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本編
お仕置き
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禁欲週間の終わり、安里の手によって抜いてもらえるハズだった俺は今、バ会長のせいで安里の前で正座中である。
「……ご、ごめんなさい……」
それはもうここ10年は言ってないんじゃないかという台詞なのに、スラスラと口から出た。
「………」
授業が終わって安里を迎えに行くと、無言で鞄を投げられて、さっさと出て行った。俺は慌てて追いかけて、そのまま安里はズンズン歩いて、一言も会話することなく家に着いた。
安里は部屋に入るなり俺は床に引き倒して、ファスナーを下げてモノを取り出し、リングが付いていないことに気づき、握り潰さんばかりの握力でそれを掴んだあと、ソファに座って俺を見ながら沈黙。
俺は慌ててモノをしまって安里の足元に土下座。
今はまさしくその状況。
そのまま何分経っただろう。足は普段正座なんかしないからもう感覚ないくらい痺れてて、ちょっと動かそうもんならあの独特の痛みがくる予感。
「…………」
「…………」
怒っている。それは間違いない。が、弁明をすべきかどうかが問題だ。グダグダ言わずに謝るほうが誠意は伝わる気がする。というか最早何から説明すればいいかわからない。
「…………」
「…………」
「…………」
「………海斗」
「…な、なんでしょうか」
突然の安里の声に思わず敬語。怖い。
「………リングはどこへやった」
「リ、リングは、…………」
……リング?リングはたぶん、会長の手の中だ。あんなものでも安里に初めて貰った物なのに、イかされたショックで取り返すのを忘れてた。
「……な、失くなった」
「リングが勝手に失くなった?自分で抜いて捨てたのか」
「いやっ、違くて、その…」
早く答えないと安里の機嫌が地に潜るのはわかってる。けど、言い訳していいのか?取られたのは俺にも非がある気がする。会長に取られたなら、俺は悪くないのか?
「…早く言え」
「会長にっ、取られたっ」
頭をゴシゴシ床に擦り付けながら、観念して叫ぶみたいに告白した。
途端、溢れ出す殺気。
「龍に、取られたのか」
「…」
伏せたまま、頷く。安里の声が、いつもよりも低い。
「……おまえ、今日なんで学ラン着込んでる」
ギクッ
「あ、痣があるから」
「痣があることは知ってる。脱げ。今すぐ脱げ」
首輪はやばい。犬としてそばに置いてくれてる以上、首輪つけられてるのはやばい。
「……っ」
俺は、咄嗟に首を振った。横に。舌打ちの音が聞こえて、途端にソファの上から襟を掴まれて、無理矢理引きずりあげられる。
「…いッ」
グリ、と傷に首輪が食い込んで、目の前に星が散るくらいの激痛。
パッと手を離されてソファに倒された時には、あまりの痛みに視界がぼやけてた。
「……安里、」
「……」
安里が無言で学ランのボタンを外していく。もう、最悪だ。
「…なんだ、コレは」
「…つけられて」
「…龍のペットになったのか?」
予想通りの安里の反応。冷めたような、感情のない言い方だ。
「違うっ無理矢理、」
バシッ!
「…っ」
安里に頭をはたかれた。ガンガン響く頭をソファの背に押し付けて、なんとか声を上げずに堪える。
「龍の犬になるなら勝手にしろ。すぐ出て行け」
「違う、コレ、外せねぇんだ!」
「うるさい」
「安里…っ」
また襟を掴まれて、今度はソファから引きずり落とされる。そのまま玄関まで引っ張られて、ガンッとドアにたたき付けられた。痛い。あちこち。
「出て行け」
「…っ」
ガチャッと俺の後ろでドアが開いて、ポイっとほうり出される。壁に背中ぶつけて目の前でドアが閉まって、どうにも出来ずにその場に座り込んだ。なんていうアッサリとした幕引き。
マジで、あちこち痛い。
主に、どっか中の方が。
別れるとは言われなかったのだけが救いだ。はっきりとは言われてないから、まだ捨てられてないのか?
帰ったらもう2度と入れてもらえないような気がして、そのまま廊下に座り込んだ。
それからしばらくそのまま過ごして、他に通る住人にはぺこっと頭を下げたりなんかして、あたりが暗くなったなと思った頃、ガチャッと急にドアが開いた。
顔を上げたら、ニュッと手が伸びてきて俺の腕を掴んで、安里の顔を確認する前にマンションに引きずり込まれた。
「…っ安里、」
何も言わずに雑に俺を部屋の中に引きずりこむ安里。
「…っつ、」
ドサッと投げられた先は、
まさかのベッド。
「あ、安里…?」
「……」
無視。いや、でも、こうやって中に入れてくれたのは嬉しい。待っていてよかった。そして何故か服を脱がされている。
「さっき、ソファ汚しただろ」
「…ソファ…?」
なんのことだ?ソファの上にいたのなんかほんの一瞬だし、それより何より脱がされてるこの状況の方が気になる。もう既に上半身は裸だ。
「あ、安里…」
「とりあえず黙っとけ」
カチャカチャ…
「え゙…っ」
その手は止まることなく、上を脱がした後は下まで脱がし始めた。このままじゃ全裸だ。
「ちょ、安里、意味がわかんねぇ…っ」
流石に抵抗をし始めるが、安里の手は止まらない。
「ち」
「ち……?」
「血。出てたろ。どこから出てたんだ。見せろ。全部脱げ」
「え…」
予想外の言葉に呆けた瞬間に俺の足から素早く抜かれたズボン。俺今ボクサーパンツ一丁。それにも手がかけられて、慌てて掴む。
「…まさか、ここかよ」
「い、いやっ違うけど!」
「脱げ」
「違うってっ、おい!」
ズル、ととうとう脱がされた。服を着込んでる人の前で全裸なのはなんか滑稽だ。
「俯せになれ」
「俯せ!?…そ、それは」
「…」
更に険しくなる安里の顔。普通に考えて全裸で人にケツ向けるとか嫌だ、恥ずかしいから。
「早く」
「う…っ」
なんなんだろうこの状況は。しばらく躊躇ったが、結局安里の目には逆らえなくて、わけもわからず全裸で俯せになる。
端から見てそれがどんな光景かなんて考えたくもない。俺は今服を着ている着ている着ている…
「…ッ」
今、なんか、信じられない場所に安里の指?が触った気がする。
「…安里?」
「なんだ、ここじゃないのか…」
「…?」
なにが肛門じゃないって?というかやっぱり触ったの安里の指だ。安里が何故か自分の人差し指を見つめているから。
「…どこだ、怪我」
「え、怪我は、首」
「首?」
全裸の俺の上にのしかかるみたいにして、安里が近づいて来る。…なんか、密着するのはやばい。
「…まさか、首輪の下か?」
こく、と頷くと、はぁ、とため息をついて安里がかちゃかちゃと首輪を触り始めた。
「あ、安里…?」
そのうち、ボトッとベッドに落ちるそれ。
ベルトごと血が張り付いて固まっていたところが剥がれて、また痛む。
「えっ、なんで、鍵は…?」
「鍵なんかついてない。騙されたんだろ」
「…………」
わかってたことだ。わかってたことなのにまた騙された。アイツ本当に無茶苦茶だ。安里が生徒会の仕事でイライラしてた理由もよくわかる。
「…なんだこの傷」
「…っい、痛ぇ、安里っ」
ガシッと首を掴まれて、会長みたいに傷口触ったりしてくるわけじゃねぇけどやっぱり痛い。
「……ご、ごめんなさい……」
それはもうここ10年は言ってないんじゃないかという台詞なのに、スラスラと口から出た。
「………」
授業が終わって安里を迎えに行くと、無言で鞄を投げられて、さっさと出て行った。俺は慌てて追いかけて、そのまま安里はズンズン歩いて、一言も会話することなく家に着いた。
安里は部屋に入るなり俺は床に引き倒して、ファスナーを下げてモノを取り出し、リングが付いていないことに気づき、握り潰さんばかりの握力でそれを掴んだあと、ソファに座って俺を見ながら沈黙。
俺は慌ててモノをしまって安里の足元に土下座。
今はまさしくその状況。
そのまま何分経っただろう。足は普段正座なんかしないからもう感覚ないくらい痺れてて、ちょっと動かそうもんならあの独特の痛みがくる予感。
「…………」
「…………」
怒っている。それは間違いない。が、弁明をすべきかどうかが問題だ。グダグダ言わずに謝るほうが誠意は伝わる気がする。というか最早何から説明すればいいかわからない。
「…………」
「…………」
「…………」
「………海斗」
「…な、なんでしょうか」
突然の安里の声に思わず敬語。怖い。
「………リングはどこへやった」
「リ、リングは、…………」
……リング?リングはたぶん、会長の手の中だ。あんなものでも安里に初めて貰った物なのに、イかされたショックで取り返すのを忘れてた。
「……な、失くなった」
「リングが勝手に失くなった?自分で抜いて捨てたのか」
「いやっ、違くて、その…」
早く答えないと安里の機嫌が地に潜るのはわかってる。けど、言い訳していいのか?取られたのは俺にも非がある気がする。会長に取られたなら、俺は悪くないのか?
「…早く言え」
「会長にっ、取られたっ」
頭をゴシゴシ床に擦り付けながら、観念して叫ぶみたいに告白した。
途端、溢れ出す殺気。
「龍に、取られたのか」
「…」
伏せたまま、頷く。安里の声が、いつもよりも低い。
「……おまえ、今日なんで学ラン着込んでる」
ギクッ
「あ、痣があるから」
「痣があることは知ってる。脱げ。今すぐ脱げ」
首輪はやばい。犬としてそばに置いてくれてる以上、首輪つけられてるのはやばい。
「……っ」
俺は、咄嗟に首を振った。横に。舌打ちの音が聞こえて、途端にソファの上から襟を掴まれて、無理矢理引きずりあげられる。
「…いッ」
グリ、と傷に首輪が食い込んで、目の前に星が散るくらいの激痛。
パッと手を離されてソファに倒された時には、あまりの痛みに視界がぼやけてた。
「……安里、」
「……」
安里が無言で学ランのボタンを外していく。もう、最悪だ。
「…なんだ、コレは」
「…つけられて」
「…龍のペットになったのか?」
予想通りの安里の反応。冷めたような、感情のない言い方だ。
「違うっ無理矢理、」
バシッ!
「…っ」
安里に頭をはたかれた。ガンガン響く頭をソファの背に押し付けて、なんとか声を上げずに堪える。
「龍の犬になるなら勝手にしろ。すぐ出て行け」
「違う、コレ、外せねぇんだ!」
「うるさい」
「安里…っ」
また襟を掴まれて、今度はソファから引きずり落とされる。そのまま玄関まで引っ張られて、ガンッとドアにたたき付けられた。痛い。あちこち。
「出て行け」
「…っ」
ガチャッと俺の後ろでドアが開いて、ポイっとほうり出される。壁に背中ぶつけて目の前でドアが閉まって、どうにも出来ずにその場に座り込んだ。なんていうアッサリとした幕引き。
マジで、あちこち痛い。
主に、どっか中の方が。
別れるとは言われなかったのだけが救いだ。はっきりとは言われてないから、まだ捨てられてないのか?
帰ったらもう2度と入れてもらえないような気がして、そのまま廊下に座り込んだ。
それからしばらくそのまま過ごして、他に通る住人にはぺこっと頭を下げたりなんかして、あたりが暗くなったなと思った頃、ガチャッと急にドアが開いた。
顔を上げたら、ニュッと手が伸びてきて俺の腕を掴んで、安里の顔を確認する前にマンションに引きずり込まれた。
「…っ安里、」
何も言わずに雑に俺を部屋の中に引きずりこむ安里。
「…っつ、」
ドサッと投げられた先は、
まさかのベッド。
「あ、安里…?」
「……」
無視。いや、でも、こうやって中に入れてくれたのは嬉しい。待っていてよかった。そして何故か服を脱がされている。
「さっき、ソファ汚しただろ」
「…ソファ…?」
なんのことだ?ソファの上にいたのなんかほんの一瞬だし、それより何より脱がされてるこの状況の方が気になる。もう既に上半身は裸だ。
「あ、安里…」
「とりあえず黙っとけ」
カチャカチャ…
「え゙…っ」
その手は止まることなく、上を脱がした後は下まで脱がし始めた。このままじゃ全裸だ。
「ちょ、安里、意味がわかんねぇ…っ」
流石に抵抗をし始めるが、安里の手は止まらない。
「ち」
「ち……?」
「血。出てたろ。どこから出てたんだ。見せろ。全部脱げ」
「え…」
予想外の言葉に呆けた瞬間に俺の足から素早く抜かれたズボン。俺今ボクサーパンツ一丁。それにも手がかけられて、慌てて掴む。
「…まさか、ここかよ」
「い、いやっ違うけど!」
「脱げ」
「違うってっ、おい!」
ズル、ととうとう脱がされた。服を着込んでる人の前で全裸なのはなんか滑稽だ。
「俯せになれ」
「俯せ!?…そ、それは」
「…」
更に険しくなる安里の顔。普通に考えて全裸で人にケツ向けるとか嫌だ、恥ずかしいから。
「早く」
「う…っ」
なんなんだろうこの状況は。しばらく躊躇ったが、結局安里の目には逆らえなくて、わけもわからず全裸で俯せになる。
端から見てそれがどんな光景かなんて考えたくもない。俺は今服を着ている着ている着ている…
「…ッ」
今、なんか、信じられない場所に安里の指?が触った気がする。
「…安里?」
「なんだ、ここじゃないのか…」
「…?」
なにが肛門じゃないって?というかやっぱり触ったの安里の指だ。安里が何故か自分の人差し指を見つめているから。
「…どこだ、怪我」
「え、怪我は、首」
「首?」
全裸の俺の上にのしかかるみたいにして、安里が近づいて来る。…なんか、密着するのはやばい。
「…まさか、首輪の下か?」
こく、と頷くと、はぁ、とため息をついて安里がかちゃかちゃと首輪を触り始めた。
「あ、安里…?」
そのうち、ボトッとベッドに落ちるそれ。
ベルトごと血が張り付いて固まっていたところが剥がれて、また痛む。
「えっ、なんで、鍵は…?」
「鍵なんかついてない。騙されたんだろ」
「…………」
わかってたことだ。わかってたことなのにまた騙された。アイツ本当に無茶苦茶だ。安里が生徒会の仕事でイライラしてた理由もよくわかる。
「…なんだこの傷」
「…っい、痛ぇ、安里っ」
ガシッと首を掴まれて、会長みたいに傷口触ったりしてくるわけじゃねぇけどやっぱり痛い。
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