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第五章
倒して出るか、死んで終わるか4
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馬に乗ったモンスターも何体かいて次々と突撃してきていた。
等級の高い覚醒者が前に出て攻撃を防ぐけれど押されてしまうようなタンクもいた。
「あのモンスターを優先的に倒せ!」
馬の機動力と勢いを利用した攻撃力は脅威になる。
先に倒すべきは馬に乗ったモンスターの方であると攻略隊は馬に乗ったモンスターを狙い始めた。
「舐めるなよ!」
一度引いた馬に乗ったモンスターは再び勢いをつけて攻略隊に突っ込む。
待ち受けるのは北条。
「さすがギルドマスター!」
モンスターの剣と北条の剣がぶつかり合った。
力で勝ったのは北条。
力負けしたモンスターは大きく体のバランスを崩して馬から落ちる。
「馬をやれ!」
北条が起き上がろうとしているモンスターの首を刎ね、他の覚醒者が馬を倒す。
相手の戦い方が分かれば攻略隊も対応できる。
取り囲むようにして機動力を奪って倒したり、魔法で馬の上から落としたりとやり方はいくらでもある。
多少の苦戦はあったけれど乱戦になれば個々の実力が高い攻略隊の方が強かった。
「ケガ人の治療を頼む!」
「ポーションはあるか!」
戦いが終わったけれど今回は無傷とはいかなかった。
馬に乗ったモンスターの突撃で乱されたためにいくらか死傷者が出てしまった。
慌ただしくケガ人の把握と治療が行われる。
「やはり城の中にドローンは飛ばせないな」
そんな状況を横目に圭たちはサポートとして城の状況把握を手伝っていた。
ドローンを飛ばして城の内部を調査しようと試みたのだけど城の敷地内に入るとドローンが制御不能になる。
堀に落ちて回収不可能になってしまったドローンもあってこれ以上外部から調査するのは無理だと結論づけられた。
明らかに城がこのゲートの中心である。
複数の意見はあったけれどサポート部隊も含めて堀にかけられた跳ね橋を渡ることにした。
跳ね橋が上げられてしまうと部隊が分断されてしまって危険があるからというのが理由だった。
一方で戦力的に弱いサポート部隊が城に近づくことの危険性もあったけれどまとまっている方が安全だという結論になったのだ。
「なんだか空気重たいな……」
跳ね橋を渡ったところから空気感が変わった。
これまでもゲート特有の重たい感じの空気感があったのだが城に近づくとより空気が重たく感じられた。
お城の前のスペースでドローンを起動させようとしたけれどとうとう起動すらしなくなった。
「ここからは精鋭部隊で突入する」
城の内部は分からないけれど建物の中が広いとは思えない。
攻略隊が一気に入っても身動きが取れなくなるだけになる。
人数を絞って素早く攻略する方がリスクが少ない。
北条を中心として高等級覚醒者を集めて城に挑むことになった。
「ボディカメラの作動に問題はありません」
ドローンは動かないが記録用のカメラは動いたので精鋭部隊に取り付けた。
お城の正面の門は開け放たれている。
精鋭部隊が城の中に入っていく。
「みんなは大丈夫か?」
こうなると圭たちに出来ることはない。
相変わらず外は雨が降っていて天気は非常に悪い。
圭は体が冷えたりしていないかと夜滝たちの方に視線を向けた。
「もうびしょびしょだけどまだ大丈夫かな」
「私はちょっと体冷えてきたかな」
「このまま雨晒しなのはちょっと辛いねぇ」
「僕も少し寒いですね」
体力値の高いカレンは平気そうだけど夜滝たちは体が雨のせいで冷えつつあった。
「上手くいけばもうちょっとで攻略……」
『シークレットクエスト
囚われた王女を解放せよ』
北条が乗り込んだのでボスさえ倒せれば攻略されるはず。
そう思っていたら急に圭の目の前に表示が現れた。
「どうしたんだい?」
中途半端なところで言葉を切って周りを見回す圭をみんな不思議そうな顔で見ている。
「何も出てないのか?」
「何が出てんだよ?」
「……みんな、ちょっとこっちに」
圭以外誰も表示を見ているような様子はない。
夜滝たちにも表示が見えていないのだと圭はすぐに状況を把握した。
「シークレットクエストが現れた」
みんなが圭に近づくと周りに聞こえないように声を抑えて表示が現れたことを説明する。
人は多いけれど雨も降っているし近づいて声を抑えていれば周りに聞かれることはない。
「シークレットクエストだと?」
「ああ、急に目の前に現れたんだ」
「塔の中みたいに?」
「そんな感じ」
「どんなクエストなんだい?」
「囚われた王女を解放せよ、だって」
「何が何だか分かりませんね……」
簡単な文言だけ書かれたクエストのみを与えられても何が何だか分からない。
お城のではあるので王女がいるということは納得もできる。
しかし囚われているとかどういうことなのか情報が少なすぎる。
「それに……どうしろっていうんだ」
今圭たちは身動きが取れない。
シークレットクエストが出たとしても他の人はそれを知らないし、サポートとして残っている以上勝手に城に入るわけにもいかない。
クエストをやりに行けないのである。
「……何も無理にクリアすることはないから無視してもいんじゃね?」
「まあそうだけどさ」
強制的にやらされるものでもない。
危険が伴うのでやるやらないは圭たちの自由である。
等級の高い覚醒者が前に出て攻撃を防ぐけれど押されてしまうようなタンクもいた。
「あのモンスターを優先的に倒せ!」
馬の機動力と勢いを利用した攻撃力は脅威になる。
先に倒すべきは馬に乗ったモンスターの方であると攻略隊は馬に乗ったモンスターを狙い始めた。
「舐めるなよ!」
一度引いた馬に乗ったモンスターは再び勢いをつけて攻略隊に突っ込む。
待ち受けるのは北条。
「さすがギルドマスター!」
モンスターの剣と北条の剣がぶつかり合った。
力で勝ったのは北条。
力負けしたモンスターは大きく体のバランスを崩して馬から落ちる。
「馬をやれ!」
北条が起き上がろうとしているモンスターの首を刎ね、他の覚醒者が馬を倒す。
相手の戦い方が分かれば攻略隊も対応できる。
取り囲むようにして機動力を奪って倒したり、魔法で馬の上から落としたりとやり方はいくらでもある。
多少の苦戦はあったけれど乱戦になれば個々の実力が高い攻略隊の方が強かった。
「ケガ人の治療を頼む!」
「ポーションはあるか!」
戦いが終わったけれど今回は無傷とはいかなかった。
馬に乗ったモンスターの突撃で乱されたためにいくらか死傷者が出てしまった。
慌ただしくケガ人の把握と治療が行われる。
「やはり城の中にドローンは飛ばせないな」
そんな状況を横目に圭たちはサポートとして城の状況把握を手伝っていた。
ドローンを飛ばして城の内部を調査しようと試みたのだけど城の敷地内に入るとドローンが制御不能になる。
堀に落ちて回収不可能になってしまったドローンもあってこれ以上外部から調査するのは無理だと結論づけられた。
明らかに城がこのゲートの中心である。
複数の意見はあったけれどサポート部隊も含めて堀にかけられた跳ね橋を渡ることにした。
跳ね橋が上げられてしまうと部隊が分断されてしまって危険があるからというのが理由だった。
一方で戦力的に弱いサポート部隊が城に近づくことの危険性もあったけれどまとまっている方が安全だという結論になったのだ。
「なんだか空気重たいな……」
跳ね橋を渡ったところから空気感が変わった。
これまでもゲート特有の重たい感じの空気感があったのだが城に近づくとより空気が重たく感じられた。
お城の前のスペースでドローンを起動させようとしたけれどとうとう起動すらしなくなった。
「ここからは精鋭部隊で突入する」
城の内部は分からないけれど建物の中が広いとは思えない。
攻略隊が一気に入っても身動きが取れなくなるだけになる。
人数を絞って素早く攻略する方がリスクが少ない。
北条を中心として高等級覚醒者を集めて城に挑むことになった。
「ボディカメラの作動に問題はありません」
ドローンは動かないが記録用のカメラは動いたので精鋭部隊に取り付けた。
お城の正面の門は開け放たれている。
精鋭部隊が城の中に入っていく。
「みんなは大丈夫か?」
こうなると圭たちに出来ることはない。
相変わらず外は雨が降っていて天気は非常に悪い。
圭は体が冷えたりしていないかと夜滝たちの方に視線を向けた。
「もうびしょびしょだけどまだ大丈夫かな」
「私はちょっと体冷えてきたかな」
「このまま雨晒しなのはちょっと辛いねぇ」
「僕も少し寒いですね」
体力値の高いカレンは平気そうだけど夜滝たちは体が雨のせいで冷えつつあった。
「上手くいけばもうちょっとで攻略……」
『シークレットクエスト
囚われた王女を解放せよ』
北条が乗り込んだのでボスさえ倒せれば攻略されるはず。
そう思っていたら急に圭の目の前に表示が現れた。
「どうしたんだい?」
中途半端なところで言葉を切って周りを見回す圭をみんな不思議そうな顔で見ている。
「何も出てないのか?」
「何が出てんだよ?」
「……みんな、ちょっとこっちに」
圭以外誰も表示を見ているような様子はない。
夜滝たちにも表示が見えていないのだと圭はすぐに状況を把握した。
「シークレットクエストが現れた」
みんなが圭に近づくと周りに聞こえないように声を抑えて表示が現れたことを説明する。
人は多いけれど雨も降っているし近づいて声を抑えていれば周りに聞かれることはない。
「シークレットクエストだと?」
「ああ、急に目の前に現れたんだ」
「塔の中みたいに?」
「そんな感じ」
「どんなクエストなんだい?」
「囚われた王女を解放せよ、だって」
「何が何だか分かりませんね……」
簡単な文言だけ書かれたクエストのみを与えられても何が何だか分からない。
お城のではあるので王女がいるということは納得もできる。
しかし囚われているとかどういうことなのか情報が少なすぎる。
「それに……どうしろっていうんだ」
今圭たちは身動きが取れない。
シークレットクエストが出たとしても他の人はそれを知らないし、サポートとして残っている以上勝手に城に入るわけにもいかない。
クエストをやりに行けないのである。
「……何も無理にクリアすることはないから無視してもいんじゃね?」
「まあそうだけどさ」
強制的にやらされるものでもない。
危険が伴うのでやるやらないは圭たちの自由である。
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