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第三章
熱き砂浜の戦い12
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マーマンは武装しているものもいて、錆び付いた槍や剣を持っている個体もいた。
水中で製鉄技術なんてあるわけないので冒険者から奪ったものである。
浜辺には逃げ遅れた人なのかマーマンに襲われて倒れている人がいた。
「人の近くにいるマーマンからやるぞ!」
まだ息をしているかは不明だが放ってもおけない。
リュードが近づくとマーマンは錆び付いた粗末な槍をただ突き出すだけの粗末な攻撃を繰り出した。
力任せに槍を弾いてみても抵抗は少ない。
つまりマーマンの力や技術はそんなでもないことがこの短いやり取りでもわかる。
魔物には水陸両用の生態を持つものもいる。
マーマンなんかが良い例なのだが、マーマンは普段の生息域は水中になる。
マーマンはどちらかと言えば水中の魔物で、陸上でも活動出来ると言った方が正しい魔物である。
そして水中がメインの魔物は往々にして陸上に出てきても普段とは違う環境に力を発揮することができないのだ。
マーマンは確実に水寄りの魔物なので地上に出てきても力が出せていない。
「続々と出てきますよ!」
けれども多勢に無勢。
マーマンは海から続々上がってきて、倒すよりも早いスピードで増えている。
リュードたちの状況も悪い。
倒れている人もいるし、格好は水着。
防御力がない上にあんなサビサビな武器で傷をつけられた日には傷よりも後の病気の方が怖い。
「た、助け……」
「その人から離れろ! サンダーアロー!」
まだ息のあった女性が声を出してしまった。
それに気づいたマーマンがトドメを刺そうと剣を振り上げた。
距離があって接近してマーマンを倒すには間に合わない。
リュードは咄嗟にマーマンに向かって魔法を放った。
細長く伸びる雷の矢が一瞬で出来上がり、マーマンの頭に飛んでいって突き刺さる。
バチバチと音を立ててマーマンが感電して軽く肉が焼ける。
ドサリとマーマンが倒れた隙にリュードたちが倒れた女性に近づき守るようにマーマンの前に立ちはだかる。
エミナを結婚式から助け出した一件以来リュードはよく雷属性の魔法を使うようにしていた。
というのも夜寝ていると声が聞こえてきたのだ。
『雷の魔法を使ってくれてありがとう。ド派手で素晴らしい魔法だった。是非とも今後も雷属性の魔法を使ってほしい。代わりと言ってはなんだが私の加護を君に授けよう』
ケーフィスではない。
かなり低い声でリュードには全く聞き覚えがなかった。
会話の内容から推測するに雷の神様からの神託だったのだと思い至った。
加護がどんなものであるのかリュードは知らず体に変化も見られなかった。
試しに雷属性の魔法を使ってみると驚いた。
難しかった雷属性の魔法のコントロールが飛躍的に向上した。
それだけではなく魔力の消費や発動の早さなど雷属性に限って大幅にリュードの能力が上がっていた。
これが加護の力というやつかとすぐに実感できた。
とりあえず空に向かって感謝はしておいた。
ただ神託を受けると寝覚めが非常によろしくないので2度とやらないでほしい。
「喰らえ!」
リュードが電撃を放つとマーマンたちが感電していく。
雷属性の魔法は難易度が高いだけあって使い勝手が良かった。
魔法の速度は早く、相手の属性に左右されずにどんな相手でも効きやすく、今の時代に使い手がいないこともあって対策も取られていない。
せっかく加護も貰ってリュードにとってはかなり扱いやすくなったのでメインで使えるように練習していた。
特に今相手取っているマーマンは水に親和性の高い魔物。
雷属性の魔法が効きやすい相手であった。
「大丈夫ですか!」
リュードとルフォンが戦っている間にエミナが女性の容態を確認する。
まだ意識があり、傷はさほど深くない。
すぐに治療すれば十分に助かる見込みがある。
けれども増え続けるマーマンはリュードたちを囲むように移動を始めているし、他にも倒れている人がいる。
1人だけなら抱えて離脱できないこともないが他の人を見殺しにしてしまうことになる。
力が弱いマーマンの攻撃ならまだ生きている人もいる可能性が高いと考えられた。
「チッ……ルフォン、エミナ、少しだけ時間稼ぎ頼む」
「分かった!」
「はい!」
ルフォンが前に出てマーマンを牽制し、エミナがその間に炎の魔法でマーマンを倒す。
「私たちも戦うわ!」
「待たせたな!」
そこにやってきたのは武器を取りに行っていたバーナードとエリザ。
実は2人も元冒険者であった。
この騒ぎを見て助けに駆けつけてくれた。
「いや、そう戦うんかい!」
堪えきれずに思わず声に出してしまった。
着替える時間もなく武器だけを引っ掴んで来てくれた2人。
エリザは槍を持っていてバーナードは身の丈ほどもある杖を肩に乗せて抱えていた。
勝手な、リュードの勝手なイメージだったのだが、バーナードは前衛職でエリザを守るタンク的な役割を果たしている、そんなイメージを持っていた。
そんな勝手なイメージなどお構いなしにバーナードが後衛職、エリザが前衛職であった。
エリザについては前後どちらでも意外性はないのに杖を持って現れたバーナードは意外すぎる出立ちだった。
何も体格が良い人が前で盾を持てなんて言わないけれど何のための筋肉だったんだと叫びたくなる。
イメージの押し付けに過ぎないがバーナードに後衛職っぽさがないのも悪い。
「行ってこい、エリザ! ふん、身体強化!」
光の球が杖の先に発生してエリザに飛んでいく。
エリザに当たった光の球はエリザの全身を包むと、エリザの能力を強化した。
水中で製鉄技術なんてあるわけないので冒険者から奪ったものである。
浜辺には逃げ遅れた人なのかマーマンに襲われて倒れている人がいた。
「人の近くにいるマーマンからやるぞ!」
まだ息をしているかは不明だが放ってもおけない。
リュードが近づくとマーマンは錆び付いた粗末な槍をただ突き出すだけの粗末な攻撃を繰り出した。
力任せに槍を弾いてみても抵抗は少ない。
つまりマーマンの力や技術はそんなでもないことがこの短いやり取りでもわかる。
魔物には水陸両用の生態を持つものもいる。
マーマンなんかが良い例なのだが、マーマンは普段の生息域は水中になる。
マーマンはどちらかと言えば水中の魔物で、陸上でも活動出来ると言った方が正しい魔物である。
そして水中がメインの魔物は往々にして陸上に出てきても普段とは違う環境に力を発揮することができないのだ。
マーマンは確実に水寄りの魔物なので地上に出てきても力が出せていない。
「続々と出てきますよ!」
けれども多勢に無勢。
マーマンは海から続々上がってきて、倒すよりも早いスピードで増えている。
リュードたちの状況も悪い。
倒れている人もいるし、格好は水着。
防御力がない上にあんなサビサビな武器で傷をつけられた日には傷よりも後の病気の方が怖い。
「た、助け……」
「その人から離れろ! サンダーアロー!」
まだ息のあった女性が声を出してしまった。
それに気づいたマーマンがトドメを刺そうと剣を振り上げた。
距離があって接近してマーマンを倒すには間に合わない。
リュードは咄嗟にマーマンに向かって魔法を放った。
細長く伸びる雷の矢が一瞬で出来上がり、マーマンの頭に飛んでいって突き刺さる。
バチバチと音を立ててマーマンが感電して軽く肉が焼ける。
ドサリとマーマンが倒れた隙にリュードたちが倒れた女性に近づき守るようにマーマンの前に立ちはだかる。
エミナを結婚式から助け出した一件以来リュードはよく雷属性の魔法を使うようにしていた。
というのも夜寝ていると声が聞こえてきたのだ。
『雷の魔法を使ってくれてありがとう。ド派手で素晴らしい魔法だった。是非とも今後も雷属性の魔法を使ってほしい。代わりと言ってはなんだが私の加護を君に授けよう』
ケーフィスではない。
かなり低い声でリュードには全く聞き覚えがなかった。
会話の内容から推測するに雷の神様からの神託だったのだと思い至った。
加護がどんなものであるのかリュードは知らず体に変化も見られなかった。
試しに雷属性の魔法を使ってみると驚いた。
難しかった雷属性の魔法のコントロールが飛躍的に向上した。
それだけではなく魔力の消費や発動の早さなど雷属性に限って大幅にリュードの能力が上がっていた。
これが加護の力というやつかとすぐに実感できた。
とりあえず空に向かって感謝はしておいた。
ただ神託を受けると寝覚めが非常によろしくないので2度とやらないでほしい。
「喰らえ!」
リュードが電撃を放つとマーマンたちが感電していく。
雷属性の魔法は難易度が高いだけあって使い勝手が良かった。
魔法の速度は早く、相手の属性に左右されずにどんな相手でも効きやすく、今の時代に使い手がいないこともあって対策も取られていない。
せっかく加護も貰ってリュードにとってはかなり扱いやすくなったのでメインで使えるように練習していた。
特に今相手取っているマーマンは水に親和性の高い魔物。
雷属性の魔法が効きやすい相手であった。
「大丈夫ですか!」
リュードとルフォンが戦っている間にエミナが女性の容態を確認する。
まだ意識があり、傷はさほど深くない。
すぐに治療すれば十分に助かる見込みがある。
けれども増え続けるマーマンはリュードたちを囲むように移動を始めているし、他にも倒れている人がいる。
1人だけなら抱えて離脱できないこともないが他の人を見殺しにしてしまうことになる。
力が弱いマーマンの攻撃ならまだ生きている人もいる可能性が高いと考えられた。
「チッ……ルフォン、エミナ、少しだけ時間稼ぎ頼む」
「分かった!」
「はい!」
ルフォンが前に出てマーマンを牽制し、エミナがその間に炎の魔法でマーマンを倒す。
「私たちも戦うわ!」
「待たせたな!」
そこにやってきたのは武器を取りに行っていたバーナードとエリザ。
実は2人も元冒険者であった。
この騒ぎを見て助けに駆けつけてくれた。
「いや、そう戦うんかい!」
堪えきれずに思わず声に出してしまった。
着替える時間もなく武器だけを引っ掴んで来てくれた2人。
エリザは槍を持っていてバーナードは身の丈ほどもある杖を肩に乗せて抱えていた。
勝手な、リュードの勝手なイメージだったのだが、バーナードは前衛職でエリザを守るタンク的な役割を果たしている、そんなイメージを持っていた。
そんな勝手なイメージなどお構いなしにバーナードが後衛職、エリザが前衛職であった。
エリザについては前後どちらでも意外性はないのに杖を持って現れたバーナードは意外すぎる出立ちだった。
何も体格が良い人が前で盾を持てなんて言わないけれど何のための筋肉だったんだと叫びたくなる。
イメージの押し付けに過ぎないがバーナードに後衛職っぽさがないのも悪い。
「行ってこい、エリザ! ふん、身体強化!」
光の球が杖の先に発生してエリザに飛んでいく。
エリザに当たった光の球はエリザの全身を包むと、エリザの能力を強化した。
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