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始まり
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「ネイト、教会を復興させようと思うんだ」
暫く会ってない僕を呼びつけて第一声がこの言葉だった。
かれこれ三年ぶりか。なかなか連絡を取らないタイプの彼が急に手紙を寄越した。
話をしたいので良ければ来て欲しいと住所とその一言書いてあるのみの内容で僕は心配をしたのだが。(あらぬ心配だったようだ)
「唐突だな、それに意味はあるのか?ここはずっと使われてすらいない廃墟だし、僕には…」
冬の冷たい風が吹き僕は途中で言葉を止めた。
「僕には意味があるんだ、ネイト」と真面目な顔でこちらをずっと見つめるクラークの目には強い意志が見て取れた。
僕には、止められない。だがそれを話すだけで呼ばれたのだろうか。
「わかった、僕はもう止めない。で、クラーク、僕はなぜ呼ばれたんだ?」
「うん」と一言、僕から目を離し、一呼吸分の間を置いてからまた真っ直ぐ僕を見据えた。
「ネイト、僕にはあまり友人がいない」
クラークはどちらかというと寡黙な方だから、確かにそうかもしれないなと思いながら次の言葉を待つ。
「君に、手伝って欲しいんだ、教会の復興を」
少しクラークの青い目が揺れた。僕が教会の復興を手伝って欲しいと頼まれるとはとは思わなかった。
数年も会ってない人間をなぜ、と思ったが彼のことだ。断ったら一人でやるのだろう。
僕は目を荒れ果てた教会に目をやる。
レンガは老朽化してボロボロだし、壁も所々崩れて蔦も自分の住処だと言わんばかりに生い茂っている。
極め付けは十字架も地面に落ちて十字の部分に欠けた部分が目立つ。
━━冗談だろ。だってこの教会を直すのにどれくらいかかる?
僕は大工ではあるが、そんな慈善をするようなタイプでもない。
クラークに目をやると、一緒に教会を眺めていたのか、横を向いていた。
その白い髪で表情は見えない。何か嫌な予感がする。
次の瞬間口を飛び出した言葉は、自分の意思とは違う言葉だった。
「わかった、クラーク。手を貸すよ」
暫く会ってない僕を呼びつけて第一声がこの言葉だった。
かれこれ三年ぶりか。なかなか連絡を取らないタイプの彼が急に手紙を寄越した。
話をしたいので良ければ来て欲しいと住所とその一言書いてあるのみの内容で僕は心配をしたのだが。(あらぬ心配だったようだ)
「唐突だな、それに意味はあるのか?ここはずっと使われてすらいない廃墟だし、僕には…」
冬の冷たい風が吹き僕は途中で言葉を止めた。
「僕には意味があるんだ、ネイト」と真面目な顔でこちらをずっと見つめるクラークの目には強い意志が見て取れた。
僕には、止められない。だがそれを話すだけで呼ばれたのだろうか。
「わかった、僕はもう止めない。で、クラーク、僕はなぜ呼ばれたんだ?」
「うん」と一言、僕から目を離し、一呼吸分の間を置いてからまた真っ直ぐ僕を見据えた。
「ネイト、僕にはあまり友人がいない」
クラークはどちらかというと寡黙な方だから、確かにそうかもしれないなと思いながら次の言葉を待つ。
「君に、手伝って欲しいんだ、教会の復興を」
少しクラークの青い目が揺れた。僕が教会の復興を手伝って欲しいと頼まれるとはとは思わなかった。
数年も会ってない人間をなぜ、と思ったが彼のことだ。断ったら一人でやるのだろう。
僕は目を荒れ果てた教会に目をやる。
レンガは老朽化してボロボロだし、壁も所々崩れて蔦も自分の住処だと言わんばかりに生い茂っている。
極め付けは十字架も地面に落ちて十字の部分に欠けた部分が目立つ。
━━冗談だろ。だってこの教会を直すのにどれくらいかかる?
僕は大工ではあるが、そんな慈善をするようなタイプでもない。
クラークに目をやると、一緒に教会を眺めていたのか、横を向いていた。
その白い髪で表情は見えない。何か嫌な予感がする。
次の瞬間口を飛び出した言葉は、自分の意思とは違う言葉だった。
「わかった、クラーク。手を貸すよ」
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