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第七章
塔を登ろう2
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今回の攻略は大型ギルドである大海ギルドが攻略するということで上級ボス、つまりは一番強いボスに挑むことになっている。
ボスが出てくるところに近づいたので圭を含め覚醒者たちが武器を手に取る。
五階にはボス以外の普通のモンスターも出てこないのでここまで無警戒だったのである。
「前方のボスの姿を確認しました!」
先行していた覚醒者たちがボスを見つけて戻ってきた。
「事前に説明していた通りの動きをお願いします!」
「じゃあいってくるわね、圭君」
「くぅー、ああいうのも絵になるからズルい!」
かなみが圭にウインクをして離れていく。
まるでドラマのワンシーンのようだがかなみがやると様になっていて波瑠は唇を尖らせる。
「えいっ!」
「全然ダメだな」
「んじゃカレンもやってみなよー!」
対抗心を燃やした波瑠も圭に向かってウインクする。
圭としては割と可愛らしくも見えるのだけどかなみのようにドラマのワンシーンにはならない。
カレンに笑われて波瑠がムッとする。
「ほら、圭君見て!」
「いや、そんな注目されると恥ずかしってか……」
「カレンがウインクで圭君のことメロメロにしてみせるから!」
「や、やめろぉ! 悪かったからぁ!」
何気なくやるからウインクなんてできるのでがっちり見られていては恥ずかしくてできるものじゃない。
圭に見られてカレンが顔を赤くするが波瑠がカレンの頭を押さえて顔を逸らすことができない。
「えへっ……」
そうしている間に二人の後ろにいた薫がパチンと圭にウインクした。
少し恥ずかしそうに頬を赤らめながら笑う薫のウインクは今のところ波瑠よりいい感じだった。
「こらこら、もう戦いの前だからちゃんとするんだよぅ」
珍しく夜滝がみんなをたしなめる。
実は夜滝、上手くウインクができない人だった。
裏でこっそりやってみようとして上手くできなかったからあたかも最初からやらなかったように装っているのだ。
ちょっとだけウインクできない自分にショックを受けている夜滝なのである。
「ボスモンスター確認しました! 総員戦闘準備です!」
五階の上級ボスはダブルホーンオーガと呼ばれていて、額に大きな二本のツノが生えている大型の二足歩行モンスターである。
上級ボスとはいいつつも無理な相手ではなくダブルホーンオーガはB級に近いC級のモンスターとなっていて、しっかりと準備を整えていけば討伐も難しくない。
かなみたち大海ギルドの高等級覚醒者が前に出て、圭たちはやや後ろに布陣する。
ボスを倒した時に一定範囲内にいれば試練クリアとなるので離れすぎず戦いを見守る。
むしろ何もしない方がかなみたちの連携の邪魔にならなくていい。
「彼が見てるから良いところ見せなきゃね」
ダブルホーンオーガが覚醒者たちに気がついて雄叫びを上げる。
覚醒者たちの先頭に立つかなみは余裕の表情を浮かべるとスキルを発動させた。
かなみを中心としてうっすらと青い魔力が広がっていき、ダブルホーンオーガを含めて広く周りがかなみのスキルによるフィールドに包まれる。
かなみのフィールドの中にいると不思議な感覚に襲われる。
陸上にいるというのにボチャンと水の中に潜った時のような感じがするのだ。
ただ嫌な感覚ではなく暑い時に冷たい水に体を浸したかのようにスッキリとする。
「私がフォローするからみんな頑張って」
C級モンスターならかなみ一人でも問題なく倒せる。
圭たちのことを思えばかなみがさっさと倒してしまうのが正しいのかもしれない。
だが今回はギルドとしても活動をしている。
C級モンスターと邪魔も入らないで戦う機会は簡単に得られるものではないのでギルドの覚醒者としても連携をとりながら戦うのにも良い経験となる。
かなみは危険なことがあった時のためのフォローに回って大海ギルドの覚醒者たちに戦いを任せた。
B級の覚醒者もいるのだがダブルホーンオーガと近いC級やD級を中心に戦う。
大きな斧を振り回すダブルホーンオーガを複数のタンクで引きつける。
一人の負担にならないように狙われる役割を交代しながらダブルホーンオーガの注意を引きつけてしっかりとタンクとしての役割を果たす。
タンクが攻撃を引きつけてくれている間にダメージディーラーたちが接近し、魔法使いたちが魔法で攻撃する。
「すごいな……」
「これがギルドの戦い方ってやつだねぇ」
役割分担をして一人一人が自分の役目をこなすことでリスクを減らし、戦いを支配してモンスターに対して優位に立ち回っている。
等級としては劣るD級覚醒者も自分の役割に徹して無理な動きをしないことで格上のモンスター相手でも十分に戦えていた。
それぞれの役割の中でも動きをフォローし合い、または他の役割同士でも円滑に戦えるように助け合っていた。
ギルドのメンバーがほとんど攻略チームであるような小規模の圭たちとは違う。
けれどよくみると個々人の動きも目を見張る人がいる。
周りを見ながらフォローする人や与えられた役割を最大限にこなす人など個人レベルで動きの良い人が全体を大きく支えているのだ。
ボスが出てくるところに近づいたので圭を含め覚醒者たちが武器を手に取る。
五階にはボス以外の普通のモンスターも出てこないのでここまで無警戒だったのである。
「前方のボスの姿を確認しました!」
先行していた覚醒者たちがボスを見つけて戻ってきた。
「事前に説明していた通りの動きをお願いします!」
「じゃあいってくるわね、圭君」
「くぅー、ああいうのも絵になるからズルい!」
かなみが圭にウインクをして離れていく。
まるでドラマのワンシーンのようだがかなみがやると様になっていて波瑠は唇を尖らせる。
「えいっ!」
「全然ダメだな」
「んじゃカレンもやってみなよー!」
対抗心を燃やした波瑠も圭に向かってウインクする。
圭としては割と可愛らしくも見えるのだけどかなみのようにドラマのワンシーンにはならない。
カレンに笑われて波瑠がムッとする。
「ほら、圭君見て!」
「いや、そんな注目されると恥ずかしってか……」
「カレンがウインクで圭君のことメロメロにしてみせるから!」
「や、やめろぉ! 悪かったからぁ!」
何気なくやるからウインクなんてできるのでがっちり見られていては恥ずかしくてできるものじゃない。
圭に見られてカレンが顔を赤くするが波瑠がカレンの頭を押さえて顔を逸らすことができない。
「えへっ……」
そうしている間に二人の後ろにいた薫がパチンと圭にウインクした。
少し恥ずかしそうに頬を赤らめながら笑う薫のウインクは今のところ波瑠よりいい感じだった。
「こらこら、もう戦いの前だからちゃんとするんだよぅ」
珍しく夜滝がみんなをたしなめる。
実は夜滝、上手くウインクができない人だった。
裏でこっそりやってみようとして上手くできなかったからあたかも最初からやらなかったように装っているのだ。
ちょっとだけウインクできない自分にショックを受けている夜滝なのである。
「ボスモンスター確認しました! 総員戦闘準備です!」
五階の上級ボスはダブルホーンオーガと呼ばれていて、額に大きな二本のツノが生えている大型の二足歩行モンスターである。
上級ボスとはいいつつも無理な相手ではなくダブルホーンオーガはB級に近いC級のモンスターとなっていて、しっかりと準備を整えていけば討伐も難しくない。
かなみたち大海ギルドの高等級覚醒者が前に出て、圭たちはやや後ろに布陣する。
ボスを倒した時に一定範囲内にいれば試練クリアとなるので離れすぎず戦いを見守る。
むしろ何もしない方がかなみたちの連携の邪魔にならなくていい。
「彼が見てるから良いところ見せなきゃね」
ダブルホーンオーガが覚醒者たちに気がついて雄叫びを上げる。
覚醒者たちの先頭に立つかなみは余裕の表情を浮かべるとスキルを発動させた。
かなみを中心としてうっすらと青い魔力が広がっていき、ダブルホーンオーガを含めて広く周りがかなみのスキルによるフィールドに包まれる。
かなみのフィールドの中にいると不思議な感覚に襲われる。
陸上にいるというのにボチャンと水の中に潜った時のような感じがするのだ。
ただ嫌な感覚ではなく暑い時に冷たい水に体を浸したかのようにスッキリとする。
「私がフォローするからみんな頑張って」
C級モンスターならかなみ一人でも問題なく倒せる。
圭たちのことを思えばかなみがさっさと倒してしまうのが正しいのかもしれない。
だが今回はギルドとしても活動をしている。
C級モンスターと邪魔も入らないで戦う機会は簡単に得られるものではないのでギルドの覚醒者としても連携をとりながら戦うのにも良い経験となる。
かなみは危険なことがあった時のためのフォローに回って大海ギルドの覚醒者たちに戦いを任せた。
B級の覚醒者もいるのだがダブルホーンオーガと近いC級やD級を中心に戦う。
大きな斧を振り回すダブルホーンオーガを複数のタンクで引きつける。
一人の負担にならないように狙われる役割を交代しながらダブルホーンオーガの注意を引きつけてしっかりとタンクとしての役割を果たす。
タンクが攻撃を引きつけてくれている間にダメージディーラーたちが接近し、魔法使いたちが魔法で攻撃する。
「すごいな……」
「これがギルドの戦い方ってやつだねぇ」
役割分担をして一人一人が自分の役目をこなすことでリスクを減らし、戦いを支配してモンスターに対して優位に立ち回っている。
等級としては劣るD級覚醒者も自分の役割に徹して無理な動きをしないことで格上のモンスター相手でも十分に戦えていた。
それぞれの役割の中でも動きをフォローし合い、または他の役割同士でも円滑に戦えるように助け合っていた。
ギルドのメンバーがほとんど攻略チームであるような小規模の圭たちとは違う。
けれどよくみると個々人の動きも目を見張る人がいる。
周りを見ながらフォローする人や与えられた役割を最大限にこなす人など個人レベルで動きの良い人が全体を大きく支えているのだ。
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