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第三章
ゴブリンはお宝奪取を目論みます4
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作戦はこうだ。
まずはオルケの魔法でアイアンテールウィーゼルを島の反対側に誘き寄せる。
その隙にドゥゼアが宝箱まで全速力で走る。
そして宝箱を掴んだら釣りのようにユリディカに引っ張ってもらうのだ。
ドゥゼア一本釣り大作戦。
「本当に上手くいく……?」
「……さあな」
正直かなり不確定要素が大きい作戦である。
しかしレビスも頑張ってくれたのだし、みんなも必死に木を切った。
ここで引くわけにもいかない。
ドゥゼアが走っている時にはオルケに魔法を放ってもらって支援してもらったりユリディカに強化してもらったりと成功率を高める努力はする。
「よし、やってみよう」
失敗すれば死ぬかもしれない。
けれどリスクを恐れてばかりいては何も掴むことなど出来ないのだ。
「これは確実な安全のためですから!」
みんなして丸太の上を移動して島の近くまで行く。
オルケは立つ練習もしていたのだけどまだバランスを崩す可能性があった。
超重水に落ちれば終わりなのでここは無理をしないで丸太にしがみついて移動していた。
「オルケ頼むぞ」
「はい!」
ここで落ちられたら困る。
レビスに作ってもらった鉄の棒を適当に丸太に突き刺して支えとしてオルケは立っている。
オルケが魔法で火の玉を作り出して高めに浮かせる。
それをドゥゼアたちがいるところから島の反対側に飛ばす。
宝箱を守っていたアイアンテールウィーゼルたちはその火の玉を追いかけていく。
ここまでは作戦通り。
「少しだけ島の内側に火の玉を移動させてくれ」
「分かった」
火の玉を移動させるともちろんアイアンテールウィーゼルもついて移動する。
ドゥゼアは深呼吸を繰り返して緊張をどうにかほぐそうとする。
けれどいくら心臓に落ち着けと言っても早くなる鼓動はゆっくりにならない。
仕方ないのでそのまま行くしかない。
ピョンとドゥゼアがジャンプして島に移動する。
アイアンテールウィーゼルの行動原理上より宝箱に近いものを狙う。
島の端に降り立ったドゥゼアよりも少し内側に移動させた火の玉の方が宝箱に近いのでそちらの方に注意は向いている。
「ユリディカ、強化を頼む」
「おまかせ!」
ユリディカが手を伸ばしてドゥゼアを強化する。
いつもよりも強く強化をかけてもらう。
体が急に軽くなったようにも感じられる。
「行くぞ!
3……2……1……今だ!」
ドゥゼアが宝箱に向かって走り出す。
その瞬間火の玉よりもドゥゼアの方が宝箱に近くなってアイアンテールウィーゼルの顔がドゥゼアに向いた。
「食らえ!」
オルケは火の玉を操ってアイアンテールウィーゼルの頭にぶつけた。
派手に爆発するがアイアンテールウィーゼルにダメージはない。
少しでも視界を邪魔してドゥゼアに向かうまでの時間を稼ごうというのだ。
「遠い……!」
見ている限りは近かった。
おそらく何もなかったらすぐに辿り着くような距離。
なのに遠く感じる。
爆発の煙の中からアイアンテールウィーゼルが飛び出して走り始めるのが見えている。
宝箱まであと少しなのにそれが焦りから遙かなる距離に感じられる。
先に宝箱にたどり着いたのは、ドゥゼアだった。
「ユリディカー!」
宝箱に飛びついて抱きつくように手を回す。
顔を宝箱に打ち付けてしまったけれどそんなこと気にしていられない。
ドゥゼアが叫びユリディカが思い切りドゥゼアにロープがつながった鉄の棒を引く。
「ぐっ!」
腰に巻き付けたのでなかなかの衝撃があるけれど歯を食いしばって耐える。
「わわっ、とっ!」
「ユリディカ!」
全力で引っ張りすぎた。
狭くてバランスの取りにくい丸太の上、ユリディカは勢いによって足を踏み外してしまった。
「なああああっ!」
「にん!」
とっさにオルケが立ち上がってユリディカの毛皮を倒れないようにと両手で鷲掴みにする。
オルケ自身は尻尾を丸太に巻き付けて落ちないようにバランスを取っている。
ユリディカもユリディカでチクートを身につけた爪を丸太に突き立てて落下を回避する。
「お、おいっ!」
なんとか片手でドゥゼアが繋がる棒を持っているけれど運悪く吊り下げられた形になったドゥゼアの下には威嚇するように声を出すアイアンテールウィーゼル。
少しでも誰かがバランスを崩したらみんな落ちて死んでしまう。
「う、うおおっ!?」
急に引っ張られてドゥゼアは変な声を出してしまう。
「だぁー!
止まらないー!」
ユリディカが必死に話すまいとしている鉄の棒の反対側が超重水に触れてしまった。
その瞬間水の中に引き込む力がかかった。
ユリディカの手を滑って鉄の棒が水の中に飲み込まれる。
このままではドゥゼアも水の中に引き込まれてしまう。
「やあっ!」
レビスは槍を振った。
振られた槍は水の中に引き込まれる鉄の棒にぶち当たった。
レビスは金属を操る能力を発動させる。
途中で金属を途切れさせて鉄の棒を2つに両断させた。
「だああああっ!」
しかし引き込まれる力のかかったドゥゼアはそれで止まるはずがない。
「ユリディカ、俺を投げろ!」
そのまま飛んでいけばユリディカにぶつかる。
バランスを崩したユリディカにぶつかればもろとも水の中に落下だ。
まずはオルケの魔法でアイアンテールウィーゼルを島の反対側に誘き寄せる。
その隙にドゥゼアが宝箱まで全速力で走る。
そして宝箱を掴んだら釣りのようにユリディカに引っ張ってもらうのだ。
ドゥゼア一本釣り大作戦。
「本当に上手くいく……?」
「……さあな」
正直かなり不確定要素が大きい作戦である。
しかしレビスも頑張ってくれたのだし、みんなも必死に木を切った。
ここで引くわけにもいかない。
ドゥゼアが走っている時にはオルケに魔法を放ってもらって支援してもらったりユリディカに強化してもらったりと成功率を高める努力はする。
「よし、やってみよう」
失敗すれば死ぬかもしれない。
けれどリスクを恐れてばかりいては何も掴むことなど出来ないのだ。
「これは確実な安全のためですから!」
みんなして丸太の上を移動して島の近くまで行く。
オルケは立つ練習もしていたのだけどまだバランスを崩す可能性があった。
超重水に落ちれば終わりなのでここは無理をしないで丸太にしがみついて移動していた。
「オルケ頼むぞ」
「はい!」
ここで落ちられたら困る。
レビスに作ってもらった鉄の棒を適当に丸太に突き刺して支えとしてオルケは立っている。
オルケが魔法で火の玉を作り出して高めに浮かせる。
それをドゥゼアたちがいるところから島の反対側に飛ばす。
宝箱を守っていたアイアンテールウィーゼルたちはその火の玉を追いかけていく。
ここまでは作戦通り。
「少しだけ島の内側に火の玉を移動させてくれ」
「分かった」
火の玉を移動させるともちろんアイアンテールウィーゼルもついて移動する。
ドゥゼアは深呼吸を繰り返して緊張をどうにかほぐそうとする。
けれどいくら心臓に落ち着けと言っても早くなる鼓動はゆっくりにならない。
仕方ないのでそのまま行くしかない。
ピョンとドゥゼアがジャンプして島に移動する。
アイアンテールウィーゼルの行動原理上より宝箱に近いものを狙う。
島の端に降り立ったドゥゼアよりも少し内側に移動させた火の玉の方が宝箱に近いのでそちらの方に注意は向いている。
「ユリディカ、強化を頼む」
「おまかせ!」
ユリディカが手を伸ばしてドゥゼアを強化する。
いつもよりも強く強化をかけてもらう。
体が急に軽くなったようにも感じられる。
「行くぞ!
3……2……1……今だ!」
ドゥゼアが宝箱に向かって走り出す。
その瞬間火の玉よりもドゥゼアの方が宝箱に近くなってアイアンテールウィーゼルの顔がドゥゼアに向いた。
「食らえ!」
オルケは火の玉を操ってアイアンテールウィーゼルの頭にぶつけた。
派手に爆発するがアイアンテールウィーゼルにダメージはない。
少しでも視界を邪魔してドゥゼアに向かうまでの時間を稼ごうというのだ。
「遠い……!」
見ている限りは近かった。
おそらく何もなかったらすぐに辿り着くような距離。
なのに遠く感じる。
爆発の煙の中からアイアンテールウィーゼルが飛び出して走り始めるのが見えている。
宝箱まであと少しなのにそれが焦りから遙かなる距離に感じられる。
先に宝箱にたどり着いたのは、ドゥゼアだった。
「ユリディカー!」
宝箱に飛びついて抱きつくように手を回す。
顔を宝箱に打ち付けてしまったけれどそんなこと気にしていられない。
ドゥゼアが叫びユリディカが思い切りドゥゼアにロープがつながった鉄の棒を引く。
「ぐっ!」
腰に巻き付けたのでなかなかの衝撃があるけれど歯を食いしばって耐える。
「わわっ、とっ!」
「ユリディカ!」
全力で引っ張りすぎた。
狭くてバランスの取りにくい丸太の上、ユリディカは勢いによって足を踏み外してしまった。
「なああああっ!」
「にん!」
とっさにオルケが立ち上がってユリディカの毛皮を倒れないようにと両手で鷲掴みにする。
オルケ自身は尻尾を丸太に巻き付けて落ちないようにバランスを取っている。
ユリディカもユリディカでチクートを身につけた爪を丸太に突き立てて落下を回避する。
「お、おいっ!」
なんとか片手でドゥゼアが繋がる棒を持っているけれど運悪く吊り下げられた形になったドゥゼアの下には威嚇するように声を出すアイアンテールウィーゼル。
少しでも誰かがバランスを崩したらみんな落ちて死んでしまう。
「う、うおおっ!?」
急に引っ張られてドゥゼアは変な声を出してしまう。
「だぁー!
止まらないー!」
ユリディカが必死に話すまいとしている鉄の棒の反対側が超重水に触れてしまった。
その瞬間水の中に引き込む力がかかった。
ユリディカの手を滑って鉄の棒が水の中に飲み込まれる。
このままではドゥゼアも水の中に引き込まれてしまう。
「やあっ!」
レビスは槍を振った。
振られた槍は水の中に引き込まれる鉄の棒にぶち当たった。
レビスは金属を操る能力を発動させる。
途中で金属を途切れさせて鉄の棒を2つに両断させた。
「だああああっ!」
しかし引き込まれる力のかかったドゥゼアはそれで止まるはずがない。
「ユリディカ、俺を投げろ!」
そのまま飛んでいけばユリディカにぶつかる。
バランスを崩したユリディカにぶつかればもろとも水の中に落下だ。
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