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第10話
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「タイムリープってね、名前の通りそれを行使した人が自由に時を移動できる事なんだよ。
つまり、神様が私達人間に与えた禁じるべき能力。
その力を代々私の一家が守ってるんだ」
そう言って微笑んだ足立咲さんは、なぜか儚そうな顔をしてこっちをみた。
俺は、嘘みたいな話をただ聞くだけだった。
翌朝、夢だと思いたい事があった翌日は、気分が沈んでしまうようだ。
まだ胃には、昨日の夕飯が入っている。
朝食を食べる気にはならない。
歯を磨いて、学校の準備をして、ゴミをだして学校に行く。
いつもやっている事がこんなに億劫だなんて。
何だか、この日々にいろいろと嫌気がさしてきそうだ。
時間を自由に移動して言い訳ない。
そんなの、おかしい。
俺は、昨日の言葉を何度も思い返し、自分の中で全て否定した。
ぼんやりと通学路を歩いていると聞き慣れた声がした。
「あの、仲間君」
その声の主は、いつものセーラー服姿の市ノ瀬ますずさんだった。
最近、いつものスーパーによってないので会うのは久しぶりだ。
「おはよう、市ノ瀬さん。久しぶりだね」
「おはようございます。仲間君」
そう言って、ペコリと頭を下げてきた。
「こんな朝はやくどうしたの?」
「いえ、仲間君にちょっと話したい事がありまして、」
そう言って俺は、彼女と一緒に知らない喫茶店に向かった。
こんな朝早くから、高校生が喫茶店とはとか奇異な目線を向けられるかと思いビクビクしてたけど、そんなことは無くて客がいなかった。
「話って何かな」
そう切り出した俺の声は、彼女に届いていないのか、目の前で俯いている市ノ瀬さんにもう1度声をかけてみる。
「あの、市ノ瀬さん?」
すると、すっとこっちをむいたその顔は、妙な無機質感がした。
「ねえ、今からする話は全て本当の事なの」
唐突なその言葉に俺は、反応できなかった。
そこまで清々しく断定されると、逆に困ってしまう。
「私はね、実はずっと君を監視していたの。そして、私は人間ではないの」
急すぎるその言葉に、思わず反応できなかった。
「ドッキリだろ」とか「そんな冗談」とかそんな言葉は全く出てこなかった。
多分それは、彼女がだす異様なまでの無機質感だろう。
「私はね、未来からきた調査ロボットなの」
「ロボット…」
「そう。でも、なぜ感情などがあるのか。仲間君はそう疑問に思ったね。」
「うん…」
「ふっ」と彼女は突然吹き出してこう言った。
「そもそもロボットに感情が無いのはひと昔前の話なの。今では科学の進化でたくさんの人類ではない生命体が生まれているの。
それに私はね、ロボットなんて言うただの鉄の塊ではないの。
もっと正確に言うには情報集合体。たくさんの人の情報が入っているから、私はこういう調査得意なの」
「でも、なんで俺を監視に?」
「それはね、あなたは今後の重要な役割を担っているの」
「俺が、重要な役割?」
「そう。私達を作った博士はね、昔から人々について研究していて、私もその研究過程から生まれたものなの。
そして、博士はね人間を調べるに連れて、あることを発見するの。
それは、特殊能力をもつ人間を」
「特殊能力?」
「簡単なものでは、人や物の声や音を聞くだけで、その音に色をつけたりとか。
瞬時にその背景や物事を記憶できたりするとか。そんな感じかな」
「それと俺がなんで関係あるの?」
「それはね、君が全ての望みを叶える事ができるからさ」
「全てを叶える?」
「そう。何事も叶えることができる魔法みたいな力さ。
君は今、1人暮らしをしているらしいけど、それは君がしたいと心の内で思ったことが現実になったり。
気の合う友人が欲しいから、あの2人と友達になれたんだ」
「そんな、たまたまだろ…」
「それがちゃんとデータにもでているんだよ。見るかい?」
「いえ、遠慮しておく」
「そうかい。ならいいや」
そう言って、話を続ける市ノ瀬さんは、かなり饒舌で俺が知っている彼女はどこにもいなかった。
これがロボットだという証明になっているのか?俺は、分からなかった。
市ノ瀬さんが俺を監視していると分かった翌日。俺は、いつも通りの生活をしていた。
もし、あの事が本当なら、あの手紙は俺が望んでいたから突然きたのか。
いや、それはどうなんだろう。頭の整理が全く追いつかない。
俺は、簡単に朝食を作り、家を出た。
この日常も、俺が望んだから過ぎていくのか。
そんなことをトボトボ歩きながら考える。
やっぱり分からなかった。
「久しぶりに会えましたね。仲間君」
その声と同時に俺の身体は後ろに倒れていった。
現在の俺の状況。
腕の中に知らない女の子が1人。
何のラブコメなんだと思う展開だ。
つまり、神様が私達人間に与えた禁じるべき能力。
その力を代々私の一家が守ってるんだ」
そう言って微笑んだ足立咲さんは、なぜか儚そうな顔をしてこっちをみた。
俺は、嘘みたいな話をただ聞くだけだった。
翌朝、夢だと思いたい事があった翌日は、気分が沈んでしまうようだ。
まだ胃には、昨日の夕飯が入っている。
朝食を食べる気にはならない。
歯を磨いて、学校の準備をして、ゴミをだして学校に行く。
いつもやっている事がこんなに億劫だなんて。
何だか、この日々にいろいろと嫌気がさしてきそうだ。
時間を自由に移動して言い訳ない。
そんなの、おかしい。
俺は、昨日の言葉を何度も思い返し、自分の中で全て否定した。
ぼんやりと通学路を歩いていると聞き慣れた声がした。
「あの、仲間君」
その声の主は、いつものセーラー服姿の市ノ瀬ますずさんだった。
最近、いつものスーパーによってないので会うのは久しぶりだ。
「おはよう、市ノ瀬さん。久しぶりだね」
「おはようございます。仲間君」
そう言って、ペコリと頭を下げてきた。
「こんな朝はやくどうしたの?」
「いえ、仲間君にちょっと話したい事がありまして、」
そう言って俺は、彼女と一緒に知らない喫茶店に向かった。
こんな朝早くから、高校生が喫茶店とはとか奇異な目線を向けられるかと思いビクビクしてたけど、そんなことは無くて客がいなかった。
「話って何かな」
そう切り出した俺の声は、彼女に届いていないのか、目の前で俯いている市ノ瀬さんにもう1度声をかけてみる。
「あの、市ノ瀬さん?」
すると、すっとこっちをむいたその顔は、妙な無機質感がした。
「ねえ、今からする話は全て本当の事なの」
唐突なその言葉に俺は、反応できなかった。
そこまで清々しく断定されると、逆に困ってしまう。
「私はね、実はずっと君を監視していたの。そして、私は人間ではないの」
急すぎるその言葉に、思わず反応できなかった。
「ドッキリだろ」とか「そんな冗談」とかそんな言葉は全く出てこなかった。
多分それは、彼女がだす異様なまでの無機質感だろう。
「私はね、未来からきた調査ロボットなの」
「ロボット…」
「そう。でも、なぜ感情などがあるのか。仲間君はそう疑問に思ったね。」
「うん…」
「ふっ」と彼女は突然吹き出してこう言った。
「そもそもロボットに感情が無いのはひと昔前の話なの。今では科学の進化でたくさんの人類ではない生命体が生まれているの。
それに私はね、ロボットなんて言うただの鉄の塊ではないの。
もっと正確に言うには情報集合体。たくさんの人の情報が入っているから、私はこういう調査得意なの」
「でも、なんで俺を監視に?」
「それはね、あなたは今後の重要な役割を担っているの」
「俺が、重要な役割?」
「そう。私達を作った博士はね、昔から人々について研究していて、私もその研究過程から生まれたものなの。
そして、博士はね人間を調べるに連れて、あることを発見するの。
それは、特殊能力をもつ人間を」
「特殊能力?」
「簡単なものでは、人や物の声や音を聞くだけで、その音に色をつけたりとか。
瞬時にその背景や物事を記憶できたりするとか。そんな感じかな」
「それと俺がなんで関係あるの?」
「それはね、君が全ての望みを叶える事ができるからさ」
「全てを叶える?」
「そう。何事も叶えることができる魔法みたいな力さ。
君は今、1人暮らしをしているらしいけど、それは君がしたいと心の内で思ったことが現実になったり。
気の合う友人が欲しいから、あの2人と友達になれたんだ」
「そんな、たまたまだろ…」
「それがちゃんとデータにもでているんだよ。見るかい?」
「いえ、遠慮しておく」
「そうかい。ならいいや」
そう言って、話を続ける市ノ瀬さんは、かなり饒舌で俺が知っている彼女はどこにもいなかった。
これがロボットだという証明になっているのか?俺は、分からなかった。
市ノ瀬さんが俺を監視していると分かった翌日。俺は、いつも通りの生活をしていた。
もし、あの事が本当なら、あの手紙は俺が望んでいたから突然きたのか。
いや、それはどうなんだろう。頭の整理が全く追いつかない。
俺は、簡単に朝食を作り、家を出た。
この日常も、俺が望んだから過ぎていくのか。
そんなことをトボトボ歩きながら考える。
やっぱり分からなかった。
「久しぶりに会えましたね。仲間君」
その声と同時に俺の身体は後ろに倒れていった。
現在の俺の状況。
腕の中に知らない女の子が1人。
何のラブコメなんだと思う展開だ。
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