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第一章
15の春2
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リュードも負けるわけにはいかないと頑張っているがライバルの存在はいいなと思う。
飯を作ったといっても最初の10日ほどは大量のオヤジたちに囲まれてボッコボコにされて食事もままならず生でかじって飢えをしのいでいた。
「おらあああっ!」
「ぐっ……こいつ!」
「後ろからなんて卑怯だぞ!」
「実戦に卑怯も何もあるか!」
「くそっ……負けるか!」
それでも必死に食らいついていると最初ほどオヤジたちもワッと来なくなったし段々と対多数の動きに慣れてきた。
体力も技術も無理矢理付いてきてオヤジたちの攻撃も当たらなくなってきてほんの少しだけ余裕もできてきた。
しかし防御や回避をするだけではオヤジたちの数は減らないどころか増える一方でキツくなってくることが分かったので反撃もしなきゃいけない。
反撃も必要なのは分かっている。
実際に反撃が形になり始めたのはもはや回復してくれるからとなりふり構わなくなって5日、全体的な時間の流れとしてはおよそ25日ほど経ってようやく攻撃もオヤジたちに決まり始めた。
ほとんど攻撃を食らいながらオヤジたちに反撃を繰り出していた。
これがまたマズイことに、オヤジたちは反撃されると喜ぶことも分かった。
別にドMとか自虐趣味があるわけじゃない。
反撃される方が楽しくていいという理由なのだ。
無抵抗の者よりも抵抗してくるぐらいのやつ、さらにいえば反撃までしてくるならオヤジたちもそちらの方が良い。
リュードの反骨精神の噂が広まって少し減っていた人が戻ってしまった。
それどころかリュードのところにくるオヤジが増えた。
やれば慣れてくるもので多少料理をする気力も残せるようになり、初日から数えて50日も経てば料理も多少はこなれてくる。
実は食材も足りなくなるのは少ないということだけでなく消費する期限が差し迫っている食材も多く差し入れられることにも原因があったことに気がついた。
そこでリュードは魔法で凍りつかせて食材の延命を思い付いた。
自分の持てる能力で何とかしているのだから卑怯とは言わせない。
おかげで食材には余裕があるとまでは言えなくても困ることはなかった。
同時にここに来て連日来るオヤジどもにも疲れが見え始め複数人相手にしてもリュードが押し負けなくなった。
オヤジたちのタイミング次第ではリュードの方が優位に立ち回れるなんてことも若干出来始めていた。
オヤジたちも連携なんて取っていないから立ち回りやオヤジたちの相性次第では上手く相手できた。
「今日から俺たちは毎日魔人化する。シューナリュード、お前も常に魔人化していてもらうぞ」
このままならいけるかもしれないなんて思うリュードを見透かしたかのように新たな段階へとステップアップさせられることになった。
人の姿をしていて人の姿で暮らしているのなら真人族と魔人族、ひいては竜人族と何が違うのか。
竜人族にはもう一つの姿がある。
実際の違いはといえばこの竜人化こそが真人族と竜人族を分ける違いであり、ある種竜人族にとってのアイデンティティとも言える。
人によっては竜人化している姿こそ真の姿であって常に竜人化している姿こそ竜人族であると主張する者もいる。
広くいえば魔人族の姿ということもある。では竜人化とは何か。
「これからこの訓練はもっと激しさを増す。覚悟はいいか?」
「もちろんです」
「それじゃあ竜人化をするぞ」
今日来ているのは村長を倒すことに期待がかかる4人衆のうちの1人の竜人族の男性。
後ろにゾロゾロといつものオヤジたちもいる。
いつものようにすぐさま訓練は始まらずまずは竜人化する。
竜人化するのは魔力を意識する時に似ている。
まず胸の真ん中が、そして全身へと熱いものが広がっていって筋肉が膨張していき皮膚が痒みにも痛みにも思えるザワザワとした不思議な感覚が襲われる。
原理とかどこから出てきたのかリュードにも誰にも分からない。
リュードの体にウロコが生えて、お尻の上がむず痒くなって尻尾が伸びてくる。
ものの数秒も経てばリュードの姿は一変する。
全身をウロコに覆われ、頭のツノは伸び少し背が高くなって視界はやや高くなる。
鼻や口のところはせり出して両手には鋭い爪が伸びていて、尻尾まで生えている。
もはや人とは言い難い竜人化した容姿はほんのちょっとだけ人っぽさも混ざりつつもリュードのイメージでは魔物の方に近いような感じすらある。
ドラゴンを圧縮してドラゴンのまま人型にしたような姿とでもいえばいいのだろうか。
体が軽くなり力が溢れてくるようで自然と気分が高揚する。
この姿になることが竜人化である。
あまりこの姿になることは多くない。
本当の姿なのが納得できるほど力強さは日常生活では逆に不要ぐらい強すぎて物を破壊してしまう。
それだけではなくツノもあるし尻尾もある。
体も一回り大きくなるし体にはウロコも生えていて竜人化状態での服や物が必要となってくる。
竜人族専用で作れば違うのだが今の時代家の作りや品物、素材は真人族の物を使っていたり、既製品は真人族に合わせて作られている。
わざわざ竜人族に合わせて作るよりも真人族のものを使う方がはるかに合理的なのである。
普段は人の姿で過ごすのだからその方が都合が良いからしょうがない。
今となっては竜人化は竜人族にとっての切り札のような扱いでもある。
「ふぅ……」
「さすがだな……」
「美しさすらもある」
「黒い竜人……楽しみだな」
だからリュードも久々にこの竜人化をした。
竜人化した姿も自分の魔力属性の影響を受けるものなのだがリュードは先祖返りの影響もあってか全身真っ黒な竜人族の姿であった。
飯を作ったといっても最初の10日ほどは大量のオヤジたちに囲まれてボッコボコにされて食事もままならず生でかじって飢えをしのいでいた。
「おらあああっ!」
「ぐっ……こいつ!」
「後ろからなんて卑怯だぞ!」
「実戦に卑怯も何もあるか!」
「くそっ……負けるか!」
それでも必死に食らいついていると最初ほどオヤジたちもワッと来なくなったし段々と対多数の動きに慣れてきた。
体力も技術も無理矢理付いてきてオヤジたちの攻撃も当たらなくなってきてほんの少しだけ余裕もできてきた。
しかし防御や回避をするだけではオヤジたちの数は減らないどころか増える一方でキツくなってくることが分かったので反撃もしなきゃいけない。
反撃も必要なのは分かっている。
実際に反撃が形になり始めたのはもはや回復してくれるからとなりふり構わなくなって5日、全体的な時間の流れとしてはおよそ25日ほど経ってようやく攻撃もオヤジたちに決まり始めた。
ほとんど攻撃を食らいながらオヤジたちに反撃を繰り出していた。
これがまたマズイことに、オヤジたちは反撃されると喜ぶことも分かった。
別にドMとか自虐趣味があるわけじゃない。
反撃される方が楽しくていいという理由なのだ。
無抵抗の者よりも抵抗してくるぐらいのやつ、さらにいえば反撃までしてくるならオヤジたちもそちらの方が良い。
リュードの反骨精神の噂が広まって少し減っていた人が戻ってしまった。
それどころかリュードのところにくるオヤジが増えた。
やれば慣れてくるもので多少料理をする気力も残せるようになり、初日から数えて50日も経てば料理も多少はこなれてくる。
実は食材も足りなくなるのは少ないということだけでなく消費する期限が差し迫っている食材も多く差し入れられることにも原因があったことに気がついた。
そこでリュードは魔法で凍りつかせて食材の延命を思い付いた。
自分の持てる能力で何とかしているのだから卑怯とは言わせない。
おかげで食材には余裕があるとまでは言えなくても困ることはなかった。
同時にここに来て連日来るオヤジどもにも疲れが見え始め複数人相手にしてもリュードが押し負けなくなった。
オヤジたちのタイミング次第ではリュードの方が優位に立ち回れるなんてことも若干出来始めていた。
オヤジたちも連携なんて取っていないから立ち回りやオヤジたちの相性次第では上手く相手できた。
「今日から俺たちは毎日魔人化する。シューナリュード、お前も常に魔人化していてもらうぞ」
このままならいけるかもしれないなんて思うリュードを見透かしたかのように新たな段階へとステップアップさせられることになった。
人の姿をしていて人の姿で暮らしているのなら真人族と魔人族、ひいては竜人族と何が違うのか。
竜人族にはもう一つの姿がある。
実際の違いはといえばこの竜人化こそが真人族と竜人族を分ける違いであり、ある種竜人族にとってのアイデンティティとも言える。
人によっては竜人化している姿こそ真の姿であって常に竜人化している姿こそ竜人族であると主張する者もいる。
広くいえば魔人族の姿ということもある。では竜人化とは何か。
「これからこの訓練はもっと激しさを増す。覚悟はいいか?」
「もちろんです」
「それじゃあ竜人化をするぞ」
今日来ているのは村長を倒すことに期待がかかる4人衆のうちの1人の竜人族の男性。
後ろにゾロゾロといつものオヤジたちもいる。
いつものようにすぐさま訓練は始まらずまずは竜人化する。
竜人化するのは魔力を意識する時に似ている。
まず胸の真ん中が、そして全身へと熱いものが広がっていって筋肉が膨張していき皮膚が痒みにも痛みにも思えるザワザワとした不思議な感覚が襲われる。
原理とかどこから出てきたのかリュードにも誰にも分からない。
リュードの体にウロコが生えて、お尻の上がむず痒くなって尻尾が伸びてくる。
ものの数秒も経てばリュードの姿は一変する。
全身をウロコに覆われ、頭のツノは伸び少し背が高くなって視界はやや高くなる。
鼻や口のところはせり出して両手には鋭い爪が伸びていて、尻尾まで生えている。
もはや人とは言い難い竜人化した容姿はほんのちょっとだけ人っぽさも混ざりつつもリュードのイメージでは魔物の方に近いような感じすらある。
ドラゴンを圧縮してドラゴンのまま人型にしたような姿とでもいえばいいのだろうか。
体が軽くなり力が溢れてくるようで自然と気分が高揚する。
この姿になることが竜人化である。
あまりこの姿になることは多くない。
本当の姿なのが納得できるほど力強さは日常生活では逆に不要ぐらい強すぎて物を破壊してしまう。
それだけではなくツノもあるし尻尾もある。
体も一回り大きくなるし体にはウロコも生えていて竜人化状態での服や物が必要となってくる。
竜人族専用で作れば違うのだが今の時代家の作りや品物、素材は真人族の物を使っていたり、既製品は真人族に合わせて作られている。
わざわざ竜人族に合わせて作るよりも真人族のものを使う方がはるかに合理的なのである。
普段は人の姿で過ごすのだからその方が都合が良いからしょうがない。
今となっては竜人化は竜人族にとっての切り札のような扱いでもある。
「ふぅ……」
「さすがだな……」
「美しさすらもある」
「黒い竜人……楽しみだな」
だからリュードも久々にこの竜人化をした。
竜人化した姿も自分の魔力属性の影響を受けるものなのだがリュードは先祖返りの影響もあってか全身真っ黒な竜人族の姿であった。
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