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第三章
ゴブリンは狩りをします3
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「オルケ出番だ!」
「お任せください!」
考えていたのはオルケの魔法の活用であった。
オルケは基本的に火を使うのだけど生前は火だけじゃなく色々な属性の基礎を修めていた。
発展レベルの魔法は理論だけ学んだのみで使えないのだけど基礎的なものなら割と広く扱えた。
焚き火の火をつけてもらうのはもちろんなのだけど他の属性も役立ちそうだと考えている。
「まずは水!」
「はい!」
ドゥゼアはオルケの前にオーク肉を並べた。
オルケがお肉に手を伸ばして意識を集中させる。
「ぬううぅ!」
そしてお肉に魔力を集めるとお肉からジワーっと水が染み出してくる。
ぽわりと宙に赤い肉の汁が浮かび上がる。
ドゥゼアが考えていたのは肉の長期保存方法だった。
煙でいぶしたりするもののそれでも結局長いこと持ちはしない。
やはりもう少し長持ちさせたいのだけどのんびりと肉を干して干し肉にするような時間もないし、干し肉にするための大量に使える塩なんかもない。
そこで二つの方法を考えた。
「食べていい?」
「ああ、いいぞ」
「ぱく……!」
「美味いか?」
「うん!」
「そうか」
浮かび上がった肉の汁を眺めているユリディカ。
ユリディカは生でのお肉も好きなので肉の汁も美味しいらしい。
ドゥゼアが今オルケにやってもらおうとしているのは強制乾燥肉である。
どうしても塩が自由に使えないのでのんびり乾燥させていると傷んでしまったりして上手く乾燥肉ならない。
なので魔法で無理矢理水分を抜いてみようと思った。
水が抜けて長持ちしてくれるならありがたい。
乾燥しているなら持ち運びもしやすいし良いことが多い。
オルケには3段階の水抜き肉を作ってもらった。
とりあえず軽くの範囲で出来る水抜きからちょっと頑張ってもらったものまで3種類。
「半生……って感じだな」
無理がなく軽く水を抜いてもらったものを指先で突いてみると柔らかさがある。
表面的な水分は抜けたようであるがまだ中には水分が残っているようだ。
もう少し薄めに切ってみればよかったかなと思ったのでもう少し小さくスライスするようにして水を抜きやすくしたものも軽く水を抜いてもらった。
水を抜いたものをさらに半分に切って様子を見つつ、半分はさらに自然乾燥させてみることにもした。
「ふむ……ま、色々試してみるか」
魔法で水抜いただけで上手くいくなんて考えてはいない。
どこかにあるだろう効率の良いところを探していくことにしてのんびりとやっていく。
「次はちょっと期待している」
「やりますよ!」
乾燥肉はまあ思いつきのようなもの。
本命は次である。
「これぐらいならいけそうか?」
「任せてください」
乾燥実験に使ったのとは別のお肉をオルケの前に置く。
オルケはまたお肉に向かって手を伸ばして集中する。
「はああああっ!」
今度はオルケの手から冷気が飛んでいく。
「おー」
レビスが感心したように拍手を送る。
オルケの魔法によってお肉は凍らされてしまった。
「ふふん!」
どこか誇らしげなオルケ。
魔法で役に立ったり褒められたりすると非常に嬉しそうにする。
ドゥゼアがお肉を突いてみるとカチカチである。
しっかり凍っている。
これがドゥゼアのやりたかったことである。
物を凍らせることによって長持ちさせる方法があると聞いたことがある。
氷を作ってもらって冷やして運ぼうかとも思ったけれど氷と肉を持ち運ぶのは面倒だし場所を取るので直接凍らせてもらうことにした。
オルケの魔力があれば溶けてきてもまた凍らせられるので凍った状態をキープすることもできる。
「乾燥と冷凍。何が良いかは様子見だな」
とりあえず実験はここまでとする。
「ドゥゼアは色々考えるね」
「うんうん」
様々なことを試してみるドゥゼアにユリディカとレビスはひどく感心している。
たとえ1箇所に落ち着いたとしても狩りが成功にしなければお腹をすかしたままその日を終えることもある。
それに比べてドゥゼアと一緒にいると空腹で悲しくなることはない。
獲物を見つけては上手くみんなに指示を出して狩りも高い確率で成功させる。
たまには失敗することもあるけどちゃんと前の狩りのものだったりを残していてご飯抜きとはならない。
今もさらに食べ物の持ちを良くして食料事情の更なる改善を図ろうとしている。
仲間を飢えさせない。
これもまた優秀で賢いオスの証である。
「俺も食べるのは好きだからな」
人よりもさらに娯楽のない魔物にあって性に乱れるのでなければ唯一の楽しみは食事ぐらいのもの。
改善工夫できるのならやるだけやってみる。
「この辺り、肉……オークがいるならもう少しのんびり目に移動して実験をしてみてもいいかもな」
それにオーク肉は美味い。
オークなら倒せることもわかったし移動は続けるが少しペースを落としてオークを狩りつつ移動してもいいかもしれないと思った。
「さんせー!」
ユリディカもオーク肉は気に入っていた。
ステーキも美味しかったしもう少し食べていたいと思った。
ということで次の日もオーク探しをすることにした。
「お任せください!」
考えていたのはオルケの魔法の活用であった。
オルケは基本的に火を使うのだけど生前は火だけじゃなく色々な属性の基礎を修めていた。
発展レベルの魔法は理論だけ学んだのみで使えないのだけど基礎的なものなら割と広く扱えた。
焚き火の火をつけてもらうのはもちろんなのだけど他の属性も役立ちそうだと考えている。
「まずは水!」
「はい!」
ドゥゼアはオルケの前にオーク肉を並べた。
オルケがお肉に手を伸ばして意識を集中させる。
「ぬううぅ!」
そしてお肉に魔力を集めるとお肉からジワーっと水が染み出してくる。
ぽわりと宙に赤い肉の汁が浮かび上がる。
ドゥゼアが考えていたのは肉の長期保存方法だった。
煙でいぶしたりするもののそれでも結局長いこと持ちはしない。
やはりもう少し長持ちさせたいのだけどのんびりと肉を干して干し肉にするような時間もないし、干し肉にするための大量に使える塩なんかもない。
そこで二つの方法を考えた。
「食べていい?」
「ああ、いいぞ」
「ぱく……!」
「美味いか?」
「うん!」
「そうか」
浮かび上がった肉の汁を眺めているユリディカ。
ユリディカは生でのお肉も好きなので肉の汁も美味しいらしい。
ドゥゼアが今オルケにやってもらおうとしているのは強制乾燥肉である。
どうしても塩が自由に使えないのでのんびり乾燥させていると傷んでしまったりして上手く乾燥肉ならない。
なので魔法で無理矢理水分を抜いてみようと思った。
水が抜けて長持ちしてくれるならありがたい。
乾燥しているなら持ち運びもしやすいし良いことが多い。
オルケには3段階の水抜き肉を作ってもらった。
とりあえず軽くの範囲で出来る水抜きからちょっと頑張ってもらったものまで3種類。
「半生……って感じだな」
無理がなく軽く水を抜いてもらったものを指先で突いてみると柔らかさがある。
表面的な水分は抜けたようであるがまだ中には水分が残っているようだ。
もう少し薄めに切ってみればよかったかなと思ったのでもう少し小さくスライスするようにして水を抜きやすくしたものも軽く水を抜いてもらった。
水を抜いたものをさらに半分に切って様子を見つつ、半分はさらに自然乾燥させてみることにもした。
「ふむ……ま、色々試してみるか」
魔法で水抜いただけで上手くいくなんて考えてはいない。
どこかにあるだろう効率の良いところを探していくことにしてのんびりとやっていく。
「次はちょっと期待している」
「やりますよ!」
乾燥肉はまあ思いつきのようなもの。
本命は次である。
「これぐらいならいけそうか?」
「任せてください」
乾燥実験に使ったのとは別のお肉をオルケの前に置く。
オルケはまたお肉に向かって手を伸ばして集中する。
「はああああっ!」
今度はオルケの手から冷気が飛んでいく。
「おー」
レビスが感心したように拍手を送る。
オルケの魔法によってお肉は凍らされてしまった。
「ふふん!」
どこか誇らしげなオルケ。
魔法で役に立ったり褒められたりすると非常に嬉しそうにする。
ドゥゼアがお肉を突いてみるとカチカチである。
しっかり凍っている。
これがドゥゼアのやりたかったことである。
物を凍らせることによって長持ちさせる方法があると聞いたことがある。
氷を作ってもらって冷やして運ぼうかとも思ったけれど氷と肉を持ち運ぶのは面倒だし場所を取るので直接凍らせてもらうことにした。
オルケの魔力があれば溶けてきてもまた凍らせられるので凍った状態をキープすることもできる。
「乾燥と冷凍。何が良いかは様子見だな」
とりあえず実験はここまでとする。
「ドゥゼアは色々考えるね」
「うんうん」
様々なことを試してみるドゥゼアにユリディカとレビスはひどく感心している。
たとえ1箇所に落ち着いたとしても狩りが成功にしなければお腹をすかしたままその日を終えることもある。
それに比べてドゥゼアと一緒にいると空腹で悲しくなることはない。
獲物を見つけては上手くみんなに指示を出して狩りも高い確率で成功させる。
たまには失敗することもあるけどちゃんと前の狩りのものだったりを残していてご飯抜きとはならない。
今もさらに食べ物の持ちを良くして食料事情の更なる改善を図ろうとしている。
仲間を飢えさせない。
これもまた優秀で賢いオスの証である。
「俺も食べるのは好きだからな」
人よりもさらに娯楽のない魔物にあって性に乱れるのでなければ唯一の楽しみは食事ぐらいのもの。
改善工夫できるのならやるだけやってみる。
「この辺り、肉……オークがいるならもう少しのんびり目に移動して実験をしてみてもいいかもな」
それにオーク肉は美味い。
オークなら倒せることもわかったし移動は続けるが少しペースを落としてオークを狩りつつ移動してもいいかもしれないと思った。
「さんせー!」
ユリディカもオーク肉は気に入っていた。
ステーキも美味しかったしもう少し食べていたいと思った。
ということで次の日もオーク探しをすることにした。
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