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第三章
ゴブリンはダンジョンに向かいます1
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ダンジョンとは何か。
その答えを持ち合わせているものはいない。
ダンジョンそのもの、あるいは神であるなら答えられるかもしれない。
誰かは言った。それは魔物であると。
誰かは言った。それは神のイタズラであると。
どうして魔物が生まれ、どうして道具が生まれるのか。
永遠の謎であり、きっと誰にも解き明かすことができない。
「ダダダダンジョーン」
「さすがだな、バイジェルン」
人に見つかっていないもので安全に行ける場所にあるものという条件でのんびりとバイジェルンにダンジョンを探してもらっていた。
ダンジョンもそこら中にあるものじゃない。
かつ人に見つかっていないとなるとかなり範囲が狭まる。
そんな中でもバイジェルンはクモの情報網を駆使してダンジョンの情報も集めてくれていた。
ほとんどが人に見つかっていたり、もう攻略されて消滅してしまっているものもあった。
アンテナを広く張っていたバイジェルンはとうとう人にまだ発見されていないダンジョンの情報をキャッチした。
魔物は基本的にダンジョンに入らない。
だから中がどんなダンジョンなのかは入ってみるまでわからない。
「あとは途中に魔物に寛容な国があればいいんだけどな」
ひとまず目的地は出来た。
ダンジョンがあるという方に向かって移動しているのだけど小さい目標も達成できるなら達成はしたい。
オルケの強い希望で装備、というか服が欲しいというか話になった。
ドゥゼアにとっては分からない話ではない。
長いゴブリン生活で希薄になってきてしまったけれど流石にモロ出しでは恥ずかしいぐらいの意識はある。
今は適当に布を巻いて隠しているが本当に外から見えないように隠しているだけである。
あまり小綺麗な格好をしては魔物として目立つので避けるべきだが多少の服や装備をつけていることも時々ある。
特にリザードマンだと冒険者から奪った装備品を身につけていることも普通にあるので少なくともオルケは装備や服を身に付けてもいいだろう。
ついでにリザードマンには魔人であるものもいる。
人の生活に溶け込みはしないが人と争わないように生活圏を分けて水辺の管理をなどをしているリザードマンが少数ながらいる。
魔人、魔物に寛容な国があればオルケなら買い物ぐらいできる可能性がある。
買い物したいだけならゲコットを呼びつけてもいいがかなり移動しているので待っていたらいつ来るかも分からない。
「まあ服については我慢してくれ」
「もうちょっとだけ……なんとかなればなぁ」
オルケは視線を落として自分の体を見る。
白いリザードマンというのは不思議な個体であるが体は綺麗だとオルケ自身は思っている。
元々の人間の体では胸なんてほとんどなくて成長も見込めなかったが意外と胸もある。
だから恥ずかしいところがある。
今はただ布を巻き付けるだけではなくシカの魔物を狩って取った毛皮を体に巻きつけている。
布よりもいくらか面積が大きく隠れている感がある。
この毛皮はドゥゼアが煙でいぶしたりなんかして作ってくれた手作りなのであるがなんせ素人がなんとなく聞きかじった知識で作ったものだから質は良くない。
最初は優しいのね、なんて思っていたけど段々とごわついた感触が気になってきた。
それでも着けるけどやっぱり服は欲しい。
「可愛い服とは言わないけどぉ……」
せめてローブの1つくらいあったら全然違うのにと嘆きは止まらない。
「そのまんまでも可愛いんだから我慢してくれ」
「う……まあ、そういうなら?」
クルクルとオルケの尻尾の先が丸くなる。
割と顔でも感情がわかりやすいオルケであるが感情が顔だけでなく尻尾にも出る。
不機嫌になるとパシンパシンと地面を叩いていたり、ご機嫌になると尻尾の先がクルクルと巻かれて丸くなる。
可愛いというのもあながち機嫌を取るための嘘でもない。
リザードマンの顔なんてよく見る機会がなかった上に他で出会うものは敵対関係にあるものになる。
ゴブリンでリザードマンに出会った経験など一度だけだったが険しい顔をしていた印象しかない。
今このようにしてリザードマンの顔を見ると案外愛嬌がある。
表情も分かるし嫌悪感のようなものは一切ない。
長らく見た目的に良くないゴブリンだったからかもしれないが十分に可愛いんじゃないかとドゥゼアには思えてきた。
ただまあオルケも褒められて満更でもないのだ。
「なんだ?」
そんな様子を見ていたユリディカがドゥゼアの肩をつついた。
どうしたのかと振り返ると期待したような目でドゥゼアのことを見つめながら自分のことを指差している。
「もちろんユリディカも可愛いぞ」
すばやく意図を感じ取ったドゥゼアがユリディカを褒める。
するとユリディカの尻尾がパタパタと振られる。
こちらもこちらで感情が尻尾に出ていてわかりやすい。
褒めてほしいとストレートに表現してくるところも面倒でなくていい。
ウジウジとされるぐらいならこのようにすっぱり言ってくれた方が楽。
「ん」
「ん。
レビスも可愛いな」
お次はレビス。
予想していたのでこちらはすんなりと褒めて頭でも撫でてやる。
レビスは表情に出にくいがこれだけ一緒にいれば分かってくる。
あとはレビスの場合は嬉しいとちょっと耳が動く。
その答えを持ち合わせているものはいない。
ダンジョンそのもの、あるいは神であるなら答えられるかもしれない。
誰かは言った。それは魔物であると。
誰かは言った。それは神のイタズラであると。
どうして魔物が生まれ、どうして道具が生まれるのか。
永遠の謎であり、きっと誰にも解き明かすことができない。
「ダダダダンジョーン」
「さすがだな、バイジェルン」
人に見つかっていないもので安全に行ける場所にあるものという条件でのんびりとバイジェルンにダンジョンを探してもらっていた。
ダンジョンもそこら中にあるものじゃない。
かつ人に見つかっていないとなるとかなり範囲が狭まる。
そんな中でもバイジェルンはクモの情報網を駆使してダンジョンの情報も集めてくれていた。
ほとんどが人に見つかっていたり、もう攻略されて消滅してしまっているものもあった。
アンテナを広く張っていたバイジェルンはとうとう人にまだ発見されていないダンジョンの情報をキャッチした。
魔物は基本的にダンジョンに入らない。
だから中がどんなダンジョンなのかは入ってみるまでわからない。
「あとは途中に魔物に寛容な国があればいいんだけどな」
ひとまず目的地は出来た。
ダンジョンがあるという方に向かって移動しているのだけど小さい目標も達成できるなら達成はしたい。
オルケの強い希望で装備、というか服が欲しいというか話になった。
ドゥゼアにとっては分からない話ではない。
長いゴブリン生活で希薄になってきてしまったけれど流石にモロ出しでは恥ずかしいぐらいの意識はある。
今は適当に布を巻いて隠しているが本当に外から見えないように隠しているだけである。
あまり小綺麗な格好をしては魔物として目立つので避けるべきだが多少の服や装備をつけていることも時々ある。
特にリザードマンだと冒険者から奪った装備品を身につけていることも普通にあるので少なくともオルケは装備や服を身に付けてもいいだろう。
ついでにリザードマンには魔人であるものもいる。
人の生活に溶け込みはしないが人と争わないように生活圏を分けて水辺の管理をなどをしているリザードマンが少数ながらいる。
魔人、魔物に寛容な国があればオルケなら買い物ぐらいできる可能性がある。
買い物したいだけならゲコットを呼びつけてもいいがかなり移動しているので待っていたらいつ来るかも分からない。
「まあ服については我慢してくれ」
「もうちょっとだけ……なんとかなればなぁ」
オルケは視線を落として自分の体を見る。
白いリザードマンというのは不思議な個体であるが体は綺麗だとオルケ自身は思っている。
元々の人間の体では胸なんてほとんどなくて成長も見込めなかったが意外と胸もある。
だから恥ずかしいところがある。
今はただ布を巻き付けるだけではなくシカの魔物を狩って取った毛皮を体に巻きつけている。
布よりもいくらか面積が大きく隠れている感がある。
この毛皮はドゥゼアが煙でいぶしたりなんかして作ってくれた手作りなのであるがなんせ素人がなんとなく聞きかじった知識で作ったものだから質は良くない。
最初は優しいのね、なんて思っていたけど段々とごわついた感触が気になってきた。
それでも着けるけどやっぱり服は欲しい。
「可愛い服とは言わないけどぉ……」
せめてローブの1つくらいあったら全然違うのにと嘆きは止まらない。
「そのまんまでも可愛いんだから我慢してくれ」
「う……まあ、そういうなら?」
クルクルとオルケの尻尾の先が丸くなる。
割と顔でも感情がわかりやすいオルケであるが感情が顔だけでなく尻尾にも出る。
不機嫌になるとパシンパシンと地面を叩いていたり、ご機嫌になると尻尾の先がクルクルと巻かれて丸くなる。
可愛いというのもあながち機嫌を取るための嘘でもない。
リザードマンの顔なんてよく見る機会がなかった上に他で出会うものは敵対関係にあるものになる。
ゴブリンでリザードマンに出会った経験など一度だけだったが険しい顔をしていた印象しかない。
今このようにしてリザードマンの顔を見ると案外愛嬌がある。
表情も分かるし嫌悪感のようなものは一切ない。
長らく見た目的に良くないゴブリンだったからかもしれないが十分に可愛いんじゃないかとドゥゼアには思えてきた。
ただまあオルケも褒められて満更でもないのだ。
「なんだ?」
そんな様子を見ていたユリディカがドゥゼアの肩をつついた。
どうしたのかと振り返ると期待したような目でドゥゼアのことを見つめながら自分のことを指差している。
「もちろんユリディカも可愛いぞ」
すばやく意図を感じ取ったドゥゼアがユリディカを褒める。
するとユリディカの尻尾がパタパタと振られる。
こちらもこちらで感情が尻尾に出ていてわかりやすい。
褒めてほしいとストレートに表現してくるところも面倒でなくていい。
ウジウジとされるぐらいならこのようにすっぱり言ってくれた方が楽。
「ん」
「ん。
レビスも可愛いな」
お次はレビス。
予想していたのでこちらはすんなりと褒めて頭でも撫でてやる。
レビスは表情に出にくいがこれだけ一緒にいれば分かってくる。
あとはレビスの場合は嬉しいとちょっと耳が動く。
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