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第一章
ゴブリンは初ダンジョンに入ります3
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普通に魔物を食べる時は肉に埋まっていたりして気づかずに食べている。
食べててなんか美味いなここ、って思う時は大体魔石ごと食べていたりするのだ。
ドゥゼアもさっき倒したコボルトの魔石を取り出して口に放り込む。
転がしても溶けるのでもないが染み出すような旨みを感じる。
これは魔石の魔力が出てきて美味しく感じているのだ。
ドゥゼアとレビスはしばらく口の中で魔石を転がして堪能する。
そして味がしなくなってきたなと思ったら今度は噛み砕いてしまう。
ボリボリと魔石を噛み砕いて食べるとまた美味い。
石そのものも魔力の塊なので噛み砕けば美味しく感じるのである。
魔石でレビスの初勝利のお祝いとしてまたダンジョン攻略を開始する。
今度は一応協力しながら戦う。
折を見てレビスに任せたりもして経験を積まさせながらコボルトを倒す。
戦ってみて思うのは確かに初心者向けな感じが強いダンジョンであるということ。
コボルトの他にはジャイアントバットやスモールホーンブルといった危険が少なくて戦いやすい魔物が多い。
バカみたいに油断すればやられるかもしれないけれどよほど気を抜かなきゃ死ぬこともない。
素材的には使えないようなものばかりだけどその分危険なく倒せるのだからしょうがない。
スモールホーンブルなんかは肉もドロップするのでありがたい。
「ドゥゼア」
「どうした?」
「穴がある」
「穴?」
レビスがスモールホーンブルの眉間に槍をぶっ刺して倒した。
戦うほどに戦いに慣れてきて動きも良くなっている。
最初スモールホーンブルと戦った時は槍の刺さりが甘くて刺さった槍にしがみついたままスモールホーンブルに誘拐されかけたのがウソのようだ。
魔物の解体の手間もないし楽だなと思いながらスモールホーンブルの牙を拾い上げて袋に投げ入れる。
すると周りを警戒していたレビスが壁に穴を見つけた。
小さい穴でゴブリンであるドゥゼアやレビスならなんとか通れそうなぐらいに狭い。
これはお宝の予感だと勘が告げている。
ドゥゼアは屈むようにして穴の中に入り、レビスがそれに続く。
正直ゴブリンでもギリギリだ。
人間なら子供でようやく入れるぐらいの穴で先があるのか少し不安になる。
「おっ、出れた」
長めに歩いて行くとちゃんと穴は先があった。
「宝箱……それにミニゴーレムか」
行き止まりの部屋。
やや狭めな部屋の奥に木の箱が置いてある。
こんなところに誰かが箱を置いていくはずがない。
そもそも穴の大きさを考えると木の箱が通るサイズでもない。
外から持ち込まれた物でないのなら答えは1つだ。
あの箱はダンジョンによって生み出されたのである。
冒険者がダンジョンに潜る目的の1つであるダンジョン産のアイテムだ。
そしてその箱の前に不恰好な岩の塊みたいなものがある。
よく見ると大きな岩の胴体に手足のような小さい岩が連なっていて箱を守るように立ちはだかっている。
このダンジョンの中でもレアな魔物であるミニゴーレムであった。
通常のゴーレムであれば人よりも大きいものが多いのだけど目の前のゴーレムはドゥゼアと同じのぐらいの大きさしかない。
故にミニなのだ。
「うーん……」
ドゥゼアは腕を組んで唸る。
どうやらミニゴーレムは接近しないと攻撃してこないようで穴のそばにいるドゥゼアたちには攻撃を仕掛けてこない。
ただミニゴーレムは厄介だ。
動きは鈍くて戦うのは苦労しないが今現在ドゥゼアたちにも決定打がない。
弱点を狙うか、全身粉々にしてしまえばいいのだけどそのどちらの方法を取るにしてもそれなりの物理力が必要になる。
槍とナイフ、それにゴブリンの腕力ではゴーレムと戦うには非力すぎるのである。
倒して倒せないこともないが時間もかかるし疲れる。
「……別に倒さなくてもいい?」
「ん……そうか、まあそうだな」
ドゥゼアが何で悩んでいるのかレビスは察した。
倒せなそうなら無理して倒すことはないとドゥゼアは日頃から言っている。
特にゴブリンは非力な魔物なので相手にトドメをさせるところまでダメージを与えられないこともある。
手負いになった敵は厄介。
なので倒せないなら戦わない、あるいは無理に倒そうとしないで機会を伺うことも大事で見極めることが生きて行く上でも必要とされる。
自分で言っていたのに。
わざわざミニゴーレムを倒すこともない。
素早い魔物ならいざ知らずミニゴーレムならやりようもある。
「俺があいつを引きつける。
その間にあの箱を開けて中身を取ってくるんだ」
「分かった。
任せて」
しっかりとした役割を与えられてやる気に満ちるレビスの鼻息が荒い。
「それじゃ、行くぞ」
まずはドゥゼアがゆっくりとミニゴーレムと距離を詰めていく。
どこまで近づけば動く。
動き出したらきっとそのまま戦闘になってしまうと思うが一定の範囲内しか動かないタイプであることも時折ある。
動き出すところを見極めておけばそのタイプの時に範囲が分かりやすくていい。
「ここか」
1歩、また1歩とミニゴーレムに近づく。
すると足を踏み出した瞬間にミニゴーレムがドゥゼアの方に体の正面を向けた。
食べててなんか美味いなここ、って思う時は大体魔石ごと食べていたりするのだ。
ドゥゼアもさっき倒したコボルトの魔石を取り出して口に放り込む。
転がしても溶けるのでもないが染み出すような旨みを感じる。
これは魔石の魔力が出てきて美味しく感じているのだ。
ドゥゼアとレビスはしばらく口の中で魔石を転がして堪能する。
そして味がしなくなってきたなと思ったら今度は噛み砕いてしまう。
ボリボリと魔石を噛み砕いて食べるとまた美味い。
石そのものも魔力の塊なので噛み砕けば美味しく感じるのである。
魔石でレビスの初勝利のお祝いとしてまたダンジョン攻略を開始する。
今度は一応協力しながら戦う。
折を見てレビスに任せたりもして経験を積まさせながらコボルトを倒す。
戦ってみて思うのは確かに初心者向けな感じが強いダンジョンであるということ。
コボルトの他にはジャイアントバットやスモールホーンブルといった危険が少なくて戦いやすい魔物が多い。
バカみたいに油断すればやられるかもしれないけれどよほど気を抜かなきゃ死ぬこともない。
素材的には使えないようなものばかりだけどその分危険なく倒せるのだからしょうがない。
スモールホーンブルなんかは肉もドロップするのでありがたい。
「ドゥゼア」
「どうした?」
「穴がある」
「穴?」
レビスがスモールホーンブルの眉間に槍をぶっ刺して倒した。
戦うほどに戦いに慣れてきて動きも良くなっている。
最初スモールホーンブルと戦った時は槍の刺さりが甘くて刺さった槍にしがみついたままスモールホーンブルに誘拐されかけたのがウソのようだ。
魔物の解体の手間もないし楽だなと思いながらスモールホーンブルの牙を拾い上げて袋に投げ入れる。
すると周りを警戒していたレビスが壁に穴を見つけた。
小さい穴でゴブリンであるドゥゼアやレビスならなんとか通れそうなぐらいに狭い。
これはお宝の予感だと勘が告げている。
ドゥゼアは屈むようにして穴の中に入り、レビスがそれに続く。
正直ゴブリンでもギリギリだ。
人間なら子供でようやく入れるぐらいの穴で先があるのか少し不安になる。
「おっ、出れた」
長めに歩いて行くとちゃんと穴は先があった。
「宝箱……それにミニゴーレムか」
行き止まりの部屋。
やや狭めな部屋の奥に木の箱が置いてある。
こんなところに誰かが箱を置いていくはずがない。
そもそも穴の大きさを考えると木の箱が通るサイズでもない。
外から持ち込まれた物でないのなら答えは1つだ。
あの箱はダンジョンによって生み出されたのである。
冒険者がダンジョンに潜る目的の1つであるダンジョン産のアイテムだ。
そしてその箱の前に不恰好な岩の塊みたいなものがある。
よく見ると大きな岩の胴体に手足のような小さい岩が連なっていて箱を守るように立ちはだかっている。
このダンジョンの中でもレアな魔物であるミニゴーレムであった。
通常のゴーレムであれば人よりも大きいものが多いのだけど目の前のゴーレムはドゥゼアと同じのぐらいの大きさしかない。
故にミニなのだ。
「うーん……」
ドゥゼアは腕を組んで唸る。
どうやらミニゴーレムは接近しないと攻撃してこないようで穴のそばにいるドゥゼアたちには攻撃を仕掛けてこない。
ただミニゴーレムは厄介だ。
動きは鈍くて戦うのは苦労しないが今現在ドゥゼアたちにも決定打がない。
弱点を狙うか、全身粉々にしてしまえばいいのだけどそのどちらの方法を取るにしてもそれなりの物理力が必要になる。
槍とナイフ、それにゴブリンの腕力ではゴーレムと戦うには非力すぎるのである。
倒して倒せないこともないが時間もかかるし疲れる。
「……別に倒さなくてもいい?」
「ん……そうか、まあそうだな」
ドゥゼアが何で悩んでいるのかレビスは察した。
倒せなそうなら無理して倒すことはないとドゥゼアは日頃から言っている。
特にゴブリンは非力な魔物なので相手にトドメをさせるところまでダメージを与えられないこともある。
手負いになった敵は厄介。
なので倒せないなら戦わない、あるいは無理に倒そうとしないで機会を伺うことも大事で見極めることが生きて行く上でも必要とされる。
自分で言っていたのに。
わざわざミニゴーレムを倒すこともない。
素早い魔物ならいざ知らずミニゴーレムならやりようもある。
「俺があいつを引きつける。
その間にあの箱を開けて中身を取ってくるんだ」
「分かった。
任せて」
しっかりとした役割を与えられてやる気に満ちるレビスの鼻息が荒い。
「それじゃ、行くぞ」
まずはドゥゼアがゆっくりとミニゴーレムと距離を詰めていく。
どこまで近づけば動く。
動き出したらきっとそのまま戦闘になってしまうと思うが一定の範囲内しか動かないタイプであることも時折ある。
動き出すところを見極めておけばそのタイプの時に範囲が分かりやすくていい。
「ここか」
1歩、また1歩とミニゴーレムに近づく。
すると足を踏み出した瞬間にミニゴーレムがドゥゼアの方に体の正面を向けた。
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