邪神入れ食い♡生け贄の森

トマトふぁ之助

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ねざすもの

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 寒村には6人の村人がいる。
 過去を忘れ、厳冬を地熱でやり過ごす村人たちは、多くの子に恵まれて安定した生活を謳歌していた。
 「デリック!」
 「……ヒース。お産は終わったのか?」
 地熱の伝わる温かな岩盤に腰掛け、気のよさそうな青年が仲間に微笑む。
 腹の薄くなったヒースは理知的な顔を心配そうに歪め、デリックの隣に座り込む。
 「いつも通りつつがなくね。……それよりお前、また村の外に出たって?神父様が心配してたぞ」
 「……なんだかいつも、探さなきゃいけないものがある気がして……。神父様には、もう怒られたよ。卵産むの、一ヶ月お預けだってさ」
 腹がすかすかして、妙に寂しい。一週間前の出産から時間も経たぬうちに、下腹部の痣がきゅうと夜泣いて困ってしまう。
 「ヒースは、ケイさんとしばらく休暇だろ。身体休めなきゃいけないんだから激しくするなよ」
 「う、うるさいな。番いなんだからいいだろ。神父様だって……」
 「あの人の言うこと、鵜呑みにし過ぎだろ。……怖くないか?たまに俺……。」
 「滅多なこといわないほうがいい。二ヶ月卵抜きにされたいのか」
 「そ、……そうだな……。悪かったよ……」
 デリック達村人は、皆上質の綿の服を着ている。神父様のくれた教団の服だ。
●●様に卵を授かって、番いと愛し合い、命を育む。この間まで寒さに震えて、自分たちの命がかき消えないよう必死だったなんて嘘みたいだ。
 ヒースはと言えば、やせ衰えていた肉体にしなやかな筋肉が戻り、頬に血の気が戻った。●●様と神父様が来てからこのかた、狩りの獲物に困ることがないからだ。……あれほど姿を現さなかった鹿や兎が、村の中へ迷い込んでくるようにすらなった。
 皆幸せそうだ。●●様に祈りを捧げるようになってから、ずっとそう。
 「あ、あれ」
 「お盛んだなあ」
 視界の端に映ったのはアンリとグウェンだ。相変わらず仔犬のようにグウェン老にひっついて回るアンリの腰を、戦働きで鍛えた好色爺の手が擦っている。2人ともまわりが見えていないらしい。あまりキャンキャン煩いアンリの尻を、グウェンの手がいやらしく撫で回す。嫌がるかと思いきや、アンリは飛びついてキスを返した。青年を抱え上げると、グウェンは繁殖小屋に入っていってしまう。あのままきっと数日出てこない。
見ているだけでうんざりする光景だが、神父様はそう思わないようだった。
 「実に平和でよろしい。ヒース、デリック。おはよう」
 「おはようございます!神父様」
 「……はようございます。……」
 きらきらした眼差しで神父を見上げるヒースの横で、デリックはばつが悪そうに居住まいを正した。この間の散歩で叱られたばかりなのだ。
 神父様はにっこりと笑い、デリックの肩に手を置いた。
 「ヒース、向こうでケイが呼んでいましたよ。休暇を楽しんできなさい」
 「あ、はい……。じゃあデリック!またな」
 「ぁ、うん……。」
 友人が駆けていってしまい、神父様とふたりになってしまった。青年はどうしてか震える身体を押さえ込み、声を出す。
 「あ、あの……?」
 「うん?なんだね」
 「なんで、俺のとこに……?用向きはなんでしょう」
 見上げると、不思議そうな顔で神父がこちらを見下ろしている。感情の読み取れない顔に、デリックの膝が笑い始める。デリックは思い出せない。このカソックを着た男が、いつこの村にやってきたのか。●●様がどうして仲間達の信仰の対象になったのか。どうして俺たちは、男なのに……。
 そこまで考えたところで、神父様の顔がそこまで迫っていることに気がついた。手を重ねられ、唇が深く重なり合う。熱い舌で上顎や、弱い箇所を舐られるともう何を考えていたか覚えていられない。数分かけた長いキスのあと、荒い呼吸を整えるデリックに悪い言葉が囁かれる。
 「用向きか、そうだな……。今からたくさん卵を植えつけたいんだが、どうだろう」
 「……っ♡♡♡……、お、俺でいいんですか……?♡」
 「君が良いんだ」
 神父様に腰を抱かれて立ち上がる。番いがいない青年には、卵を植えられたあと精を注ぐ者がいない。神父様はそんなデリックをベッドで存分に慰めてくれるのだ。
 疑う機能を奪われた脳が、快楽を期待して全身を震わせる。
 くちゅ…♡と甘く後孔が啼いた。
 森の神秘が暴かれる日は、まだこない。
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