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第一章
もうすでに世界は救っています6
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まだ子供のリュードは特に役割を与えられていない。
ヴェルデガーは元冒険者という経歴に加えて魔法の中でも回復魔法が使えるから狩りにも連れていかれる。
本当は性格的には農業の方が割にあっているとボヤいていて特段危険がなさそうなら農業の手伝いをしている。
ただ現在はヴェルデガーが開発したお風呂が密かな村のブームになっている。
先日の村長の家にお風呂を設置して喜ばれたことがキッカケでお風呂設置の依頼が舞い込んできている。
簡単にお風呂と言ってもその製作はなかなか難しい。
ヴェルデガーが冒険者時代に見たお風呂とはほとんどが天然の温泉が湧き出る地で石で囲って露天風呂のような形になっているものでだった。
一度だけ陶器が名産の街に立ち寄ったときに陶器で出来た浴槽を見たこともあるが個人用のお風呂とは貴族が持っているとうわさに聞いたことがある程度。
ヴェルデガーが再現しようとしたのは個人用の陶器の浴槽である。
しかし陶器の作り方も知らなければそんな設備もない。
何かで、しかし自分だけしか作れないようでは後々困るかもしれないから誰にでもできるような方法を考えた。
そこで目を付けたのは周りに生えている太い木々である。
豊かな魔力で育った木々は相当太く育っているものもありヴェルデガーの思い描く浴槽の大きなにも十分。
一度やると決めたらヴェルデガーは諦めなかった。
木をくり抜くようにして浴槽を作った。
水も汲んできて火の魔法で沸かしてあっさりと完成したかに思えた。
妻であるメーリエッヒにも好評だったのだがくり抜いて浴槽の形にしただけでは水に濡れればすぐにダメになってしまった。
そこからヴェルデガーの試行錯誤の日々が始まった。
紆余曲折を経てある樹木の樹液を塗ってコーティングを施すことによってようやくお風呂として使えるようになったのだ。
それも簡単に塗るとはいったものの、塗っては乾かしてを3回も繰り返さなければいけないのである。
魔法で急激に乾かせば割れてしまうので自然乾燥するしかなく、そもそも浴槽作りも大まかな形は魔法で作れても細かい仕上げはやはり手作業。
こうして浴槽作りに泣かされるヴェルデガーを最近リュードは手伝っているのだがこちらとて慈善ではない。
ちょっとしたお小遣いもらい、作業は削り出しと細かいヤスリがけ作業の担当を強奪した。
浴槽の形に削り出すのは魔法を使い大雑把に形を整えていく作業である。
浴槽のもとになるのはリュードの身長ほどもある丸太。
「ほほい!」
水を操りザクザクと木を切って形を作っていく。
最初は上手くいかなかったけど段々とコツを掴んで削り出しだけでもそれなりに形になるようになってきた。
ザックリと丸太を切っていき大まかに浴槽の形にしていく。
ここはまだ精密でなくてもいいので遊び感覚で切っていく。
浴槽の内側は大胆かつ繊細な魔法のコントロールが必要なのでヴェルデガーが行う。
次はヤスリがけだがヤスリがけだけでなくデコボコした表面をナイフで削って綺麗に形を整えてからさらにヤスリである程度滑らかにしていくという作業になる。
こちらは意外と体全体を使う作業で体を魔力で強化しながら行う。
つまりはどちらの作業も魔力や魔法の練習となっている。
最後の工程は樹液コーティング作業となる。
これはハケでひたすら浴槽に樹液を塗っていくのだがこの樹液、乾燥して固まるまでちょっと臭いのだ。
出来るだけ均一に丁寧に塗らなきゃいけないのに臭いというのは致命的で、なおかつ魔法の練習にもならないのでこの作業は尊敬するヴェルデガーにお任せしている。
作業自体もちょっと離れたところでやってもらってる。
ちゃんと風下で。
お風呂づくりのリターンはお礼として色々我が家に食料なんかも差し入れてくれたりする人もいる。
ちょっとだけ食卓がリッチになったりするのでメーリエッヒも大喜び。
村全体の清潔度も上がりもともと少なかった病気率が下がり、農作業後の入浴を楽しみする人も増えて農作業効率も上がった。
もっと子供らしいことでもすればいいのにと自分でも思うことがある。
ただし子供らしいことなんてこの村においてはチャンバラごっこや簡単な追いかけっこぐらいなもので娯楽に関しては圧倒的に不便だった。
チャンバラごっこだって師匠にしごかれている今他の子供と遊んでもつまらないし追いかけっこも子供の中でリュードが1番早い。
唯一対抗できるのはルフォンぐらいなのだけれどなんだか知らないけどルフォンはリュードに捕まえて欲しがる。
捕まると嬉しそうにしていて、それじゃ追いかけっことは言わない。
基本はチャンバラごっこで遊び兼腕磨きが男の子供の日常で農作業を手伝ったりもう少し大きくなれば狩りにも出かける。
後は暇を持て余しているとルフォンにおままごとのような遊びに誘われる。
他の女の子もいる中おままごとに付き合わされるのは地獄のような時間だったのでもうあまりやりたくはない。
女の子は他に裁縫とか料理とか家庭的なことも遊びとして覚えていく。
強さが大事な魔族なので女の子も戦いは学んでいたりもするけど。
「父さーん、こっちは出来たよ」
「あーい……オェッ」
「リューちゃーん!」
ヴェルデガーが臭いに吐きそうになるのを見て笑ったり暇で遊びに来たルフォンに手を振り返したり、転生した後の生活はおおむね平和で充実したものであった。
ヴェルデガーは元冒険者という経歴に加えて魔法の中でも回復魔法が使えるから狩りにも連れていかれる。
本当は性格的には農業の方が割にあっているとボヤいていて特段危険がなさそうなら農業の手伝いをしている。
ただ現在はヴェルデガーが開発したお風呂が密かな村のブームになっている。
先日の村長の家にお風呂を設置して喜ばれたことがキッカケでお風呂設置の依頼が舞い込んできている。
簡単にお風呂と言ってもその製作はなかなか難しい。
ヴェルデガーが冒険者時代に見たお風呂とはほとんどが天然の温泉が湧き出る地で石で囲って露天風呂のような形になっているものでだった。
一度だけ陶器が名産の街に立ち寄ったときに陶器で出来た浴槽を見たこともあるが個人用のお風呂とは貴族が持っているとうわさに聞いたことがある程度。
ヴェルデガーが再現しようとしたのは個人用の陶器の浴槽である。
しかし陶器の作り方も知らなければそんな設備もない。
何かで、しかし自分だけしか作れないようでは後々困るかもしれないから誰にでもできるような方法を考えた。
そこで目を付けたのは周りに生えている太い木々である。
豊かな魔力で育った木々は相当太く育っているものもありヴェルデガーの思い描く浴槽の大きなにも十分。
一度やると決めたらヴェルデガーは諦めなかった。
木をくり抜くようにして浴槽を作った。
水も汲んできて火の魔法で沸かしてあっさりと完成したかに思えた。
妻であるメーリエッヒにも好評だったのだがくり抜いて浴槽の形にしただけでは水に濡れればすぐにダメになってしまった。
そこからヴェルデガーの試行錯誤の日々が始まった。
紆余曲折を経てある樹木の樹液を塗ってコーティングを施すことによってようやくお風呂として使えるようになったのだ。
それも簡単に塗るとはいったものの、塗っては乾かしてを3回も繰り返さなければいけないのである。
魔法で急激に乾かせば割れてしまうので自然乾燥するしかなく、そもそも浴槽作りも大まかな形は魔法で作れても細かい仕上げはやはり手作業。
こうして浴槽作りに泣かされるヴェルデガーを最近リュードは手伝っているのだがこちらとて慈善ではない。
ちょっとしたお小遣いもらい、作業は削り出しと細かいヤスリがけ作業の担当を強奪した。
浴槽の形に削り出すのは魔法を使い大雑把に形を整えていく作業である。
浴槽のもとになるのはリュードの身長ほどもある丸太。
「ほほい!」
水を操りザクザクと木を切って形を作っていく。
最初は上手くいかなかったけど段々とコツを掴んで削り出しだけでもそれなりに形になるようになってきた。
ザックリと丸太を切っていき大まかに浴槽の形にしていく。
ここはまだ精密でなくてもいいので遊び感覚で切っていく。
浴槽の内側は大胆かつ繊細な魔法のコントロールが必要なのでヴェルデガーが行う。
次はヤスリがけだがヤスリがけだけでなくデコボコした表面をナイフで削って綺麗に形を整えてからさらにヤスリである程度滑らかにしていくという作業になる。
こちらは意外と体全体を使う作業で体を魔力で強化しながら行う。
つまりはどちらの作業も魔力や魔法の練習となっている。
最後の工程は樹液コーティング作業となる。
これはハケでひたすら浴槽に樹液を塗っていくのだがこの樹液、乾燥して固まるまでちょっと臭いのだ。
出来るだけ均一に丁寧に塗らなきゃいけないのに臭いというのは致命的で、なおかつ魔法の練習にもならないのでこの作業は尊敬するヴェルデガーにお任せしている。
作業自体もちょっと離れたところでやってもらってる。
ちゃんと風下で。
お風呂づくりのリターンはお礼として色々我が家に食料なんかも差し入れてくれたりする人もいる。
ちょっとだけ食卓がリッチになったりするのでメーリエッヒも大喜び。
村全体の清潔度も上がりもともと少なかった病気率が下がり、農作業後の入浴を楽しみする人も増えて農作業効率も上がった。
もっと子供らしいことでもすればいいのにと自分でも思うことがある。
ただし子供らしいことなんてこの村においてはチャンバラごっこや簡単な追いかけっこぐらいなもので娯楽に関しては圧倒的に不便だった。
チャンバラごっこだって師匠にしごかれている今他の子供と遊んでもつまらないし追いかけっこも子供の中でリュードが1番早い。
唯一対抗できるのはルフォンぐらいなのだけれどなんだか知らないけどルフォンはリュードに捕まえて欲しがる。
捕まると嬉しそうにしていて、それじゃ追いかけっことは言わない。
基本はチャンバラごっこで遊び兼腕磨きが男の子供の日常で農作業を手伝ったりもう少し大きくなれば狩りにも出かける。
後は暇を持て余しているとルフォンにおままごとのような遊びに誘われる。
他の女の子もいる中おままごとに付き合わされるのは地獄のような時間だったのでもうあまりやりたくはない。
女の子は他に裁縫とか料理とか家庭的なことも遊びとして覚えていく。
強さが大事な魔族なので女の子も戦いは学んでいたりもするけど。
「父さーん、こっちは出来たよ」
「あーい……オェッ」
「リューちゃーん!」
ヴェルデガーが臭いに吐きそうになるのを見て笑ったり暇で遊びに来たルフォンに手を振り返したり、転生した後の生活はおおむね平和で充実したものであった。
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