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第二章
ゴブリンはスケルトンナイトを追いかけます2
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バイジェルンの案内を頼りにコイチャを連れて行ったと思われるリッチを追いかける。
大変なのかもしれないがバイジェルンは頑張ってくれた。
リッチは魔力も強くて目立つので周辺のクモたちによる目撃情報も多い。
目撃情報を元にして追いかける分にはそれほど困ったことにはならなかった。
「急ぎましょう!」
「そう焦るな」
「ですが!」
「永遠にどこかに逃げ回るわけじゃないだろう。
きっとどこか目的地があってそこにむかっているはずだからそのうち追いつくだろう」
むしろ焦って追いかけることによって他の魔物に遭遇してしまうことの方が危険だ。
周りを警戒してバレないように追いかけないとドゥゼアたちの方が襲われてしまう。
それに不眠不休で追いかけて体力がなければそれもまた危険を増す要素となる。
しかし相手はただの誘拐犯ではない。
何かの目的があってドゥゼアを連れて行ったのだと予想ができる。
そうなるとどこか連れて行く目的の地があるはずである。
どう取り戻すかは別として見失わなければ追いかけて追いつくことは可能である。
そもそも相手はリッチとスケルトン。
アンデッドであるので一日中だって歩ける。
相手も移動を続ける中で追いつくことは無理に近い。
バイジェルンが情報を集める時間も必要となる。
休み休み無理がかかりすぎない範囲で追いかけるのが正解である。
ただピュアンの焦る気持ちというものも理解できないものじゃない。
でも大切に思うならばこそしっかりと進めるべきなのだ。
ピュアンも疲れない体で寝ることもないのが余計に拍車をかけるのかもしれない。
「しかしなんでまた骨師匠を連れて行っただろう?」
勝手にコイチャのことを骨師匠と呼んでいるユリディカは首を傾げた。
夜も更けて周辺に強い魔物もいないというので休むことにした。
移動している間にはあまり考え事はしないのだけど止まると色々と考えてしまうのは仕方のないことである。
リッチがアンデッド系統の魔物に対する支配的な力を持っていることはドゥゼアの説明でユリディカとレビスは理解した。
けれどわざわざコイチャを連れて行く理由はわからない。
「強いから」
ユリディカの疑問にレビスはレビスなりの答えをぶつけた。
単純にコイチャが魔物としても強いからリッチが連れて行ったと考えた。
「うん、意外とない話でもないと思うぞ」
シンプルで分かりやすい理由だが魔物の考える行動の理由など意外と単純な原因であることも多い。
怒ったから、なんて人の世界では非難されそうな理由でも魔物の世界なら普通にあり得ることなのだ。
当然理性的な魔物であるほどそうした衝動的な理由で行動することは少なくなるがたまたま強いとされるコイチャの話をリッチが耳にして部下にしにきたのかもしれない。
バイジェルンにはリッチに関する調査もお願いした。
ただ単に追いかけるだけじゃなく目的や向かう先が分かれば先回りできるかもしれないと思ったのである。
「勝手に連れて行くなんて許せません!
コイチャも付いてくなんて!」
ピュアンは怒っているがコイチャにほとんど意識がない以上リッチの支配的な力に抗うことは難しい。
「しかしリッチかぁ……」
もし仮に戦闘になったらとドゥゼアはため息をつく。
リッチはかなり強大な魔物である。
単体戦闘力でも強いのだけどやはり強みはアンデッド系に対する支配力だ。
痛みも疲れも感じない不死の軍団を操るリッチは非常に高いレベルの脅威度を誇る。
リッチが本気になれば国に対抗することもあり得ない話ではないのだ。
通常のスケルトン1体だって多分結構ギリギリなドゥゼアたち。
スケルトンを倒すには強い物理力か魔法、あるいは神聖力と呼ばれる神の力が必要となる。
「……」
「何?」
ユリディカがもっと卓越していればその力は神聖力のようなものなのではと思った。
ドゥゼアに見つめられてテレテレする今のユリディカにはちょっと無理そうであるが。
「ともかく見失わないように追いかけるのが優先だな」
そうしてリッチを追いかけるドゥゼアたち一行であったがその道程は思いの外楽だった。
というのも見たところリッチはコソコソとする性格じゃないようで堂々と魔物のナワバリの真ん中も突っ切って進んでいた。
そのためなのか他の魔物がナワバリを守ろうとリッチに襲いかかったのだけど容易く返り討ちにされていた。
「おおぅ……」
惨殺された魔物の死体を見てドゥゼアも思わず声を漏らす。
痕跡としては魔法でやられたらしい魔物の死体が追いかける中で転がっていた。
リッチは手をつけていないがもったいないので魔石をいただいたりしながら追いかけて行く。
こんなことになっているのなら追いかける方向としては合っている。
ついでにバイジェルンからリッチが数体のスケルトンを連れていたということも情報としてキャッチした。
走ったりしないで歩いているのでペースとしては遅いがリッチの方は昼夜問わずに移動しているので中々差は縮まならない。
「ジャンジャカジャーン!
情報を捕まえたであーる!」
この追跡劇において大きな役割を果たしているのはバイジェルン。
常に動き回って情報を集めてくれている。
そんなバイジェルンが別のクモを連れて戻ってきた。
大変なのかもしれないがバイジェルンは頑張ってくれた。
リッチは魔力も強くて目立つので周辺のクモたちによる目撃情報も多い。
目撃情報を元にして追いかける分にはそれほど困ったことにはならなかった。
「急ぎましょう!」
「そう焦るな」
「ですが!」
「永遠にどこかに逃げ回るわけじゃないだろう。
きっとどこか目的地があってそこにむかっているはずだからそのうち追いつくだろう」
むしろ焦って追いかけることによって他の魔物に遭遇してしまうことの方が危険だ。
周りを警戒してバレないように追いかけないとドゥゼアたちの方が襲われてしまう。
それに不眠不休で追いかけて体力がなければそれもまた危険を増す要素となる。
しかし相手はただの誘拐犯ではない。
何かの目的があってドゥゼアを連れて行ったのだと予想ができる。
そうなるとどこか連れて行く目的の地があるはずである。
どう取り戻すかは別として見失わなければ追いかけて追いつくことは可能である。
そもそも相手はリッチとスケルトン。
アンデッドであるので一日中だって歩ける。
相手も移動を続ける中で追いつくことは無理に近い。
バイジェルンが情報を集める時間も必要となる。
休み休み無理がかかりすぎない範囲で追いかけるのが正解である。
ただピュアンの焦る気持ちというものも理解できないものじゃない。
でも大切に思うならばこそしっかりと進めるべきなのだ。
ピュアンも疲れない体で寝ることもないのが余計に拍車をかけるのかもしれない。
「しかしなんでまた骨師匠を連れて行っただろう?」
勝手にコイチャのことを骨師匠と呼んでいるユリディカは首を傾げた。
夜も更けて周辺に強い魔物もいないというので休むことにした。
移動している間にはあまり考え事はしないのだけど止まると色々と考えてしまうのは仕方のないことである。
リッチがアンデッド系統の魔物に対する支配的な力を持っていることはドゥゼアの説明でユリディカとレビスは理解した。
けれどわざわざコイチャを連れて行く理由はわからない。
「強いから」
ユリディカの疑問にレビスはレビスなりの答えをぶつけた。
単純にコイチャが魔物としても強いからリッチが連れて行ったと考えた。
「うん、意外とない話でもないと思うぞ」
シンプルで分かりやすい理由だが魔物の考える行動の理由など意外と単純な原因であることも多い。
怒ったから、なんて人の世界では非難されそうな理由でも魔物の世界なら普通にあり得ることなのだ。
当然理性的な魔物であるほどそうした衝動的な理由で行動することは少なくなるがたまたま強いとされるコイチャの話をリッチが耳にして部下にしにきたのかもしれない。
バイジェルンにはリッチに関する調査もお願いした。
ただ単に追いかけるだけじゃなく目的や向かう先が分かれば先回りできるかもしれないと思ったのである。
「勝手に連れて行くなんて許せません!
コイチャも付いてくなんて!」
ピュアンは怒っているがコイチャにほとんど意識がない以上リッチの支配的な力に抗うことは難しい。
「しかしリッチかぁ……」
もし仮に戦闘になったらとドゥゼアはため息をつく。
リッチはかなり強大な魔物である。
単体戦闘力でも強いのだけどやはり強みはアンデッド系に対する支配力だ。
痛みも疲れも感じない不死の軍団を操るリッチは非常に高いレベルの脅威度を誇る。
リッチが本気になれば国に対抗することもあり得ない話ではないのだ。
通常のスケルトン1体だって多分結構ギリギリなドゥゼアたち。
スケルトンを倒すには強い物理力か魔法、あるいは神聖力と呼ばれる神の力が必要となる。
「……」
「何?」
ユリディカがもっと卓越していればその力は神聖力のようなものなのではと思った。
ドゥゼアに見つめられてテレテレする今のユリディカにはちょっと無理そうであるが。
「ともかく見失わないように追いかけるのが優先だな」
そうしてリッチを追いかけるドゥゼアたち一行であったがその道程は思いの外楽だった。
というのも見たところリッチはコソコソとする性格じゃないようで堂々と魔物のナワバリの真ん中も突っ切って進んでいた。
そのためなのか他の魔物がナワバリを守ろうとリッチに襲いかかったのだけど容易く返り討ちにされていた。
「おおぅ……」
惨殺された魔物の死体を見てドゥゼアも思わず声を漏らす。
痕跡としては魔法でやられたらしい魔物の死体が追いかける中で転がっていた。
リッチは手をつけていないがもったいないので魔石をいただいたりしながら追いかけて行く。
こんなことになっているのなら追いかける方向としては合っている。
ついでにバイジェルンからリッチが数体のスケルトンを連れていたということも情報としてキャッチした。
走ったりしないで歩いているのでペースとしては遅いがリッチの方は昼夜問わずに移動しているので中々差は縮まならない。
「ジャンジャカジャーン!
情報を捕まえたであーる!」
この追跡劇において大きな役割を果たしているのはバイジェルン。
常に動き回って情報を集めてくれている。
そんなバイジェルンが別のクモを連れて戻ってきた。
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