イケニエヒーロー青井くん

トマトふぁ之助

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群青出奔:ブルー編

ことの興りと悪鬼蛮淫

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 「っぅ、ン、ん、ィ……!!やめ……ッ♡やべ、ろォ……♡♡♡!!」
 魔王軍幹部の寝台に相応しい巨大なシーツの海で、一人の青年が責めを受けていた。肉体年齢は十八、ヒーローに任じられたその日から、身体は成長を止めている。
 びくびくと跳ねる腹筋に汗が伝った。正常位でオーガの巨根を受け止めさせられ、あまつさえ執拗に腰を揺すられ続ける。ぐっぽりと奥まで主を納めきった雄膣が疼いて苦しい、凶悪なカリが弱点である肉襞に密着したままだ。
 (くそ、何で動かない……ッ!?)
 早く吐精してしまえばいいものを、バルドの業物は一向に逐情の気配を見せない。腹筋を内側から押し上げる凶悪なオーガペニスはじりじり腸壁を灼き焦がした。
 「は、っぁ……、く、そぉ……っ♡はなせよ、はなせってば……」
 身を捩って自ら腰を振ろうとする清一だったが、腰骨を覆うようにオーガの手が固定していて動けない。標本箱にピン止めされた羽虫のようだ。腹筋の下、淫紋がじくじくと熱を持っている。おあずけに耐えられなくなっているのが嫌でも理解できた。
 温かな腸壁にはいくつかの泣き所があり、いつもの行為であればバルドがそこめがけて刮げるほどに鰓の殴打を喰らわせてくる。きゅ、きゅとはしたなく肉槍を締め付けてしまうのは既に教え込まれた快楽をお預けされているからだ。嫌と言うほど悪辣な欲の味を教え込まれてしまっている。
 (こ、こいつもがちがちの癖に……っ!)
 暴れる体力も尽きた。寝台に身体を預けると、腹の奥から勝手に痙攣が起こる。バルドのペニスはグロテスクに膨張しきっていた。鰓の張って凶悪なカリ首はいっとう奥にある肉襞へと鎌かけられ、肉竿の中腹からみっしり生えた鱗の鎧はやすりがけでもするかのように雌しこりに密着している。いつも享受させられている深い肉悦を意識してしまうのか腸液の分泌が止まらない。
 「ふ、ゥウ゛~~~……ッ……♡♡♡!!」
 膝裏から両足を担ぎ上げた夫は相変わらず青年妻の腰を離さない。涙目で睨み上げる視線にうっそり笑みを返すと、悠々清一の内股へ吸い付き痕を残していく。嫌な予感がする。大鬼の精を吐き出させようと必死に出て行けといわんばかりに繰り返し締め付けた。
 「ッハァア……。きゅうきゅう締まってたまらねえなあ♡」
 「っン♡だったら、ぁッ……!!はやぐ、イけよぉ……ッ」
 「まだだぜ、なあ?ブルー君よ。随分こらえ性が無いじゃねえか」
 「う、るさいっ!このっ……強姦魔!!なんでも、ぅう……っ♡セックスで誤魔化そうとしてんじゃねえっ!!……やさしく、ぇうッ……なったと、おもってたのにッ……!!」
 「……そりゃそうだろ。もう腐れヒーローのブルーじゃねえ、俺様だけのブルーだからな。なぁあ、何が不満なんだ?家も飯も服も苦労しねえ安楽な暮らしがどうして享受できねえ。お前からここに残ると決めた時は嬉しかったんだぜ。なるべく穏便に囲っていたかったからよ。……今更手枷足枷着けたくねえだろ」
 ちくり、ちくりとふくらはぎから内腿へ小さな痛みが走った。薄い人間の皮膚に鬱血痕が転々と咲く。赤い花が植え付けられる度、淫紋は色濃く、その飢餓感は増す。
 「早く動けってぇ……!!ぅ、ぅう……!!」
 満たされない疼きが酷くなる。手足をばたつかせ、弱々しい抵抗を必死に続ける清一に対してバルドは余裕そのものだ。腰を固定する腕に立てられる爪など意にも介さず、青年の耳殻を甘噛みして愉しんでいる。決定打になるような動きはせず、ぬるい刺激で欲を煽った。舐め、啜り、戯れに牙を立て痕を残す。大鬼は獲物を嬲る目つきのままだ。清一の額に脂汗が伝う。……執拗な責めが始まって数十分は経っただろうか。
 「ぁ、あっ…………?」
 「…………。」
 清一の視線が徐々に揺れ始めた。オーガの口角が思わず緩んでいく。
 「どうした清一」
 「ン、んぅう~~~……ッ♡♡♡は、はへ……っ♡ぅう……ッ」
 ぞくぞくと収まらない痙攣。半開きの口からややはみ出す舌先。潤んだ切れ長の瞳に意思の蕩けた表情……。何よりも後ろの締まり具合だ。出て行けとでも言いたげに締め付けていた肉壁の加圧が止んだ。代わりにバルドの肉棒を、柔らかく蕩けた腸壁が包み込んでいる。吸い付く感触に思わず熱いため息が溢れた。
 「全く淫紋ってのは便利だよな」
 バルドはほくそ笑んで清一の腰から手を離した。意識がお空に飛んでしまっている青年は、逃げるどころではないらしい。呆然とシーツを掴んで身体の異変に耐えている。淫魔、サキュバス化の進んだ清一の身体は飢餓状態に陥っている筈だ。本来獲物の精液を搾り取るための性器はこの状態になると機能を失う。ただ相手に快楽を与えるだけの穴は唯一無二、搾精機能という攻撃の手段を失うのだ。
 「お前をここまで飢えさせたのは初めてか?……淫魔は空腹が一定以上酷くなると紋の周囲に根が浮き出る……血管みてえだ。綺麗だぜ」
 「はぇ……っ?や、はなへ、」
 「まだンなこと言えんのかァ」
 「あ、ッぁァアアッ♡♡♡!?」
 なんのことはない、只ぞりぞりと腰を引いただけの刺激だった。柔く無抵抗に蕩けた雄膣が一気に削られる。腕に閉じ込めた人間妻はペニスを一度引き抜いただけで、深く達してしまっていた。間髪入れずに奥まで突き戻せば、目を剥いて天を仰ぐその整った輪郭が勢いよく跳ねた。
 じゅぅううっぽ♡ぐぷぷぷっ……♡♡♡じゅぅうう……っ♡♡♡
 「アぅっ♡ひんっ♡ひンっ♡♡!!」
 膝裏を抱え上げられ、身体を深く折りたたまれる。清一は杭打ちの如き抽挿に喘ぎ狂うしかなかった。淫紋の辺りから不埒な熱が放射状に広がって、思考が快楽に曇ってしまう。バルドの動きはゆっくり執拗に繰り返された。結腸奥の肉襞が容赦なくカリ首に引っかけられては引き戻される。同時に鱗の傘で蕩けた洞を愛撫され続け、とうとう深いところまで達せそうになった時だ。岩盤じみた大鬼の腰が動きを止めた。
 「ぁ、ふぇ……?」
 「……清一ぃ」
 杭打ちピストンで番いをいたぶっていたバルドが身を起こし、あぐらをかく姿勢で青年を抱え直した。対面座位の姿勢で深く貫かれ、清一はくらくらと視線を彷徨わせる。大鬼は猫なで声で清一に囁く。
 「約束しようや。お前はこの屋敷から出ない、それだけ言ってくれりゃあいい」
 「ぁ、や……っ」
 「まあそう言うなよ、ここも辛いだろ?まだ一発も貰ってねえもんなあ」
 「ぎゃうっ♡!!」
 清一の二回りは太い親指が紋の中心へぐいと押し込められる。腰から脳天にかけて激しい痺れが走った。いっそう全身の甘だるさが酷くなる。
 「一言だけ、な?口約束で良い。そしたらたっぷり食事させてやる」
 魔族同士の契約は口約束だとて立派に拘束力を発揮する。うんと言わせることができれば、屋敷から指一本出ることさえできなくなるのだ。半ば正気を失いかけながら、首を横に振る清一に鬼は笑みを深くした。
 「フーッ!!フゥー……ッ!!や、やだっ♡やぁあッ♡!!」
 ずっちゅずっちゅずっちゅ♡♡♡ずろぉお……ッじゅぱんっ♡!!
 腰を引っ掴まれて激しく肉棒へ突き下ろされる。青年の腕がたまらずオーガの背に回された。この男にセックスの快楽を教えられたに等しい清一である。これ以上無い奥へと亀頭が侵入すれば、意思とは関係なく肉の襞がしゃぶりついてしまう。暴力に等しい快楽が精神を支配した。
 「ぁー……ッ!!ひん、ンっぁっ♡あッ♡」
 「早く言わねえとっ!一滴も貰えねえぞ……ッ♡!!」
 「あッあっあ、あぁああ゛ッ♡♡♡!!ひぎっひぃいッ♡!!」
 鍛えられた身体にそぐわない縦割れアナルが派手に潮を噴いた。体重をかけられた杭打ちピストンに雄膣が激しく痙攣し、喘ぎもより恥知らずな雌吠えへと変わっていく。分厚いオーガの背中にしがみついて腰の動きを合わせ、沸いた頭で吐精の瞬間を待った。
 (ア、……くる、くる……ッ♡♡♡!!)
 腸壁を滅多打ちにする肉竿がびくびくと放埒の前兆を見せる。ご褒美の瞬間を待ち望む青年の身体をふとオーガの腕がシーツに押し倒す。腰を鷲掴みにされ、仰向けの姿勢で放埒に備える清一の後孔から、しかし大鬼の巨根が一息に引き抜かれた。
 呆然とするヒト妻の腹筋を白濁が染める。その無音、射精の間、青年は何が起こっているのか理解できないまま夫を見た。上機嫌な顔は邪悪そのものだ。清一の顔が絶望に歪む。下腹から耐えがたい飢餓が浸食してきていた。
 「ぅあ゛ッ♡!?うぇ、ぁ、んで……っ!ぐぞッ♡!!やだ、なかで、なかで出せよぉっ♡!!ひ、ぃいい゛…………っ♡♡♡」
 じゅぷぷぷぷ…………ッ♡♡♡!!
 一発吐き出しきってなお芯を失わない異形の生殖器が、再び温かな肉洞へ割り入った。僅かに残った精液を求めて腸壁が蠕動する。飢えに焚き付けられた身体はなりふり構わず番いに媚び始め、理性を削がれた清一を更に苛んだ。臍にたまった精液を指で掬って舐め取るけれど、そんなものでこの疼きは癒えない。身体は腹が膨れるほどの種付けに慣れすぎていた。
 「タネ無しでどれだけもつか、久々に勝負といこうや」
 隻眼の赤鬼が笑う。清一の喉がひきつった悲鳴をあげた。この男の性豪さは、その身を以て思い知らされている。

 その翌朝、遂に清一は誓約の言葉を唱えさせられてしまった。体液でじっとりと湿気ったベッドには精液溜めにされた青年が横たわる。腹筋へ幾重にも浴びせられた白濁は端から乾き、薄く膨れた下腹の上下に合わせて筋肉のあわいを伝って落ちていた。真っ赤に腫れた尻たぶからシーツへと粘度の高い精液が溢れる。飢餓に泣きじゃくって赦しを乞わされた清一は意識も霞がかって、呼吸を整えるのに精一杯だ。指先一本力が入らない。過剰なまでに注がれた養分に、全身が甘怠い麻痺を被っている。
 煙草の煙が白く漂う。清一の隣では、バルドが美味そうに事後の一服を味わっていた。
 「納得してくれて嬉しいぜえ」
 「……ふッ……♡……ひゅーっ……ひゅ……♡」
 「ダゴンの事なら心配ない、剣の練習がしてえなら部下をつける。お前は今までどおりに囲われてればいいんだ」
 迎え酒をラッパ飲みすると、未だ腰の立たない青年の頭を撫でて男はベッドから出た。じっとりと恨みがましい視線は無視する。誰がなんと言おうとこの番いを屋敷の外に晒す訳にはいかないのだ。
 ……思えばこの時既に、清一は家出の計画を立てていたのかもしれない。バルドの幼な妻が息子を連れて屋敷から姿を消したのは、それからすぐのことだった。
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