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第七章
異世界の賢き魔王2
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元々モンスター狩りをする人も少ない場所である。
モンスターが現れないとなれば諦めて出直すことを考える人も多く、わざわざ奥まで行ってみる人は圭たち以外にいなかった。
「ピッピッピッ~」
最近のフィーネは人がいないとひょっこりと顔を覗かせるようになった。
ダンテの時もそうであるようにフィーネは人を感知する能力がずば抜けている。
周りに人がいないことをしっかりと確認して安全そうなら擬態をやめて出てくる。
今回はいつもの形態で圭の肩に乗っかって機嫌が良さそうに鼻歌を歌っている。
それぐらいにハーピーがいない。
「一番奥まで来たけど……」
「なんもねぇな」
最奥の島までやってきた。
島同士を渡る石の橋も少しずつ斜めになっていて奥に行くほどに島の位置が高くなっていた。
そのために最奥の空島は一番高い位置にある。
振り返ってみるとこれまで通ってきた島々がよく見えた。
けれどハーピーの姿はない。
「しょうがない……今日は帰ろうか」
いない敵を倒すことはできない。
これだけ探してもいないのだから粘ったところで無駄だろうと圭は諦めることにした。
今から帰ればお昼混み始める前にどこかで食べられるなんて考えながら念のためと軽く一周見回す。
『魔王城への道が開かれました』
「はっ……?」
普段表示は薄く透けた青いものである。
けれど急に現れた赤い表示に圭は目を見開いた。
「圭!」
「圭君、あれ!」
表示に気を取られた圭と違ってみんなは別の方を見ていた。
最奥の空島の奥はただの崖になっていて何もない。
広い空が広がっているだけなのだが突如として空が歪んだ。
蜃気楼のようにボンヤリと見えて不思議さを感じていると島が現れたのだ。
巨大な城が乗っかっていて、どうやって現れたのか見ていても分からなかった。
みんなに言われて城の乗っている島を見て圭も驚いた。
「なんか……ヤバそうだな」
ただの城ではなく大きな圧力を感じる。
いきなり現れたことも含めて尋常ではない気配がある。
「何が見えていたんですか?」
お城が現れた時に圭が別の方を見ていたことに薫は気づいていた。
「……どうやらあれは魔王城らしい」
赤い奇妙な表示は圭にしか現れていない。
島の上にある城がなんなのか詳細は分からないものの表示から得られるヒントがある。
魔王城への道という言葉だ。
この表示の言葉をそのまま受け取ると見えている城は魔王がいるお城ということになる。
「魔王城? 魔王っていうとあれか?」
カレンのいうあれとはルシファーのことである。
少し前に出会った悪魔のルシファーは自分のことを魔王だと名乗っていた。
全ての悪魔の頂点ということではなくて強い力や精力を持つ悪魔のことを魔王と呼ぶことがあるらしかった。
ということはこの城は強い悪魔が住んでいるのかもしれない。
「分かんないけど……あんまりいい雰囲気じゃないことは確かだな」
魔王城がある空島は最奥の空島よりも一段高い。
その上に巨大な城があるから見上げるような形になる。
距離感すら掴めなくなるような光景は圭たちを圧倒していた。
「帰ろう。あんなところに行く必要はない」
明らかにヤバい雰囲気だが別に行くべき理由はない。
「ウソだろ」
「……どうやらいけないようだねぇ」
振り返って後ろを見ると一つ前の島に行く石の橋が見えているはずだった。
「橋崩れてんじゃん……」
確かに少し前までそこにあったはずの橋が無くなっていた。
橋の根元は残っているので橋そのものはあったのだと分かる。
「来いと言っているようだな……」
代わりに魔王城がある空島への石の橋が現れた。
まるで魔王城に招待されているような感じがして圭たちは顔を見合わせた。
「………………行くしかないか」
もはや退路はない。
先に進むしかないのであるが本当に進むのか勇気が出ないでいた。
長い沈黙を破った圭の言葉にみんなが小さく頷いた。
他の覚醒者なら分からないが圭たちがこんな状況になったということには何かの意味を感じずにいられない。
魔王城に行くべき理由がある。
それが罠なのか、圭たちにとって味方となるべき相手なのかは判然としないが。
武器を手にし、出来るだけまとまって魔王城への石の端に足を踏み出す。
万が一を考えて石の橋を叩いてみたけれど壊れて落ちるような様子はなかった。
半ば坂のようになっている石の橋を渡る間もモンスターの襲撃はない。
「意外と遠いですね」
城が大きいので近く見えていたけれど向かってみると思いの外距離がある。
「うわ、でっけぇ……」
何事もなく魔王城がある空島にたどり着いた圭たちは大きな城を見上げる。
まさしくファンタジーというようなお城。
「みんな警戒しろ!」
いざ来たはいいけれど魔王城の門は固く閉ざされていてどうしたらいいのかと悩んでいた。
するとなんの前触れもなく門が開き始めた。
圭たちは武器を構えて警戒する。
「……ハーピーじゃない」
開いた門から一体のモンスターが出てきた。
スタスタと圭たちの前まで歩いてきたのはカラスのような頭を持ち全身が黒い羽毛で覆われている人のように二足歩行をしているモンスターであった。
人型のカラスといっていい姿をしているがハーピーのように腕が翼になっているのではなく、普通に腕があって背中に翼が生えている。
そしてなぜか執事のような服を身につけていた。
モンスターが現れないとなれば諦めて出直すことを考える人も多く、わざわざ奥まで行ってみる人は圭たち以外にいなかった。
「ピッピッピッ~」
最近のフィーネは人がいないとひょっこりと顔を覗かせるようになった。
ダンテの時もそうであるようにフィーネは人を感知する能力がずば抜けている。
周りに人がいないことをしっかりと確認して安全そうなら擬態をやめて出てくる。
今回はいつもの形態で圭の肩に乗っかって機嫌が良さそうに鼻歌を歌っている。
それぐらいにハーピーがいない。
「一番奥まで来たけど……」
「なんもねぇな」
最奥の島までやってきた。
島同士を渡る石の橋も少しずつ斜めになっていて奥に行くほどに島の位置が高くなっていた。
そのために最奥の空島は一番高い位置にある。
振り返ってみるとこれまで通ってきた島々がよく見えた。
けれどハーピーの姿はない。
「しょうがない……今日は帰ろうか」
いない敵を倒すことはできない。
これだけ探してもいないのだから粘ったところで無駄だろうと圭は諦めることにした。
今から帰ればお昼混み始める前にどこかで食べられるなんて考えながら念のためと軽く一周見回す。
『魔王城への道が開かれました』
「はっ……?」
普段表示は薄く透けた青いものである。
けれど急に現れた赤い表示に圭は目を見開いた。
「圭!」
「圭君、あれ!」
表示に気を取られた圭と違ってみんなは別の方を見ていた。
最奥の空島の奥はただの崖になっていて何もない。
広い空が広がっているだけなのだが突如として空が歪んだ。
蜃気楼のようにボンヤリと見えて不思議さを感じていると島が現れたのだ。
巨大な城が乗っかっていて、どうやって現れたのか見ていても分からなかった。
みんなに言われて城の乗っている島を見て圭も驚いた。
「なんか……ヤバそうだな」
ただの城ではなく大きな圧力を感じる。
いきなり現れたことも含めて尋常ではない気配がある。
「何が見えていたんですか?」
お城が現れた時に圭が別の方を見ていたことに薫は気づいていた。
「……どうやらあれは魔王城らしい」
赤い奇妙な表示は圭にしか現れていない。
島の上にある城がなんなのか詳細は分からないものの表示から得られるヒントがある。
魔王城への道という言葉だ。
この表示の言葉をそのまま受け取ると見えている城は魔王がいるお城ということになる。
「魔王城? 魔王っていうとあれか?」
カレンのいうあれとはルシファーのことである。
少し前に出会った悪魔のルシファーは自分のことを魔王だと名乗っていた。
全ての悪魔の頂点ということではなくて強い力や精力を持つ悪魔のことを魔王と呼ぶことがあるらしかった。
ということはこの城は強い悪魔が住んでいるのかもしれない。
「分かんないけど……あんまりいい雰囲気じゃないことは確かだな」
魔王城がある空島は最奥の空島よりも一段高い。
その上に巨大な城があるから見上げるような形になる。
距離感すら掴めなくなるような光景は圭たちを圧倒していた。
「帰ろう。あんなところに行く必要はない」
明らかにヤバい雰囲気だが別に行くべき理由はない。
「ウソだろ」
「……どうやらいけないようだねぇ」
振り返って後ろを見ると一つ前の島に行く石の橋が見えているはずだった。
「橋崩れてんじゃん……」
確かに少し前までそこにあったはずの橋が無くなっていた。
橋の根元は残っているので橋そのものはあったのだと分かる。
「来いと言っているようだな……」
代わりに魔王城がある空島への石の橋が現れた。
まるで魔王城に招待されているような感じがして圭たちは顔を見合わせた。
「………………行くしかないか」
もはや退路はない。
先に進むしかないのであるが本当に進むのか勇気が出ないでいた。
長い沈黙を破った圭の言葉にみんなが小さく頷いた。
他の覚醒者なら分からないが圭たちがこんな状況になったということには何かの意味を感じずにいられない。
魔王城に行くべき理由がある。
それが罠なのか、圭たちにとって味方となるべき相手なのかは判然としないが。
武器を手にし、出来るだけまとまって魔王城への石の端に足を踏み出す。
万が一を考えて石の橋を叩いてみたけれど壊れて落ちるような様子はなかった。
半ば坂のようになっている石の橋を渡る間もモンスターの襲撃はない。
「意外と遠いですね」
城が大きいので近く見えていたけれど向かってみると思いの外距離がある。
「うわ、でっけぇ……」
何事もなく魔王城がある空島にたどり着いた圭たちは大きな城を見上げる。
まさしくファンタジーというようなお城。
「みんな警戒しろ!」
いざ来たはいいけれど魔王城の門は固く閉ざされていてどうしたらいいのかと悩んでいた。
するとなんの前触れもなく門が開き始めた。
圭たちは武器を構えて警戒する。
「……ハーピーじゃない」
開いた門から一体のモンスターが出てきた。
スタスタと圭たちの前まで歩いてきたのはカラスのような頭を持ち全身が黒い羽毛で覆われている人のように二足歩行をしているモンスターであった。
人型のカラスといっていい姿をしているがハーピーのように腕が翼になっているのではなく、普通に腕があって背中に翼が生えている。
そしてなぜか執事のような服を身につけていた。
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