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第四章
ゴブリンは仇敵に会います6
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「カジアを殺そうとしたか?」
『なんだと? まさか! 戦士としての誇りは失ったかもしれないが人として失ってはいけないものはある。子供に手をかけるようなことはしない』
オゴンが怒りの表情を浮かべる。
違うとは分かりつつも聞いてみたけれど様子を見る限りウソはついていなさそうである。
『カジアになにかあったのか?』
それどころか何も知らないような感じがある。
「ヒューが死んだことは?」
『姉さんが……? そんな、俺は何も聞いてない……』
オゴンはショックを受けた様子で首を振る。
『だって……なんの連絡も…………なら、カジアは? あの子は1人で? いや、殺そうとしたか聞いたな……まさか、あの子は無事なのか!』
明らかに動揺し始めたオゴン。
ドゥゼアの目から見た時にオゴンの感情の揺れ動きは本物に見えた。
これが演技だったとしたら戦士ではなく演者としてでも生きていけるだろうとすら思える。
『答えてくれ! カジアは無事なのか? 俺は……カジオ兄さんにあの子を守ると誓ったのだ……』
『……ウソはついていなさそうだな』
お願いだから無事だと言ってほしいと目が言っている。
「生きている。今は俺たちが保護している」
『よかった……』
ホッとした表情を浮かべるオゴン。
とりあえずオゴンがカジアに対して危害を加えようとしたわけではないことは分かった。
『カジアに何があったんだ? 教えてほしい』
『教えた方がいいかもしれないな』
オゴンが敵でないことは分かった。
ならばカジアを預けてもいい。
何が起きているのか分かっていないようなので経緯は説明してやる必要がありそうだった。
しかしドゥゼアは思ったのだ、めんどくせえなと。
事情を説明することそのものではなく、全ての事情を地面に書いて説明することが非常に面倒に感じられたのである。
実際すごく面倒くさい。
時間もかかるし微妙なニュアンスを伝えにくい。
「説明はするが待ってほしい」
『なぜだ?』
「カジオに話してもらった方が説明が早い。だがカジオを呼び出すためには魔力が必要だ。回復するまで時間が欲しい」
『……なるほど』
オゴンもカジオが今どういった存在なのかなんとなく理解し始めた。
確かに地面に文字を書いて事情を説明するのも大変そうなことも理解した。
「その前にカジアを安全なところに移したい」
ただオゴンをぶら下げたまま魔力が回復するまで待つのも暇である。
ドゥゼアたちは理性的で人を襲わないが周りには人を襲う普通の魔物がいるのでカジアにとっても安全な環境とは言えない。
どこか身を寄せられる場所に移してあげたいと思った。
『俺の家に。外よりは安全だろう。君も……君たちもどうだ?』
「そうさせてもらおう。ただ先に俺の仲間を紹介しておく」
ドゥゼアがわざわざ俺たちという表現をしたのには訳がある。
ちゃんと仲間がいるということをほんのりと匂わせていたのだ。
おそらくオゴンはゴブリンのドゥゼアの仲間だからゴブリンだと思っているだろう。
いざ目の前に現れて攻撃でもされたらたまらないので冷静で縛られている間にみんなのことをお目見えしておく。
カジアにはちょっと待っているように言ってみんなをオゴンの前に連れて行く。
『……なんだと?』
オゴンは愕然としていた。
ドゥゼアと同じゴブリンのレビスはともかく、ワーウルフのユリディカとリザードマンのオルケという不思議パーティー。
しかもそれぞれ武器や防具まで身につけている。
ドゥゼアたちの正体についてオゴンの中でより謎が深まる。
「これが俺の仲間だ」
『この際全ての偏見を取り去ろう。むしろ周りの者より君たちの方が信用できるかもしれない』
カジアを助けようとしてくれている。
どんな種族、どんな見た目であれ、そのことは変わらない。
魔物ではあるが理性的に行動して対話によって解決を模索しているのだからオゴンから手を出す必要もない。
「じゃあ次はカジアに会わせよう」
『なんだと? まさか! 戦士としての誇りは失ったかもしれないが人として失ってはいけないものはある。子供に手をかけるようなことはしない』
オゴンが怒りの表情を浮かべる。
違うとは分かりつつも聞いてみたけれど様子を見る限りウソはついていなさそうである。
『カジアになにかあったのか?』
それどころか何も知らないような感じがある。
「ヒューが死んだことは?」
『姉さんが……? そんな、俺は何も聞いてない……』
オゴンはショックを受けた様子で首を振る。
『だって……なんの連絡も…………なら、カジアは? あの子は1人で? いや、殺そうとしたか聞いたな……まさか、あの子は無事なのか!』
明らかに動揺し始めたオゴン。
ドゥゼアの目から見た時にオゴンの感情の揺れ動きは本物に見えた。
これが演技だったとしたら戦士ではなく演者としてでも生きていけるだろうとすら思える。
『答えてくれ! カジアは無事なのか? 俺は……カジオ兄さんにあの子を守ると誓ったのだ……』
『……ウソはついていなさそうだな』
お願いだから無事だと言ってほしいと目が言っている。
「生きている。今は俺たちが保護している」
『よかった……』
ホッとした表情を浮かべるオゴン。
とりあえずオゴンがカジアに対して危害を加えようとしたわけではないことは分かった。
『カジアに何があったんだ? 教えてほしい』
『教えた方がいいかもしれないな』
オゴンが敵でないことは分かった。
ならばカジアを預けてもいい。
何が起きているのか分かっていないようなので経緯は説明してやる必要がありそうだった。
しかしドゥゼアは思ったのだ、めんどくせえなと。
事情を説明することそのものではなく、全ての事情を地面に書いて説明することが非常に面倒に感じられたのである。
実際すごく面倒くさい。
時間もかかるし微妙なニュアンスを伝えにくい。
「説明はするが待ってほしい」
『なぜだ?』
「カジオに話してもらった方が説明が早い。だがカジオを呼び出すためには魔力が必要だ。回復するまで時間が欲しい」
『……なるほど』
オゴンもカジオが今どういった存在なのかなんとなく理解し始めた。
確かに地面に文字を書いて事情を説明するのも大変そうなことも理解した。
「その前にカジアを安全なところに移したい」
ただオゴンをぶら下げたまま魔力が回復するまで待つのも暇である。
ドゥゼアたちは理性的で人を襲わないが周りには人を襲う普通の魔物がいるのでカジアにとっても安全な環境とは言えない。
どこか身を寄せられる場所に移してあげたいと思った。
『俺の家に。外よりは安全だろう。君も……君たちもどうだ?』
「そうさせてもらおう。ただ先に俺の仲間を紹介しておく」
ドゥゼアがわざわざ俺たちという表現をしたのには訳がある。
ちゃんと仲間がいるということをほんのりと匂わせていたのだ。
おそらくオゴンはゴブリンのドゥゼアの仲間だからゴブリンだと思っているだろう。
いざ目の前に現れて攻撃でもされたらたまらないので冷静で縛られている間にみんなのことをお目見えしておく。
カジアにはちょっと待っているように言ってみんなをオゴンの前に連れて行く。
『……なんだと?』
オゴンは愕然としていた。
ドゥゼアと同じゴブリンのレビスはともかく、ワーウルフのユリディカとリザードマンのオルケという不思議パーティー。
しかもそれぞれ武器や防具まで身につけている。
ドゥゼアたちの正体についてオゴンの中でより謎が深まる。
「これが俺の仲間だ」
『この際全ての偏見を取り去ろう。むしろ周りの者より君たちの方が信用できるかもしれない』
カジアを助けようとしてくれている。
どんな種族、どんな見た目であれ、そのことは変わらない。
魔物ではあるが理性的に行動して対話によって解決を模索しているのだからオゴンから手を出す必要もない。
「じゃあ次はカジアに会わせよう」
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