人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
267 / 515
第五章

囚われた王女2

しおりを挟む
「広い部屋だな」

「女性の部屋っぽい」

 中はついさっき整えたかのように整頓されている。
 白を基調とした落ち着いた雰囲気の部屋であって男臭さはなくて女性が使っていたような感じがある。

「この中の誰かが使ってたのかな?」

 波瑠の視線の先には壁にかけられた一枚の絵があった。
 4人の男女が描かれた人物画で家族が描かれているように見えた。

 優しく微笑む両親らしき男女と兄妹だろう男の子と女の子。
 ゲートということはこの世界も誰かが生きていた世界だった。

 この絵画の人も家族で幸せに暮らしていたのだろう。
 ところが神々のゲームに巻き込まれて今はゲームの一部になってしまっている。

「やっぱりここは城だな」

 部屋にあった窓からカレンが城下町を見下ろした。
 予想通りに城の中にいるようだが町の見え方からしてかなり高いところにいる。

 お城の中でも上層階のようだった。
 だとしたら外に出るにしても下に降りて行かなきゃいけないなと城下町を眺めながら少し先のことを考える。

「とりあえずここには何もないですね」

「……いや」

「何か見つけたんですか?」

 見たところただの部屋。
 ベッドもあるので休むことぐらいはできそうだが逃げ場もない部屋でのんびりする余裕はない。

 何もないのなら先を急ごうと薫が圭を見た。
 しかし圭はどこかを見つめている。

『隠し通路を見つけました!』

 何か情報はないかと部屋の中を真実の目で見ていたら見慣れない表示が現れた。

「分かんないけど……何かある」

 表示が現れたのは暖炉の付近。
 圭が暖炉の周りを見て回る。

 表示によると隠し通路があるようだが暖炉を覗き込んでも向こうに通路があるようには見えない。

「んー?」

 真実の目が反応した以上何かがあるはずなのに何も見つけられない。

「そこらへんに何があるのかい?」

「隠し通路があるはずなんだ」

「隠し通路……ですか?」

 みんなは圭にそのような能力があると分かっているが山之内は知らないので不思議そうな顔をしている。

「ああ、俺にはそういったものがなんとなく分かる能力があるんだよ」

「そうなんですか」

 第六感的能力を持っている人や細かな違和感に気づけるような人もいる。
 圭が堂々と答えると山之内のあっさりと納得した。

「でもなんの変哲もない暖炉だけどねぇ」

 夜滝たちも暖炉の中を覗き込んでみたりするが隠し通路なんてものは見つからない。

「こういった時は隠されたスイッチがあるものですよ」

 山之内が暖炉の周りを触り始めた。
 隠しといっているのだから隠されているはず。

 隠し方は様々であるが通路のようなものが隠されているということは暖炉を動かすようなギミックがあるのでないかと山之内は考えていた。
 山之内は手に魔力を込めながら探っていく。

 物理的なスイッチの場合もあれば魔力を込めて作動させるスイッチが隠れている場合もあるからだ。

「表にはないですね。じゃあ……」

 山之内は一通り暖炉周りの表面を触り、今度は暖炉の中に手を入れた。

「あっ、ここに何か……」

 暖炉の中の上の方を触っていると何かが手に触れた。
 グッとそれを押し込むとガチャリと大きな音がして暖炉全体が前に出てきた。

「暖炉の後ろに何かあるな。よいしょ……」

 暖炉の後ろに隙間ができて向こう側がわずかに見えている。
 圭は隙間に手を差し込むと暖炉を引っ張る。

 少しずつ重たい暖炉が動いて狭い通路が現れたのであった。

「すごいですね、山之内さん」

「こういう推理ものは得意なんです」

 圭に褒められて山之内が照れ臭そうに笑う。

「……せっかく見つけたんだし行ってみよう」

 見つけたはいいけれど隠し通路がどこに繋がっているかも分からない。
 だが見つけたのだし隠し通路を進んでみることにした。

「暗いな……」

 窓もない隠し通路は暗闇が広がっている。
 圭たちは懐中電灯を取り出して先を照らす。

 狭い通路では二人なんで通れるような横幅もない。
 カレンを先頭にして一列に並んで隠し通路を移動する。

「にしても隠し通路なんて何のためあるんだろうな?」

 虫でも出そうなやや埃っぽい隠し通路の先を照らしてカレンが怪訝そうな顔をする。

「こうしたところにある隠し通路は大体逃げるためのものですね」

「逃げる?」

「はい、中世風の街並み、それにお城ですからきっとここは高貴な人が住んでいた場所でしょう。敵に襲われた時なんかにこっそりと逃げるための通路がこの隠し通路なんだと思います」

「はぇー、なるほどな」

 山之内の説明にカレンが納得する。

「じゃあ外に繋がってるのかな?」

「可能性としてはあり得ると思います。ただあの部屋が出口なこともあるかもしれません」
 
 逃げるための通路であることはいいのだけど圭たちが入ってきたのが入り口なのか出口なのかもまた問題である。
 仮に隠し通路の入り口だったなら城からの脱出路な可能性がある。

 逆に何処かからの脱出路だった場合は襲われる危険が大きいような場所に繋がっているということも考えられるのだ。

「みなさん、無事でしょうか……」

 こうなった以上他の人も城の中に飛ばされたと見るのが自然。
 圭たちと同じようにある程度まとまって飛ばされただろうがサポートはサポートで固まっていた。

 山之内のように戦い向きではない人も多くいて、飛ばされた先にモンスターがいたらかなり危険である。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

処理中です...