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第一章
もうすでに世界は救っています5
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期待はしないけど一応普通の起こし方も試してみる。
起こそうと一通り揺すってみたり声をかけてみたりしても反応がないのはもはや日常である。
そんな時は耳元に顔を近づけて呪文を呟くのだ。
「父さん、本が燃えてるよ」
「何! それは大変だ…………」
飛び跳ねるようにして起きたヴェルデガーは周りを見渡してすぐに状況を把握する。
「ぬぅ……リュー、シャレならない起こし方はやめてくれないか」
ヴェルデガーもそれなりにイケメンだがどうしてこうもルフォンのような美少女とオッさんのスネ顔では違うのだろうかとリュードは笑う。
母のメーリエッヒなら本当に本の一冊ぐらい燃やしかねないのだからこれぐらい許してほしいものだ。
ヴェルデガーとメーリエッヒ、それにルフォンはリュードのことをリュードのドをさらにとってリューと呼ぶ。
本当に近しいごく一部に人だけが呼ぶ呼び方である。
「また夜更かししたの?」
「ああ、この間の行商で見つけた本が思いの外面白くてな」
単に聞いただけであって諌めるつもりなど毛頭ない。
田舎の魔族の村にあって本が読めるというのもこのヴェルデガーあってのことなのだから。
強いて言えばヴェルデガーが読む本はジャンルを問わないのだけれど個人としてはもっと魔道書、魔法学の本を読みたいものだ。
当然入門書なんて買ってくるわけもなく内容が難しすぎるのだ。
何冊か読んでやっと自分なりに解釈したりヴェルデガーに教えてもらったりするのだがヴェルデガーは笑ってまだ子供には早いと真面目に取り合ってくれないこともある。
他の竜人族はといえば頭で理解して魔法を使うより感覚で覚えて使う感じで人狼族はそもそも魔力はあっても魔法は得意じゃない。
理論的に理解しようとするリュードの方が異質な感じすらあるのだ。
リュードとしても感覚的に魔法は使えるけれど理解すればより上手く魔法も使えるだろうにと思う。
それでもヴェルデガーは魔法使いとしても最高峰らしいし、リュードも他の子に比べればはるかに出来ているらしいから不満もさほど大きくはない。
「夜更かししすぎると体に良くないよ」
頑丈な体の作りの竜人族でも風邪は引くし死にもする。
ヴェルデガーは父親になる前は冒険者として無茶をしてきた。
竜人族は真人族に比べてはるかに寿命が長いけどそれでも若くないから是非とも健康的に長生きしてほしい。
「そうだな……だがこれも体には良くないぞ」
ヴェルデガーは笑いながら軽く拭いただけでまだ濡れているリュードの頭に風と火の魔法を混ぜてつくった温風を当てて乾かしてくれる。
魔力の強い魔人族はとりわけ得意な魔法属性の影響を受けるらしく父親の髪はグリーン、風の属性が得意属性らしいが得意属性以外も大なり小なり使える。
特にヴェルデガーは偉大な魔法使い(自称)なのでどの属性も一定以上使えるのだ。
わしゃわしゃと頭を撫でて髪を立てながらしっかり乾かしてくれる。
あまり時間がかかってもメーリエッヒに怒られるので乾かしてもらうのもそこそこにリビングに向かう。
テーブルには料理が並べられていて良い匂いが広がっている。
今日の鍛錬のことなんか日常のことを話しながら食事を食べて団らんの時を過ごした後は自由な時間となる。
何をして過ごすかは各々に任されているところが大きいが大人になると農業か狩猟を行う。
リュードが生まれた村は魔人族の村としては大きいが村としてのあまり規模が大きくない。
村は人狼族と竜人族がおよそ半々ぐらいの割合でいて他の種族もほんのちょっといたりもする。
村の歴史をたどると元々は竜人族の村だったのだがそこに人狼族の一団が来て当時の村長が受け入れたらしい。
竜人族も人狼族も希少種族であり、その両者集まっている村は他にはない。
周りは森で囲まれていて土地としては真人族の国の領土にあることにはなるのだが大きな都市からは離れている。
なので村はほとんど独立している形で支配を受けず、その代わりに支援もなく基本は自給自足、助け合いで過ごしている。
戦闘が得意なものは村の周りを囲む森に現れる魔物を狩って食料にしたり皮など素材を解体したり加工したりする。
戦闘が得意でないものは周りを開墾して畑を作って簡単な農業だったり薬草などの栽培も行ったりしている。
村の周りにある森は魔力が濃い。
周りに魔物が多く木々は成長が早く生命が強い。
逆に言えばそれだけの実力を備えていれば魔物という脅威を減らしながら魔物の肉(強い魔物ほど肉が美味い)や魔物の良質な素材が手に入り、開墾できれば植物は多くかつ美味しい実をつける。
そこに着目して始めた薬草栽培も薬草の質が良いらしく質素に見える村ではあるが意外と金には困っていない。
竜人族と人狼族の村がある。
生活にも困らず他からの干渉も受けない、
そんな噂を聞きつけてか各地に散らばる人狼族や竜人族も時折村に加わってくることがある。
幸いにして森は広く開墾する余裕も、また魔物も狩きれないほど沢山いる。
同胞が増えることは喜ばしい。
こうして村は規模を少しずつ大きくしながらのんびりと暮らしている。
起こそうと一通り揺すってみたり声をかけてみたりしても反応がないのはもはや日常である。
そんな時は耳元に顔を近づけて呪文を呟くのだ。
「父さん、本が燃えてるよ」
「何! それは大変だ…………」
飛び跳ねるようにして起きたヴェルデガーは周りを見渡してすぐに状況を把握する。
「ぬぅ……リュー、シャレならない起こし方はやめてくれないか」
ヴェルデガーもそれなりにイケメンだがどうしてこうもルフォンのような美少女とオッさんのスネ顔では違うのだろうかとリュードは笑う。
母のメーリエッヒなら本当に本の一冊ぐらい燃やしかねないのだからこれぐらい許してほしいものだ。
ヴェルデガーとメーリエッヒ、それにルフォンはリュードのことをリュードのドをさらにとってリューと呼ぶ。
本当に近しいごく一部に人だけが呼ぶ呼び方である。
「また夜更かししたの?」
「ああ、この間の行商で見つけた本が思いの外面白くてな」
単に聞いただけであって諌めるつもりなど毛頭ない。
田舎の魔族の村にあって本が読めるというのもこのヴェルデガーあってのことなのだから。
強いて言えばヴェルデガーが読む本はジャンルを問わないのだけれど個人としてはもっと魔道書、魔法学の本を読みたいものだ。
当然入門書なんて買ってくるわけもなく内容が難しすぎるのだ。
何冊か読んでやっと自分なりに解釈したりヴェルデガーに教えてもらったりするのだがヴェルデガーは笑ってまだ子供には早いと真面目に取り合ってくれないこともある。
他の竜人族はといえば頭で理解して魔法を使うより感覚で覚えて使う感じで人狼族はそもそも魔力はあっても魔法は得意じゃない。
理論的に理解しようとするリュードの方が異質な感じすらあるのだ。
リュードとしても感覚的に魔法は使えるけれど理解すればより上手く魔法も使えるだろうにと思う。
それでもヴェルデガーは魔法使いとしても最高峰らしいし、リュードも他の子に比べればはるかに出来ているらしいから不満もさほど大きくはない。
「夜更かししすぎると体に良くないよ」
頑丈な体の作りの竜人族でも風邪は引くし死にもする。
ヴェルデガーは父親になる前は冒険者として無茶をしてきた。
竜人族は真人族に比べてはるかに寿命が長いけどそれでも若くないから是非とも健康的に長生きしてほしい。
「そうだな……だがこれも体には良くないぞ」
ヴェルデガーは笑いながら軽く拭いただけでまだ濡れているリュードの頭に風と火の魔法を混ぜてつくった温風を当てて乾かしてくれる。
魔力の強い魔人族はとりわけ得意な魔法属性の影響を受けるらしく父親の髪はグリーン、風の属性が得意属性らしいが得意属性以外も大なり小なり使える。
特にヴェルデガーは偉大な魔法使い(自称)なのでどの属性も一定以上使えるのだ。
わしゃわしゃと頭を撫でて髪を立てながらしっかり乾かしてくれる。
あまり時間がかかってもメーリエッヒに怒られるので乾かしてもらうのもそこそこにリビングに向かう。
テーブルには料理が並べられていて良い匂いが広がっている。
今日の鍛錬のことなんか日常のことを話しながら食事を食べて団らんの時を過ごした後は自由な時間となる。
何をして過ごすかは各々に任されているところが大きいが大人になると農業か狩猟を行う。
リュードが生まれた村は魔人族の村としては大きいが村としてのあまり規模が大きくない。
村は人狼族と竜人族がおよそ半々ぐらいの割合でいて他の種族もほんのちょっといたりもする。
村の歴史をたどると元々は竜人族の村だったのだがそこに人狼族の一団が来て当時の村長が受け入れたらしい。
竜人族も人狼族も希少種族であり、その両者集まっている村は他にはない。
周りは森で囲まれていて土地としては真人族の国の領土にあることにはなるのだが大きな都市からは離れている。
なので村はほとんど独立している形で支配を受けず、その代わりに支援もなく基本は自給自足、助け合いで過ごしている。
戦闘が得意なものは村の周りを囲む森に現れる魔物を狩って食料にしたり皮など素材を解体したり加工したりする。
戦闘が得意でないものは周りを開墾して畑を作って簡単な農業だったり薬草などの栽培も行ったりしている。
村の周りにある森は魔力が濃い。
周りに魔物が多く木々は成長が早く生命が強い。
逆に言えばそれだけの実力を備えていれば魔物という脅威を減らしながら魔物の肉(強い魔物ほど肉が美味い)や魔物の良質な素材が手に入り、開墾できれば植物は多くかつ美味しい実をつける。
そこに着目して始めた薬草栽培も薬草の質が良いらしく質素に見える村ではあるが意外と金には困っていない。
竜人族と人狼族の村がある。
生活にも困らず他からの干渉も受けない、
そんな噂を聞きつけてか各地に散らばる人狼族や竜人族も時折村に加わってくることがある。
幸いにして森は広く開墾する余裕も、また魔物も狩きれないほど沢山いる。
同胞が増えることは喜ばしい。
こうして村は規模を少しずつ大きくしながらのんびりと暮らしている。
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