167 / 301
第四章
ゴブリンはゴブリンを連れて移動します3
しおりを挟む
少し休憩したドゥゼアたちはまたすぐに移動を始めた。
「ぱんぱかぱーん、バイジェルンであーる」
移動しているとバイジェルンがドゥゼアの方に乗っかった。
ドゥゼアたちの優秀な諜報員である。
「どうだった?」
「この辺りはオークだらけであーる。川の向こうも聞いてみたけど最近はオークばかりのようである。どうしてオークばかりになったのかは分からないである」
「そうか、ありがとう」
ドゥゼアは懐からオークの干し肉を取り出すとバイジェルンにあげる。
バイジェルンには周辺の魔物の調査をやってもらっていた。
小型の魔物というのはウサギなどのような狩りをして倒す魔物を指している。
意図する中に虫などの魔物はその中に含まれていないのだけど虫などまでに範囲を広げると虫はそこら中にいる。
むしろ天敵となる小型の魔物もいないので虫にとっては住み良い環境とまで言える。
もちろん小さいクモなんかもそうした虫の中に入る。
バイジェルンはそこら辺にいるクモたちに周辺の状況を聞いて情報を集めてくれているのだ。
バイジェルンによると周りにはやはりオークばかりがいるようである。
川の向こうだと状況は違わないかと期待したけれど川の向こうも似たような感じのようだ。
浅い川なのでオークならば渡るのも難しくない。
川を挟んで状況が変わることはひとまずないみたいである。
「モグモグ……少し前まではオークなんていなかったらしいである。どうしてこんなふうに増えたであるかね?」
「まあ魔物の生態系が変わることは珍しくない」
この広い世界では常に争いが起きている。
ナワバリ争いだったり、あるいは生きるために狩りをすることもある。
時には圧倒的強者の暇つぶしなこともあれば人間との衝突もある。
戦いが当事者だけで終わればいいのだけどそうもいかないことが多い。
ナワバリ争いなら負けた方は追い出されるし狩りから逃れるために遠く離れた地に行くこともある。
強い魔物や人間の影響があれば生息域が変わることも珍しくなく、そうなるとその周りの魔物だって影響を受けて生活が大きく変わってしまうのである。
オークも何かの影響を受けて本来いた生息域から逃げてきたのかもしれない。
仕方のないことであるその良し悪しなど論ずることは出来ないものであることは仕方ない。
何かがオークを追い出して、そしてそのオークに追い出されるような形で今はゴブリンたちが移動している。
大きな自然の小さな一部である。
「とりあえずまたある程度移動したら頼むよ」
「承知したである」
実際小型の魔物が周辺に繁殖しているかどうかを確かめるのは簡単なことではない。
バイジェルンのクモ情報網は非常に優秀でとても助かっている。
「それにしてもドゥゼア殿は不思議なゴブリンであるな」
「あ?」
「悪く言っているのでないである。別に他のゴブリンなんか助ける必要もないのによく助けると感心しているである」
一般的にバイジェルンの言うような考えの方が正しい。
それなりに助け合うこともあるとはいっても魔物は魔物。
わざわざ労力を割いて自分が所属もしていない群れのゴブリンを助ける必要なんてないのである。
それなら別に助けなくてもいいと思うのは魔物として当然のことなのである。
ただドゥゼアは普通のゴブリンとは違う。
もういつのことだったかも分からないけれど一応ドゥゼアは元々人であった。
かなり思考も魔物に染まってきてしまっているがどこかに人間っぽさがあるのは否めない。
「そうしたところも女王様に気に入られたのであるな~」
だけど別に多少変な思考をしていても魔物は気にしない。
むしろバイジェルンはそのことを面白いと思っている。
押し付けられたような仕事であるが今は色々旅もできるし美味いものももらえる。
さらには刺激的な経験も出来るのでいい役割を与えられたと満足している。
ただの小さいクモではあり得ないようなことをしているのだ。
「夜になる前にもう一体ぐらいオーク狩っておきたいな」
「じゃあ探してくるである!」
干し肉を食べ終わったバイジェルンは意気揚々とオークを探しに森の中に走っていってくれた。
レビスやユリディカも能力として役立ってくれているが実際の貢献度合いでいったらバイジェルンが1番かもしれないなとドゥゼアはふっと笑ったのであった。
「ぱんぱかぱーん、バイジェルンであーる」
移動しているとバイジェルンがドゥゼアの方に乗っかった。
ドゥゼアたちの優秀な諜報員である。
「どうだった?」
「この辺りはオークだらけであーる。川の向こうも聞いてみたけど最近はオークばかりのようである。どうしてオークばかりになったのかは分からないである」
「そうか、ありがとう」
ドゥゼアは懐からオークの干し肉を取り出すとバイジェルンにあげる。
バイジェルンには周辺の魔物の調査をやってもらっていた。
小型の魔物というのはウサギなどのような狩りをして倒す魔物を指している。
意図する中に虫などの魔物はその中に含まれていないのだけど虫などまでに範囲を広げると虫はそこら中にいる。
むしろ天敵となる小型の魔物もいないので虫にとっては住み良い環境とまで言える。
もちろん小さいクモなんかもそうした虫の中に入る。
バイジェルンはそこら辺にいるクモたちに周辺の状況を聞いて情報を集めてくれているのだ。
バイジェルンによると周りにはやはりオークばかりがいるようである。
川の向こうだと状況は違わないかと期待したけれど川の向こうも似たような感じのようだ。
浅い川なのでオークならば渡るのも難しくない。
川を挟んで状況が変わることはひとまずないみたいである。
「モグモグ……少し前まではオークなんていなかったらしいである。どうしてこんなふうに増えたであるかね?」
「まあ魔物の生態系が変わることは珍しくない」
この広い世界では常に争いが起きている。
ナワバリ争いだったり、あるいは生きるために狩りをすることもある。
時には圧倒的強者の暇つぶしなこともあれば人間との衝突もある。
戦いが当事者だけで終わればいいのだけどそうもいかないことが多い。
ナワバリ争いなら負けた方は追い出されるし狩りから逃れるために遠く離れた地に行くこともある。
強い魔物や人間の影響があれば生息域が変わることも珍しくなく、そうなるとその周りの魔物だって影響を受けて生活が大きく変わってしまうのである。
オークも何かの影響を受けて本来いた生息域から逃げてきたのかもしれない。
仕方のないことであるその良し悪しなど論ずることは出来ないものであることは仕方ない。
何かがオークを追い出して、そしてそのオークに追い出されるような形で今はゴブリンたちが移動している。
大きな自然の小さな一部である。
「とりあえずまたある程度移動したら頼むよ」
「承知したである」
実際小型の魔物が周辺に繁殖しているかどうかを確かめるのは簡単なことではない。
バイジェルンのクモ情報網は非常に優秀でとても助かっている。
「それにしてもドゥゼア殿は不思議なゴブリンであるな」
「あ?」
「悪く言っているのでないである。別に他のゴブリンなんか助ける必要もないのによく助けると感心しているである」
一般的にバイジェルンの言うような考えの方が正しい。
それなりに助け合うこともあるとはいっても魔物は魔物。
わざわざ労力を割いて自分が所属もしていない群れのゴブリンを助ける必要なんてないのである。
それなら別に助けなくてもいいと思うのは魔物として当然のことなのである。
ただドゥゼアは普通のゴブリンとは違う。
もういつのことだったかも分からないけれど一応ドゥゼアは元々人であった。
かなり思考も魔物に染まってきてしまっているがどこかに人間っぽさがあるのは否めない。
「そうしたところも女王様に気に入られたのであるな~」
だけど別に多少変な思考をしていても魔物は気にしない。
むしろバイジェルンはそのことを面白いと思っている。
押し付けられたような仕事であるが今は色々旅もできるし美味いものももらえる。
さらには刺激的な経験も出来るのでいい役割を与えられたと満足している。
ただの小さいクモではあり得ないようなことをしているのだ。
「夜になる前にもう一体ぐらいオーク狩っておきたいな」
「じゃあ探してくるである!」
干し肉を食べ終わったバイジェルンは意気揚々とオークを探しに森の中に走っていってくれた。
レビスやユリディカも能力として役立ってくれているが実際の貢献度合いでいったらバイジェルンが1番かもしれないなとドゥゼアはふっと笑ったのであった。
6
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~
暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。
しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。
もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる