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第六章

カエルは鶏肉の味らしい2

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 ということで今回はフィーネも連れてきてみた。
 重恭にもバレなかったしみんなも気づいていなかった。

 フィーネの方もみんなを驚かせるんだとおしゃべりを封印していた。
 見事大成功である。

「フィーネモミンナトタタカウ!」

「だそうだ。どこまで戦えるか分からないけどとりあえず試すだけ試してみようと思ってな」

「まあフィーネも戦力になってくれれば心強いしな」

 力強い味方になってくれる可能性は大いにある。
 フィーネとの最初の出会いは戦闘だった。

 メイドさん風の体で侵入者である圭たちに襲いかかってきた。
 あの時のフィーネは強かった。

 しっかりと体を構築できればあれぐらいの戦闘力を発揮する可能性がフィーネにはあるのだ。

「ただ無茶は禁物だぞ」

「ワカッタ!」

 今のところまだフィーネがどのポジションに適性があるかは分からないけれどもフィーネの成長には期待している。

「おっ、あれじゃない?」

 ファイヤートードは過去にも出たことがあるのでどんな感じでいるのかということも情報として知っている。
 普段は地面の中で泥をかぶって隠れているのだというが、そんな情報なくても大丈夫なぐらいにバレバレなのだ。

 明らかに地面が盛り上がっている。
 隠れているつもりなのかもしれないし他のモンスターはそれで誤魔化せるのかもしれないが、人の目をそれで欺くのは無理がある。

「こっちに気づいて……るのか?」

 気づいてて隠れ続けているのか、気づいてなくて隠れ続けているのかいまいち分からない。
 ファイヤートードは一応隠れているつもりな以上一定以上近づいたり、あるいは脅威を感じないと動かないという性質がある。

「とりあえず先制攻撃を仕掛けようか」

「ピピ! フィーネヤル!」

「フィーネが?」

「やってみるか?」

「大丈夫なのかよ?」

「むしろ最初の一撃なら攻撃して逃げればいいんだから適してるかもねぇ」

 戦いの最中に落ち着いてフィーネの攻撃お試しするのも難しい。
 ファイヤートードが動き出す前の今ならチャンスである。

「ヘンシン!」

 いつもの丸いロボットみたいな形からフィーネが姿を変えていく。

「ジャーン!」

「……んーと?」

 姿を変えたフィーネがポージングして波瑠が首を傾げた。

「フィーネコノスガタスキ!」

「メタリックメイドさんですか?」

 薫の表現でほとんどそのまんま、フィーネは最初にあった時のメイドさん風の姿を再現していた。
 ただし全部金属で出てきているのでメタリックな見た目であることは避けられない。

 さらにサイズはお人形サイズである。

『フィーネ
 レベル17
 総合ランクE
 筋力D
 体力D
 速度F
 魔力F
 幸運D
 スキル:物質吸収、形態変化
 才能:貪欲な学びの意思』

 ただ能力値は上がっている。
 何かに特化したフォルムでは無さそうだけど意外と強そうだと圭は思った。

「マスターミテテ!」

 フィーネが意気揚々と飛び上がってファイヤートードの方に向かう。

「ギューン!」

 そしてそのままファイヤートードがいると思われる泥の真ん中に回転しながら飛び降りる。

「なかなか……痛そうだな」

 ズドンと音がして、カエルの悲鳴のような鳴き声が響く。
 やっぱり泥に隠れていたファイヤートードのど真ん中にフィーネは落ちた。

 フィーネはその見た目の形を変えられるだけでなく自身が内包する金属の重さも自由に出し入れできる。
 取り込んだ分の金属の重さと勢いで落ちてくるとかなりの衝撃がある。

 ファイヤートードが奇妙な悲鳴を上げるのも仕方がない。

「フィーネ、下がれ!」

 高い攻撃力はあった。
 しかしそれだけでファイヤートードもやられなかった。

「くっ!」

 ファイヤートードが一気に炎が噴き出して熱波が圭たちを襲う。
 間一髪フィーネは炎に飲み込まれる前にファイヤートードの背中から逃げ出せていた。

「モウチョットダッタ」

 もう少し威力があればファイヤートードを一撃で倒せていたとフィーネは残念そうにしている。

「まあよかったぞ」

 背中がへこんだままのファイヤートードは怒りの目を圭たちに向ける。

「一気に倒すぞ!」

 倒せはしなかったが大きなダメージは与えられている。
 回復される前に押し切りたい。

「おらっ!」

 ファイヤートードが口を開き、炎をまとったベロを伸ばす。
 カレンがタイミングを合わせて盾でベロを弾き飛ばして防いだ。

 当たれば熱そうだが当たらなければ意味がない。

「どりゃー!」

 隙をついて波瑠がベロを切り付けた。

「良い感じ!」

 先日レッドゲートでエリーナを倒して得た悪魔のナイフがきらめいてファイヤートードのベロを見事に切断した。
 高い切れ味を誇り、波瑠の力でも容易くなんでも切ってしまう。

 必要な魔力が足りないためか本来ナイフが持っているはずの能力値の強化は受けられていないが、それでも十二分の働きをしてくれている。

「夜滝ねぇ、助かった!」

「ふふ、ファイヤーとは相性がいいからねぇ」

 ベロを切られたファイヤートードが怒りに任せて炎を噴き出した。
 近くまで寄っていた圭は危うく巻き込まれかけたけれど夜滝が魔法で生み出した水が守ってくれた。
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