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第二章
不倶戴天6
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信号弾で誰かに合図を出していた。
ということはそう遠からず敵の援軍が来るはずだ。
「ダカンもこっちこい!」
馬車の反対側に転がっていったダカンを呼ぶ。
馬車は片方しかドアがないので反対側をわざわざ守る必要はない。
「おい、立てるな? 馬車に乗れ」
怪我したマザキシをルフォンたちと入れ替わりで馬車に押し込む。
「うう……俺も戦う」
「怪我人は邪魔だ! 大人しくしてろ!」
「くっ……」
マザキシを馬車に入れてリュードはすぐさま駆け出す
3射目の矢がリュードに襲いかかる。
正面から来る矢だけを切り落とし、森の中に走る。
「正々堂々戦え!」
次の矢を番えていた男を弓ごと切り捨てる。
同時に飛んできた矢は3本だったのであと2人森の中にいると頭の中で計算する。
矢が飛んできた方向は覚えているので今度はそちらに向かった。
「死ねっ、ガキが!」
けれど相手も馬鹿じゃない。
迫り来る相手にいつまでも弓矢では対抗などできないので次の行動を取っていた。
弓を捨てて剣を抜いた。
リュードが来ることを予想して隠れ、木の影から2人の男が飛び出してきてリュードに切り掛かってきた。
「バレバレなんだよ!」
「な、なんて力……」
しかし人がいるのは分かっているので集中すればすぐに隠れていることを見抜くことができた。
気配を消すのが上手いルフォンの隠れんぼに付き合わされたリュードは人を見つけるのが得意であった。
木の影から飛び出してきたら拳が飛んでくるのだ、回避もできない。
殴られてフラつく男の胸ぐらを掴んで引き寄せる。
「なっ!」
体が軽く浮き上がるほどの力でもう1人の男の前に引っ張られる。
もう1人の男は飛び出してきてもう剣を振り下ろし始めている。
勢いのついた剣はもう止められない。
仲間に背中を切り裂かれ、驚愕の表情を浮かべて男が倒れる。
予想もしていなかった展開に驚いたのは切った方も同じだ。
剣を止めなきゃいけないと思って、すでに振り切った後に動きが止まってしまった。
リュードはその隙になんの苦労もなく胸に剣を突き刺す。
剣を引き抜くと男はゆっくりと先に倒れた男の上に倒れて重なる。
相手を倒す時に剣に迷いはない。
しかし出来れば相手を殺したくはないのに最近そうもできない相手が多い。
「ルフォン、そっちは大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
馬車の方に戻るとルフォンが馬車の反対側から回り込んできた相手を倒していた。
「1番邪魔そうなのはお前だな」
リュードに向けて横から2本の槍が突き出される。
「おっと」
上半身を逸らして1本目の槍をかわし、2本目の槍を剣で逸らす。
敵を見ると道を塞いでいた馬車の横にいた2人組が槍を持ってリュードに襲いかかっていた。
2人は交互にリュードを槍で突く。
反撃したくても2人で隙がなく攻撃してくる。
1人に接近しようとすると素早く距離を取り、もう1人が妨害をしてくる。
非常に厄介な連携。
しかし相手も戦いはしてくるが、倒そうという気概は感じない。
むしろ時間を稼ごうとしているように感じられた。
「2人はズルいよ!」
ルフォンが加勢しようとした時、森から何かが馬車の方に投げられた。
「わっぷ!」
とっさに投げられた白いボールのようなそれを切り裂いたルフォン。
切った瞬間に中から白い粉が撒き散らされた。
白い粉は瞬く間に広がって煙のようになってルフォンたちを包む
地面や馬車にも白いボールが飛んできて当たり、真っ白な煙を撒き散らす。
あっという間に馬車周りが真っ白な煙に覆われてしまった。
「ルフォン、エミナ、無事か!」
槍をかわしながらリュードが声をかける。
「大丈夫!」
聞こえる返事はルフォンのものだけ。
「エミナ? エミナ!」
「よそ見している場合か?」
目の前に槍が迫ってギリギリのところで防ぐ。
「くっ、いい加減にしろ!」
剣で叩きつけるように打ち下ろして相手の槍を地面にぶつけさせると真ん中から折れて槍先が森の方に飛んでいく。
「やるな! だが今日のところは勝負はお預けだ」
森から再び信号弾が打ち上がる。
「なんだと?」
「じゃあな」
男たちは懐から煙幕弾を取り出して1つは地面に、もう1つはリュードに投げつける。
反射的に煙幕弾を切り付けて防いでしまい、視界が真っ白になる。
「逃すか!」
リュードは風を読んで男がいると思われる方向にナイフを投げつけた。
なんの反応もなく外したかと思ったが、今はルフォンたちの方が大切だ。
「リューちゃん、エミナちゃんとヤノチちゃんがいない!」
リュードが手で煙を振り払うようにしながら馬車の方に近づくとルフォンが青い顔をしていた。
煙幕弾は何か白い粉を詰めた玉で馬車周りも煙幕弾を切り付けたルフォンも真っ白になっていた。
当然煙幕弾を投げつけられたリュードも真っ白になっていて気分は最悪。
しかし気分が最悪なのはそれだけじゃない。
「くぅ……ごめんなさい」
「ルフォンのせいじゃないさ」
ルフォンは煙の中でも冷静に戦って敵に対処していた。
周りには何人も倒れていてルフォンを煙の中で狙ったことが分かる。
けれどもエミナやダカンには視界の効かない中で戦う技術はなかった。
ダカンは煙の中で殴られて倒れていて、エミナとヤノチは相手に誘拐されてしまった。
馬車の中を見るとマザキシも頭を殴られて動けなかったようで顔にアザが出来ている。
「くそっ……上手いことやられたな」
頭を掻くと粉が舞う。
相手は完璧に準備をしていたようで、対応が後手に回ってしまった。
リュードとルフォン、エミナだけならともかく、ヤノチたちまでいては気を回しきれなかった。
「まずはマザキシとダカンの怪我を確認しよう」
ーーーーー
ということはそう遠からず敵の援軍が来るはずだ。
「ダカンもこっちこい!」
馬車の反対側に転がっていったダカンを呼ぶ。
馬車は片方しかドアがないので反対側をわざわざ守る必要はない。
「おい、立てるな? 馬車に乗れ」
怪我したマザキシをルフォンたちと入れ替わりで馬車に押し込む。
「うう……俺も戦う」
「怪我人は邪魔だ! 大人しくしてろ!」
「くっ……」
マザキシを馬車に入れてリュードはすぐさま駆け出す
3射目の矢がリュードに襲いかかる。
正面から来る矢だけを切り落とし、森の中に走る。
「正々堂々戦え!」
次の矢を番えていた男を弓ごと切り捨てる。
同時に飛んできた矢は3本だったのであと2人森の中にいると頭の中で計算する。
矢が飛んできた方向は覚えているので今度はそちらに向かった。
「死ねっ、ガキが!」
けれど相手も馬鹿じゃない。
迫り来る相手にいつまでも弓矢では対抗などできないので次の行動を取っていた。
弓を捨てて剣を抜いた。
リュードが来ることを予想して隠れ、木の影から2人の男が飛び出してきてリュードに切り掛かってきた。
「バレバレなんだよ!」
「な、なんて力……」
しかし人がいるのは分かっているので集中すればすぐに隠れていることを見抜くことができた。
気配を消すのが上手いルフォンの隠れんぼに付き合わされたリュードは人を見つけるのが得意であった。
木の影から飛び出してきたら拳が飛んでくるのだ、回避もできない。
殴られてフラつく男の胸ぐらを掴んで引き寄せる。
「なっ!」
体が軽く浮き上がるほどの力でもう1人の男の前に引っ張られる。
もう1人の男は飛び出してきてもう剣を振り下ろし始めている。
勢いのついた剣はもう止められない。
仲間に背中を切り裂かれ、驚愕の表情を浮かべて男が倒れる。
予想もしていなかった展開に驚いたのは切った方も同じだ。
剣を止めなきゃいけないと思って、すでに振り切った後に動きが止まってしまった。
リュードはその隙になんの苦労もなく胸に剣を突き刺す。
剣を引き抜くと男はゆっくりと先に倒れた男の上に倒れて重なる。
相手を倒す時に剣に迷いはない。
しかし出来れば相手を殺したくはないのに最近そうもできない相手が多い。
「ルフォン、そっちは大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
馬車の方に戻るとルフォンが馬車の反対側から回り込んできた相手を倒していた。
「1番邪魔そうなのはお前だな」
リュードに向けて横から2本の槍が突き出される。
「おっと」
上半身を逸らして1本目の槍をかわし、2本目の槍を剣で逸らす。
敵を見ると道を塞いでいた馬車の横にいた2人組が槍を持ってリュードに襲いかかっていた。
2人は交互にリュードを槍で突く。
反撃したくても2人で隙がなく攻撃してくる。
1人に接近しようとすると素早く距離を取り、もう1人が妨害をしてくる。
非常に厄介な連携。
しかし相手も戦いはしてくるが、倒そうという気概は感じない。
むしろ時間を稼ごうとしているように感じられた。
「2人はズルいよ!」
ルフォンが加勢しようとした時、森から何かが馬車の方に投げられた。
「わっぷ!」
とっさに投げられた白いボールのようなそれを切り裂いたルフォン。
切った瞬間に中から白い粉が撒き散らされた。
白い粉は瞬く間に広がって煙のようになってルフォンたちを包む
地面や馬車にも白いボールが飛んできて当たり、真っ白な煙を撒き散らす。
あっという間に馬車周りが真っ白な煙に覆われてしまった。
「ルフォン、エミナ、無事か!」
槍をかわしながらリュードが声をかける。
「大丈夫!」
聞こえる返事はルフォンのものだけ。
「エミナ? エミナ!」
「よそ見している場合か?」
目の前に槍が迫ってギリギリのところで防ぐ。
「くっ、いい加減にしろ!」
剣で叩きつけるように打ち下ろして相手の槍を地面にぶつけさせると真ん中から折れて槍先が森の方に飛んでいく。
「やるな! だが今日のところは勝負はお預けだ」
森から再び信号弾が打ち上がる。
「なんだと?」
「じゃあな」
男たちは懐から煙幕弾を取り出して1つは地面に、もう1つはリュードに投げつける。
反射的に煙幕弾を切り付けて防いでしまい、視界が真っ白になる。
「逃すか!」
リュードは風を読んで男がいると思われる方向にナイフを投げつけた。
なんの反応もなく外したかと思ったが、今はルフォンたちの方が大切だ。
「リューちゃん、エミナちゃんとヤノチちゃんがいない!」
リュードが手で煙を振り払うようにしながら馬車の方に近づくとルフォンが青い顔をしていた。
煙幕弾は何か白い粉を詰めた玉で馬車周りも煙幕弾を切り付けたルフォンも真っ白になっていた。
当然煙幕弾を投げつけられたリュードも真っ白になっていて気分は最悪。
しかし気分が最悪なのはそれだけじゃない。
「くぅ……ごめんなさい」
「ルフォンのせいじゃないさ」
ルフォンは煙の中でも冷静に戦って敵に対処していた。
周りには何人も倒れていてルフォンを煙の中で狙ったことが分かる。
けれどもエミナやダカンには視界の効かない中で戦う技術はなかった。
ダカンは煙の中で殴られて倒れていて、エミナとヤノチは相手に誘拐されてしまった。
馬車の中を見るとマザキシも頭を殴られて動けなかったようで顔にアザが出来ている。
「くそっ……上手いことやられたな」
頭を掻くと粉が舞う。
相手は完璧に準備をしていたようで、対応が後手に回ってしまった。
リュードとルフォン、エミナだけならともかく、ヤノチたちまでいては気を回しきれなかった。
「まずはマザキシとダカンの怪我を確認しよう」
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