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第二章
飯にも潤いを2
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「ようこそ、冒険者ギルドへ。今日はなんの御用ですか?」
「大規模討伐の依頼があると聞いてきました」
「はい、現在グレートボアとその支配下にあるボーノボアの大規模討伐の依頼がございます。まだ参加受け付けておりますがお受けになられますか?」
「はい、参加しようと思います」
「分かりました。討伐の開始は2日後の朝になります。大規模討伐ですので他の冒険者との共闘依頼になりますが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です」
「それでは冒険者証の提示をお願いします」
3人が冒険者証を出して受付が名前とランクを確認して記入する。
「アイアン+ランクのシューナリュード様、ルフォン様、エミナ様ですね。これでご依頼の申込は完了となります。今一度確認となりますが討伐は2日後の朝になりますのでよろしくお願いします。他に何かご依頼は受けていかれますか?」
「いえ、今はいいです。それよりも地図を見せてほしいのですが」
もちろんこれから先の旅のことも忘れていない。
ルーロニアのギルドで売っていた地図はイマリカラツトからちょっと西側の国に入ったところぐらいまでの地図だった。
なのでここでちゃんと西側の国の道が確認できる地図を買っておく必要がある。
お金はかかるけどついでにイマリカラツト周辺の小国群の地図も買っておく。
大規模討伐に2日もあるということでこの間に旅を続ける準備をしようと思った。
それだけあればまた地図とにらめっこするには十分な時間もある。
ついでにまずは旅の消耗品なりの補給をしようと冒険者ギルドを出てお店に向かった。
改めてグレートボアのことを聞いてから町の人を見るとどことなく不安げに見えるから不思議なものだ。
「うーん……これはちょっと」
「いや、悪いね。品物がくる北と東の街道を魔物に占拠されちゃってね。私たちとしてもお安く良いものを売りたいんだけど品物が入ってこないんじゃどうしようもない」
買い物にお店に入ってみると意外なところに影響があった。
お店に置いてある品物がことごとく高い。
しかも品質も良くないのである。
件のグレートボアのせいで物流が滞り、商品が入ってこないので値段がどこも高騰していたのである。
「あれじゃちょっとな」
良いものはもうすでに買われてしまっていて無い。
妥協して残っているものを買おうにも値段と釣り合わないのだ。
急ぐ旅でもないので品質の良くないものを高値で買う必要はないと店を出た。
謝り通しの店員が不憫でならなかった。
グレートボアの討伐を終えれば物流が回復してすぐにでも適正な値段に戻るだろうから買い物はそれからでも遅くはない。
念のためといくつか店を回ってみたけれどどこの店も同じような状況で結局消耗品の補充は諦めることとなった。
これでグレートボアをやる理由が1つ増えたとリュードは思った。
そして宿に戻って地図を見ていると、さらにもう1つグレートボアをやるべき理由が増えた。
自由な旅なのでどう行こうと自由である。
しかしなんでもいいわけではなく、効率的なルートというものがある。
リュードたちとしては西側に向かいたい。
けれどイマリカラツトから出て西に向かおうと思ってもストグには西に伸びる道がない。
そのため一度北に向かい、そこから西に抜けていくのが1番良いルートだった。
次点で東から回るのが良く、南のルートは遠回りでしかも戻ることになってしまう。
だが現在北と東の道はグレートボアが闊歩していて通れない。
つまり旅を続ける上でもグレートボアを倒した方がスムーズに事が進むということなのである。
ゆえに倒す理由がまた増えたというわけである。
すでに大規模討伐には参加申込してしまったので理由があるならばとエミナも前向きに考えるようにしていた。
ーーーーー
「今回の討伐のリーダーやらせてもらう、プスカンだ。みんなよろしく頼むぞ」
大規模討伐では複数の冒険者が参加するのでランクが1番高い人がリーダーとなる。
今回リーダーとなる冒険者はプスカンという人で、魔のゴールド-ランクの冒険者であった。
なぜゴールド-が魔と言われているかというと、ゴールド-まではそれなりの実力とこなしてきた依頼の数など総合的に判断されて上がることができる。
しかしゴールド-からゴールドに上がるためには相応の実力、強さが必要になるのだ。
ハッキリとした差がゴールド-とゴールドの間にはあるとされていて、これまで努力を重ねてきた冒険者でもゴールドの壁を越えられずにゴールド-で止まってしまう。
ゆえに魔のと言われていて、一目置かれるには少し足りないぐらいの扱いを受けがちなのだ。
それでも簡単に上がれるランクでもないので少なくともこれまでやってきただけの実力と実績は保証されている。
ちなみに魔物はAからGまでの7段階で分けられている。
ボーノボアは危険度が低くFクラスのまもので、進化種であってもFクラスのボーノボアの進化種だと冒険者ギルドは見ていた。
どんな魔物であっても油断できないけれど強さの程度は高が知れている。
集まった人数も30人ほどと意外と多いので心配もないとリュードも思っていた。
「行くぞ!」
プスカンの指示に従って冒険者ギルドを出発する。
現在グレートボアは町の北側に陣取り、今もボーノボアの取り巻きを増やしている。
出来るなら奇襲でもかけたいところだがストグ周辺は起伏の少ない草原地帯が広がっている。
視界が良くグレートボアも簡単に見つけられるがグレートボア側からもこちらが簡単に見つかってしまう。
町を出て歩いていくと遠くからでも分かる巨体が草原の真ん中に見え始めた。
グレートボアも気づいたようで軽自動車のようなイノシシがリュードたちの方を睨みつけていた。
「大規模討伐の依頼があると聞いてきました」
「はい、現在グレートボアとその支配下にあるボーノボアの大規模討伐の依頼がございます。まだ参加受け付けておりますがお受けになられますか?」
「はい、参加しようと思います」
「分かりました。討伐の開始は2日後の朝になります。大規模討伐ですので他の冒険者との共闘依頼になりますが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です」
「それでは冒険者証の提示をお願いします」
3人が冒険者証を出して受付が名前とランクを確認して記入する。
「アイアン+ランクのシューナリュード様、ルフォン様、エミナ様ですね。これでご依頼の申込は完了となります。今一度確認となりますが討伐は2日後の朝になりますのでよろしくお願いします。他に何かご依頼は受けていかれますか?」
「いえ、今はいいです。それよりも地図を見せてほしいのですが」
もちろんこれから先の旅のことも忘れていない。
ルーロニアのギルドで売っていた地図はイマリカラツトからちょっと西側の国に入ったところぐらいまでの地図だった。
なのでここでちゃんと西側の国の道が確認できる地図を買っておく必要がある。
お金はかかるけどついでにイマリカラツト周辺の小国群の地図も買っておく。
大規模討伐に2日もあるということでこの間に旅を続ける準備をしようと思った。
それだけあればまた地図とにらめっこするには十分な時間もある。
ついでにまずは旅の消耗品なりの補給をしようと冒険者ギルドを出てお店に向かった。
改めてグレートボアのことを聞いてから町の人を見るとどことなく不安げに見えるから不思議なものだ。
「うーん……これはちょっと」
「いや、悪いね。品物がくる北と東の街道を魔物に占拠されちゃってね。私たちとしてもお安く良いものを売りたいんだけど品物が入ってこないんじゃどうしようもない」
買い物にお店に入ってみると意外なところに影響があった。
お店に置いてある品物がことごとく高い。
しかも品質も良くないのである。
件のグレートボアのせいで物流が滞り、商品が入ってこないので値段がどこも高騰していたのである。
「あれじゃちょっとな」
良いものはもうすでに買われてしまっていて無い。
妥協して残っているものを買おうにも値段と釣り合わないのだ。
急ぐ旅でもないので品質の良くないものを高値で買う必要はないと店を出た。
謝り通しの店員が不憫でならなかった。
グレートボアの討伐を終えれば物流が回復してすぐにでも適正な値段に戻るだろうから買い物はそれからでも遅くはない。
念のためといくつか店を回ってみたけれどどこの店も同じような状況で結局消耗品の補充は諦めることとなった。
これでグレートボアをやる理由が1つ増えたとリュードは思った。
そして宿に戻って地図を見ていると、さらにもう1つグレートボアをやるべき理由が増えた。
自由な旅なのでどう行こうと自由である。
しかしなんでもいいわけではなく、効率的なルートというものがある。
リュードたちとしては西側に向かいたい。
けれどイマリカラツトから出て西に向かおうと思ってもストグには西に伸びる道がない。
そのため一度北に向かい、そこから西に抜けていくのが1番良いルートだった。
次点で東から回るのが良く、南のルートは遠回りでしかも戻ることになってしまう。
だが現在北と東の道はグレートボアが闊歩していて通れない。
つまり旅を続ける上でもグレートボアを倒した方がスムーズに事が進むということなのである。
ゆえに倒す理由がまた増えたというわけである。
すでに大規模討伐には参加申込してしまったので理由があるならばとエミナも前向きに考えるようにしていた。
ーーーーー
「今回の討伐のリーダーやらせてもらう、プスカンだ。みんなよろしく頼むぞ」
大規模討伐では複数の冒険者が参加するのでランクが1番高い人がリーダーとなる。
今回リーダーとなる冒険者はプスカンという人で、魔のゴールド-ランクの冒険者であった。
なぜゴールド-が魔と言われているかというと、ゴールド-まではそれなりの実力とこなしてきた依頼の数など総合的に判断されて上がることができる。
しかしゴールド-からゴールドに上がるためには相応の実力、強さが必要になるのだ。
ハッキリとした差がゴールド-とゴールドの間にはあるとされていて、これまで努力を重ねてきた冒険者でもゴールドの壁を越えられずにゴールド-で止まってしまう。
ゆえに魔のと言われていて、一目置かれるには少し足りないぐらいの扱いを受けがちなのだ。
それでも簡単に上がれるランクでもないので少なくともこれまでやってきただけの実力と実績は保証されている。
ちなみに魔物はAからGまでの7段階で分けられている。
ボーノボアは危険度が低くFクラスのまもので、進化種であってもFクラスのボーノボアの進化種だと冒険者ギルドは見ていた。
どんな魔物であっても油断できないけれど強さの程度は高が知れている。
集まった人数も30人ほどと意外と多いので心配もないとリュードも思っていた。
「行くぞ!」
プスカンの指示に従って冒険者ギルドを出発する。
現在グレートボアは町の北側に陣取り、今もボーノボアの取り巻きを増やしている。
出来るなら奇襲でもかけたいところだがストグ周辺は起伏の少ない草原地帯が広がっている。
視界が良くグレートボアも簡単に見つけられるがグレートボア側からもこちらが簡単に見つかってしまう。
町を出て歩いていくと遠くからでも分かる巨体が草原の真ん中に見え始めた。
グレートボアも気づいたようで軽自動車のようなイノシシがリュードたちの方を睨みつけていた。
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