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第4章
55 オカマに相談した僕は、後輩思いの優しい先輩です
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金縛りにかかった感覚を味わい、僕の意識は覚醒した。
そして意識の覚醒と同時に寒気がした。
「体は動かせる……それに声も出せる……」
謎の寒気があるので不安に思ったが、これは金縛りで間違いないはずだ。
金縛りちゃんたちが来てくれた可能性もあるがすぐに姿を見せないのには違和感がある。
それに、この寒気から察するに、僕に金縛りをかけたのは……
「ちょっとぉ~カナに聞いたわよぉ~、ア・タ・シに会いたかったんだって~?」
「ギィヤァァアアアアァアアアアア!」
目の前に突然、青髭を生やしたクマのように大きなオカマが現れた。
目の前のオカマを頭で認識する前に防衛本能で叫んでしまった。
「ちょっと~、もう慣れてくれたと思ってたけど~、まだそんなに叫ぶのね! もしかして嬉しくて叫んでるのかしら? うふふっ可愛い」
そう。目の前に突然現れたのはオカマの金縛り霊のユウナさんだ。
クマのように大きな体で、金縛りちゃんたちと同じ白いワンピースを着ている。
そして青髭と無駄にマッチョ。何度見ても強烈すぎる。
望んでいなかった事だが、来てしまったのなら仕方がない。
今夜は癒されたかったが……ユウナさんに相談をしよう。そのためにカナがユウナさんに話してくれたんだ。
カナの努力を無駄にできない。けど、カナも一緒に来て欲しかった……
目の前のオカマに怯えながら涙を流す僕に向かって、ユウナさんは唇をぺろっと舐めた。
「ところで話ってのは専属霊のことだったわよね?」
早速本題に移ってくれた。なんとも話の早いオカマなんだ。
「そ、そうなんですよ……専属霊についてなんですけど……今年までに」
「まさかアタシを専属霊にしたいってことなのね?」
ユウナさんが全てを理解したかのように、僕の言葉を途中で遮った。
「アタシの魅力に気付いちゃったって事なのね。も~う可愛いんだからぁ~! 良いわよ。契約のキスをしましょ~ ぶちゅ~ん」
「ギィヤァアアアアア、やめてぇえええええ!」
人の話を最後まで聞け、とはまさにこの事だ。
ユウナさんはカバのような顔をしながら僕の唇を狙っている。
そんなカバから僕は逃げて必死に抵抗した。
「違いますよ! やめてください! 来るな! こっちに来るな! 悪霊退散、悪霊退散! た、助けて~!」
逃げようとする僕の手をユウナさんは掴んだ。ユウナさんの手はゴツゴツで大きい。
「助けを呼んでも誰も来ないわよ! ぺろっ!」
「ひぃいいいい」
ユウナさんに掴まれた僕の右手の甲が濡れた感覚がある。
僕の右手の甲を濡らした正体は、すぐに分かった。
ユウナさんが舌を全力で伸ばして僕の手をぺろっと舐めたのだ。
見たくないものを見てしまった。まさに悪夢。人生で一番の悪夢だ。
そんな悪夢を理解した瞬間、僕は悲鳴を上げてしまった。
「ギィイィイィィィヤァァアアアアアアアア!」
危うく気を失いかけた。ここで気を失ってしまえば昨日の二の舞になってしまう。
話をするまでは気を失うわけにはいかない。気を失うわけにはいかないのだが……
「あは~ん。美味しい」
好物を見つけたハイエナのような目をしたオカマ唇をぺろっと舐めている。
そのインパクトのある表情と手に残る舌のザラザラとした感覚、そして濡れた部分が風に当たりひんやりとした感覚。
その全てが僕の精神に大ダメージを与えた。
気持ち悪すぎて全身の皮膚を掻き毟りたくなるほどだ。
「ちょっとちょっと、少し遊んだだけじゃないのよぉ~、白目を向くほどなの?」
僕がどんな表情をしているのかわからない。ただ白目を向いているそうだ。
確かに前が真っ暗だ。
しかしオカマの声を理解できているので、気絶はしていないということになるだろう。
「アタシに会うたび気絶しちゃうなんて、よっぽどアタシのことが好きなのね~、ほら起きなさい~! カナにちゃんと話すように言われてるのよぉ~」
意識を失いかけている僕の頬がビシバシと叩かれた。
失いかけていた意識は、痛みですぐに目が覚めた。そしてすぐに痛みは引いていった。
「痛みの味ね。うふふっ」
僕の痛みをすぐに吸い取ったのだろう。
意識が完全に戻った僕は気を失いかけていた自分に失望した。
「危ない……気を失いかけてた……な、情けない……」
「アタシが助けなかったら完全に意識失ってたわよ」
「いや、そもそも意識を失いそうになったのユウナさんのせいじゃないですか……」
「細かい事は気にしないのっ」
僕の意識が飛びそうになったのはユウナさんのせいだが、起こしてくれた事には感謝しよう。
金縛りちゃんの中から専属霊を1人選ぶ最終日までの時間が残り少ない。
だからここでユウナさんに少しでも相談しておかないと……。
気を失う前に言おう。
「今年中に専属霊を1人決めないと、今後金縛りにかからなくなってしまうんです。それでカナとレイナとリナの中から1人選ぼうって思ったのですが、僕には選ぶ事ができない。選ばれなかった人の気持ちを考えると心が痛い。僕は3人とずっと一緒にいたい。でも一緒にいるための方法が見つかりません。どうしたら良いんでしょうか? 何か秘策とかあれば、ぜひ教えてください! ユウナさんなら何かできるはずです!」
僕は素直に気持ちを伝えた。
そんな僕に対してユウナさんは真剣な表情で見つめている。
今まで見せなかった真剣な表情だ。
「無理よ」
あっさりと、そしてハッキリとした返事が返ってきた。
「金縛り霊の人数が不足なのは知ってるわよね? そのせいで生きてる人間たちは疲労や心の病を吸い取り切れないのよ。疲労や心の病をそのまま残した人は自殺しちゃう事だってあるのよ。そうさせないための金縛り霊なの。あなたに3人も憑いてたらここの地域が自殺者まみれになって崩壊するわね」
腕を組みながら最悪の事態を想定して話してくれている。
スケールのデカい話に僕は息苦しくなった。
「じゃあ……せめて専属霊は無しで僕のところに来るのは1人だけで……それで3人がローテーションで来てくれれば問題解決とかになりませんかね? それなら専属霊を決めなくても……」
「そんなのはダメよ。それこそあの子達がかわいそうだわ。ちゃんと決めてあげなさい。それができないのなら二度と金縛りにかからないことね」
分かってた。分かっていた事だったけど、それでも直接言われるのは心にくる。
決められた道は2つしかない。『専属霊を選ぶ』か、『選ばない』かだ。
「そ、そうですよね……わかりました。ユーさんに言っても多分、同じ返事が返ってきますよね……」
「そうね。それにユーちゃんは会いには来ないそうよ。ユーちゃんは、あなたとは『人間界では二度と会わない』みたいな事を言ってたわ。だからアタシがビシッと言うように言われてたの~。本当オカマ使いが荒いんだから~」
ユウナさんの言葉を受けて僕は大きいため息をこぼした。
「はぁ……結局、振り出しに戻ったって事か……1人だけを選ぶ事は僕にできるんでしょか……」
「うふふ。そうよね。覚悟がなきゃ選べないことだわ。あまり自分を責めすぎないことね。あと考えすぎも良くないと思うわ。最終日までに1人、1番好きな子を選びなさい。それからの事は、その子と一緒に考えればいいわ。だってあなただけの専属霊になったのだもの」
カナ、レイナ、リナ。金縛りちゃん3人の顔が脳裏に浮かぶ。
水面に映し出されたかのように淡く映し出されている。
そして水滴が中央に一滴こぼれ落ちて3人の表情が変わる。また水滴が落ちるたびに変わっていく。
笑った顔、怒った顔、悔しがっている顔、寂しがっている顔、泣いている顔、悩んでいる顔、落ち込んでいる顔、心配している顔、妖艶な表情、誘惑している表情。でも最後にはやっぱり笑顔が鮮明に残った。
その表情が変わるたびに声や仕草、温もりや柔らかさも同時に感じた。
今までの金縛りちゃんとの出来事が光の速さで僕の脳裏を巡る。
僕は本当に1人選ぶことができるのだろうか……。
でも選ばなきゃいけない時は必ずやってくる。
その時までに僕なりの結論を出さないと。
「うふふ。少し気持ちが晴れてくれたかしら? それとも納得みたいな感じかしら? どっちにしても良かったわね。これでお話はもう終わりね」
「は、はい。ありがとうございます」
オカマのユウナさんに相談するのは間違っていなかった。
気絶しかけてしまったが感謝しないといけない。
僕は深々と頭を下げて感謝をした。
頭を下げていて表情は分からなかったが、ぺろっと唇を舐める音が聞こえた。
不安になった僕は、下げた頭を上げてユウナさんの顔を見た。
そして目が合った瞬間にユウナさんは、広角を上げて歯を剥き出しにし笑った。
「それじゃあデザートにしようかしらぁ~」
「え……デ、デザートって……な、なんのことですか? ま、まさか、ちょ、ちょ……」
クマのように大きく青髭を生やしたオカマが襲いかかってきた。
「イヤァアアアアアアアア」
僕はとっさに叫んだ。そして飛び込んできた大オカマから逃げた。
デザートとか言ってたオカマの前で気絶なんてしたら、何をされるか分かったもんじゃない。想像もしたくない。
「ちょっと~、ウサギちゃ~ん逃げないでよぉおん! どうせこの部屋からは出れないのよぉ! 大人しくアタシに全てを吸わせなさいよぉ~、もしかしてアタシのために疲労を溜めてくれてるのかしら? それだったら嬉しいわぁ~」
自分の体を抱きしめて、クネクネとオカマは動きながら僕に迫ってくる。
気持ち悪さと恐怖のコラボレーションだ。
「確かに逃げると疲れますけど! 絶対に僕の疲労を吸われたくないんですよ……疲労……そ、そうか」
「あらどうしたのかしら?」
疲労という言葉で僕は気付いてしまった。この状況から逃げずに解決する方法が一つだけある事に。
「こういうのは閃くのになんで大事なことは閃かないんだ。チクショー!」
「ん? なんて言ったのかしら?」
僕は小さな声でボソッと呟いたのでユウナさんには聞こえなかった。
そしてユウナさんの動きを止めるために今度は聞こえる声でハッキリと声を出す。
「ユウナさん! 止まってください! 良い提案があります!」
僕は怯えながらユウナさんの背後を指差した。
「あら何かしら?」
僕の指差す方をユウナさんは振り向いた。そこには僕のスマホがある
「僕のスマホを取ってください。いい物を見せてあげます」
僕のセリフを聞き終えた後、一瞬でスマホを取った。そしてそのまま僕に手渡しをする。
「はいどうぞ~」
投げずに手渡しをしてきたのは、僕に少しでも近付くためだろう。なんとも執念深い。
だが、僕は腕を限界まで伸ばしてスマホを受け取った。
僕がスマホを受け取った瞬間、手を掴もうとしてきたがギリギリのところで回避。
「あ、危なかった……」
「も~う嫌がりすぎよぉ~。それで『いい物』って何かしら?」
「こ、この写真を見てください!」
僕は目の前のオカマに警戒しつつ、画像フォルダから1枚の画像を選んだ。
そしてスマホの画面を限界まで明るくし、その画像を見せる。
「ま、眩しくて見えないわぁ~」
眩しがり、手で光を防ごうとするオカマ。
「今なら逃げられる」そんな風に思ってしまったが、扉も金縛りにかかっていて動かすことができない事を僕は今までの経験上、知っている。
なので逃げもせず、スマホの明かりを弱くし、画面を見やすくした。
「お仕事の写真ね。これがどうしたのかしら?」
僕が見せた画像は、後輩のフミヤくんがバイトに入った初日の写真だ。
店長が何気なく「集合写真を撮ろう」と言い出し撮った写真らしい。
この写真の中には僕は写っていない。なぜなら僕はこの日、家族旅行で兎村に行っていたからだ。
この写真は店長がLINEで一斉送信したものなので、僕の画像フォルダにも存在する。
そして僕は、この自分が写っていない写真を大事に保存している。
なぜならこの写真には生きていた頃のリナが写っているからだ。
「ここです。ここ」
僕は集合写真の真ん中にいる韓流系イケメンの少年を指差した。
「どうですか? ユウナさんタイプじゃありませんか?」
「まぁ可愛い感じでアタシ好みだわぁ~。で、この子がどうしたのかしら?」
「名前はフミヤくんです。僕のバイト先の後輩で、最近疲れが溜まって大変みたいなんですよ。それでバイトも休んだりしてて……」
「なるほどね」
「フミヤくんは大学生ですし、色々と大変なのかもしれません。だから僕なんかよりも、フミヤくんのところに行って疲労を吸い取ってあげてください! きっとユウナさんのような素敵な金縛り霊が来るのを待ち望んでいるはずです!」
僕は後輩を売った。目の前のオカマを撃退するために全力を尽くした。これ以上の作戦は他にない。
そして同時にフミヤくんに心の中で謝罪をした。
許してくれフミヤくん。
フミヤくんの疲労が無くなって元気になればいいなと思っての提案なんだ。
ユウナさんだったらフミヤくんの疲労を残す事なく全部吸い取ってくれるはずだ。
また明日から元気に学業とバイトを両立できるぞ。うんうん。僕はなんて優しい先輩なんだ。
ここまで後輩思いの先輩は、なかなかいないぞ。
僕は己自身の考えを自己肯定し、フミヤくんに対する罪悪感を消し去った。
そんな僕を考えながら見つめるユウナさんはニッコリと不気味な笑みを浮かべた。
「分かったわぁ~。それなら行くしかないわね。家はどこにあるのか知ってるかしら?」
「えーっとですね。最寄り駅がここで、歩いて5分くらいって聞いたことがあるんですがですが……それだけで情報足りますか?」
僕が提示した情報は、フミヤくんの顔写真、最寄り駅、そして最寄駅から徒歩5分に住んでいるという情報だけだ。
この少ない情報だけで大丈夫なのだろうか?
「最寄り駅と顔さえわかってればOKよぉ。アタシ良い男を見つけるの得意なんだからぁ! ウサギちゃんにも出会えたしねぇ~ん」
ユウナさんはマッチョポーズをとりながらカバのようなキス顔で迫ってくる。
筋肉がすごい……そして化物だ。怖すぎるし気持ち悪すぎる。
僕は反射神経が研ぎ澄まされていたおかげでなんとか回避できた。
「じゃ、じゃあ僕の後輩なんでよろしくお願いします! しっかり吸ってあげてください! 今すぐ!」
「も~う。避けなくたっていいじゃないのよぉ~。わかったわ。後輩思いの優しい先輩なのね。それじゃこのまま行こうと思うんだけど、アタシが金縛りを解いた瞬間にウサギちゃんの意識が落ちちゃうのが心配だわ。だからベットの上にいたほうがいいわよぉ。うふふっ」
不気味な笑みを浮かべるユウナさん。
本当に僕のことを心配してくれているのだろうか。何かを企んでいるようにし見えないのだが……
しかし、ユウナさんの言っている事は本当だ。
金縛りが解かれると金縛りにかかる前の状態に戻ってしまう。
このまま床に倒れて眠ってしまうのは流石に嫌だ。
それに僕の疲労は蓄積されたままだ。床で寝たら体の調子を崩すに違いない。
ここは大人しく言う通りにベットの上に行くしかないな……。
「わ、わかりました。けど何もしないでくださいよ……。イケメンのフミヤくんの情報を教えたんですから……」
僕はオカマから目を逸さずにゆっくりとベットに向かった。そして恐る恐る布団の中に体を入れて顔だけを出す。
その間、オカマは何もせずにただ立っているだけだった。その姿に少し安堵したが、まだ油断はできない。
「じゃあ、フミヤくんをお願いします」
「ウサギちゃんの疲労は、そのままだけどいいのかしら?」
「問題ありませんよ。この疲労は、カナとレイナとリナのために溜めた疲労ですから。金縛りちゃんに吸い取ってもらいたいです」
僕の言葉を聞いたユウナさんは大きめの涙を一滴こぼした。
「いい子ね。後輩思いで彼女思い。なんていい子なのぉ。感動したわ。それじゃアタシはイケメンくんのところに行かせてもらうわ!」
「は、はい。よろしくお願いします!」
感動してくれたのなら良かった。これでユウナさんに僕の疲労が吸われる事はないだろう。
一安心だ。
「あ、その前に……」
フミヤくんのところに向かおうとしていたユウナさんは、突然止まりこちらを見た。
「金縛りをちゃんとした方法で解くから目を閉じてちょーだい」
僕の顔に手をかざしている。金縛りを解くために何かするのだろうか?
ユーさんの時は、こんな事しなかった。けれどそれはユーさんが規格外という事なんだろう。
僕はユウナさんを信じて目を閉じた。
そこからおよそ10秒。短いようで長い10秒が経過した。
目を閉じていると余計に長く感じてしまう。
この10秒間はユウナさんは何もして来なかった。信じて良かったと心から思った。
「目を開けてもいいわよ」
ユウナさんの声が聞こえて恐る恐るゆっくりと目を開けた。
僕の視界に映るのは、真っ白の天井や僕がかけている布団、そして僕の部屋だけだ。
オカマのユウナさんの姿はない。
まだ眠りについていないが、これで金縛りが解かれたのだろうか。
そう思い安心しかけた瞬間、僕の視界から完全に隠れているところから手が伸びてきた。ベットの下だ。
その太くて大きな手は、僕の顎を掴んだ。掴まれた瞬間にベットの下から恐怖のオカマの顔が姿を現した。
そして僕と目が合った。目が合った瞬間オカマは、口角をあげて歯を見せながら笑った。
その姿に僕は植え付けられたトラウマが走馬灯のように頭の中を一瞬で駆け巡った。
「うふふっ」
笑いながら僕の顔に近付いてくる。
僕の体は動かなくなっていた。強い金縛りをかけられたんだと、そこで理解した。
「ぺろっん」
そのまま僕の頬が舐められた。
ざらっとした冷たい感覚。そして金縛りで動かないはずの体が、顔を舐められた一瞬だけ震えた。
舐められた気持ち悪さとトラウマ再来で僕は叫んだ。
「ギィィィイィヤァアアアアアアアア!!!!!!」
叫んだのと同時に後輩の顔が浮かんだ。
フミヤくん頑張れ。
そんな事を思いながら僕の意識は消えた。
そして意識の覚醒と同時に寒気がした。
「体は動かせる……それに声も出せる……」
謎の寒気があるので不安に思ったが、これは金縛りで間違いないはずだ。
金縛りちゃんたちが来てくれた可能性もあるがすぐに姿を見せないのには違和感がある。
それに、この寒気から察するに、僕に金縛りをかけたのは……
「ちょっとぉ~カナに聞いたわよぉ~、ア・タ・シに会いたかったんだって~?」
「ギィヤァァアアアアァアアアアア!」
目の前に突然、青髭を生やしたクマのように大きなオカマが現れた。
目の前のオカマを頭で認識する前に防衛本能で叫んでしまった。
「ちょっと~、もう慣れてくれたと思ってたけど~、まだそんなに叫ぶのね! もしかして嬉しくて叫んでるのかしら? うふふっ可愛い」
そう。目の前に突然現れたのはオカマの金縛り霊のユウナさんだ。
クマのように大きな体で、金縛りちゃんたちと同じ白いワンピースを着ている。
そして青髭と無駄にマッチョ。何度見ても強烈すぎる。
望んでいなかった事だが、来てしまったのなら仕方がない。
今夜は癒されたかったが……ユウナさんに相談をしよう。そのためにカナがユウナさんに話してくれたんだ。
カナの努力を無駄にできない。けど、カナも一緒に来て欲しかった……
目の前のオカマに怯えながら涙を流す僕に向かって、ユウナさんは唇をぺろっと舐めた。
「ところで話ってのは専属霊のことだったわよね?」
早速本題に移ってくれた。なんとも話の早いオカマなんだ。
「そ、そうなんですよ……専属霊についてなんですけど……今年までに」
「まさかアタシを専属霊にしたいってことなのね?」
ユウナさんが全てを理解したかのように、僕の言葉を途中で遮った。
「アタシの魅力に気付いちゃったって事なのね。も~う可愛いんだからぁ~! 良いわよ。契約のキスをしましょ~ ぶちゅ~ん」
「ギィヤァアアアアア、やめてぇえええええ!」
人の話を最後まで聞け、とはまさにこの事だ。
ユウナさんはカバのような顔をしながら僕の唇を狙っている。
そんなカバから僕は逃げて必死に抵抗した。
「違いますよ! やめてください! 来るな! こっちに来るな! 悪霊退散、悪霊退散! た、助けて~!」
逃げようとする僕の手をユウナさんは掴んだ。ユウナさんの手はゴツゴツで大きい。
「助けを呼んでも誰も来ないわよ! ぺろっ!」
「ひぃいいいい」
ユウナさんに掴まれた僕の右手の甲が濡れた感覚がある。
僕の右手の甲を濡らした正体は、すぐに分かった。
ユウナさんが舌を全力で伸ばして僕の手をぺろっと舐めたのだ。
見たくないものを見てしまった。まさに悪夢。人生で一番の悪夢だ。
そんな悪夢を理解した瞬間、僕は悲鳴を上げてしまった。
「ギィイィイィィィヤァァアアアアアアアア!」
危うく気を失いかけた。ここで気を失ってしまえば昨日の二の舞になってしまう。
話をするまでは気を失うわけにはいかない。気を失うわけにはいかないのだが……
「あは~ん。美味しい」
好物を見つけたハイエナのような目をしたオカマ唇をぺろっと舐めている。
そのインパクトのある表情と手に残る舌のザラザラとした感覚、そして濡れた部分が風に当たりひんやりとした感覚。
その全てが僕の精神に大ダメージを与えた。
気持ち悪すぎて全身の皮膚を掻き毟りたくなるほどだ。
「ちょっとちょっと、少し遊んだだけじゃないのよぉ~、白目を向くほどなの?」
僕がどんな表情をしているのかわからない。ただ白目を向いているそうだ。
確かに前が真っ暗だ。
しかしオカマの声を理解できているので、気絶はしていないということになるだろう。
「アタシに会うたび気絶しちゃうなんて、よっぽどアタシのことが好きなのね~、ほら起きなさい~! カナにちゃんと話すように言われてるのよぉ~」
意識を失いかけている僕の頬がビシバシと叩かれた。
失いかけていた意識は、痛みですぐに目が覚めた。そしてすぐに痛みは引いていった。
「痛みの味ね。うふふっ」
僕の痛みをすぐに吸い取ったのだろう。
意識が完全に戻った僕は気を失いかけていた自分に失望した。
「危ない……気を失いかけてた……な、情けない……」
「アタシが助けなかったら完全に意識失ってたわよ」
「いや、そもそも意識を失いそうになったのユウナさんのせいじゃないですか……」
「細かい事は気にしないのっ」
僕の意識が飛びそうになったのはユウナさんのせいだが、起こしてくれた事には感謝しよう。
金縛りちゃんの中から専属霊を1人選ぶ最終日までの時間が残り少ない。
だからここでユウナさんに少しでも相談しておかないと……。
気を失う前に言おう。
「今年中に専属霊を1人決めないと、今後金縛りにかからなくなってしまうんです。それでカナとレイナとリナの中から1人選ぼうって思ったのですが、僕には選ぶ事ができない。選ばれなかった人の気持ちを考えると心が痛い。僕は3人とずっと一緒にいたい。でも一緒にいるための方法が見つかりません。どうしたら良いんでしょうか? 何か秘策とかあれば、ぜひ教えてください! ユウナさんなら何かできるはずです!」
僕は素直に気持ちを伝えた。
そんな僕に対してユウナさんは真剣な表情で見つめている。
今まで見せなかった真剣な表情だ。
「無理よ」
あっさりと、そしてハッキリとした返事が返ってきた。
「金縛り霊の人数が不足なのは知ってるわよね? そのせいで生きてる人間たちは疲労や心の病を吸い取り切れないのよ。疲労や心の病をそのまま残した人は自殺しちゃう事だってあるのよ。そうさせないための金縛り霊なの。あなたに3人も憑いてたらここの地域が自殺者まみれになって崩壊するわね」
腕を組みながら最悪の事態を想定して話してくれている。
スケールのデカい話に僕は息苦しくなった。
「じゃあ……せめて専属霊は無しで僕のところに来るのは1人だけで……それで3人がローテーションで来てくれれば問題解決とかになりませんかね? それなら専属霊を決めなくても……」
「そんなのはダメよ。それこそあの子達がかわいそうだわ。ちゃんと決めてあげなさい。それができないのなら二度と金縛りにかからないことね」
分かってた。分かっていた事だったけど、それでも直接言われるのは心にくる。
決められた道は2つしかない。『専属霊を選ぶ』か、『選ばない』かだ。
「そ、そうですよね……わかりました。ユーさんに言っても多分、同じ返事が返ってきますよね……」
「そうね。それにユーちゃんは会いには来ないそうよ。ユーちゃんは、あなたとは『人間界では二度と会わない』みたいな事を言ってたわ。だからアタシがビシッと言うように言われてたの~。本当オカマ使いが荒いんだから~」
ユウナさんの言葉を受けて僕は大きいため息をこぼした。
「はぁ……結局、振り出しに戻ったって事か……1人だけを選ぶ事は僕にできるんでしょか……」
「うふふ。そうよね。覚悟がなきゃ選べないことだわ。あまり自分を責めすぎないことね。あと考えすぎも良くないと思うわ。最終日までに1人、1番好きな子を選びなさい。それからの事は、その子と一緒に考えればいいわ。だってあなただけの専属霊になったのだもの」
カナ、レイナ、リナ。金縛りちゃん3人の顔が脳裏に浮かぶ。
水面に映し出されたかのように淡く映し出されている。
そして水滴が中央に一滴こぼれ落ちて3人の表情が変わる。また水滴が落ちるたびに変わっていく。
笑った顔、怒った顔、悔しがっている顔、寂しがっている顔、泣いている顔、悩んでいる顔、落ち込んでいる顔、心配している顔、妖艶な表情、誘惑している表情。でも最後にはやっぱり笑顔が鮮明に残った。
その表情が変わるたびに声や仕草、温もりや柔らかさも同時に感じた。
今までの金縛りちゃんとの出来事が光の速さで僕の脳裏を巡る。
僕は本当に1人選ぶことができるのだろうか……。
でも選ばなきゃいけない時は必ずやってくる。
その時までに僕なりの結論を出さないと。
「うふふ。少し気持ちが晴れてくれたかしら? それとも納得みたいな感じかしら? どっちにしても良かったわね。これでお話はもう終わりね」
「は、はい。ありがとうございます」
オカマのユウナさんに相談するのは間違っていなかった。
気絶しかけてしまったが感謝しないといけない。
僕は深々と頭を下げて感謝をした。
頭を下げていて表情は分からなかったが、ぺろっと唇を舐める音が聞こえた。
不安になった僕は、下げた頭を上げてユウナさんの顔を見た。
そして目が合った瞬間にユウナさんは、広角を上げて歯を剥き出しにし笑った。
「それじゃあデザートにしようかしらぁ~」
「え……デ、デザートって……な、なんのことですか? ま、まさか、ちょ、ちょ……」
クマのように大きく青髭を生やしたオカマが襲いかかってきた。
「イヤァアアアアアアアア」
僕はとっさに叫んだ。そして飛び込んできた大オカマから逃げた。
デザートとか言ってたオカマの前で気絶なんてしたら、何をされるか分かったもんじゃない。想像もしたくない。
「ちょっと~、ウサギちゃ~ん逃げないでよぉおん! どうせこの部屋からは出れないのよぉ! 大人しくアタシに全てを吸わせなさいよぉ~、もしかしてアタシのために疲労を溜めてくれてるのかしら? それだったら嬉しいわぁ~」
自分の体を抱きしめて、クネクネとオカマは動きながら僕に迫ってくる。
気持ち悪さと恐怖のコラボレーションだ。
「確かに逃げると疲れますけど! 絶対に僕の疲労を吸われたくないんですよ……疲労……そ、そうか」
「あらどうしたのかしら?」
疲労という言葉で僕は気付いてしまった。この状況から逃げずに解決する方法が一つだけある事に。
「こういうのは閃くのになんで大事なことは閃かないんだ。チクショー!」
「ん? なんて言ったのかしら?」
僕は小さな声でボソッと呟いたのでユウナさんには聞こえなかった。
そしてユウナさんの動きを止めるために今度は聞こえる声でハッキリと声を出す。
「ユウナさん! 止まってください! 良い提案があります!」
僕は怯えながらユウナさんの背後を指差した。
「あら何かしら?」
僕の指差す方をユウナさんは振り向いた。そこには僕のスマホがある
「僕のスマホを取ってください。いい物を見せてあげます」
僕のセリフを聞き終えた後、一瞬でスマホを取った。そしてそのまま僕に手渡しをする。
「はいどうぞ~」
投げずに手渡しをしてきたのは、僕に少しでも近付くためだろう。なんとも執念深い。
だが、僕は腕を限界まで伸ばしてスマホを受け取った。
僕がスマホを受け取った瞬間、手を掴もうとしてきたがギリギリのところで回避。
「あ、危なかった……」
「も~う嫌がりすぎよぉ~。それで『いい物』って何かしら?」
「こ、この写真を見てください!」
僕は目の前のオカマに警戒しつつ、画像フォルダから1枚の画像を選んだ。
そしてスマホの画面を限界まで明るくし、その画像を見せる。
「ま、眩しくて見えないわぁ~」
眩しがり、手で光を防ごうとするオカマ。
「今なら逃げられる」そんな風に思ってしまったが、扉も金縛りにかかっていて動かすことができない事を僕は今までの経験上、知っている。
なので逃げもせず、スマホの明かりを弱くし、画面を見やすくした。
「お仕事の写真ね。これがどうしたのかしら?」
僕が見せた画像は、後輩のフミヤくんがバイトに入った初日の写真だ。
店長が何気なく「集合写真を撮ろう」と言い出し撮った写真らしい。
この写真の中には僕は写っていない。なぜなら僕はこの日、家族旅行で兎村に行っていたからだ。
この写真は店長がLINEで一斉送信したものなので、僕の画像フォルダにも存在する。
そして僕は、この自分が写っていない写真を大事に保存している。
なぜならこの写真には生きていた頃のリナが写っているからだ。
「ここです。ここ」
僕は集合写真の真ん中にいる韓流系イケメンの少年を指差した。
「どうですか? ユウナさんタイプじゃありませんか?」
「まぁ可愛い感じでアタシ好みだわぁ~。で、この子がどうしたのかしら?」
「名前はフミヤくんです。僕のバイト先の後輩で、最近疲れが溜まって大変みたいなんですよ。それでバイトも休んだりしてて……」
「なるほどね」
「フミヤくんは大学生ですし、色々と大変なのかもしれません。だから僕なんかよりも、フミヤくんのところに行って疲労を吸い取ってあげてください! きっとユウナさんのような素敵な金縛り霊が来るのを待ち望んでいるはずです!」
僕は後輩を売った。目の前のオカマを撃退するために全力を尽くした。これ以上の作戦は他にない。
そして同時にフミヤくんに心の中で謝罪をした。
許してくれフミヤくん。
フミヤくんの疲労が無くなって元気になればいいなと思っての提案なんだ。
ユウナさんだったらフミヤくんの疲労を残す事なく全部吸い取ってくれるはずだ。
また明日から元気に学業とバイトを両立できるぞ。うんうん。僕はなんて優しい先輩なんだ。
ここまで後輩思いの先輩は、なかなかいないぞ。
僕は己自身の考えを自己肯定し、フミヤくんに対する罪悪感を消し去った。
そんな僕を考えながら見つめるユウナさんはニッコリと不気味な笑みを浮かべた。
「分かったわぁ~。それなら行くしかないわね。家はどこにあるのか知ってるかしら?」
「えーっとですね。最寄り駅がここで、歩いて5分くらいって聞いたことがあるんですがですが……それだけで情報足りますか?」
僕が提示した情報は、フミヤくんの顔写真、最寄り駅、そして最寄駅から徒歩5分に住んでいるという情報だけだ。
この少ない情報だけで大丈夫なのだろうか?
「最寄り駅と顔さえわかってればOKよぉ。アタシ良い男を見つけるの得意なんだからぁ! ウサギちゃんにも出会えたしねぇ~ん」
ユウナさんはマッチョポーズをとりながらカバのようなキス顔で迫ってくる。
筋肉がすごい……そして化物だ。怖すぎるし気持ち悪すぎる。
僕は反射神経が研ぎ澄まされていたおかげでなんとか回避できた。
「じゃ、じゃあ僕の後輩なんでよろしくお願いします! しっかり吸ってあげてください! 今すぐ!」
「も~う。避けなくたっていいじゃないのよぉ~。わかったわ。後輩思いの優しい先輩なのね。それじゃこのまま行こうと思うんだけど、アタシが金縛りを解いた瞬間にウサギちゃんの意識が落ちちゃうのが心配だわ。だからベットの上にいたほうがいいわよぉ。うふふっ」
不気味な笑みを浮かべるユウナさん。
本当に僕のことを心配してくれているのだろうか。何かを企んでいるようにし見えないのだが……
しかし、ユウナさんの言っている事は本当だ。
金縛りが解かれると金縛りにかかる前の状態に戻ってしまう。
このまま床に倒れて眠ってしまうのは流石に嫌だ。
それに僕の疲労は蓄積されたままだ。床で寝たら体の調子を崩すに違いない。
ここは大人しく言う通りにベットの上に行くしかないな……。
「わ、わかりました。けど何もしないでくださいよ……。イケメンのフミヤくんの情報を教えたんですから……」
僕はオカマから目を逸さずにゆっくりとベットに向かった。そして恐る恐る布団の中に体を入れて顔だけを出す。
その間、オカマは何もせずにただ立っているだけだった。その姿に少し安堵したが、まだ油断はできない。
「じゃあ、フミヤくんをお願いします」
「ウサギちゃんの疲労は、そのままだけどいいのかしら?」
「問題ありませんよ。この疲労は、カナとレイナとリナのために溜めた疲労ですから。金縛りちゃんに吸い取ってもらいたいです」
僕の言葉を聞いたユウナさんは大きめの涙を一滴こぼした。
「いい子ね。後輩思いで彼女思い。なんていい子なのぉ。感動したわ。それじゃアタシはイケメンくんのところに行かせてもらうわ!」
「は、はい。よろしくお願いします!」
感動してくれたのなら良かった。これでユウナさんに僕の疲労が吸われる事はないだろう。
一安心だ。
「あ、その前に……」
フミヤくんのところに向かおうとしていたユウナさんは、突然止まりこちらを見た。
「金縛りをちゃんとした方法で解くから目を閉じてちょーだい」
僕の顔に手をかざしている。金縛りを解くために何かするのだろうか?
ユーさんの時は、こんな事しなかった。けれどそれはユーさんが規格外という事なんだろう。
僕はユウナさんを信じて目を閉じた。
そこからおよそ10秒。短いようで長い10秒が経過した。
目を閉じていると余計に長く感じてしまう。
この10秒間はユウナさんは何もして来なかった。信じて良かったと心から思った。
「目を開けてもいいわよ」
ユウナさんの声が聞こえて恐る恐るゆっくりと目を開けた。
僕の視界に映るのは、真っ白の天井や僕がかけている布団、そして僕の部屋だけだ。
オカマのユウナさんの姿はない。
まだ眠りについていないが、これで金縛りが解かれたのだろうか。
そう思い安心しかけた瞬間、僕の視界から完全に隠れているところから手が伸びてきた。ベットの下だ。
その太くて大きな手は、僕の顎を掴んだ。掴まれた瞬間にベットの下から恐怖のオカマの顔が姿を現した。
そして僕と目が合った。目が合った瞬間オカマは、口角をあげて歯を見せながら笑った。
その姿に僕は植え付けられたトラウマが走馬灯のように頭の中を一瞬で駆け巡った。
「うふふっ」
笑いながら僕の顔に近付いてくる。
僕の体は動かなくなっていた。強い金縛りをかけられたんだと、そこで理解した。
「ぺろっん」
そのまま僕の頬が舐められた。
ざらっとした冷たい感覚。そして金縛りで動かないはずの体が、顔を舐められた一瞬だけ震えた。
舐められた気持ち悪さとトラウマ再来で僕は叫んだ。
「ギィィィイィヤァアアアアアアアア!!!!!!」
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フミヤくん頑張れ。
そんな事を思いながら僕の意識は消えた。
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