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第一章
ゴブリンは猿と蜘蛛の仲介をします1
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治療魔法を修めていて魔力がそれなりの量があれば杖は治療魔法の効果を最大化させてくれる能力を持つのだろう。
そのためにアラクネが倒したことを自慢したくなるほど高い治癒能力を見せたのだろう。
しかしゴブリンにも猿にも治癒魔法を扱えるものなどいない。
魔力量だけなら猿にも扱えそうであるが神聖魔法に属する治療魔法は魔物には基本的に扱えない。
ただこの杖のこれだけではなかった。
所有者を保護する力も杖は持っている。
魔力の強化と若干の身体能力強化、そして自己治癒能力が杖にあった。
魔法の補助をしてくれるだけの道具でなくかなり良い魔道具である。
ひとまずドゥゼアが目をつけたのは杖の自己治癒能力だった。
「何とも奇妙な……」
「見た目が奇妙だろうと大事なのは最大限に活かすことだからな」
ドゥゼアは杖を地面に置いて周りにケガをした猿を並べさせた。
そしてそれぞれの猿に手を伸ばさせて杖を掴ませたのである。
地面に寝転んだ猿たちがみんなして杖に手を伸ばしている様はとてもおかしなものであるがドゥゼアは杖の自己治癒能力で猿を治そうと考えた。
しかし1体1体に杖を持たせて治していたのでは時間がかかり過ぎてしまう。
そんなことをしている間にまた蛇が来てしまう可能性もある。
そこで考え出した方法がこれだった。
杖を触ってさえいれば効果は得られるようなので出来るだけ多くの猿を集めて杖に触らせた。
効果の程に懐疑的だった猿たちであるが杖を握った猿の顔色が良くなってくるとドゥゼアが正しかったのだと認めた。
そして杖のおかげでケガはおおよそ治ってケガで死ぬ猿はもういなさそうになった。
だが問題はまだ残っていた。
「クンクン……やや酸っぱいような臭い……傷の化膿の仕方……」
ドゥゼアは1体の猿を診ていた。
問題とは毒である。
蛇に噛まれてしまった猿は体が毒に冒されている。
杖の効果は体のケガなどの回復にしか及ばず、毒の治療までしてくれない。
このまま何の対策も取らないまま放置しておけばそのうち毒で死んでしまうだろう。
杖を抱えていれば乗り切れる可能性もあるけどそれで乗り切れる保証はないしずっと杖を触ったままともいかない。
治せる、あるいは軽減できる毒なら試してみるしかない。
ドゥゼアには毒の知識があった。
これは人間の時のものではない。
ゴブリンになってから身につけたものである。
力が弱くて物理的な手段では強敵に対抗することができないと思ったドゥゼアは何とかしようと方法を考えた。
その中の一つが毒を活用することである。
しかしゴブリンに毒の知識を伝授してくれるものなどいない。
何回目かの転生の時にたまたま倒した冒険者がたまたま毒に関する本を持っていたのである。
その時のゴブ生で生まれた地域に毒草が多くて図鑑のようなものとして持っていたみたいだった。
ドゥゼアは本を隅から隅まで読んで実際に毒草を採取して試した。
確か最終的には毒ゴブリンなどと呼ばれて恐れられたものである。
調子に乗りすぎて強い冒険者に討伐されてしまったけれども。
これまでも毒の知識を活用してきたことは多い。
今回のゴブ生では有用な毒草が近くになかったので使うことがなかったけれど久々に役に立ちそうだ。
蛇系の魔物の毒も細かく分けてしまうと色々あるのだけど大きく分けると数種類に分類できる。
中には分けられないものもあってそれはドゥゼアにもどうしようもないがこの蛇の毒はドゥゼアの知識にあった。
「杖の治癒能力と合わせると毒を乗り越えることができるかもな」
「本当なのか!?」
完全な解毒薬を作るのには設備なんかも足りない。
しかし毒の効果を抑えて杖の治療も加えればやや毒に耐性のある猿たちなら乗り越えられる。
「必要な薬草がある」
「薬草?
何がいる?」
「ミザラの花だ」
「ミ、ミザラ?
どんなものだ?」
「赤いつぼみのような花を咲かせる植物で……どこかで」
毒の治療薬を作るのにはミザラという植物の花が必要だった。
真っ赤な小さいつぼみのような可愛らしい花を咲かせることが特徴的で意外とそこら辺にも生えていたりする。
ドゥゼアはそのミザラがどこかに生えていたのを見たような気がするのだけど思い出せない。
「私見た!
アラクネの巣の近くにあったよ!」
「えっ?」
「確かアラクネの巣から少し歩いたところにそんな感じの花があった」
尻尾を激しく振っているユリディカが手を上げてアピールする。
冒険が楽しかったユリディカはキョロキョロと周りのものを見て回っていた。
その時にアラクネの巣の近くにミザラの花っぽいものがあったのを覚えていた。
ドゥゼアもそれを聞いて思い出した。
確かにアラクネの巣の近くであった。
「……うーん」
ただアラクネの巣の近くというのは結構問題である。
こっそりミザラの花を採りに行くのはおそらく不可能だ。
杖もなしに戻っていったら何しにきたんだとなるし、杖を持っていけばきっと戻してもらえない。
杖を取り戻すためですと説明して聞いてもらえるものかどうかかなり微妙なラインである。
正直怖い。
そのためにアラクネが倒したことを自慢したくなるほど高い治癒能力を見せたのだろう。
しかしゴブリンにも猿にも治癒魔法を扱えるものなどいない。
魔力量だけなら猿にも扱えそうであるが神聖魔法に属する治療魔法は魔物には基本的に扱えない。
ただこの杖のこれだけではなかった。
所有者を保護する力も杖は持っている。
魔力の強化と若干の身体能力強化、そして自己治癒能力が杖にあった。
魔法の補助をしてくれるだけの道具でなくかなり良い魔道具である。
ひとまずドゥゼアが目をつけたのは杖の自己治癒能力だった。
「何とも奇妙な……」
「見た目が奇妙だろうと大事なのは最大限に活かすことだからな」
ドゥゼアは杖を地面に置いて周りにケガをした猿を並べさせた。
そしてそれぞれの猿に手を伸ばさせて杖を掴ませたのである。
地面に寝転んだ猿たちがみんなして杖に手を伸ばしている様はとてもおかしなものであるがドゥゼアは杖の自己治癒能力で猿を治そうと考えた。
しかし1体1体に杖を持たせて治していたのでは時間がかかり過ぎてしまう。
そんなことをしている間にまた蛇が来てしまう可能性もある。
そこで考え出した方法がこれだった。
杖を触ってさえいれば効果は得られるようなので出来るだけ多くの猿を集めて杖に触らせた。
効果の程に懐疑的だった猿たちであるが杖を握った猿の顔色が良くなってくるとドゥゼアが正しかったのだと認めた。
そして杖のおかげでケガはおおよそ治ってケガで死ぬ猿はもういなさそうになった。
だが問題はまだ残っていた。
「クンクン……やや酸っぱいような臭い……傷の化膿の仕方……」
ドゥゼアは1体の猿を診ていた。
問題とは毒である。
蛇に噛まれてしまった猿は体が毒に冒されている。
杖の効果は体のケガなどの回復にしか及ばず、毒の治療までしてくれない。
このまま何の対策も取らないまま放置しておけばそのうち毒で死んでしまうだろう。
杖を抱えていれば乗り切れる可能性もあるけどそれで乗り切れる保証はないしずっと杖を触ったままともいかない。
治せる、あるいは軽減できる毒なら試してみるしかない。
ドゥゼアには毒の知識があった。
これは人間の時のものではない。
ゴブリンになってから身につけたものである。
力が弱くて物理的な手段では強敵に対抗することができないと思ったドゥゼアは何とかしようと方法を考えた。
その中の一つが毒を活用することである。
しかしゴブリンに毒の知識を伝授してくれるものなどいない。
何回目かの転生の時にたまたま倒した冒険者がたまたま毒に関する本を持っていたのである。
その時のゴブ生で生まれた地域に毒草が多くて図鑑のようなものとして持っていたみたいだった。
ドゥゼアは本を隅から隅まで読んで実際に毒草を採取して試した。
確か最終的には毒ゴブリンなどと呼ばれて恐れられたものである。
調子に乗りすぎて強い冒険者に討伐されてしまったけれども。
これまでも毒の知識を活用してきたことは多い。
今回のゴブ生では有用な毒草が近くになかったので使うことがなかったけれど久々に役に立ちそうだ。
蛇系の魔物の毒も細かく分けてしまうと色々あるのだけど大きく分けると数種類に分類できる。
中には分けられないものもあってそれはドゥゼアにもどうしようもないがこの蛇の毒はドゥゼアの知識にあった。
「杖の治癒能力と合わせると毒を乗り越えることができるかもな」
「本当なのか!?」
完全な解毒薬を作るのには設備なんかも足りない。
しかし毒の効果を抑えて杖の治療も加えればやや毒に耐性のある猿たちなら乗り越えられる。
「必要な薬草がある」
「薬草?
何がいる?」
「ミザラの花だ」
「ミ、ミザラ?
どんなものだ?」
「赤いつぼみのような花を咲かせる植物で……どこかで」
毒の治療薬を作るのにはミザラという植物の花が必要だった。
真っ赤な小さいつぼみのような可愛らしい花を咲かせることが特徴的で意外とそこら辺にも生えていたりする。
ドゥゼアはそのミザラがどこかに生えていたのを見たような気がするのだけど思い出せない。
「私見た!
アラクネの巣の近くにあったよ!」
「えっ?」
「確かアラクネの巣から少し歩いたところにそんな感じの花があった」
尻尾を激しく振っているユリディカが手を上げてアピールする。
冒険が楽しかったユリディカはキョロキョロと周りのものを見て回っていた。
その時にアラクネの巣の近くにミザラの花っぽいものがあったのを覚えていた。
ドゥゼアもそれを聞いて思い出した。
確かにアラクネの巣の近くであった。
「……うーん」
ただアラクネの巣の近くというのは結構問題である。
こっそりミザラの花を採りに行くのはおそらく不可能だ。
杖もなしに戻っていったら何しにきたんだとなるし、杖を持っていけばきっと戻してもらえない。
杖を取り戻すためですと説明して聞いてもらえるものかどうかかなり微妙なラインである。
正直怖い。
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