142 / 301
第三章
ゴブリンはお宝奪取を目論みます2
しおりを挟む
ひとまずこれで島までのルートは確保した。
あとはどう宝箱を奪うかであるがこれも一応考えてある。
「一度戻る……大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶですぅ」
元来た方に戻ろうと思ったのだけどそこにはオルケが丸太にしがみついているので通れない。
ドゥゼアは小さくため息をつくと逆方向に歩き出す。
時には体のバランスが悪いのかバランス感覚の悪いゴブリンの体だったこともある。
だからオルケの気持ちも分からなくない。
オルケはゆっくりと丸太にしがみついたまま移動する。
「んじゃ準備して宝箱を奪うか」
反対岸に辿り着いたドゥゼアとユリディカは湖の縁を歩いて休んでいるレビスのところまで戻ってきた。
「どうだ?」
体力回復のために焚き火で肉を焼いて食べていたレビスに声をかける。
「うーん……まだダメ」
魔力不足も最初のように使い果たしたりはしない。
全身の気だるさぐらいでとどめているけれど魔力不足の症状まで出ると中々回復してこない。
しかし宝箱を奪う準備にもレビスの力は必要である。
焦るものでもないしのんびり回復を待つ。
「ひーん!
みんな待ってよぅ!」
そうしている間になんとか丸太を渡り切ってオルケも走って戻ってくる。
ちゃんと見える位置ではあるので放っておいても大丈夫だろうと思っていた。
「その体もバランス感覚は悪くなさそうなのにな」
「うぅ……私が悪いんですぅ!」
オルケに水筒を渡してやる。
「んく……ぷはっ、もう中身無くなっちゃったよ」
持ってみて軽いなとは思ったけれどとうとう空になってしまった。
みんなで木を切りながらここに留まっているので水がなくなるのも早い。
「……汲んでくるか」
水がないのは困る。
肉はどうにか手に入れられるが水は無理。
超重水は汲むこともできないので外に出て水を汲んでこなきゃならない。
レビスの魔力の回復も考えると水を汲みに行ってもいいだろう。
「レビス、オルケ、ここで待っててくれ。
ユリディカ、行くぞ」
「あいあいさー!」
「えっ」
「お留守番ですかー?」
「そうだ」
見張りが必要だと。
ダンジョンの中がどうなるのかドゥゼアにもよく分かっていない。
少し目を話した隙にこの丸太の橋が綺麗さっぱりリセットされてしまう可能性もある。
それが目を話したら起こるのか、離れたら起こるのか、あるいはみんながダンジョンから離れたら起こるのか、もしかしたらしばらく維持されることだって十分ありうる。
だが少なくとも誰かがいれば簡単に丸太の橋がなくなることはないだろう。
誰かと言っても1人だけでは魔物が出た時に対処が困難ななるかもしれない。
だからドゥゼアとユリディカ、レビスとオルケに分けた。
移動には危険が伴う。
ユリディカがいれば早めに敵の存在を感知できるし強化や治療をすることができる。
地図を把握しているのはドゥゼア。
移動の素早さを考えて、迷子にならないことを考えるとユリディカとドゥゼアの組み合わせがいい。
そして湖の周りは木が少ない。
見晴らしが良くて敵の接近にも気が付きやすい。
オルケの魔法も使いやすくてレビスの槍でも戦いやすい。
レビスそのものも休ませてあげたいしこの分け方がベストである。
「まあ危なくなったら逃げろ。
戦うにしても無理はするなよ」
「ん……分かった」
やや不満そうなレビス。
「少し水を汲んでくるだけだ。
ここを任せたぞ」
不満は分かるがしょうがない。
ドゥゼアはユリディカと共にダンジョンの出入り口となっている家を目指す。
「ドゥ、ゼア、っと、2人っきり~」
ユリディカはドゥゼアと共に行動できることが嬉しそう。
ルンタッタしているユリディカと真っ直ぐに出入り口に向かう。
真っ直ぐに向かえばそう遠い距離でもない。
「ユリディカは楽しいか?」
「んー?
うん、すごく楽しいよ」
「危険な目にあったりしているが……それでもか?」
「確かにたくさん危険な状況になったりしてるけど生きてる!って感じがする!」
ダンジョンの中にいて頭に響く声に従って戦わされていた時とは大きく違う。
あの時も危ない時はあったけど戦うしかなく傷つけることも傷つくことも嫌だった。
今だって傷つくことは嫌だけど戦いもみんなと協力したり考えて戦うことは楽しい。
「辛くないのならそれでいい」
「ドゥゼアといれて私は幸せだよ?」
パッタパッタとユリディカの尻尾が振られる。
なんとなくだけどユリディカのいたダンジョンからユリディカを任されたような感じがしていた。
だからって行動を変えるつもりはないがユリディカが苦痛に感じているなら平穏に暮らせる場所を探すことだっていとわない。
「もっと色々見てみたい……ドゥゼアとレビスと、オルケも一緒ならいいな」
「お前は優しいな」
ドゥゼアが手を伸ばすとユリディカは立ち止まって腰をかがめて頭を差し出す。
撫でてやるとより強く尻尾が振られて目を細めて気持ちよさそうにする。
レビスも魔物にしては割と変な性格をしているがユリディカも変だ。
けなしているわけではなくて明るくて前向きなあまり魔物としては見ない良い性格をしているのだ。
あとはどう宝箱を奪うかであるがこれも一応考えてある。
「一度戻る……大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶですぅ」
元来た方に戻ろうと思ったのだけどそこにはオルケが丸太にしがみついているので通れない。
ドゥゼアは小さくため息をつくと逆方向に歩き出す。
時には体のバランスが悪いのかバランス感覚の悪いゴブリンの体だったこともある。
だからオルケの気持ちも分からなくない。
オルケはゆっくりと丸太にしがみついたまま移動する。
「んじゃ準備して宝箱を奪うか」
反対岸に辿り着いたドゥゼアとユリディカは湖の縁を歩いて休んでいるレビスのところまで戻ってきた。
「どうだ?」
体力回復のために焚き火で肉を焼いて食べていたレビスに声をかける。
「うーん……まだダメ」
魔力不足も最初のように使い果たしたりはしない。
全身の気だるさぐらいでとどめているけれど魔力不足の症状まで出ると中々回復してこない。
しかし宝箱を奪う準備にもレビスの力は必要である。
焦るものでもないしのんびり回復を待つ。
「ひーん!
みんな待ってよぅ!」
そうしている間になんとか丸太を渡り切ってオルケも走って戻ってくる。
ちゃんと見える位置ではあるので放っておいても大丈夫だろうと思っていた。
「その体もバランス感覚は悪くなさそうなのにな」
「うぅ……私が悪いんですぅ!」
オルケに水筒を渡してやる。
「んく……ぷはっ、もう中身無くなっちゃったよ」
持ってみて軽いなとは思ったけれどとうとう空になってしまった。
みんなで木を切りながらここに留まっているので水がなくなるのも早い。
「……汲んでくるか」
水がないのは困る。
肉はどうにか手に入れられるが水は無理。
超重水は汲むこともできないので外に出て水を汲んでこなきゃならない。
レビスの魔力の回復も考えると水を汲みに行ってもいいだろう。
「レビス、オルケ、ここで待っててくれ。
ユリディカ、行くぞ」
「あいあいさー!」
「えっ」
「お留守番ですかー?」
「そうだ」
見張りが必要だと。
ダンジョンの中がどうなるのかドゥゼアにもよく分かっていない。
少し目を話した隙にこの丸太の橋が綺麗さっぱりリセットされてしまう可能性もある。
それが目を話したら起こるのか、離れたら起こるのか、あるいはみんながダンジョンから離れたら起こるのか、もしかしたらしばらく維持されることだって十分ありうる。
だが少なくとも誰かがいれば簡単に丸太の橋がなくなることはないだろう。
誰かと言っても1人だけでは魔物が出た時に対処が困難ななるかもしれない。
だからドゥゼアとユリディカ、レビスとオルケに分けた。
移動には危険が伴う。
ユリディカがいれば早めに敵の存在を感知できるし強化や治療をすることができる。
地図を把握しているのはドゥゼア。
移動の素早さを考えて、迷子にならないことを考えるとユリディカとドゥゼアの組み合わせがいい。
そして湖の周りは木が少ない。
見晴らしが良くて敵の接近にも気が付きやすい。
オルケの魔法も使いやすくてレビスの槍でも戦いやすい。
レビスそのものも休ませてあげたいしこの分け方がベストである。
「まあ危なくなったら逃げろ。
戦うにしても無理はするなよ」
「ん……分かった」
やや不満そうなレビス。
「少し水を汲んでくるだけだ。
ここを任せたぞ」
不満は分かるがしょうがない。
ドゥゼアはユリディカと共にダンジョンの出入り口となっている家を目指す。
「ドゥ、ゼア、っと、2人っきり~」
ユリディカはドゥゼアと共に行動できることが嬉しそう。
ルンタッタしているユリディカと真っ直ぐに出入り口に向かう。
真っ直ぐに向かえばそう遠い距離でもない。
「ユリディカは楽しいか?」
「んー?
うん、すごく楽しいよ」
「危険な目にあったりしているが……それでもか?」
「確かにたくさん危険な状況になったりしてるけど生きてる!って感じがする!」
ダンジョンの中にいて頭に響く声に従って戦わされていた時とは大きく違う。
あの時も危ない時はあったけど戦うしかなく傷つけることも傷つくことも嫌だった。
今だって傷つくことは嫌だけど戦いもみんなと協力したり考えて戦うことは楽しい。
「辛くないのならそれでいい」
「ドゥゼアといれて私は幸せだよ?」
パッタパッタとユリディカの尻尾が振られる。
なんとなくだけどユリディカのいたダンジョンからユリディカを任されたような感じがしていた。
だからって行動を変えるつもりはないがユリディカが苦痛に感じているなら平穏に暮らせる場所を探すことだっていとわない。
「もっと色々見てみたい……ドゥゼアとレビスと、オルケも一緒ならいいな」
「お前は優しいな」
ドゥゼアが手を伸ばすとユリディカは立ち止まって腰をかがめて頭を差し出す。
撫でてやるとより強く尻尾が振られて目を細めて気持ちよさそうにする。
レビスも魔物にしては割と変な性格をしているがユリディカも変だ。
けなしているわけではなくて明るくて前向きなあまり魔物としては見ない良い性格をしているのだ。
6
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~
暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。
しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。
もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる