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第一章
入学式3
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「清水瑞姫です。職業は剣豪。よろしくお願いします」
「あっ……」
トモナリは後ろの席だったのだがちょうどトモナリ列の一番前の女生徒が挨拶をした。
その子はなんとテッサイの孫娘であるミズキだった。
全く気づいていなかったトモナリはミズキの顔を見て驚いた。
「……睨まれた?」
挨拶を終えて頭を下げたミズキは最後にトモナリのことを睨みつけた。
なんでか知らないけれどお怒りのようであるとトモナリは渋い顔をした。
他にも何人か希少な職業の子がいてさすがアカデミーの特進クラスと思っているとトモナリの番になった。
「愛染寅成です。職業はドラゴンナイト」
再び教室がざわつく。
ドラゴンナイトは特殊な職業になる。
どれぐらい特殊かというと世界で他にドラゴンナイトという職業がいないぐらい特殊である。
聞いたこともない職業なのでみんながドラゴンナイトとはなんだとざわついても仕方ない。
「そしてこいつが……」
トモナリは椅子の隣に置いていたリュックを机の上に置いた。
「俺のパートナーのヒカリだ」
「じゃじゃーん!」
「えっ!?」
「なんだよあれ!」
「危なくないの!?」
「結構可愛い……」
リュックの中からヒカリが飛び出してきてトモナリの後頭部にしがみつくように降り立った。
教室のざわつきが大きくなってトモナリの周りの生徒はヒカリを警戒するように少し離れる。
「落ち着きなさい。アイゼンさんのパートナーであるモンスターのヒカリさんはアカデミーの方でも認知している。アイゼンさんの支配下に置かれている安全なモンスターであり、アイゼンさんの能力の一部として認められています」
イリヤマが生徒たちを宥める。
ヒカリをどうするのかという問題はあったもののこの際アカデミーの中では大っぴらにしてしまう方が終末教も手を出しにくいだろうということになった。
「知能も高いので特別支障がない限りヒカリさんも一緒に授業を受けられることになった。すぐにというのは厳しいかもしれないけれど慣れてほしい」
アカデミー公認のモンスターパートナーということでヒカリも授業を受けられる措置まで取ってくれた。
これで常に一緒にいられるようになった。
「俺もヒカリも一緒によろしく」
「よろしくな!」
ヒカリに対する反応は様々。
多くの人が得体の知れないヒカリに対して引いているような感じだけど何人かは興味深そうにヒカリを見ていた。
トモナリが席に座るとヒカリはトモナリの膝に座った。
ヒカリによる一騒ぎはあったけれど自己紹介は続けられた。
「工藤サーシャです」
トモナリやコウと違ったざわつきが起こった。
立ち上がった女生徒の見た目は日本人ではなく外国人だった。
名前からしてもハーフなのだろうと思うのだけど、とにかく見た目が可愛らしい。
お人形さんのような美少女に男どものみならず他の女の子たちもザワザワとしている。
「職業は聖騎士です。みなさんと仲良くできたらと思います」
「聖騎士の……工藤サーシャ」
「トモナリ?」
なんだか聞いたことがある名前だった。
そしてすぐに思い出した。
73番目の試練ゲートにおいて仲間の覚醒者を逃がそうとして死んだ覚醒者がいた。
守護者とも呼ばれた聖騎士を職業として持つ覚醒者の名前がサーシャだったことをトモナリは記憶していた。
結局それも終末教が手を回した事故によるものでサーシャを知っている人たちは彼女が亡くなったことを悲しんでいた。
今はまだ覚醒したばかりだろうけれど未来における強力な覚醒者を一人見つけたとトモナリは思った。
「トモナリ君!」
ホームルームが終わった。
今日はこれで終了なのだけど教科書を受け取ってから寮に戻ることになっていた。
混雑を避けるために各クラスタイミングをずらして帰ることになっていて特進クラスは最後に帰るために教室待機しなければならない。
その間好きに交流を深めろとイリヤマが言って各々近くにいた人に話しかけ始めた。
しかしトモナリに話しかける人はいない。
ヒカリがいるせいなのか気にはなっているようだが話しかける勇気まではみんな出ないようである。
トモナリの様子を窺う空気の中でミズキがズンズンとトモナリの机のところまでやってきた。
バンと激しく机を叩きつけて険しい目を向ける。
「久しぶりだな」
「久しぶり、じゃない!」
「なんだよ……?」
まだミズキは怒っているのだけどトモナリにはその理由が分からない。
テッサイに挨拶はしたけれどタイミング悪くてミズキには挨拶できなかったことを怒っているのかと考えたりした。
「ずっと見てたのに気づかなかった」
「はぁ?」
「私はトモナリ君の事気づいたのに、トモナリ君私に気づかないんだもん!」
実はミズキの方は最初からトモナリのことに気がついていた。
だからずっと視線を送っていたのに肝心のトモナリの方はミズキのことに全く気がついていなかったのである。
だからミズキは怒っていた。
「あー……それはすまない」
「ヒカリちゃんは気づいてたんだもんね」
「うん、気づいてたぞ!」
「あっ、そうなのか?」
ヒカリはミズキに気づいていた。
ミズキが手を振ると小さく手を振りかえしていて、ミズキが口に指を当てて言わないようにとジェスチャーしたので黙っていた。
「あっ……」
トモナリは後ろの席だったのだがちょうどトモナリ列の一番前の女生徒が挨拶をした。
その子はなんとテッサイの孫娘であるミズキだった。
全く気づいていなかったトモナリはミズキの顔を見て驚いた。
「……睨まれた?」
挨拶を終えて頭を下げたミズキは最後にトモナリのことを睨みつけた。
なんでか知らないけれどお怒りのようであるとトモナリは渋い顔をした。
他にも何人か希少な職業の子がいてさすがアカデミーの特進クラスと思っているとトモナリの番になった。
「愛染寅成です。職業はドラゴンナイト」
再び教室がざわつく。
ドラゴンナイトは特殊な職業になる。
どれぐらい特殊かというと世界で他にドラゴンナイトという職業がいないぐらい特殊である。
聞いたこともない職業なのでみんながドラゴンナイトとはなんだとざわついても仕方ない。
「そしてこいつが……」
トモナリは椅子の隣に置いていたリュックを机の上に置いた。
「俺のパートナーのヒカリだ」
「じゃじゃーん!」
「えっ!?」
「なんだよあれ!」
「危なくないの!?」
「結構可愛い……」
リュックの中からヒカリが飛び出してきてトモナリの後頭部にしがみつくように降り立った。
教室のざわつきが大きくなってトモナリの周りの生徒はヒカリを警戒するように少し離れる。
「落ち着きなさい。アイゼンさんのパートナーであるモンスターのヒカリさんはアカデミーの方でも認知している。アイゼンさんの支配下に置かれている安全なモンスターであり、アイゼンさんの能力の一部として認められています」
イリヤマが生徒たちを宥める。
ヒカリをどうするのかという問題はあったもののこの際アカデミーの中では大っぴらにしてしまう方が終末教も手を出しにくいだろうということになった。
「知能も高いので特別支障がない限りヒカリさんも一緒に授業を受けられることになった。すぐにというのは厳しいかもしれないけれど慣れてほしい」
アカデミー公認のモンスターパートナーということでヒカリも授業を受けられる措置まで取ってくれた。
これで常に一緒にいられるようになった。
「俺もヒカリも一緒によろしく」
「よろしくな!」
ヒカリに対する反応は様々。
多くの人が得体の知れないヒカリに対して引いているような感じだけど何人かは興味深そうにヒカリを見ていた。
トモナリが席に座るとヒカリはトモナリの膝に座った。
ヒカリによる一騒ぎはあったけれど自己紹介は続けられた。
「工藤サーシャです」
トモナリやコウと違ったざわつきが起こった。
立ち上がった女生徒の見た目は日本人ではなく外国人だった。
名前からしてもハーフなのだろうと思うのだけど、とにかく見た目が可愛らしい。
お人形さんのような美少女に男どものみならず他の女の子たちもザワザワとしている。
「職業は聖騎士です。みなさんと仲良くできたらと思います」
「聖騎士の……工藤サーシャ」
「トモナリ?」
なんだか聞いたことがある名前だった。
そしてすぐに思い出した。
73番目の試練ゲートにおいて仲間の覚醒者を逃がそうとして死んだ覚醒者がいた。
守護者とも呼ばれた聖騎士を職業として持つ覚醒者の名前がサーシャだったことをトモナリは記憶していた。
結局それも終末教が手を回した事故によるものでサーシャを知っている人たちは彼女が亡くなったことを悲しんでいた。
今はまだ覚醒したばかりだろうけれど未来における強力な覚醒者を一人見つけたとトモナリは思った。
「トモナリ君!」
ホームルームが終わった。
今日はこれで終了なのだけど教科書を受け取ってから寮に戻ることになっていた。
混雑を避けるために各クラスタイミングをずらして帰ることになっていて特進クラスは最後に帰るために教室待機しなければならない。
その間好きに交流を深めろとイリヤマが言って各々近くにいた人に話しかけ始めた。
しかしトモナリに話しかける人はいない。
ヒカリがいるせいなのか気にはなっているようだが話しかける勇気まではみんな出ないようである。
トモナリの様子を窺う空気の中でミズキがズンズンとトモナリの机のところまでやってきた。
バンと激しく机を叩きつけて険しい目を向ける。
「久しぶりだな」
「久しぶり、じゃない!」
「なんだよ……?」
まだミズキは怒っているのだけどトモナリにはその理由が分からない。
テッサイに挨拶はしたけれどタイミング悪くてミズキには挨拶できなかったことを怒っているのかと考えたりした。
「ずっと見てたのに気づかなかった」
「はぁ?」
「私はトモナリ君の事気づいたのに、トモナリ君私に気づかないんだもん!」
実はミズキの方は最初からトモナリのことに気がついていた。
だからずっと視線を送っていたのに肝心のトモナリの方はミズキのことに全く気がついていなかったのである。
だからミズキは怒っていた。
「あー……それはすまない」
「ヒカリちゃんは気づいてたんだもんね」
「うん、気づいてたぞ!」
「あっ、そうなのか?」
ヒカリはミズキに気づいていた。
ミズキが手を振ると小さく手を振りかえしていて、ミズキが口に指を当てて言わないようにとジェスチャーしたので黙っていた。
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