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第四章
クゼナ2
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警備というものの良さを考えるとそれぞれ一長一短な対応であるが気分の良さは比べるまでもない。
「お嬢様、いえ、もうご領主様ですね。ご立派になられて……」
「やめてよー。前にあったのだってそんなに前じゃないからそんなに変わってないよ」
ラストは照れ臭そうにメイドの言葉に笑う。
非常に柔らかい表情をしていて使用人も顔見知りで信頼していることが分かる。
中の勝手も知っているようで案内されることもなく何人かの使用人に声をかけながら屋敷の中を進んでいく。
「クゼナ、いる?」
開いているドアの横を軽くノックしながらラストが中を覗き込む。
「いるよ、どーぞ」
「入るねー」
パッとラストの顔が明るくなり、中に入っていく。
部屋の中には大きなベッドが置いてあり、そこに1人の女性がいた。
クゼナよりも長い白髪の女性。
優しそうな目を入ってくるラストに向けている。
「あっ、他の方もいらしたのですか……」
年の頃はラストよりもいくつか上ぐらいに見えるクゼナはリュードたちを見るとパッと頬を手で隠した。
入ってすぐのことだったけれどリュードはクゼナの頬の一部が石化してしまっていたのを見てしまった。
クゼナは石化した頬を他の人に見られたくなくて手で隠したのだ。
ずっと頬に手を当てたままである体勢は不自然であるが誰もそれに触れることはない。
「シューナリュードです」
「ルフォンです。よろしくお願いします」
ルフォンも空気を読めない子ではないのでリュードに続いてさらりと自己紹介する。
「私はサキュルクゼナです。ラストの友達ならどうぞクゼナとお呼びください」
「分かりました。では俺のこともリュードと呼んでください」
「ありがとうございます」
会話しながらクゼナの様子を窺うけれど今のところ頬以外に石化しているところは見えない。
元気そうにも見えているが、生来色白でリュードたちには分かりにくいがやや顔色はよくなかった。
「じい」
「はい、領主様」
ヴィッツが部屋の外に出てドアを閉める。
誰かが入ってこないように、誰かが盗み聞きしない限り
か見張る。
「どうしたの、ラスト?」
「あのね、話があるの」
ラストは部屋に来るとニコニコとしてこんなことがあった、あんなことがあったとお話ししてくれる。
いつもはそんななのに今日はやたらと真剣な目で見つめてくるからクゼナもドキドキとしてしまう。
ラストはゆっくりと何があったのかをクゼナに話した。
クゼナはラストが命を狙われた話を聞いてひどく憤っていた。
そして石化病の治療薬の話を聞いて目を丸くした。
とっくに諦めていた治療薬のことを聞いてクゼナの瞳が大きく揺れた。
そのためにクゼナを別の場所にこっそりと移したいことなどの今後の計画についても話した。
「どう、クゼナ?」
すごいでしょとラストがクゼナに笑顔を向ける。
対してクゼナの表情は暗い。
「うん、すごいよ。でも……ごめんね」
「え……どうして?」
「それはね……」
唇を噛んで悔しそうな表情を浮かべるクゼナは自分にかかっていた布団をめくった。
履いていたズボンの裾を捲って理由を示した。
「ウソ……!」
クゼナの左足を見てラストが驚愕して手で口を覆う。
足首から上が灰色の石になってしまっている。
軽く捲っただけなのでどこまで石化しているのかは分からないけれど、膝も曲げないところを見るともしかしたら足首だけでは済まない可能性がある。
思いもよらないほど病気の進行が進んでいる。
それもよりによって足。
移動の困難さに加えて手足は細くて無理をすると石化したところが破損してしまいやすい。
「もう、歩くことも難しいんだ。無理をすると足が折れて取れちゃうから」
あまり見せたくなかった石化した足にクゼナは悲しげに視線を落とした。
心配もかけたくないし醜くて嫌だった。
「痛く……ないの?」
「うん、最初は痛かったりしたけど今もう痛みとか何も感じないよ」
「…………大丈夫、大丈夫だから! 私が治すから。治せるから!」
悲しそうな顔をするクゼナの手をラストが強く握る。
まだ手遅れではない。
体の一部に病気が進行しているだけならまだ治すことはできる。
衝撃と不安でラストの手は震えているけれどまだ目は諦めていない。
「ただ考えていた作戦は変更だな」
治療薬を作り、クゼナを連れ出してから治療するつもりだった。
それからモノランをプジャンの元に向かわせることを予定していたのだけれどクゼナを逃すことが難しくなった。
むしろ早く治療を始めなきゃいけなくすらなった。
「リュード、すぐにダンジョンの方に行こう。早く治療薬を作らなきゃ……」
「待て、声が大きい。誰か聞いてたらどうする」
「うっ……」
「薬を作っても問題はある。冷静になって考えろ」
「うぅ……」
ラストはリュードに怒られてしょぼんとなる。
まだラストも若いのですぐに行動にしてしまいがちだ。
何かするにもまず一度立ち止まることも必要である。
「進行を抑える薬を貰っていると聞いていたけどどうして?」
もし薬で進行を抑えきれなくなっているのなら危険な状態と言える。
そうならこっそりとよりもリスクは承知で素早く動く必要がある。
「……ちょっと逆らっちゃって、一時薬の量を減らされたんだ」
現在クゼナの屋敷にいる使用人は昔からクゼナの周辺にいる人だけを選んで少数だけ周りに置いている。
プジャンは監視の強化のためにもっと使用人を雇い入れるようにクゼナに言い続けていて、隙あれば誰かをねじ込もうとしている。
少し前にプジャンが薬を渡すついでにクゼナの様子を確認しにきた。
普段は人を使わせて薬を持って行かせるのだけど何の気まぐれだったのかいきなりプジャンが来たのだ。
細心の注意を払ってプジャンを迎えたのだけれど、あるメイドが些細なミスを犯してしまった。
めざとくミスを見つけたプジャンは激しくメイドを叱責してクビにするようにクゼナに詰め寄った。
けれどクゼナはクビにするようなミスではないと拒絶した。
当然の話だったのだがプジャンはそれでも引くことがなく、責任は誰かが取らなきゃいけない。
最終的にプジャンは逆らったクゼナに渡す薬の量を減らして帰っていった。
足りない薬をどうにかやりくりしていたけれどやはり足りないものは足りない。
石化病の進行は進んでしまい、足が大きく石化してしまったということだった
「アイツ……」
ラストが怒りの表情を浮かべる。
「お嬢様、いえ、もうご領主様ですね。ご立派になられて……」
「やめてよー。前にあったのだってそんなに前じゃないからそんなに変わってないよ」
ラストは照れ臭そうにメイドの言葉に笑う。
非常に柔らかい表情をしていて使用人も顔見知りで信頼していることが分かる。
中の勝手も知っているようで案内されることもなく何人かの使用人に声をかけながら屋敷の中を進んでいく。
「クゼナ、いる?」
開いているドアの横を軽くノックしながらラストが中を覗き込む。
「いるよ、どーぞ」
「入るねー」
パッとラストの顔が明るくなり、中に入っていく。
部屋の中には大きなベッドが置いてあり、そこに1人の女性がいた。
クゼナよりも長い白髪の女性。
優しそうな目を入ってくるラストに向けている。
「あっ、他の方もいらしたのですか……」
年の頃はラストよりもいくつか上ぐらいに見えるクゼナはリュードたちを見るとパッと頬を手で隠した。
入ってすぐのことだったけれどリュードはクゼナの頬の一部が石化してしまっていたのを見てしまった。
クゼナは石化した頬を他の人に見られたくなくて手で隠したのだ。
ずっと頬に手を当てたままである体勢は不自然であるが誰もそれに触れることはない。
「シューナリュードです」
「ルフォンです。よろしくお願いします」
ルフォンも空気を読めない子ではないのでリュードに続いてさらりと自己紹介する。
「私はサキュルクゼナです。ラストの友達ならどうぞクゼナとお呼びください」
「分かりました。では俺のこともリュードと呼んでください」
「ありがとうございます」
会話しながらクゼナの様子を窺うけれど今のところ頬以外に石化しているところは見えない。
元気そうにも見えているが、生来色白でリュードたちには分かりにくいがやや顔色はよくなかった。
「じい」
「はい、領主様」
ヴィッツが部屋の外に出てドアを閉める。
誰かが入ってこないように、誰かが盗み聞きしない限り
か見張る。
「どうしたの、ラスト?」
「あのね、話があるの」
ラストは部屋に来るとニコニコとしてこんなことがあった、あんなことがあったとお話ししてくれる。
いつもはそんななのに今日はやたらと真剣な目で見つめてくるからクゼナもドキドキとしてしまう。
ラストはゆっくりと何があったのかをクゼナに話した。
クゼナはラストが命を狙われた話を聞いてひどく憤っていた。
そして石化病の治療薬の話を聞いて目を丸くした。
とっくに諦めていた治療薬のことを聞いてクゼナの瞳が大きく揺れた。
そのためにクゼナを別の場所にこっそりと移したいことなどの今後の計画についても話した。
「どう、クゼナ?」
すごいでしょとラストがクゼナに笑顔を向ける。
対してクゼナの表情は暗い。
「うん、すごいよ。でも……ごめんね」
「え……どうして?」
「それはね……」
唇を噛んで悔しそうな表情を浮かべるクゼナは自分にかかっていた布団をめくった。
履いていたズボンの裾を捲って理由を示した。
「ウソ……!」
クゼナの左足を見てラストが驚愕して手で口を覆う。
足首から上が灰色の石になってしまっている。
軽く捲っただけなのでどこまで石化しているのかは分からないけれど、膝も曲げないところを見るともしかしたら足首だけでは済まない可能性がある。
思いもよらないほど病気の進行が進んでいる。
それもよりによって足。
移動の困難さに加えて手足は細くて無理をすると石化したところが破損してしまいやすい。
「もう、歩くことも難しいんだ。無理をすると足が折れて取れちゃうから」
あまり見せたくなかった石化した足にクゼナは悲しげに視線を落とした。
心配もかけたくないし醜くて嫌だった。
「痛く……ないの?」
「うん、最初は痛かったりしたけど今もう痛みとか何も感じないよ」
「…………大丈夫、大丈夫だから! 私が治すから。治せるから!」
悲しそうな顔をするクゼナの手をラストが強く握る。
まだ手遅れではない。
体の一部に病気が進行しているだけならまだ治すことはできる。
衝撃と不安でラストの手は震えているけれどまだ目は諦めていない。
「ただ考えていた作戦は変更だな」
治療薬を作り、クゼナを連れ出してから治療するつもりだった。
それからモノランをプジャンの元に向かわせることを予定していたのだけれどクゼナを逃すことが難しくなった。
むしろ早く治療を始めなきゃいけなくすらなった。
「リュード、すぐにダンジョンの方に行こう。早く治療薬を作らなきゃ……」
「待て、声が大きい。誰か聞いてたらどうする」
「うっ……」
「薬を作っても問題はある。冷静になって考えろ」
「うぅ……」
ラストはリュードに怒られてしょぼんとなる。
まだラストも若いのですぐに行動にしてしまいがちだ。
何かするにもまず一度立ち止まることも必要である。
「進行を抑える薬を貰っていると聞いていたけどどうして?」
もし薬で進行を抑えきれなくなっているのなら危険な状態と言える。
そうならこっそりとよりもリスクは承知で素早く動く必要がある。
「……ちょっと逆らっちゃって、一時薬の量を減らされたんだ」
現在クゼナの屋敷にいる使用人は昔からクゼナの周辺にいる人だけを選んで少数だけ周りに置いている。
プジャンは監視の強化のためにもっと使用人を雇い入れるようにクゼナに言い続けていて、隙あれば誰かをねじ込もうとしている。
少し前にプジャンが薬を渡すついでにクゼナの様子を確認しにきた。
普段は人を使わせて薬を持って行かせるのだけど何の気まぐれだったのかいきなりプジャンが来たのだ。
細心の注意を払ってプジャンを迎えたのだけれど、あるメイドが些細なミスを犯してしまった。
めざとくミスを見つけたプジャンは激しくメイドを叱責してクビにするようにクゼナに詰め寄った。
けれどクゼナはクビにするようなミスではないと拒絶した。
当然の話だったのだがプジャンはそれでも引くことがなく、責任は誰かが取らなきゃいけない。
最終的にプジャンは逆らったクゼナに渡す薬の量を減らして帰っていった。
足りない薬をどうにかやりくりしていたけれどやはり足りないものは足りない。
石化病の進行は進んでしまい、足が大きく石化してしまったということだった
「アイツ……」
ラストが怒りの表情を浮かべる。
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