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第二章
ゴブリンは猫の話を聞きます3
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ピュアンは死ぬ寸前まで自身のパートナーであるコイチャという男性と共に破壊の神の手から逃げていた。
けれどピュアンは大きなケガを負い、もはや逃げられないというところでコイチャはピュアンを逃がそうと1人残ったのだ。
ピュアンは無事であった小さい神殿に逃げ込み、そこで猫の石像に魂が移ることになるのだけどコイチャは妻であり聖女であるピュアンを守ろうと必死に戦った。
自分を失い、命が尽きても敵を押しとどめようとしたコイチャはその強い意志と無念の思いによってアンデッドとなった。
とある渓谷で進もうとする人を阻むアンデッドがいる。
それはコイチャがアンデッドとなったものだった。
「これはアリドナラル様も、神の使命も関係ない私のわがままなお願いです。
ですが死んでなお私のために敵を止めようとするあの人を……救ってほしいのです」
「どうするかは、ユリディカ、お前が決めろ」
いかにも助けてあげたくなる話だけど実際問題この話の関係者の立場にすらドゥゼアはいない。
助けるべきがどうか判断するのは教えを乞うユリディカだ。
ユリディカが助けると判断するならこの話の関係者であるユリディカの関係者ぐらいにはなる。
しかしドゥゼアがやるぞとはとてもじゃないけど言えない。
「もしお断りになられてもお教えはしますけど……」
ピュアンはしょんぼりしたように頭を下げている。
石像の猫なのでやや感情が分かりにくいところがある。
神の使命である以上引き受けてくれなきゃ教えないとは出来ない。
だからただしと言って交換条件ぽくは言ったもののお願いに近いのだ。
「わ、私が決めるの?」
「そうだ。
教えてもらうのはお前なんだからお前が決めろ」
「や、やるって言ったらドゥゼアとレビスは手伝ってくれる……?」
「もちろん!」
レビスは鼻息荒く答える。
珍しくドゥゼアに追従するのではなくレビス自身でユリディカを助けると答えた。
もうレビスの中ではユリディカは大切な仲間。
ドゥゼアを取り合ってるライバルだけどいなくなれなんて思わず、いなきゃもうダメなのだ。
「俺も当然、手伝うさ」
「レビス……ドゥゼア……!」
ユリディカの目が感動でうるむ。
「私、やるよ!
ピュアンのつがい助けてあげる!」
「み、みなさん……!」
どこか違った雰囲気を感じていた。
ただの魔物とはなんだか異なった不思議な感じをドゥゼアたちからピュアンは受けていた。
知性的で理性的。
凶暴性がなくて優しさがある。
どうしてアリドナラルが魔物を力の後継者に選んだのか分からなかったけれどこうして話してみると理由がわかる気がした。
半ば魔物のような形に姿を変えて魔物の世界にも見た目以上の社会性のようなものがあることは知ったがドゥゼアたちはその中でもより心を持っていると思った。
特にドゥゼアと呼ばれているゴブリンはゴブリンっぽくないなとピュアンは見ていて感じる。
周りの意見を尊重する態度もレビスやユリディカが従っていそうなところまでリーダーシップもある。
そこらへんの人間よりもよほど賢い。
「それじゃあ次の目標はピュアンの夫であったコイチャを止めてやることだな。
それでどこにいるんだ?」
「……ええと」
「まさか分からないとは言わないよな?」
ドゥゼアの圧力にピュアンがジリジリと後ろに下がる。
ここまで来て実は場所知りませんだと話にならない。
「ば、場所は知っているのですけど……」
「けど?」
「ここからだとどうやって行ったらいいのか」
「なんでだよ?
ならそもそもどうやってここまで?」
「ここまでは神のお導きによって来たのです。
そのため逆に帰りの道が分からなく……」
神の声に導かれてピュアンはここまでやって来た。
その時は夢中で走り、気づいたらここにいた。
そのためにどこをどう走って来たのか覚えていなかった。
ここに来る前はコイチャの近くにいたはずなのだけど走って来た道が思い出せない。
「バイジェルン!」
「はいはいである」
ドゥゼアが名を呼ぶとクモが現れた。
道案内をしてくれていたドゥゼア担当のクモである。
名前はバイジェルンと言って結構カッコいい感じのお名前してるのだ。
実は古代遺跡にもついて来ていた。
「話は聞いていただろ?
そのアンデッドの場所まで案内してくれないか?」
「分かったである。
調べるから時間が欲しいであーる」
「じゃあ頼むぞ」
「任せるである」
バイジェルンは早速カサカサとどこかに行ってしまった。
近くのクモと情報共有に行ったのだ。
「あとはあいつに任せよう。
そうだな……先に力の使い方を教えてやってくれないか?」
バイジェルンが戻ってくるまで動けない。
どの道少し休みながら今後を考えようとしていたので周辺に留まることにする。
「あの人を止めるためにも必要になりますものね。
そんなに難しいものでもありませんので少しずつ支えようにしていきましょう」
「はい!」
これからの目標は決まったしユリディカという大きな戦力がさらに強くなりそうだ。
ドゥゼアもなんか良い魔道具でも手に入らないかなとちょっとだけ羨ましい気持ちであった。
けれどピュアンは大きなケガを負い、もはや逃げられないというところでコイチャはピュアンを逃がそうと1人残ったのだ。
ピュアンは無事であった小さい神殿に逃げ込み、そこで猫の石像に魂が移ることになるのだけどコイチャは妻であり聖女であるピュアンを守ろうと必死に戦った。
自分を失い、命が尽きても敵を押しとどめようとしたコイチャはその強い意志と無念の思いによってアンデッドとなった。
とある渓谷で進もうとする人を阻むアンデッドがいる。
それはコイチャがアンデッドとなったものだった。
「これはアリドナラル様も、神の使命も関係ない私のわがままなお願いです。
ですが死んでなお私のために敵を止めようとするあの人を……救ってほしいのです」
「どうするかは、ユリディカ、お前が決めろ」
いかにも助けてあげたくなる話だけど実際問題この話の関係者の立場にすらドゥゼアはいない。
助けるべきがどうか判断するのは教えを乞うユリディカだ。
ユリディカが助けると判断するならこの話の関係者であるユリディカの関係者ぐらいにはなる。
しかしドゥゼアがやるぞとはとてもじゃないけど言えない。
「もしお断りになられてもお教えはしますけど……」
ピュアンはしょんぼりしたように頭を下げている。
石像の猫なのでやや感情が分かりにくいところがある。
神の使命である以上引き受けてくれなきゃ教えないとは出来ない。
だからただしと言って交換条件ぽくは言ったもののお願いに近いのだ。
「わ、私が決めるの?」
「そうだ。
教えてもらうのはお前なんだからお前が決めろ」
「や、やるって言ったらドゥゼアとレビスは手伝ってくれる……?」
「もちろん!」
レビスは鼻息荒く答える。
珍しくドゥゼアに追従するのではなくレビス自身でユリディカを助けると答えた。
もうレビスの中ではユリディカは大切な仲間。
ドゥゼアを取り合ってるライバルだけどいなくなれなんて思わず、いなきゃもうダメなのだ。
「俺も当然、手伝うさ」
「レビス……ドゥゼア……!」
ユリディカの目が感動でうるむ。
「私、やるよ!
ピュアンのつがい助けてあげる!」
「み、みなさん……!」
どこか違った雰囲気を感じていた。
ただの魔物とはなんだか異なった不思議な感じをドゥゼアたちからピュアンは受けていた。
知性的で理性的。
凶暴性がなくて優しさがある。
どうしてアリドナラルが魔物を力の後継者に選んだのか分からなかったけれどこうして話してみると理由がわかる気がした。
半ば魔物のような形に姿を変えて魔物の世界にも見た目以上の社会性のようなものがあることは知ったがドゥゼアたちはその中でもより心を持っていると思った。
特にドゥゼアと呼ばれているゴブリンはゴブリンっぽくないなとピュアンは見ていて感じる。
周りの意見を尊重する態度もレビスやユリディカが従っていそうなところまでリーダーシップもある。
そこらへんの人間よりもよほど賢い。
「それじゃあ次の目標はピュアンの夫であったコイチャを止めてやることだな。
それでどこにいるんだ?」
「……ええと」
「まさか分からないとは言わないよな?」
ドゥゼアの圧力にピュアンがジリジリと後ろに下がる。
ここまで来て実は場所知りませんだと話にならない。
「ば、場所は知っているのですけど……」
「けど?」
「ここからだとどうやって行ったらいいのか」
「なんでだよ?
ならそもそもどうやってここまで?」
「ここまでは神のお導きによって来たのです。
そのため逆に帰りの道が分からなく……」
神の声に導かれてピュアンはここまでやって来た。
その時は夢中で走り、気づいたらここにいた。
そのためにどこをどう走って来たのか覚えていなかった。
ここに来る前はコイチャの近くにいたはずなのだけど走って来た道が思い出せない。
「バイジェルン!」
「はいはいである」
ドゥゼアが名を呼ぶとクモが現れた。
道案内をしてくれていたドゥゼア担当のクモである。
名前はバイジェルンと言って結構カッコいい感じのお名前してるのだ。
実は古代遺跡にもついて来ていた。
「話は聞いていただろ?
そのアンデッドの場所まで案内してくれないか?」
「分かったである。
調べるから時間が欲しいであーる」
「じゃあ頼むぞ」
「任せるである」
バイジェルンは早速カサカサとどこかに行ってしまった。
近くのクモと情報共有に行ったのだ。
「あとはあいつに任せよう。
そうだな……先に力の使い方を教えてやってくれないか?」
バイジェルンが戻ってくるまで動けない。
どの道少し休みながら今後を考えようとしていたので周辺に留まることにする。
「あの人を止めるためにも必要になりますものね。
そんなに難しいものでもありませんので少しずつ支えようにしていきましょう」
「はい!」
これからの目標は決まったしユリディカという大きな戦力がさらに強くなりそうだ。
ドゥゼアもなんか良い魔道具でも手に入らないかなとちょっとだけ羨ましい気持ちであった。
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