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金継ぎの青 下:ブルー編
蜜月に崩れる
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「ったく泣き虫野郎。目玉が取れちまうだろ」
「う、うるさいな……くすぐったいって」
抱え上げられて居室に戻ると、清一はゆっくり寝台に背を倒された。仰向けになってキスを甘受する青年はくすくす笑いながら体の力を抜いていく。ぱんぱんに膨れた腹が重たい。男の盛り上がった上腕を指先でなぞると、その手を取られて横向きに寝転がされる。
キスが甘い。睦み合いの予感に頬が赤くなる。
「ぁっ、なあ、ここ教会だろ……?その、しちゃっていいの?」
古めかしい造りの意匠からこの建物がどんな施設であるかは理解できる。人っこひとり別の生き物の気配が感じられないが……ここは俗に言う神の家だろう。
「貸切で買い上げてある。防音対策もしてあるから安心しろ」
「ふ、ふぅん……?」
新妻は疑問を溢しながらも夫の手に従って服を脱ぎ始めていた。バルドのごつごつとした手は人に化けても好色さを隠さない。青年の敏感な皮膚をかすめながら性感を徐々に煽りつつ、しつらえの良い妊婦服を少しずつ緩め続ける。
「……っは、も……ふふ、くすぐったい」
つぎはぎの上半身を口づけが為されていく。バルドは青年の体の輪郭を慈しむようになぞり、いかにも悪党笑いで吹き込んできた。
「ここはなぁ、人間界にある俺様の領地だ。この町にはオーガ族をわんさか派遣してる。田舎のキレーな空気、美味い飯、血生臭くねえ神の家。新婚旅行にゃもってこいよ……ゆっくり静養しようじゃねえの」
「せい、ようって……ァん、罰当たるぞ……!」
「神の家だろうが、もう俺様のもんだ。買い上げたもんよ!……医者はああ言ったが、お前は淫魔だ。ヤらなきゃそれはそれで体に悪いからなあ」
『相手が人間なら、ですか?……それは魔力量なんて無いに等しいわけだから、いくら交わっても支障は無いでしょうが』
そう医者の言質を取った大鬼は、変化したヒトの手で妻の内腿をいやらしくさすっていく。青年の生真面目そうな横顔がほの赤く染まり、欲を孕んだ息を吐いた。尻にごりごりと硬いものが当たっている。執拗に揉み込んでは育てた胸筋を背後から撫でさすって、巨漢が囁いた。
「人間のブツで悪いが、新婚旅行を楽しもうや。……きつくなったらすぐ言えよ」
「ン、あっ……♡」
ごくりと熱っぽく唾液を飲み下した音が合図になった。孕み腹の青年妻は服をすこしずつ緩められ、足先から腿の付け根まで執念深く舌で愛撫を受ける。
既に背筋は這い上がる性感の期待に打ち震え、縦割れた後孔は淫らに濡れそぼっていた。皮膚を吸われて痕を残され、雄膣を幾度も太い炭坑夫の指で可愛がられる。……淫魔の体は便利なもので、妊娠してから不浄を清める必要が無くなっていた。後ろを毎度清めなくて良いのは純粋に楽だ。奥に精を注がれても養分として吸収されるのでかき出す必要すらないという。
分厚くかたい筋肉に覆われた大男の衣服を、清一もまた少しずつ剥いでいく。否応なく男の好色さに染まりつつあったが、不思議と強いられている感覚が薄かった。こちらの負担を軽減するために手段を惜しまないバルドの態度が、青年をそうさせていた。
「ん♡ンッ♡んぅ♡」
鼻にかかった雌声をあげて愛撫に感じ入る。こりこりに隆起したわかりやすい弱点を内側から指先で捏ねられ、既にペニスからは先走りが滲んでいる。もう何をどうしても1人では達せない身体にされていたが、男に後孔を解されるだけで愚息からは勢い良く精が迸った。
「ふ……ちゅ、くちゅ……っ♡ぁ、あ♡やぁ、まって……」
「スケベな声出して待てはねえだろ♡おいおい……ぁあクソ……たまんねえな」
「ン……っ♡はぷ、じゅっ♡ちゅ……ちゅっ……♡」
労働服の前をくつろげた大男の下半身にかがんで今度は清一が穂先へ口づける。ぼろんと引っ張り出されたグロテスクな性器は、ヒトのそれながらになかなか大振りだ。黙っていれば精悍な青年が、欲に瞳を蕩してペニスに口を付けた。横笛を吹くように太った幹を咥えると、夫の手が頭をかいぐり撫でてくれる。耳孔を指で弄られながら丹念に伴侶の巨根を歓ばせた。雄の臭いがきつい睾丸からなぞるように———凶悪なカリへ舌を走らせる。いつもの人外ペニスよりはしゃぶりやすくなっていて楽だ。上手いかどうかはわからないが、バルドはフェラチオが好きだという確信めいたものがあった。歯に当てないよう、薄い舌と唾液で愛情深くしごく。苦味すらも愛おしい。時折上目遣いで男を伺いながら、恍惚と奉仕を深くしていく。
……見下ろす双眸は血走っていて、いやでも彼の性豪ぶりを思い出させる。
(バルドが気持ちよくなってくれてる……)
喉奥まで咥えこみ、息が詰まるのも気にせず頭ごと揺すぶった。夫は渋面を作って止めようとしたが、とどめに舌先で鈴口を吸い上げると獣のように唸って口内へと射精した。飲酒に似た酩酊感が視界をチカチカさせる。
「……っ……♡はぁ、ンッん……♡へへ、うま……♡」
「無理に飲むなっていつも言ってんのによお……サキュバスらしく育ちやがって!オラ、脚開け!!じっくりいたぶってやらなきゃなァ!!」
「ァ、ぁ……っ♡!!ゆ、ゆっくり……っぁああああッ♡!!い、きなり……っ♡そ、そこぉ……♡あっ、ひ♡!!クる、きちゃうっ……!!ふぁ、ああァあン♡♡♡むね吸わな……♡やぅうっ!!どっちもはぁ……っ!!ヒぃいいっ……♡♡♡!!!」
バルドは清一の脇を掬い上げて子猫のように抱えると、寝台に放り込んだ先から太腿を開かせた。発情最中の淫気がむわりと広がる。薄く肉付いてまろい尻が覗く青年の内腿を撫で、尻たぶを割って反り返った肉棒をじりじり挿入していく。出産間近の淫魔の体は交尾しやすく整っており、じゅぷ♡ずぷ♡と温かな洞で番いを迎え入れた。
数週間ほどの篭城交尾で行為の加減を掴んだことを確信したバルドは、ヒトの体で改めて腰を振り始める。清一はすっかり行為の快楽に溺れ、最早ここがどこだかなんてどうでも良くなっているようだ。
簡素な木製のダブルベッドが大男のピストンで壊れそうに軋む。家具など殆ど無い質素な部屋に、壁をゆうに突き抜ける程の喘ぎが響いた。
存分に声を出していいと男は囁く。大淫魔であるリリスが防音対策を行っているため、普通の人間には布の擦れる音すら聞こえない筈だ。
深くなる行為のなか、青年は剥き出しの乳首にねっとり吸い付かれながら雄膣を突き上げられた。オーガペニスがヒトのそれに変化しているため、いつもよりだいぶ息が楽だ。腹部の圧迫も少なく、甘やかすような快感ばかりが脳を弄り回す。人間に化けてサイズダウンしているはずなのに、しっかり覆いかぶさられて全てを貪られてしまう。自分だって同じ男の筈なのに。清一は蕩けて痺れる下半身をびくびく震わせた。肉槍の熱さや形、ビキビキに浮いた血管の生々しささえも敏感に快楽として拾い上げてしまう。ヒトに化けたバルドの肉棒は凶悪なカリが堅く開いており、腸液すら掻き出しながら今や必要のない種付け準備を整えている。じゅこじゅこと肉壁をかき分ける刺激が脳を焼き、青年は突き上げの度に何も考えられなくなっていった。
「ヒっイく……♡イっちゃ……ぁうっ♡そんなにしつこくしちゃ……ッ♡ぁ、ァああぁッ♡だめぇえ……っ♡!」
「んなこと言ってもよ♡いつもより締まるぜ。イイんだろうが……♡な♡大丈夫だ、他には誰もいねえよ」
「そ、いう問題じゃぁ……っ♡くぁっ♡め……だめっ♡!!い……ッくぅ……!!そこ♡やぁア~っ……♡!!」
「ここか♡イイだろ?びくついてやがる!」
さざめく肉壁が徐々に短い周期で肉棒を締め付け始める。とろとろの粘膜に熱さを刻みつけられ、青年が舌足らずに喘ぎをあげた。腹が熱い。漣のような空腹感が全身を巡る。
「赤ちゃん♡おれの、……ばるどのォ♡ぁ♡あっ♡栄養ほしいっ♡はやく、ぅうう……♡!!」
「ふっ……!!ぐ、くぉ……っ!!締め付けてやらしーママだなぁ?説明、した、だろ!!人間体になったのは、ぐ……♡精気を吸わせねえためだって!!」
「ぅ、ふぇ……♡だ、だってぇえっ……!!精液くれよぉ♡まま♡俺をままに、して……っ♡」
すっかり頭が馬鹿になっている清一はふにゃふにゃ蕩け始めた。ずちゅっ!ばちゅっ!!ごりごりと……もう息を吹きかけられただけでも達してしまうその肉体を、いよいよ膨張した肉棒で男が責める。張った腹を撫でながら、孕ませた獲物が啼く。その肩をベッドに縫いとめて、ヒトの精子を肉洞の奥にたっぷりと放った。
「ア……———ぁあああアアんッ♡♡♡!?……ぁ~っ♡!!ゥ……ぅう゛……っ♡!!」
「ぐっ…………!!!フゥーッ……!がゥウ……ッ!!」
粘つく濃厚な種付けは数度の腰振りを経て、一滴残らず清一の結腸奥へ注がれていく。熱に灼きつく胎を撫でて、惚けた顔で青年妻が喘いだ。
「ぁ……♡へ、ぇへ……っ♡———びゅぅって、ぁ♡あはっ♡まだでてる……♡」
「おいおい、精気入りじゃねえってのに……♡」
「ん、ぁ♡ふっ……ぁう……っ♡んン……♡」
深いキスが唾液さえ奪って脳を灼く。射精の勢いを雄膣で受け止める度に、得にも言われぬ幸福感が全身を弛緩させた。断続的に続く狂おしいほどの愛おしさ。へそから上って紋を伝う背徳の充足感。———清一はまだまだ収まらぬ情欲に喉を鳴らして、夫の無骨な手に指を絡め、引き寄せて甘く食んだ。バルドは強面を助平らしく歪めて意地悪を言う。
「なあ、無理しすぎは良くねえぞ♡ちょっと休んでみるか?」
バルドは清一の肩をやんわりと寝台に縫い止めてあちこちに唇を落とす。お預けの予感に青年がぐずり出した。
「ぁ、えっ、やだぁ……!!な、もっかいシよう?足んない、奥あつい……!!」
色狂いの様相でねだる青年を諫めるようでいて、男のものは既に硬度を取り戻している。熱くうねる極上の雄膣を焦らすため、決定打にならない程度に亀頭が弱点を掠め……決定打にならないもどかしい場所をぐりぐりと責めた。たまらず年下妻が尻を振って続きを催促する。熱く湿った炭鉱夫の腰を太腿で挟み、正常位のままに肉の輪が巨根を捉えて離さない。
———大鬼はかつて救国の英雄として厳しく自身を律していたブルーを思い出し、あまり淫らがましい対比に息子をいきり勃たせた。あの石頭をこうまで懐かせた己の手腕に思わず唸る。耕された腸壁が袖を引く子のようにきゅぅきゅうと引き止めてきた。
「まだ時間はいっぱいあるだろ……?お願い、もう一回……♡」
気の強そうな眦が蕩け落ち、乞うようにバルドを見上げる。
その時、ふとバルドは別の視線に気がついた。部屋の入り口が僅か開けられ、若い男が呆然とこちらを覗き込んでいる。
「……?バルド……?……あっ♡あ、んンっ♡!!」
バルドは組み敷いた青年に視線を戻し、その内腿を担ぎ上げた。甘い刺激に蕩けた声があがる。
「くく、そうだなァ……ッ!!」
「あゥッ♡!!ひぅうっ……♡!そこ、ぁああっ……♡!!」
淫魔の蜜孔で、大男の肉槍がいっそう硬くそそり立たせる。吸い上げられ舐めしゃぶられた豪槍は遠慮無くしこった前立腺を苛めだした。
「お前は俺様の番いだ……!!な♡死ぬまで付き合って貰うからなぁあッ♡!!」
「は♡ひぐっ……♡!!うれし……♡嬉しいぃ……っ♡!!あ、イく、あゥ……っも、イくぅうう……ッ♡!!」
……ギシギシと木製家具の軋む音が派手に響いている。青井清一は知らず、少年時代を過ごした一室で……帰郷の一日目を終えることとなった。
兄の声が喜悦に融ける。気の狂った喘ぎが部屋の外にまで響いていた。古い木戸から抜けた木目の穴から、兄の両脚が空に吊られては垂れてを繰り返すのがはっきり見えた。筋肉のいささか落ちた足が荒くれ者の腰に、腹にと抱きつくように絡んで、そして放埒を受け止め終えれば切なく震える。長い時間が、覗き見る「彼」の鼓膜を容赦なく責めたてる。
……どれほど時が経ったのかわからない。ふいに嬌声が聞こえなくなった。
はっとして覗き込めば、ぐったり動かなくなった兄の腰を掴み、男がぐ、ぐ、と幾度か腰を押し付けていた。しつこい種付けを終え、尚も兄の足を持ち上げようとしたのを見て、反射的に戸を開けてしまう。
セックスを終えたばかりの青臭い空気が漂う部屋に、ぎいいと乾いた音が響く。
「……よぉ。うまかったぜえ、お前の兄貴」
眠りに落ちた兄の身体を、悪どい顔の大鬼が撫でた。脂下がった顔の大男は見せつけるかのように兄の膨れた胎を舐める。
蒼白な顔で立ち竦んだ。何ができるわけではない。かつて自らが追い出した人だ。意識を失ったその身体を這う不埒な手を、切り落とすだけの力が欲しい。
———ブルーの義弟である青井喜一は、兄の仇を睨みつけ、ただ「糞野郎」と毒づいた。
「う、うるさいな……くすぐったいって」
抱え上げられて居室に戻ると、清一はゆっくり寝台に背を倒された。仰向けになってキスを甘受する青年はくすくす笑いながら体の力を抜いていく。ぱんぱんに膨れた腹が重たい。男の盛り上がった上腕を指先でなぞると、その手を取られて横向きに寝転がされる。
キスが甘い。睦み合いの予感に頬が赤くなる。
「ぁっ、なあ、ここ教会だろ……?その、しちゃっていいの?」
古めかしい造りの意匠からこの建物がどんな施設であるかは理解できる。人っこひとり別の生き物の気配が感じられないが……ここは俗に言う神の家だろう。
「貸切で買い上げてある。防音対策もしてあるから安心しろ」
「ふ、ふぅん……?」
新妻は疑問を溢しながらも夫の手に従って服を脱ぎ始めていた。バルドのごつごつとした手は人に化けても好色さを隠さない。青年の敏感な皮膚をかすめながら性感を徐々に煽りつつ、しつらえの良い妊婦服を少しずつ緩め続ける。
「……っは、も……ふふ、くすぐったい」
つぎはぎの上半身を口づけが為されていく。バルドは青年の体の輪郭を慈しむようになぞり、いかにも悪党笑いで吹き込んできた。
「ここはなぁ、人間界にある俺様の領地だ。この町にはオーガ族をわんさか派遣してる。田舎のキレーな空気、美味い飯、血生臭くねえ神の家。新婚旅行にゃもってこいよ……ゆっくり静養しようじゃねえの」
「せい、ようって……ァん、罰当たるぞ……!」
「神の家だろうが、もう俺様のもんだ。買い上げたもんよ!……医者はああ言ったが、お前は淫魔だ。ヤらなきゃそれはそれで体に悪いからなあ」
『相手が人間なら、ですか?……それは魔力量なんて無いに等しいわけだから、いくら交わっても支障は無いでしょうが』
そう医者の言質を取った大鬼は、変化したヒトの手で妻の内腿をいやらしくさすっていく。青年の生真面目そうな横顔がほの赤く染まり、欲を孕んだ息を吐いた。尻にごりごりと硬いものが当たっている。執拗に揉み込んでは育てた胸筋を背後から撫でさすって、巨漢が囁いた。
「人間のブツで悪いが、新婚旅行を楽しもうや。……きつくなったらすぐ言えよ」
「ン、あっ……♡」
ごくりと熱っぽく唾液を飲み下した音が合図になった。孕み腹の青年妻は服をすこしずつ緩められ、足先から腿の付け根まで執念深く舌で愛撫を受ける。
既に背筋は這い上がる性感の期待に打ち震え、縦割れた後孔は淫らに濡れそぼっていた。皮膚を吸われて痕を残され、雄膣を幾度も太い炭坑夫の指で可愛がられる。……淫魔の体は便利なもので、妊娠してから不浄を清める必要が無くなっていた。後ろを毎度清めなくて良いのは純粋に楽だ。奥に精を注がれても養分として吸収されるのでかき出す必要すらないという。
分厚くかたい筋肉に覆われた大男の衣服を、清一もまた少しずつ剥いでいく。否応なく男の好色さに染まりつつあったが、不思議と強いられている感覚が薄かった。こちらの負担を軽減するために手段を惜しまないバルドの態度が、青年をそうさせていた。
「ん♡ンッ♡んぅ♡」
鼻にかかった雌声をあげて愛撫に感じ入る。こりこりに隆起したわかりやすい弱点を内側から指先で捏ねられ、既にペニスからは先走りが滲んでいる。もう何をどうしても1人では達せない身体にされていたが、男に後孔を解されるだけで愚息からは勢い良く精が迸った。
「ふ……ちゅ、くちゅ……っ♡ぁ、あ♡やぁ、まって……」
「スケベな声出して待てはねえだろ♡おいおい……ぁあクソ……たまんねえな」
「ン……っ♡はぷ、じゅっ♡ちゅ……ちゅっ……♡」
労働服の前をくつろげた大男の下半身にかがんで今度は清一が穂先へ口づける。ぼろんと引っ張り出されたグロテスクな性器は、ヒトのそれながらになかなか大振りだ。黙っていれば精悍な青年が、欲に瞳を蕩してペニスに口を付けた。横笛を吹くように太った幹を咥えると、夫の手が頭をかいぐり撫でてくれる。耳孔を指で弄られながら丹念に伴侶の巨根を歓ばせた。雄の臭いがきつい睾丸からなぞるように———凶悪なカリへ舌を走らせる。いつもの人外ペニスよりはしゃぶりやすくなっていて楽だ。上手いかどうかはわからないが、バルドはフェラチオが好きだという確信めいたものがあった。歯に当てないよう、薄い舌と唾液で愛情深くしごく。苦味すらも愛おしい。時折上目遣いで男を伺いながら、恍惚と奉仕を深くしていく。
……見下ろす双眸は血走っていて、いやでも彼の性豪ぶりを思い出させる。
(バルドが気持ちよくなってくれてる……)
喉奥まで咥えこみ、息が詰まるのも気にせず頭ごと揺すぶった。夫は渋面を作って止めようとしたが、とどめに舌先で鈴口を吸い上げると獣のように唸って口内へと射精した。飲酒に似た酩酊感が視界をチカチカさせる。
「……っ……♡はぁ、ンッん……♡へへ、うま……♡」
「無理に飲むなっていつも言ってんのによお……サキュバスらしく育ちやがって!オラ、脚開け!!じっくりいたぶってやらなきゃなァ!!」
「ァ、ぁ……っ♡!!ゆ、ゆっくり……っぁああああッ♡!!い、きなり……っ♡そ、そこぉ……♡あっ、ひ♡!!クる、きちゃうっ……!!ふぁ、ああァあン♡♡♡むね吸わな……♡やぅうっ!!どっちもはぁ……っ!!ヒぃいいっ……♡♡♡!!!」
バルドは清一の脇を掬い上げて子猫のように抱えると、寝台に放り込んだ先から太腿を開かせた。発情最中の淫気がむわりと広がる。薄く肉付いてまろい尻が覗く青年の内腿を撫で、尻たぶを割って反り返った肉棒をじりじり挿入していく。出産間近の淫魔の体は交尾しやすく整っており、じゅぷ♡ずぷ♡と温かな洞で番いを迎え入れた。
数週間ほどの篭城交尾で行為の加減を掴んだことを確信したバルドは、ヒトの体で改めて腰を振り始める。清一はすっかり行為の快楽に溺れ、最早ここがどこだかなんてどうでも良くなっているようだ。
簡素な木製のダブルベッドが大男のピストンで壊れそうに軋む。家具など殆ど無い質素な部屋に、壁をゆうに突き抜ける程の喘ぎが響いた。
存分に声を出していいと男は囁く。大淫魔であるリリスが防音対策を行っているため、普通の人間には布の擦れる音すら聞こえない筈だ。
深くなる行為のなか、青年は剥き出しの乳首にねっとり吸い付かれながら雄膣を突き上げられた。オーガペニスがヒトのそれに変化しているため、いつもよりだいぶ息が楽だ。腹部の圧迫も少なく、甘やかすような快感ばかりが脳を弄り回す。人間に化けてサイズダウンしているはずなのに、しっかり覆いかぶさられて全てを貪られてしまう。自分だって同じ男の筈なのに。清一は蕩けて痺れる下半身をびくびく震わせた。肉槍の熱さや形、ビキビキに浮いた血管の生々しささえも敏感に快楽として拾い上げてしまう。ヒトに化けたバルドの肉棒は凶悪なカリが堅く開いており、腸液すら掻き出しながら今や必要のない種付け準備を整えている。じゅこじゅこと肉壁をかき分ける刺激が脳を焼き、青年は突き上げの度に何も考えられなくなっていった。
「ヒっイく……♡イっちゃ……ぁうっ♡そんなにしつこくしちゃ……ッ♡ぁ、ァああぁッ♡だめぇえ……っ♡!」
「んなこと言ってもよ♡いつもより締まるぜ。イイんだろうが……♡な♡大丈夫だ、他には誰もいねえよ」
「そ、いう問題じゃぁ……っ♡くぁっ♡め……だめっ♡!!い……ッくぅ……!!そこ♡やぁア~っ……♡!!」
「ここか♡イイだろ?びくついてやがる!」
さざめく肉壁が徐々に短い周期で肉棒を締め付け始める。とろとろの粘膜に熱さを刻みつけられ、青年が舌足らずに喘ぎをあげた。腹が熱い。漣のような空腹感が全身を巡る。
「赤ちゃん♡おれの、……ばるどのォ♡ぁ♡あっ♡栄養ほしいっ♡はやく、ぅうう……♡!!」
「ふっ……!!ぐ、くぉ……っ!!締め付けてやらしーママだなぁ?説明、した、だろ!!人間体になったのは、ぐ……♡精気を吸わせねえためだって!!」
「ぅ、ふぇ……♡だ、だってぇえっ……!!精液くれよぉ♡まま♡俺をままに、して……っ♡」
すっかり頭が馬鹿になっている清一はふにゃふにゃ蕩け始めた。ずちゅっ!ばちゅっ!!ごりごりと……もう息を吹きかけられただけでも達してしまうその肉体を、いよいよ膨張した肉棒で男が責める。張った腹を撫でながら、孕ませた獲物が啼く。その肩をベッドに縫いとめて、ヒトの精子を肉洞の奥にたっぷりと放った。
「ア……———ぁあああアアんッ♡♡♡!?……ぁ~っ♡!!ゥ……ぅう゛……っ♡!!」
「ぐっ…………!!!フゥーッ……!がゥウ……ッ!!」
粘つく濃厚な種付けは数度の腰振りを経て、一滴残らず清一の結腸奥へ注がれていく。熱に灼きつく胎を撫でて、惚けた顔で青年妻が喘いだ。
「ぁ……♡へ、ぇへ……っ♡———びゅぅって、ぁ♡あはっ♡まだでてる……♡」
「おいおい、精気入りじゃねえってのに……♡」
「ん、ぁ♡ふっ……ぁう……っ♡んン……♡」
深いキスが唾液さえ奪って脳を灼く。射精の勢いを雄膣で受け止める度に、得にも言われぬ幸福感が全身を弛緩させた。断続的に続く狂おしいほどの愛おしさ。へそから上って紋を伝う背徳の充足感。———清一はまだまだ収まらぬ情欲に喉を鳴らして、夫の無骨な手に指を絡め、引き寄せて甘く食んだ。バルドは強面を助平らしく歪めて意地悪を言う。
「なあ、無理しすぎは良くねえぞ♡ちょっと休んでみるか?」
バルドは清一の肩をやんわりと寝台に縫い止めてあちこちに唇を落とす。お預けの予感に青年がぐずり出した。
「ぁ、えっ、やだぁ……!!な、もっかいシよう?足んない、奥あつい……!!」
色狂いの様相でねだる青年を諫めるようでいて、男のものは既に硬度を取り戻している。熱くうねる極上の雄膣を焦らすため、決定打にならない程度に亀頭が弱点を掠め……決定打にならないもどかしい場所をぐりぐりと責めた。たまらず年下妻が尻を振って続きを催促する。熱く湿った炭鉱夫の腰を太腿で挟み、正常位のままに肉の輪が巨根を捉えて離さない。
———大鬼はかつて救国の英雄として厳しく自身を律していたブルーを思い出し、あまり淫らがましい対比に息子をいきり勃たせた。あの石頭をこうまで懐かせた己の手腕に思わず唸る。耕された腸壁が袖を引く子のようにきゅぅきゅうと引き止めてきた。
「まだ時間はいっぱいあるだろ……?お願い、もう一回……♡」
気の強そうな眦が蕩け落ち、乞うようにバルドを見上げる。
その時、ふとバルドは別の視線に気がついた。部屋の入り口が僅か開けられ、若い男が呆然とこちらを覗き込んでいる。
「……?バルド……?……あっ♡あ、んンっ♡!!」
バルドは組み敷いた青年に視線を戻し、その内腿を担ぎ上げた。甘い刺激に蕩けた声があがる。
「くく、そうだなァ……ッ!!」
「あゥッ♡!!ひぅうっ……♡!そこ、ぁああっ……♡!!」
淫魔の蜜孔で、大男の肉槍がいっそう硬くそそり立たせる。吸い上げられ舐めしゃぶられた豪槍は遠慮無くしこった前立腺を苛めだした。
「お前は俺様の番いだ……!!な♡死ぬまで付き合って貰うからなぁあッ♡!!」
「は♡ひぐっ……♡!!うれし……♡嬉しいぃ……っ♡!!あ、イく、あゥ……っも、イくぅうう……ッ♡!!」
……ギシギシと木製家具の軋む音が派手に響いている。青井清一は知らず、少年時代を過ごした一室で……帰郷の一日目を終えることとなった。
兄の声が喜悦に融ける。気の狂った喘ぎが部屋の外にまで響いていた。古い木戸から抜けた木目の穴から、兄の両脚が空に吊られては垂れてを繰り返すのがはっきり見えた。筋肉のいささか落ちた足が荒くれ者の腰に、腹にと抱きつくように絡んで、そして放埒を受け止め終えれば切なく震える。長い時間が、覗き見る「彼」の鼓膜を容赦なく責めたてる。
……どれほど時が経ったのかわからない。ふいに嬌声が聞こえなくなった。
はっとして覗き込めば、ぐったり動かなくなった兄の腰を掴み、男がぐ、ぐ、と幾度か腰を押し付けていた。しつこい種付けを終え、尚も兄の足を持ち上げようとしたのを見て、反射的に戸を開けてしまう。
セックスを終えたばかりの青臭い空気が漂う部屋に、ぎいいと乾いた音が響く。
「……よぉ。うまかったぜえ、お前の兄貴」
眠りに落ちた兄の身体を、悪どい顔の大鬼が撫でた。脂下がった顔の大男は見せつけるかのように兄の膨れた胎を舐める。
蒼白な顔で立ち竦んだ。何ができるわけではない。かつて自らが追い出した人だ。意識を失ったその身体を這う不埒な手を、切り落とすだけの力が欲しい。
———ブルーの義弟である青井喜一は、兄の仇を睨みつけ、ただ「糞野郎」と毒づいた。
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