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ブルー編

英雄陥落

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 背中に回された太い腕が揺れて擦れる度に燻った快楽に泣かされてしまう。霞んだ視界をぼんやりと眺める。暗い部屋だ。涙が滲んでよく見えないが、降ろされたシーツは床と違って柔らかかった。

 「んぁ……っ♡!」

 「ったくイイ声出しやがって、そんなにコレが欲しいのか?」

 仰向けにされ、口元に寄せられたものには覚えがあった。協会斡旋の枕仕事で何度も似たようなことを強いられてきた青井は頭を持ち上げ……薄くもやのかかる意識の中、男の肉棒に舌を這わせ、違和感に顔を強ばらせる。

 でかい。でかすぎる。加えて凶悪にも鱗のようなかえしがついていた。こんなもので腹の内側を削られてはひとたまりも無い、反射的に後じさろうとした青井の頭をバルドが押さえ込んだ。咥えきれない怪人ペニスが喉奥を穿つ。

 「ん……ぼぉっ♡おぐ、いっ……いひゃら♡ぁあぐ、ぅうっ♡!?」

 「腐れヒーローの喉マンは慣れてやがんなあ!おら、きっちり咥えろや!」

 「んぐ、ぉ、ぇええっ!♡やぁあっ!ぅ、おっむ、あぷ♡ふ、ふー……ッ!!」

 上目遣いで必死に許しを乞う姿にどこか苛立っている大鬼は、数度後頭部を掴んで我が物のようにしゃぶらせた後、その喉奥へたっぷりと濃い精子を叩きつけた。

 「ぐ、……!」

 「っ……!ぷぁ……~~~♡んぐ、こきゅ♡へ、へぇ……?」

 無意識下の行為ではあったが、青井は自然、淫魔のように含まされた精液を飲み下した。下腹部の種子が熱く呼応してじんわりと熱を持つ。
 掻き毟るほどの飢餓感が少し解消され、青井はようやく荒い息を吐き出すことができた。口の中が青臭くて仕方無いというのに、この酷い味をもっと味わっていたいような酩酊感があった。
 「…………」

 「……ぁ、あ………っ」

 仇である青井に覆い被さり、発情した雄の据わった瞳で見つめるのはバルドだ。敵対すべき悪の幹部である。しかし青井の体に既に力は入らず、暗闇にぎらつく瞳を見上げて震えることしかできない。裸に剝かれた青年に鍛え上げられた巨漢がのしかかっていく。ごつごつした人外の手が、寝台に青年の肩を縫い付けた。発情した腹を押さえて青井が泣く。舌が乾いて頭がぼうっとする。とろとろと壊れた蛇口のように射精する陰茎を押さえ、強制的な発情状態に苦しむ青年がぐったりと伏せる。
 「抱かせろ。お前はもう俺様のもんだ」

 「……や、…おれ、は………こんなぁ……っ!!♡」

 「…………」

 「……ぁぎぃっ!!いだ、いだぃい!でかっ……!!ゃめ、やだああ!」

 先を挿入するだけで人間のそれとは比較にならない。今まで後孔を弄んできた男たちとはそもそも種族が違う。冗談でなしに裂けると体が悲鳴をあげている。みぢみぢとスライムによって弛緩させられた腸壁を押し拓き、肉杭が穿たれる。バルドは時間をかけて後背位で侵入を図ってきた。

 「ひんん……っぐぃ………っ!!」

 「息をしろ……。そうだ、ゆっくり吸って吐け。いいぞ…」

 「はーっ……、はぁーっ……!」

 強烈な痛みを引きずりながら、一方で腹筋下の種子は歓喜している。はやく子種を食わせろと言わんばかりに、内側から快感を滲ませて痛みを快楽へ変換していく。動悸で破裂しそうな心臓の音がうるさい。青井は持ち上げられた腰に侵入する異物に耐え続けた。

 覆い被さる怪人の荒い息が耳元にかかる。バルドはベッドに両腕をつき、囲い込んだ青井をじわじわと征服していった。ましに呼吸ができるようになった青年をゆっくりと自分のもので満たしていく。

 (こんなとこまで…)

 腹の外から見ても、怪人の巨根は規格外だ。形状もおかしければ質量もおかしい。おまけにやたらと熱い。腹の内から焦がされているかのようだ。


 腹の中腹まで収めたとき、青井は半分白目を剝いてベッドに倒れ込んだ。こんな酷い行為に及んだのは初めてだ。そして挿入だけで終わるはずもなく、呼吸が整った端から本番が始まる。
 バルドは熱っぽく息を吐くと、ヒトの薄い腹を破かぬよう慎重に抽挿を開始した。

 今度こそ薄れゆく意識の中で、下腹部のおねだりに負けて青井は喘ぎ始めた。

 「はあく、はやくおわって……だひて、おわらへ、て……♡」

 「ああ、なるべく優しくしてやるよ。初めてはキツいだろうしな」

 「ひがっ……っン、………クぅ……♡」

 大人しくシーツにしがみつくしかない青井は、くちゅりと濡れぞぼる後孔の変化に気がついた。理由もなく、唐突に、ただ本能的に感覚の変異が腹に仕込まれた種子の仕業だと直感した。背筋を悪い感覚が駆け上る。整った顔だちが力無く蕩けた。揺さぶられる度に薄い精子を吐くペニスも、己が体全体をただ快楽を受け止める器官にされてしまったのだと悟らせた。

 「……ぁっ♡………はぁっ♡♡♡ふーっ♡ふぅ……♡!!」

 ずっず♡……ぢゅく♡、ぢゅっ♡

 乱暴が服を着て歩いている印象があったバルドにしては不自然なほど用心深く、長い時間浅めのピストン運動が繰り返される。心地いい。涎をシーツに垂らしながら、狂わされた思考で青年は喘ぎを噛み殺す。凶悪な巨根のかえしが腸壁を引っ掻く度に、青井はゆるく吐精して悶えた。しかし、幾度となく精を吐き出しても、腹の疼きが消え去らない。

 もっと深くほしい。じくじく疼く腹を、手荒く最奥まで突いて欲しい———。

 「……っと………♡」

 「……あ?何だって?……はっきり言え」

 気づけば青井は背を捩ってバルドを見上げ、欲情のままにこう口走っていた。

 「おねが、もっと……おくまで、ぇ……♡♡♡」

 「……く。くく、ははは!!そうか、いいのか?しっかり根がついたみてえだな!!いくぞぉ!」

 バルドは獣欲に満ちた双眸をぎらつかせ、勢い良く腰を振り始めた。あれだけ痛くて仕方無かった腸壁が、準備が整ったことを示すように柔軟にペニスを受け入れ、恥知らずにしごき始める。

 「ぁああああ♡♡♡ひい♡♡ぁ、おッぁあ♡♡♡」

 いきなり派手に抽挿を繰り返され、それでも青井は背を丸めてよがり狂った。抱き込まれる姿勢で激しく求められることが気持ちいい。脳が焼き切れそうな快楽を注ぎ込まれて、互いの関係も忘れて人外の逞しい腕に擦り寄ってしまう。

 「ぐっ………!はァ、いいぞ……っ」

 「ぁあ…~~~、ぅ……ンっ♡んひぃ…っ♡♡♡!!」

 腹からの指令に後腔が恭順し、バルドの精を搾り取った。男は満足そうに幾度も腰を振り、青井の雄膣奥に濁流を叩きつける。一気に力が抜けた青年からペニスを引き抜き、バルドはもう一度その体を裏返した。

 「………?……」

 絶頂の余韻で焦点の定まらない青年の手を取り、その下腹部へと導く。そこには赤黒く蔦を這わせる、子宮型の紋様が浮き出ていた。

 「はぁっ……♡あ、あつ………♡♡♡」

 「これでお前はサキュバスと同じだ。男の精を食わねえと死んじまうってこった。……ほんと楽しませてくれるぜヒーローさんよう」

 「ぅあっ♡あ……っ♡」

 バルドは拡張されてしまった青井の後孔に、正常位の姿勢で肉棒を突き込んだ。ぬかるむそこはバルドの大きさに合わせて吸い付くように馴染んでいく。すっかり肉の快楽に毒された青年が抉り込むたび喘ぎをあげた。
 「もう痛くねえだろ?」

 疲弊しきった青井の前髪をかき分けてやれば、涙に赤くなった瞳が覗く。不安定な意識につけ込んで、安心させるように頬を撫でて甘ったるいキスを施した。力を抜いてもたれてくる姿に征服欲と支配欲が満たされていく。
 思惑通りにことが進んだ大鬼が嗤う。
 「あと何度か、タマが空になるまで付き合えや。……これから毎日可愛がってやらあな」

 魔王軍幹部の怪人、オーガ族頭領たるバルドの寝室からは、それから三日三晩、墜ちたヒーローの嬌声が絶えることはなかった。
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