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第七章
逃げてきた悪魔の使徒1
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「うっ……くぅ……」
ダンテが目を開けるとそこはダンジョンではなかった。
知らない天井が見える。
けれど病院や警察でもなさそうだと感じた。
ロープでぐるぐる巻きに拘束されていて身動きが取れない。
「なんだ……気分が悪い」
ダンテは妙な気分の悪さを感じていた。
拘束されていることにも不愉快感はあるけれどそうしたことではなく、自分の中にある力が無理矢理押さえつけられているかのような感覚がある。
「起きましたか?」
「あんたは……」
ダンテは体が動かないので声のした方に頭を向けた。
ベッド横に圭が立っている。
「体の調子はどうですか、ダンテさん?」
「どうして俺の名前を……」
「悪魔のルシファーから聞きました。あなたを助けてほしいとね」
ゲートの中で急に出てきた表示はダンテの助けを求めるものだった。
『緊急クエスト!
ルシファーからのお願い。
使徒ダンテの命を救え!
報酬:なんでもしてやる』
突然のことで圭たちも驚いたのだけど最終的にはダンテを助けることにした。
「ただ……悪いけど拘束はさせてもらったよ」
誓いのこととか表示で助けを求められたこととかあるけれど話が通じずに襲いかかってきた前科がある。
手放しで信頼することもできないので夜滝の仕事用の荷物の中にモンスター素材で作られた強化繊維ロープがあったのでそれで縛った。
「すごく気分が悪いのだが……何をした?」
「あんたはA級覚醒者だからな、もう一つ対策を取らせてもらった」
強化繊維のロープといっても万能ではない。
低等級モンスターなら拘束できるほどの強度を持っているが高等級、しかもA級覚醒者を拘束しておけるほど頑丈ではない。
そこで圭たちも知恵を絞った。
まずは腹部の怪我。
放っておけば出血死してしまいそうだったので薫に治してもらった。
けれども完全に治すのではなく出血を止める程度にだけ軽く治療した。
また暴れ出せばすぐにでも傷口は開いてしまうだろう。
傷口の軽い治療だけでも対策にはなりそうだが圭がいう対策とはまた別。
圭が対策だといったのはカレンの盾だった。
カレンが盾でダンテを殴ってからダンテの様子はおかしくなった。
やはり魔を払う力というのは悪魔にも適応されているようで効果があるのだと確信した。
つまり盾をダンテにつけておけばダンテの力をある程度弱めることができるのではないかと考えた。
なのでロープでぐるぐる巻きにする時にダンテとロープの間に盾を挟んだ。
ダンテの様子を見るに盾がダンテに何らかの影響を及ぼしていることは間違いない。
「あんたは何者で、何があったのか、教えてくれるか?」
拘束を解いてくれという顔をしているけれど今はまだできない。
なぜあんなところにいたのかとか悪魔との関わりなど聞きたいことは山ほどあるのだ。
「……俺はダンテ・ミラーだ」
少し黙って考え込んでいたダンテが口を開いた。
「俺は悪魔ルシファー様と契約して使途となっている」
「なんであんなところに?」
「悪魔たちの中で争いがあった。だがルシファー様は単体でものすごい力を持って悪魔でそう簡単には手を出せない。だから悪魔の力を受けし使徒である俺が狙われたんだ」
「だからなあいつらが追いかけてきていたのか。仲間は?」
「他の悪魔は多く人を集めて自分の勢力を築いて人間の世界にも進出を目論んでいるがルシファー様はそんなことをしない。限られた者にしか力を与えない。そうした意味では人間の世界におけるルシファー様の勢力は小さく、俺の仲間は少ない」
悪魔といっても全てが同じわけではない。
それぞれにそれぞれの考えがあり、協力・敵対関係にあったり派閥を作ったりしている。
人に対しての関わり方も違う。
圭が過去に関わった悪魔教のように人に力を与えて取り込んで勢力を広げようとしている悪魔もいれば、あまり勢力の拡大に興味がなく気に入った人にしか力を与えない悪魔もいる。
ダンテに力を与えたルシファーは後者の方の悪魔であった。
人を多く集めて勢力拡大するつもりなどなくダンテのように一部の人にだけ力を与えていた。
ダンテにも同じくルシファーに力を与えられた仲間はいるのだが近くにいるのでもなく普段から交流があるわけでもなかった。
「俺は比較的強い力を与えられてはいるが集団に襲われると厳しいものがある。だから逃げたんだ。たまたま日本語ができたから金を積んで日本に密入国してきた」
「密入国って……」
真っ当に入ってきたとは思っていないけれど堂々と密入国と言われるとそれも違う。
とりあえず密入国のことは聞かなかったことにしようと圭は思った。
「ともかくだ。あんたは他の悪魔に狙われていたから逃げてきたんだな?」
「そうだ」
「ゲートにいたのはなんでだ?」
「ゲートならば一般人は立ち寄らない。覚醒者がきても魔法で姿を隠せるからタイミングをみて逃げるつもりだった」
「じゃあたまたま俺たちが見つけちゃったというわけか」
フィーネの感覚がどうなっているのか圭は知らないが普通の人には見えないものもフィーネには見えている。
魔法で姿を隠してもフィーネにはお見通しだった。
ダンテが目を開けるとそこはダンジョンではなかった。
知らない天井が見える。
けれど病院や警察でもなさそうだと感じた。
ロープでぐるぐる巻きに拘束されていて身動きが取れない。
「なんだ……気分が悪い」
ダンテは妙な気分の悪さを感じていた。
拘束されていることにも不愉快感はあるけれどそうしたことではなく、自分の中にある力が無理矢理押さえつけられているかのような感覚がある。
「起きましたか?」
「あんたは……」
ダンテは体が動かないので声のした方に頭を向けた。
ベッド横に圭が立っている。
「体の調子はどうですか、ダンテさん?」
「どうして俺の名前を……」
「悪魔のルシファーから聞きました。あなたを助けてほしいとね」
ゲートの中で急に出てきた表示はダンテの助けを求めるものだった。
『緊急クエスト!
ルシファーからのお願い。
使徒ダンテの命を救え!
報酬:なんでもしてやる』
突然のことで圭たちも驚いたのだけど最終的にはダンテを助けることにした。
「ただ……悪いけど拘束はさせてもらったよ」
誓いのこととか表示で助けを求められたこととかあるけれど話が通じずに襲いかかってきた前科がある。
手放しで信頼することもできないので夜滝の仕事用の荷物の中にモンスター素材で作られた強化繊維ロープがあったのでそれで縛った。
「すごく気分が悪いのだが……何をした?」
「あんたはA級覚醒者だからな、もう一つ対策を取らせてもらった」
強化繊維のロープといっても万能ではない。
低等級モンスターなら拘束できるほどの強度を持っているが高等級、しかもA級覚醒者を拘束しておけるほど頑丈ではない。
そこで圭たちも知恵を絞った。
まずは腹部の怪我。
放っておけば出血死してしまいそうだったので薫に治してもらった。
けれども完全に治すのではなく出血を止める程度にだけ軽く治療した。
また暴れ出せばすぐにでも傷口は開いてしまうだろう。
傷口の軽い治療だけでも対策にはなりそうだが圭がいう対策とはまた別。
圭が対策だといったのはカレンの盾だった。
カレンが盾でダンテを殴ってからダンテの様子はおかしくなった。
やはり魔を払う力というのは悪魔にも適応されているようで効果があるのだと確信した。
つまり盾をダンテにつけておけばダンテの力をある程度弱めることができるのではないかと考えた。
なのでロープでぐるぐる巻きにする時にダンテとロープの間に盾を挟んだ。
ダンテの様子を見るに盾がダンテに何らかの影響を及ぼしていることは間違いない。
「あんたは何者で、何があったのか、教えてくれるか?」
拘束を解いてくれという顔をしているけれど今はまだできない。
なぜあんなところにいたのかとか悪魔との関わりなど聞きたいことは山ほどあるのだ。
「……俺はダンテ・ミラーだ」
少し黙って考え込んでいたダンテが口を開いた。
「俺は悪魔ルシファー様と契約して使途となっている」
「なんであんなところに?」
「悪魔たちの中で争いがあった。だがルシファー様は単体でものすごい力を持って悪魔でそう簡単には手を出せない。だから悪魔の力を受けし使徒である俺が狙われたんだ」
「だからなあいつらが追いかけてきていたのか。仲間は?」
「他の悪魔は多く人を集めて自分の勢力を築いて人間の世界にも進出を目論んでいるがルシファー様はそんなことをしない。限られた者にしか力を与えない。そうした意味では人間の世界におけるルシファー様の勢力は小さく、俺の仲間は少ない」
悪魔といっても全てが同じわけではない。
それぞれにそれぞれの考えがあり、協力・敵対関係にあったり派閥を作ったりしている。
人に対しての関わり方も違う。
圭が過去に関わった悪魔教のように人に力を与えて取り込んで勢力を広げようとしている悪魔もいれば、あまり勢力の拡大に興味がなく気に入った人にしか力を与えない悪魔もいる。
ダンテに力を与えたルシファーは後者の方の悪魔であった。
人を多く集めて勢力拡大するつもりなどなくダンテのように一部の人にだけ力を与えていた。
ダンテにも同じくルシファーに力を与えられた仲間はいるのだが近くにいるのでもなく普段から交流があるわけでもなかった。
「俺は比較的強い力を与えられてはいるが集団に襲われると厳しいものがある。だから逃げたんだ。たまたま日本語ができたから金を積んで日本に密入国してきた」
「密入国って……」
真っ当に入ってきたとは思っていないけれど堂々と密入国と言われるとそれも違う。
とりあえず密入国のことは聞かなかったことにしようと圭は思った。
「ともかくだ。あんたは他の悪魔に狙われていたから逃げてきたんだな?」
「そうだ」
「ゲートにいたのはなんでだ?」
「ゲートならば一般人は立ち寄らない。覚醒者がきても魔法で姿を隠せるからタイミングをみて逃げるつもりだった」
「じゃあたまたま俺たちが見つけちゃったというわけか」
フィーネの感覚がどうなっているのか圭は知らないが普通の人には見えないものもフィーネには見えている。
魔法で姿を隠してもフィーネにはお見通しだった。
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