1 / 351
第一章
危機的状況1
しおりを挟む
世界は変わった。
突如として現れた天を衝く巨大な建造物の塔や場所を問わずいきなり現れる不思議な異世界への出入り口であるゲートが現れた。
モンスターと呼ばれた異形の化け物はゲートの中から溢れ出し、世界は一時危機に瀕した。
その時覚醒者と呼ばれる者が現れた。
圧倒的な力、人知を超えた不思議な能力を持ってモンスターと戦った。
人類の反撃が始まり、地上に出てきた魔物が狩り尽くされていった。
ゲートやモンスターの出現は世界に様々な影響を及ぼしたのであるが中でも大きな影響があったのは魔力と呼ばれるものの存在であった。
魔力は覚醒者が持つエネルギーというだけでなく、死んだモンスターの体の中から取り出される魔石、これにも魔力が含まれている。
資源が枯渇寸前となり緩やかな衰退を迎えつつあった人類にとっての希望の光となりえる新たなエネルギーとして魔力が取って代わった。
ゲートの中で採れる素材やモンスターの素材の研究が進んで利用が進むと今度は塔やゲートに目が向けられた。
まずは魔物が溢れてくるゲート。
魔物を狩り、その魔物の素材で作った防具や武器でさらに身を強化した覚醒者がゲートの中に入っていった。
中に広がっているのは地球とはまた異なる異質な空間。
中にいるのは異世界の生き物。
人を襲う異形の化け物が巣食う世界が塔やゲートの中には広がっていたのである。
最初は異世界が広がっているなど知らずに大きな被害を出した人類であるがゲートの攻略に成功した。
1つ成功して方法が分かると次々とゲートを攻略していった。
そうしてモンスターが飛び出してくる多くのゲートが攻略されて閉じられて、世界に一時の平和が戻ってきた。
人類が次に目を向けたのは塔だった。
世界10か所に急に現れた塔の中もゲートと同じく異世界が広がっているのだがゲートとはまた違っていた。
そこからの歴史は人類とモンスターの戦いの歴史となっていた。
気づけば塔が現れてからもう30年という時間が流れていた。
何のきっかけがあるのかいまだに不明であるが、いきなり覚醒者となる人も現れたりゲートが出現したりしながら新たな展開を迎えた世界も上手く回っていた。
塔は世界各地に現れたどの塔から入っても塔の1階という同じ空間に繋がっていた。
そのために1階を通っていくと塔のある他の国に比較的早く行くことができるなんてことが発生した。
塔の所有権を争って国同士で議論が巻き起こったこともある。
なので今では塔はどの国にも所属しない存在となっている。
「特別配達人です。日本からの荷物お届けにきました」
特別配達人。聞こえは良いがやっていることはただのトラック運転手である。
塔が他の国に繋がっていることを利用して生まれた職業が生まれた職業が特別配達人というものだった。
なんてことはない、トラックを運転して各国のゲートに荷物を届ける仕事。
早ければその日のうちに別の国に素早く荷物を届けられるとあって意外と人気のあるサービスが特別配達である。
塔に入れるのが覚醒者だけなので当然覚醒者が配達を担う。
トラックは魔力で動く最新式のもので操縦感はかなり良い。
覚醒者じゃなきゃいけないので給料はそこそこなのだが超がつく不人気職で働き手は少ない。
それもそのはずで覚醒者ならモンスターを狩った方がはるかに儲かるからだ。
なんなら運転手よりもトラックの護衛の方がお金を貰えている。
覚醒者になったのに何が悲しくてトラック運転手をして荷物を運ばなきゃならないのかとみんな思うのだ。
だから不人気なのである。
なりたいと思ってなれるものでもないけれど。
「これで今日の分は終わり?」
「そうですね、今日はあと帰るだけです」
護衛のリーダーでE級覚醒者の佐藤重恭が荷運びを終えて村雨圭に声をかけてきた。
中年の覚醒者で人が良く、塔を攻略するよりも危険度が低いので荷運びの護衛をやっている。
本当は護衛だけで荷物まで運ぶのは業務ではないのだが早く終われば重恭達にとってもよいのでいつしか手伝ってくれるようになった。
荷物受け取りのサインをもらい、圭はトラックの運転席に乗り込んだ。
重恭達はバンに乗り込みトラックを先導して走り出す。
配達の都合で今日は訪れた場所は日本からやや遠い。
早く帰らなきゃ暗くなってしまうなと圭は思っていた。
あとは帰るだけとはいえ気は抜けない。
変えるのに1番近い道は森の中を走っていくものになる。
圭1人なら多少時間が伸びても森を迂回していくのだが先導する重恭達は早く帰りたいのか躊躇いなく森の中に進んでいく。
圭も早く帰りたいことには違いないのでトラックでついていく。
「止まれ!」
重恭達のバンが止まり、圭も慌ててブレーキを踏む。
晩御飯をどうしようかなんて考えていたので少し危なかった。
道の先に青い光が見えている。
重恭はバンの中から手を出して圭に出てこないように指示をした。
見えている光が何なのかは覚醒者ならすぐに分かる。
「ゲート……」
塔もゲートも人類にとっては未だに未知のものである。
塔の外でも時折ゲートが現れてモンスターが飛び出してくることもある。
塔の中でさえもいきなりゲートが現れることがある。
ゲートの中の世界はダンジョンと呼ばれていてモンスターが住んでいる。
突如として現れた天を衝く巨大な建造物の塔や場所を問わずいきなり現れる不思議な異世界への出入り口であるゲートが現れた。
モンスターと呼ばれた異形の化け物はゲートの中から溢れ出し、世界は一時危機に瀕した。
その時覚醒者と呼ばれる者が現れた。
圧倒的な力、人知を超えた不思議な能力を持ってモンスターと戦った。
人類の反撃が始まり、地上に出てきた魔物が狩り尽くされていった。
ゲートやモンスターの出現は世界に様々な影響を及ぼしたのであるが中でも大きな影響があったのは魔力と呼ばれるものの存在であった。
魔力は覚醒者が持つエネルギーというだけでなく、死んだモンスターの体の中から取り出される魔石、これにも魔力が含まれている。
資源が枯渇寸前となり緩やかな衰退を迎えつつあった人類にとっての希望の光となりえる新たなエネルギーとして魔力が取って代わった。
ゲートの中で採れる素材やモンスターの素材の研究が進んで利用が進むと今度は塔やゲートに目が向けられた。
まずは魔物が溢れてくるゲート。
魔物を狩り、その魔物の素材で作った防具や武器でさらに身を強化した覚醒者がゲートの中に入っていった。
中に広がっているのは地球とはまた異なる異質な空間。
中にいるのは異世界の生き物。
人を襲う異形の化け物が巣食う世界が塔やゲートの中には広がっていたのである。
最初は異世界が広がっているなど知らずに大きな被害を出した人類であるがゲートの攻略に成功した。
1つ成功して方法が分かると次々とゲートを攻略していった。
そうしてモンスターが飛び出してくる多くのゲートが攻略されて閉じられて、世界に一時の平和が戻ってきた。
人類が次に目を向けたのは塔だった。
世界10か所に急に現れた塔の中もゲートと同じく異世界が広がっているのだがゲートとはまた違っていた。
そこからの歴史は人類とモンスターの戦いの歴史となっていた。
気づけば塔が現れてからもう30年という時間が流れていた。
何のきっかけがあるのかいまだに不明であるが、いきなり覚醒者となる人も現れたりゲートが出現したりしながら新たな展開を迎えた世界も上手く回っていた。
塔は世界各地に現れたどの塔から入っても塔の1階という同じ空間に繋がっていた。
そのために1階を通っていくと塔のある他の国に比較的早く行くことができるなんてことが発生した。
塔の所有権を争って国同士で議論が巻き起こったこともある。
なので今では塔はどの国にも所属しない存在となっている。
「特別配達人です。日本からの荷物お届けにきました」
特別配達人。聞こえは良いがやっていることはただのトラック運転手である。
塔が他の国に繋がっていることを利用して生まれた職業が生まれた職業が特別配達人というものだった。
なんてことはない、トラックを運転して各国のゲートに荷物を届ける仕事。
早ければその日のうちに別の国に素早く荷物を届けられるとあって意外と人気のあるサービスが特別配達である。
塔に入れるのが覚醒者だけなので当然覚醒者が配達を担う。
トラックは魔力で動く最新式のもので操縦感はかなり良い。
覚醒者じゃなきゃいけないので給料はそこそこなのだが超がつく不人気職で働き手は少ない。
それもそのはずで覚醒者ならモンスターを狩った方がはるかに儲かるからだ。
なんなら運転手よりもトラックの護衛の方がお金を貰えている。
覚醒者になったのに何が悲しくてトラック運転手をして荷物を運ばなきゃならないのかとみんな思うのだ。
だから不人気なのである。
なりたいと思ってなれるものでもないけれど。
「これで今日の分は終わり?」
「そうですね、今日はあと帰るだけです」
護衛のリーダーでE級覚醒者の佐藤重恭が荷運びを終えて村雨圭に声をかけてきた。
中年の覚醒者で人が良く、塔を攻略するよりも危険度が低いので荷運びの護衛をやっている。
本当は護衛だけで荷物まで運ぶのは業務ではないのだが早く終われば重恭達にとってもよいのでいつしか手伝ってくれるようになった。
荷物受け取りのサインをもらい、圭はトラックの運転席に乗り込んだ。
重恭達はバンに乗り込みトラックを先導して走り出す。
配達の都合で今日は訪れた場所は日本からやや遠い。
早く帰らなきゃ暗くなってしまうなと圭は思っていた。
あとは帰るだけとはいえ気は抜けない。
変えるのに1番近い道は森の中を走っていくものになる。
圭1人なら多少時間が伸びても森を迂回していくのだが先導する重恭達は早く帰りたいのか躊躇いなく森の中に進んでいく。
圭も早く帰りたいことには違いないのでトラックでついていく。
「止まれ!」
重恭達のバンが止まり、圭も慌ててブレーキを踏む。
晩御飯をどうしようかなんて考えていたので少し危なかった。
道の先に青い光が見えている。
重恭はバンの中から手を出して圭に出てこないように指示をした。
見えている光が何なのかは覚醒者ならすぐに分かる。
「ゲート……」
塔もゲートも人類にとっては未だに未知のものである。
塔の外でも時折ゲートが現れてモンスターが飛び出してくることもある。
塔の中でさえもいきなりゲートが現れることがある。
ゲートの中の世界はダンジョンと呼ばれていてモンスターが住んでいる。
131
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
催眠アプリで恋人を寝取られて「労働奴隷」にされたけど、仕事の才能が開花したことで成り上がり、人生逆転しました
フーラー
ファンタジー
「催眠アプリで女性を寝取り、ハーレムを形成するクソ野郎」が
ざまぁ展開に陥る、異色の異世界ファンタジー。
舞台は異世界。
売れないイラストレーターをやっている獣人の男性「イグニス」はある日、
チートスキル「催眠アプリ」を持つ異世界転移者「リマ」に恋人を寝取られる。
もともとイグニスは収入が少なく、ほぼ恋人に養ってもらっていたヒモ状態だったのだが、
リマに「これからはボクらを養うための労働奴隷になれ」と催眠をかけられ、
彼らを養うために働くことになる。
しかし、今のイグニスの収入を差し出してもらっても、生活が出来ないと感じたリマは、
イグニスに「仕事が楽しくてたまらなくなる」ように催眠をかける。
これによってイグニスは仕事にまじめに取り組むようになる。
そして努力を重ねたことでイラストレーターとしての才能が開花、
大劇団のパンフレット作製など、大きな仕事が舞い込むようになっていく。
更にリマはほかの男からも催眠で妻や片思いの相手を寝取っていくが、
その「寝取られ男」達も皆、その時にかけられた催眠が良い方に作用する。
これによって彼ら「寝取られ男」達は、
・ゲーム会社を立ち上げる
・シナリオライターになる
・営業で大きな成績を上げる
など次々に大成功を収めていき、その中で精神的にも大きな成長を遂げていく。
リマは、そんな『労働奴隷』達の成長を目の当たりにする一方で、
自身は自堕落に生活し、なにも人間的に成長できていないことに焦りを感じるようになる。
そして、ついにリマは嫉妬と焦りによって、
「ボクをお前の会社の社長にしろ」
と『労働奴隷』に催眠をかけて社長に就任する。
そして「現代のゲームに関する知識」を活かしてゲーム業界での無双を試みるが、
その浅はかな考えが、本格的な破滅の引き金となっていく。
小説家になろう・カクヨムでも掲載しています!
勇者に大切な人達を寝取られた結果、邪神が目覚めて人類が滅亡しました。
レオナール D
ファンタジー
大切な姉と妹、幼なじみが勇者の従者に選ばれた。その時から悪い予感はしていたのだ。
田舎の村に生まれ育った主人公には大切な女性達がいた。いつまでも一緒に暮らしていくのだと思っていた彼女らは、神託によって勇者の従者に選ばれて魔王討伐のために旅立っていった。
旅立っていった彼女達の無事を祈り続ける主人公だったが……魔王を倒して帰ってきた彼女達はすっかり変わっており、勇者に抱きついて媚びた笑みを浮かべていた。
青年が大切な人を勇者に奪われたとき、世界の破滅が幕を開く。
恐怖と狂気の怪物は絶望の底から生まれ落ちたのだった……!?
※カクヨムにも投稿しています。
公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!
秋田ノ介
ファンタジー
主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。
『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。
ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!!
小説家になろうにも掲載しています。
妻を寝取ったパーティーメンバーに刺殺された俺はもう死にたくない。〜二度目の俺。最悪から最高の人生へ〜
橋本 悠
ファンタジー
両親の死、いじめ、NTRなどありとあらゆる`最悪`を経験し、終いにはパーティーメンバーに刺殺された俺は、異世界転生に成功した……と思いきや。
もしかして……また俺かよ!!
人生の最悪を賭けた二周目の俺が始まる……ってもうあんな最悪見たくない!!!
さいっっっっこうの人生送ってやるよ!!
──────
こちらの作品はカクヨム様でも連載させていただいております。
先取り更新はカクヨム様でございます。是非こちらもよろしくお願いします!
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる