人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

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第三章

熱き砂浜の戦い13

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 さらに驚くことにバーナードはまさかの強化系魔法使いだった。
 サポートもサポートである。

 バーナード、まさしく魅せるための筋肉であった。

「君たちはエリザのフォローを頼む。この女性は俺が連れて行こう」

 エリザが槍を振り回してマーマンの気を引く。
 バーナードは倒れた女性を軽々と持ち上げると一度下がっていった。

 治療を受ければ助かる可能性があるとバーナードも素早く判断してのことである。
 驚きの連続だった、のはリュードだけだったようでルフォンとエミナはすぐにエリザのフォローに回った。

 筋肉があれば戦うだろうという安易な結びつきはルフォンたちの方はまだ薄い。

「3人とも下がるんだ!」

 バーナードとエリザの参戦。
 それにバーナードの強烈なインパクトに気が逸れてしまっていた。

 思い出したように魔力を高めたリュードは前に出ている3人に下がるように指示を出す。
 ルフォンとエリザそれに反応して下がり、エミナが魔法でマーマンたちを牽制する。

「天雷龍撃!」

 リュードオリジナル詠唱。
 魔法に必要なのはイメージだ。

 長い詠唱も実際イメージを固めて魔力を用意するためのものなのでいらない人には要らなかったりする。
 本来は『煌めく天に輝く……』みたいな長々とした詠唱なのだが面倒なので短く簡潔に。

 漢字なんて知らない周りから見ると知らない言葉で魔法を詠唱しているように見える。
 魔法で大事なのは魔力とイメージなので本人がイメージできるなら要はなんでもいいのだ。

 空中に電気がほとばしり、長い龍の形を作る。
 加護のおかげでコントロールがかなりしやすい。

「いけー!」

 口を開けた雷の龍がマーマンの群れの真ん中を目掛けて飛んでいく。

「これはすごい……」

 エリザの口から感嘆の声が漏れる。
 マーマンの真ん中に放たれたリュードの魔法は轟音と強い光を放った。

 電撃が広がりマーマンたちを焼き尽くし、雷がマーマンからマーマンへと広がる。
 電撃の中心地は黒く焼け焦げ、マーマンたちも未だにビリビリと音を立てながら口から煙を吐いている。
 
 中心地はおろか多少離れていても伝播した電撃によってマーマンたちは半分ほど倒されてしまった。

「今のうちにマーマンを押し返すぞ!」

 ものすごい威力の魔法にマーマンは怖気付いている。
 今のうちにとリュードが先に駆けてマーマンを切り付ける。

 あれだけの魔法を使ったのに疲れるどころか剣を持って接近戦闘までこなしている。
 意気揚々と助けに来たつもりがいらぬ心配だったかもしれないなんてエリザは思った。

「さ、さっきの音はなんだ!」

 そのタイミングでバーナードが人を引き連れて戻ってきた。
 焼けた砂浜に目を丸くしたが状況が、状況なので疑問は頭の隅に追いやってリュードたちに参戦する。

 バーナードが引き連れてきたのは町の警備兵や冒険者たち。
 数が多くて厄介なだけだったマーマンは数の優位性を失ってあっという間に討伐されてしまった。

 ーーーーー

「さあ、気を取り直して表彰式と参りましょう!」

 マーマンの襲撃事件にもひと段落がついて空が赤く染まっている。
 マーマン襲撃の原因が分からなかったので今後調査することが決定し、砂浜は閉鎖されることになった。

 しかし今日はもう魔物も来ないだろうとスナハマバトルの表彰式はそのまま執り行われることになった。

「優勝は魔物の襲撃にも立ち向かい、皆様のことを守ってくださいました、若き勇気のあるペアのシューナリュードとルフォンでーす!」

 襲撃事件のために観客の数は減ったがリュードとルフォン勇気ある行動を讃えて称賛の声はより強く2人に浴びせられた。

「優勝の賞品は1年分の香辛料なのですが、今回2人の勇気ある行動によって怪我人も少なく済みました。なのでお2人にはなんとギダンダ商会よりお好きな魔道具がプレゼントされることになりましたー!なんと太っ腹なことでしょう。ギダンダ商会をよろしくお願いします!」

「良いものを見せてもらったし、2人の活躍にはちゃんと報いないとね。商人は返せる恩はすぐに返すものさ」

「そしてさらにぃ~今年のヴィーナスにも沢山のご投票いただきましたぁ!」

「そういえばそんなん言ってたな」

 確か早食い対決の時にそんなことを言っていた気がする。
 結局ヴィーナスがなんなのか聞かないままになっていた。

「こちらはスナハマバトルの参加者の中から1人選んでいただきまして票を投じてもらい、今年のヴィーナスを選ぶという企画でございます。こちらの方も集計が終わりまして、今年のヴィーナスが決まりました」

 そんなことまでしていたのかと驚く。
 大会に出るに当たってどこかで説明されたのかもしれないが、興味ないから知らなかった。

「今年のヴィーナスは…………ルフォン、あなただ!」

「えっ、私?」

 確かにルフォンはヴィーナス候補なんてことも言われていた。
 いきなり名前を呼ばれて驚くルフォン。

「ヴィーナスに見事選ばれましたルフォンにはこの町で作られました装飾品一式をプレゼントしまーす!」

 その装飾品の一つが運ばれてきた。
 金の台座に大きな黒い真珠があしらわれたネックレス。

 それを女性の係員の人はリュードの方に差し出した。
 ルフォンに付けてやれ、と言うのだ。

 決して華美ではないが美しいネックレス。
 チェーンを外してルフォンの後ろから手を回して首につけてやる。

 何回も失敗すると格好がつかないと思っていたがうまく1回でネックレスを付けることができた。

「似合う?」

「ああ、綺麗だよ」

「これにて第7回スナハマバトルの閉会となります。第7回チャンピオンに大きな拍手を!」

 多少の問題はあったもののスナハマバトルはリュードたちの優勝で幕を閉じることになった。
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