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宇宙でふたり
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その後キリル所有の無人惑星は栄えた。光太郎は進化のできない晩年の地球に人間を増やし続け、大都市一個分まで人口を増やしたところで新しい住民を望まなくなった。復活させた人間の知り合いがあらかた寿命を迎えたことが大きな要因らしい。あれから100年、少しも老いることない健康な青年に、しかし拠り所はなくなってしまったようだ。
「トウキョウに行かなくていいのかい」
「俺がいなくても住民たちは管理されていますので、あなたの仕事を手伝います。一応食わせてもらっている身ですから」
キリルもまた、その孤独につけ込んだ。光太郎を側に置いてから、宇宙在来生物研究員としてのペーパーワークをこなす時間が増えた。彼が増やしてくれた同族のおかげで論文制作も倍のペースで進んでいる。何十体と増えたキリルのクローンは家事労働他何にでも実に都合よく稼働していた。
目の前で光太郎が複数の惑星から送られてきた研究報告書をてきぱき分類している。負けず劣らずこれもよく働くもので、ニンゲンの頭脳労働も馬鹿にはできないと思えてくる。
「久しぶりにしようか」
「……もう蟲下しはしたでしょう。お、俺も、もう歳ですし……」
「そうか。残念至極」
林檎のように真っ赤になる光太郎は確かに百二十歳、肉体年齢は青年期のままだが、ニンゲンとしては間違いなく老齢だ。肩にかけていた触手を降ろして、淹れてもらったヴァーヒーのマグを掴む。
「…………っ」
「む。美味い。腕が上がったね、……?コウタロウ?脈拍が乱れているが大丈夫か」
「うるさい!!急に自由意志を尊重するふりをしないで下さい!!人間は宇宙人みたいに野蛮じゃないんですよ!も、もっと、段階があるんです」
「段階。交尾への発情プロセスのことか」
「そういう即物的な感じじゃなくてぇ……!!ふ、雰囲気とか……」
光太郎が2本しかない腕で空をかくが、そのジェスチャーで伝わるものはなさそうだ。キリルは三角頭をうねらせて思考する。なぜ急に興奮し出したのだろう。
「そうか、君本当は交尾したかったのか」
「はぁ!?」
「違うのかい。一度拒否するように見せかけて更なる求愛行動を欲していたのでは?私のアプローチが生温かったな、すまない」
「違うっ!もういい、あなたに期待した俺が馬鹿でした!!」
「待て待て」
「離せぇ!!」
書斎を出ていこうとする彼を触手で絡め取って引き寄せる。憤慨している光太郎の抵抗は抱き込まれた段階で大人しくなり、キリルはますます確信を強めた。おそらく交尾自体は拒まれていない。その上で、何かの「期待」を受けているのだ。
「必ず君を満足させてみせる。大丈夫だ、脳機能を壊さない限界値を見極めて行うから安心してくれ」
ちがうぅ……と地を這うような声で光太郎が鳴く。異星間コミュニケーションの難しさを実感しながら、キリルはお気に入りのニンゲンを抱えて書斎を出て行った。
「トウキョウに行かなくていいのかい」
「俺がいなくても住民たちは管理されていますので、あなたの仕事を手伝います。一応食わせてもらっている身ですから」
キリルもまた、その孤独につけ込んだ。光太郎を側に置いてから、宇宙在来生物研究員としてのペーパーワークをこなす時間が増えた。彼が増やしてくれた同族のおかげで論文制作も倍のペースで進んでいる。何十体と増えたキリルのクローンは家事労働他何にでも実に都合よく稼働していた。
目の前で光太郎が複数の惑星から送られてきた研究報告書をてきぱき分類している。負けず劣らずこれもよく働くもので、ニンゲンの頭脳労働も馬鹿にはできないと思えてくる。
「久しぶりにしようか」
「……もう蟲下しはしたでしょう。お、俺も、もう歳ですし……」
「そうか。残念至極」
林檎のように真っ赤になる光太郎は確かに百二十歳、肉体年齢は青年期のままだが、ニンゲンとしては間違いなく老齢だ。肩にかけていた触手を降ろして、淹れてもらったヴァーヒーのマグを掴む。
「…………っ」
「む。美味い。腕が上がったね、……?コウタロウ?脈拍が乱れているが大丈夫か」
「うるさい!!急に自由意志を尊重するふりをしないで下さい!!人間は宇宙人みたいに野蛮じゃないんですよ!も、もっと、段階があるんです」
「段階。交尾への発情プロセスのことか」
「そういう即物的な感じじゃなくてぇ……!!ふ、雰囲気とか……」
光太郎が2本しかない腕で空をかくが、そのジェスチャーで伝わるものはなさそうだ。キリルは三角頭をうねらせて思考する。なぜ急に興奮し出したのだろう。
「そうか、君本当は交尾したかったのか」
「はぁ!?」
「違うのかい。一度拒否するように見せかけて更なる求愛行動を欲していたのでは?私のアプローチが生温かったな、すまない」
「違うっ!もういい、あなたに期待した俺が馬鹿でした!!」
「待て待て」
「離せぇ!!」
書斎を出ていこうとする彼を触手で絡め取って引き寄せる。憤慨している光太郎の抵抗は抱き込まれた段階で大人しくなり、キリルはますます確信を強めた。おそらく交尾自体は拒まれていない。その上で、何かの「期待」を受けているのだ。
「必ず君を満足させてみせる。大丈夫だ、脳機能を壊さない限界値を見極めて行うから安心してくれ」
ちがうぅ……と地を這うような声で光太郎が鳴く。異星間コミュニケーションの難しさを実感しながら、キリルはお気に入りのニンゲンを抱えて書斎を出て行った。
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