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第二章
ブラックマーケット1
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塔やゲート、モンスターの存在は新たな技術やエネルギーといった光を運んできた一方で当然のことながら大きな闇も残した。
多くの人がモンスターのせいで亡くなったし自由狩猟特別区域に代表されるように人が支配していた場所でも今はモンスターが闊歩しているところもある。
覚醒者と非覚醒者という同じ人間の中での違いも社会の中での問題をもたらした。
非覚醒者がほとんどである警察では止められないような人間による闇も広がった。
今は覚醒者協会という存在が覚醒者に対する警察組織のような役割を果たして抑止力となっているがすでに広がった闇を一掃するには足りなかった。
現在でも根付いた闇は残り、覚醒者協会でも手の出せない場所がある。
ブラックマーケット。
その名の通り市場として物が売り買いされる場所なのだが出される品はどれもきな臭い経緯を持っている。
ゲートの中で起こることは基本的に関知されない。
人が死んでもそれがゲートの中なら事故だろうと、あるいは殺人だろうと当事者以外には知り得ないのである。
死人に口なし。
他の人の装備や持ち物はゲートが閉じれば消えてしまう。
証拠隠滅という観点からはそのまま放置しておくのも手であるが装備品は高価なことも多い。
死んだ相手のものを持ち出してこっそりと売ってしまう。
警察もないのだ、そんなことが昔は横行していた。
他にもチームに所属する人が倒したモンスターの魔石をネコババしたりたまたま見つけたお宝をバレないように売ったりするような場としてブラックマーケットは大きくなった。
ただ物の売り買いだけでなく情報や表には出せない仕事の依頼など様々なことがブラックマーケットの中で動いている。
昔は覚醒者しか入れないなんて言われていたけれど今では薄暗い過去を持つ非覚醒者も多くいる。
「ひいぃ……」
周りどこを見ても柄の悪い人しか歩いていない。
全身タトゥーのお兄さんやピアスだらけのお姉さん、何本か指のないガタイのいいおじさんといった普段は見ないような人がそこら中にいる。
マスクにサングラス、さらには深くキャップをかぶって顔を隠した圭は内心の恐怖を悟られないようにどうにか平静を装いながらブラックマーケットを歩いていた。
怖くて真実の目で人を確かめるのはやめておく。
目が合うだけでも怖いような人たちがたくさんいるような無法地帯であるブラックマーケットなのだが不文律のルールも存在している。
それが殺人は厳禁なのだ。
どこでもダメだろうなんて話だけど荒っぽい人もいる中では覚醒者となれば簡単に命にまで及ぶ事件になりかねない。
しかしこのルールは命を奪うのはダメとか争っちゃいけないとかそんなことのためのルールなのではない。
殺人が起きてしまうと警察や覚醒者協会がブラックマーケットに介入する口実を与えてしまう原因になるから禁止されているのだ。
だから殺人は禁止だけど完璧に証拠隠滅して死体も消せるなら殺人だって起こりうる。
ライオンの檻に飛び込んだようなものだ。
しかしこんな場所に圭が好き好んで来るはずはなく、とある目的のために来たのだった。
「いらっしゃいませ、お客さま」
圭はブラックマーケットにあるとある店舗に訪れた。
黒いスーツに身を包んだ営業スマイルを浮かべて圭を歓迎する。
「本日のご用件は?」
「物を売りたい」
「品物はなんでしょうか?」
「高等級のモンスターの魔石だ」
圭がここを訪れたのは魔石を売るためだった。
以前死にかけた時に圭はヘルカトとヘルカトを押し潰したモンスターの魔石を取っていた。
これまで身分もバレずに売ることは難しいと思っていたけれどたまたまブラックマーケットのことを耳にしてここならお金に変えられると思っていた。
お金に迫られていなかったのでここに来ることもなかったがお金が必要になった。
それは八重樫工房のためだった。
八重樫工房が迫られている借金の返済は金額が大きくとても期限内には返せない。
そのためにカレンは自分の身を売ってでもお金を工面しようとしていた。
けれどそんなことやってはいけない。
おそらくそれでもお金は足りないだろうしカレンは傷つき、工房も取り上げられてしまう。
だけも圭にもそんな大金はない。
まだ稼げるような強さもないし助けてあげることができないと思っていた時に魔石のことを思い出したのだ。
高い等級のモンスターの魔石は高額で取引される。
借金を返してもお釣りが来るぐらいの価値がある。
でも表立って魔石を売ろうものならどこで手に入れたのか疑われる。
換金に時間もかかるだろうし手早くバレないようにお金にしようと思ったらブラックマーケットは最適な場所だった。
今時はなんでもネットで調べられる。
こうした魔石を取り扱うブラックマーケット内のお店を調べて圭はそこを訪れたのであった。
マスクやサングラスといった怪しい出立ちであるがスーツの店員は特に何も思わないように接客をしてくれる。
「魔石でいらっしゃいますね。実際のものを見せていただけますでしょうか?」
多くの人がモンスターのせいで亡くなったし自由狩猟特別区域に代表されるように人が支配していた場所でも今はモンスターが闊歩しているところもある。
覚醒者と非覚醒者という同じ人間の中での違いも社会の中での問題をもたらした。
非覚醒者がほとんどである警察では止められないような人間による闇も広がった。
今は覚醒者協会という存在が覚醒者に対する警察組織のような役割を果たして抑止力となっているがすでに広がった闇を一掃するには足りなかった。
現在でも根付いた闇は残り、覚醒者協会でも手の出せない場所がある。
ブラックマーケット。
その名の通り市場として物が売り買いされる場所なのだが出される品はどれもきな臭い経緯を持っている。
ゲートの中で起こることは基本的に関知されない。
人が死んでもそれがゲートの中なら事故だろうと、あるいは殺人だろうと当事者以外には知り得ないのである。
死人に口なし。
他の人の装備や持ち物はゲートが閉じれば消えてしまう。
証拠隠滅という観点からはそのまま放置しておくのも手であるが装備品は高価なことも多い。
死んだ相手のものを持ち出してこっそりと売ってしまう。
警察もないのだ、そんなことが昔は横行していた。
他にもチームに所属する人が倒したモンスターの魔石をネコババしたりたまたま見つけたお宝をバレないように売ったりするような場としてブラックマーケットは大きくなった。
ただ物の売り買いだけでなく情報や表には出せない仕事の依頼など様々なことがブラックマーケットの中で動いている。
昔は覚醒者しか入れないなんて言われていたけれど今では薄暗い過去を持つ非覚醒者も多くいる。
「ひいぃ……」
周りどこを見ても柄の悪い人しか歩いていない。
全身タトゥーのお兄さんやピアスだらけのお姉さん、何本か指のないガタイのいいおじさんといった普段は見ないような人がそこら中にいる。
マスクにサングラス、さらには深くキャップをかぶって顔を隠した圭は内心の恐怖を悟られないようにどうにか平静を装いながらブラックマーケットを歩いていた。
怖くて真実の目で人を確かめるのはやめておく。
目が合うだけでも怖いような人たちがたくさんいるような無法地帯であるブラックマーケットなのだが不文律のルールも存在している。
それが殺人は厳禁なのだ。
どこでもダメだろうなんて話だけど荒っぽい人もいる中では覚醒者となれば簡単に命にまで及ぶ事件になりかねない。
しかしこのルールは命を奪うのはダメとか争っちゃいけないとかそんなことのためのルールなのではない。
殺人が起きてしまうと警察や覚醒者協会がブラックマーケットに介入する口実を与えてしまう原因になるから禁止されているのだ。
だから殺人は禁止だけど完璧に証拠隠滅して死体も消せるなら殺人だって起こりうる。
ライオンの檻に飛び込んだようなものだ。
しかしこんな場所に圭が好き好んで来るはずはなく、とある目的のために来たのだった。
「いらっしゃいませ、お客さま」
圭はブラックマーケットにあるとある店舗に訪れた。
黒いスーツに身を包んだ営業スマイルを浮かべて圭を歓迎する。
「本日のご用件は?」
「物を売りたい」
「品物はなんでしょうか?」
「高等級のモンスターの魔石だ」
圭がここを訪れたのは魔石を売るためだった。
以前死にかけた時に圭はヘルカトとヘルカトを押し潰したモンスターの魔石を取っていた。
これまで身分もバレずに売ることは難しいと思っていたけれどたまたまブラックマーケットのことを耳にしてここならお金に変えられると思っていた。
お金に迫られていなかったのでここに来ることもなかったがお金が必要になった。
それは八重樫工房のためだった。
八重樫工房が迫られている借金の返済は金額が大きくとても期限内には返せない。
そのためにカレンは自分の身を売ってでもお金を工面しようとしていた。
けれどそんなことやってはいけない。
おそらくそれでもお金は足りないだろうしカレンは傷つき、工房も取り上げられてしまう。
だけも圭にもそんな大金はない。
まだ稼げるような強さもないし助けてあげることができないと思っていた時に魔石のことを思い出したのだ。
高い等級のモンスターの魔石は高額で取引される。
借金を返してもお釣りが来るぐらいの価値がある。
でも表立って魔石を売ろうものならどこで手に入れたのか疑われる。
換金に時間もかかるだろうし手早くバレないようにお金にしようと思ったらブラックマーケットは最適な場所だった。
今時はなんでもネットで調べられる。
こうした魔石を取り扱うブラックマーケット内のお店を調べて圭はそこを訪れたのであった。
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「魔石でいらっしゃいますね。実際のものを見せていただけますでしょうか?」
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