息で、騎士隊の副隊長を務めるアレイルにはもう一つの顔がある。
魔術で声を変え、フードで顔を隠している、素性不明の魔術師団団長、ヴァレル・エンフィス。その正体は、魔術師と騎士を兼任するアレイルなのだ。
※
一度目の人生、騎士アレイルは死んだ者とされ、婚約者だった王女は人質として隣国へ嫁ぐ事となった。
王女に「婚約者が死ぬ以前の世界に戻して欲しい」と乞われたヴァレルは、王女との幸せな未来を信じてその通りにする。しかし巻き戻った世界では、王女に以前の記憶は無かった。
平和の代償に婚約者からの愛を失ってしまった、アレイルの二度目の人生は……。
《一度目の人生からじっくり進みます》
「小説家になろう」にも投稿しています。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる