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第4章
48 カナからナイスな提案
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金縛りにかかったと、脳が認識した瞬間に、僕の意識が覚醒した。
目を開けると、目の前の布団が山のように膨れ上がっていた。
布団の中を覗いてみると、金縛りちゃんの3人が窮屈そうに並んで座っていた。
そして浮かない表情の3人。どうしたのか尋ねようとしたが僕は言葉を飲んだ。
先にカナから声をかけてきたのだ。
「すごーく暗い暗ーい気持ちがいっぱいよ。ウサギくん。大丈夫?」
カナは僕の暗い気持ちを心配そうに気にかけてくれた。
クリクリな瞳で僕の方へと近付いて来る。
「バイトの疲れが溜まってるんじゃないか? また迷惑な酔っ払いが来たんだろ。なんでも相談に乗るぞ」
リナはバイトの大変さを知っている。特に迷惑な酔っ払いに関しては僕よりも知っているだろう。
そんなバイトの先輩でもあったリナは僕の悩みを聞こうとカナよりも前に出た。
そして豊満な胸が僕の目の前にまで迫ってきている。
そんなリナを僕に近付けさせまいと、レイナが横から肩をぶつけ防いでいる。
「レイナになんでも相談してください! なんでも、なんでも、どんなことだってやりますよ! だからレイナに頼ってくださいね」
レイナは相変わらず僕のためならなんだってする。というスタンスだ。
おしくらまんじゅうを繰り返すレイナとリナ。
また言い争いが始まるのかと、心配になったがそんなことにはならなかった。
僕の気持ちに勘付いている。いや、金縛り霊の不思議な力でわかっているのかもしれない。
だから僕のことを心配してくれているんだろう。余計な不安を与えないようにしてくれているんだと思う。
これはみんなの優しさに甘えて相談するしかない。
僕は心配そうに見つめてくれている3人の金縛りちゃんの顔を一人ずつ見てから口を開いた。
「あのさ……ユーさんから話があったんだけど……専属霊についての……みんなも知ってると思うけど……ど、どうしたらいいのかな?」
「ウサギくんはどうしたいの?」
カナの率直な意見に僕は驚いた。
質問を質問で返してきたカナだった。それもそうだろう。まずは自分の気持ちを伝えなければ……。
そして他にも驚いた事がある。レイナだ。いつもなら飛びかかってくるレイナだが僕の悩みを真剣に聞こうとして大人しく正座している。
強引に行ってもダメなんだと理解しているのだろう。それはそれで寂しい気がするが……大人になったのだと思えばいい。
レイナの隣では、リナが腕を組みながら真剣な表情をしていた。
「まずはウサギくんの気持ちが知りたいな」
「僕は……」
真剣に僕を見つめる3人の金縛りちゃん。その表情を見てありのまま話そうと口を開いた。
「僕は誰も選ばずに現状維持がいいと思ってる。金縛り霊がいる霊界のルールとか法律とか規則みたいなものは全くの無知だから今回の件についての打開策が僕には見つからない。現状維持するって可能なのかな? それとも僕は一人だけを選ばなきゃいけないのかな? 選ぶ時が来てしまったら、僕はたった一人の専属霊を決めることってできるのかな?」
「ウサギくんならできますよ! ウサギくんが1番好きな人を選べばいいんですよ。これはレイナたち金縛り霊にとっても重要な事なんですよ。だから残りの期間で1人だけ……ウサギくんの1番好きな金縛り霊を選んで下さい」
僕の左手を握り真剣な表情でレイナが語ってきた。
いつのように強引に手を握ったわけじゃない。優しく包み込むように僕の左手を握ったのだ。
そして珍しくレイナの言葉にリナは頷いている。
「あたしもそうしてほしい。選ばれなかったことを考えたら辛いけど受け入れるしかないからな。それにあたしもそこはしっかりとけじめをつけたいと思ってる。あたしが金縛り霊になれたのはウサギくんのおかげだからな。金縛り霊として生きている間はウサギくんのそばにいたい」
「そうだよね……やっぱり一人選ばなきゃだよね……残りの期間でなんとか考えてみるか……」
この道しか残されていない。全員を選ぶなんてわがまますぎる。現状維持なんてできるほど甘くないんだ。僕も覚悟を決めないといけない。
リナとレイナの二人の言葉を聞き俯いてしまった僕に、カナは飛びついてきた。
「うわぁ」
「そこで! 悩むウサギくんに、ていあーん!」
僕は飛びついてきたカナに押し倒された。
それを見たレイナとリナは、お互いの顔を見合って悪巧みを企んだような顔を見せた。
「ずるい!」
2人の声が重なった。
そしてカナに押し倒されている僕に向かって同時に飛び込んできた。
3人の金縛りちゃんに僕は押しつぶされた。
「く、くるし……あ、え? 苦しくない」
3人は完全に、僕の上に乗っているのに僕は苦しさを感じなかった。
金縛りちゃんたちの体重が軽いからだ。幽霊は肉体がなく、魂だけの存在なのだと実感した。
「カナちゃん、ずるいですよ! 抱き付く時は同時だって約束してたじゃないですか! レイナだって我慢してたのに……ずるいです、ずるいですよ!!」
「そうだぞカナちゃん! 話が違うじゃないか! 一人で抜け駆けしやがってー!」
リナとレイナは、カナに怒りを飛ばしている。そんな二人の息はぴったりだ。
「えへへへ」
惚けた顔でカナは笑った。この笑顔は反則すぎる。
3人の言い合いを僕は押し倒されながら見ていた。そして目線を少し下にズラすと大中小3種類の山がそびえ立っていた。
山と山がぶつかり合っている。素晴らしい光景だ。これは富士山の初日の出よりもご利益がありそうだ。
僕は大中小3種類の山に見惚れながら中くらいの山に向かって口を開いた。
「ところで、カナの提案ってなんなの? 何かこの状況の打開策でもあるの?」
「ウサギくんって今日の仕事が終われば次の日は休みでしょ?」
「あ、うん。そうだけど」
「私の提案はね。ウサギくんの仕事が休みの日に1日中金縛りをかけよってことなの!」
「ぇえ!? 規則があるでしょ! 規則が! そんなことしたらまた謹慎処分になっちゃうよ!」
カナとレイナは、つい先日まで謹慎処分を受けていた。その理由は規則を破ったからだ。
破った規則は、対象者つまり僕に1日中金縛りをかけた事が原因だった。
そして今カナが提示した提案はそれと全く同じものだった。再び規則を破るようなことをしたら1ヶ月間の謹慎処分、いや、それ以上の謹慎処分が待ち受けているかもしれない。
そんなことになってしまったら専属霊を選ぶ前に会えなくなってしまう。二度と金縛りちゃんに会えなくなるではないか。
カナは、一体何を考えているんだ……
そんなカナは自信満々な表情をしながら胸を揺らした。
「規則を破らなければいいのよ!」
カナの言ってる意味がわからない。1日中金縛りをかける事が規則違反。それなのに1日中金縛りをかけようとする。
何か策があるとでもいうのか?
「ウサギくんは1日中金縛りにかかるけど、私たちは交代で金縛りをかけに来るってこと。月曜日の2時から火曜日の8時まで! 1人10時間で3人合わせて30時間金縛りをかけることになるわ! 交代で金縛りをかければ規則を破った事にはならないの! どう? いい案でしょ~」
「な、なるほど。規則違反にならないんだったら僕の休みの日に金縛りをかけてもらっても構わないけど……1日中金縛りにかかっている僕は何をしたらいいの?」
「私たちに面接みたいな事をしたらいいと思うの! 私たちのことを今よりも知れて専属霊を1人選ぶ参考になるはずよ!」
カナは瞳をキラキラと輝かせている。
カナの提案を簡単にまとめると1人10時間という決められた時間で僕にアピールするということになるな。それで僕は面接官ってことね。
たしかに専属霊を選ぶ判断材料が揃うかもしれない。そのまま専属霊を1人選べる可能性だってある。
黙って聞いていたリナとレイナの瞳もキラキラ輝いていた。
そしてニヤリと笑って自信満々の表情を浮かべている。ニヤリと笑った瞬間、二人は何かを企んだのだろう。それはそれで怖いんだが……。
けれど3人をもっと知れるいい機会だ。
いいだろう。金縛りちゃん面接をやってやろうじゃないか!
金縛りちゃん面接で丸裸にしてみせる!
押し倒されたままの僕は、目の前の大中小3つの山を見上げながら気合を入れた。
カナが提案したのは、僕を1日中金縛りにか蹴ること。そして1人10時間の面接&アピールタイム。金縛りちゃんは3人いるので合計30時間も僕は起きてなくてはいけないのだ。
「その~、金縛りちゃん面接をやるのはいいんだけど……僕は30時間も起きていられる自信はないんだけど……。バイトのあと、だしかなりキツイ……」
そんな僕に向かってカナは、チッチッチと指を立てた。
「それは問題ないかなー! 私たちで調整するよー!」
人の睡眠を調整する? 理解できない答えが返ってきたが、カナの自信満々な表情から、金縛り霊ならそれが可能なのだろうと思ってしまった。
今までだって金縛り霊の不思議な力を目の当たりにしてきたのだから。安心して任せよう。
「わかった。とりあえずその調整とやらは任せるけど……順番ってどうするの? 誰が1番目でやるとか決められる?」
次の問題は面接を受ける順番だ。
そんな僕の言葉を受けて直ぐに、レイナは意気揚々と元気よく小さな手を目一杯挙げた。
「はいはーい! 1番はレイナがいいです! 絶対1番がいいです! 2人の番が来てもレイナのことを忘れられないようにしてあげますよ! だからレイナが1番です!」
金縛り霊は幽霊だ。幽霊の口から出る『忘れられないようにしてあげる』という言葉はかなり怖い。
そして満面の笑みでよだれを垂らしそうになりながら僕のことを見つめているのが余計に怖く感じる。
さすがレイナだ。それに1番を選ぶなんてレイナらしい。でも他の2人が納得するとは思えないが……。
「それじゃあたしは3番がいいな。次に別の女が来るって想像すると、めちゃくちゃ嫌な気持ちになるから最後で! 最後なら2人の印象もかき消せるだろうし」
リナはレイナとは張り合わず最後を選んだ。
確かに自分のあとに別の人が来ると考えると心が病む。リナの考えは僕にもよくわかる。
「じゃあ私は真ん中の2番ね!」
誰も選ばなかった2番目をカナが選んだ。仕方なくって感じではない。余ったからって感じでもない。
カナは何番になっても大丈夫と言わんばかりの表情だ。
順番の取り合いは無く、スムーズに話が進んでくれて良かったと、僕は安堵した。
あとは僕がちゃんと金縛りちゃんたちを面接できるのかどうかだ。
面接で変なことされなきゃいいけど……。
専属霊を決める期間は短い。この短い期間の中で1歩でも前進できればいいなと思う。
一人で考えるよりも一緒に考えてくれる人がいて本当に心強い。
話がまとまってきたところで3人は各々寝息を奏で始めた。
「…………フヌーフヌー…………フヌーフヌー」
「…………スハースハー…………スハースハー」
「…………ハフーハフー…………ハフーハフー」
僕の上にはカナが乗っている。右側ではレイナが抱きついていて、左側ではリナが抱きついている。
「こ、これが金縛りか……動けない……」
3人が僕を抱き枕にして寝てしまったため僕は物理的に動けない状態になってしまった。
金縛りちゃんたちの体は軽い。だから動こうと思えば動けるのだが、動いてしまうとせっかく眠った3人を起こしてしまうことになる。それはなんか可哀想に思える。
「寝顔も可愛いな~」
僕は3人の寝顔に見惚れていた。
そんな天使のような寝顔を見て僕の心は揺らいでしまった。
「選べるのかな……」
大好きな金縛りちゃんの中から専属霊を1人選ばないといけない。
選ばれなかった金縛りちゃんには、もう会えなくなってしまう。そして誰も選ばなかった場合は、僕は一生金縛りにかからなくなってしまう。
本当に覚悟がいる選択を強いられている。それを今年中に決断しなければならない。
僕は金縛りちゃんたちを強く抱きしめたくなった。眠っている3人を起こさないように抱きしめた。
誰も離れないように、強く抱きしめた。
「…………フヌーフヌー…………フヌーフヌー」
「…………スハースハー…………スハースハー」
「…………ハフーハフー…………ハフーハフー」
僕は3人の寝息を子守唄にして眠りについた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ピピピピッピピピピッ
目覚まし時計が鳴った音だ。
昨夜のことが数秒前の出来事のように思える。
まるで瞬きし時間がワープしたかのような感覚に陥っていた。
今日のバイトが終われば、大事な大事な『金縛りちゃん面接』が始まる。
この面接で専属霊を決める何かきっかけのようなものを掴めればいいなと思っている。
僕は寝起き一発目に、寝返りが打てなかった体をぐーんと伸ばした。
金縛りちゃん達のおかげで体の疲労はすっかり消えていた。寝返りが打てなかったはずなのに体を伸ばしてもそこまで気持ち良くはない。腰の骨も鳴らない。
それほど体の調子が良いのだ。
そして僕を苦しめていた、落ち込んだ暗い気持ちが嘘のように晴れている。
精神的ストレスもそうだが不安や恐怖なども金縛り霊は吸い取ってくれるのだ。
これなら今日のバイトも乗り切れそうだ。
「金縛りちゃんたちのためにも今日は頑張るぞ! 迷惑な酔っ払い共よ! 僕にストレスと疲労を与えたまえ!」
僕はベットに立ち天井に向かって拳を突き上げた。気合十分だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
寝起きの時は、意気込んでいたのに、いざバイトが始まると気持ちが小さくなってしまう。
小心者の僕はいつもそうだ。
どんなに気合を入れても迷惑な酔っ払いの対応には困る。
迷惑な酔っ払いに対しての正解の対応を僕はまだ知らないからだ。
答えなんて存在しないと僕は思っているけれど。
そして店長の『全品50%OFF』効果で店は尋常ではないほどの忙しかった。
お客さんの中には「閉店するの?」と心配する声も多数あった。
確かにいきなり『全品50%OFF』なんてやると店が閉店するのかと誰だって勘違いしてしまう。
どんなに忙しくても店長や料理長、そしてパートのおばちゃんはいつも通り仕事をこなしている。
僕には真似できない。
僕はギリギリを保ちながら仕事をやっている。
まだ忙しさには慣れていない。順応するまでに時間がかかる。
猫の手も借りたいとはこの事だ。
でも僕はウサギの手でも借りたい、とでも言っておこうか。
ウサギは猫よりも賢いと僕は思っている。
こんな僕でも昨日の失敗を取り戻せるくらいの働きはしたと思っている。
金縛りにかかるのと、かからないのとで、バイトにもこんなに影響が出るのだ。
金縛り霊の力って恐ろしい。いや、それに頼り切っている僕もどうかと思うけど……。
僕は金縛り霊の力がないとこの世界を生きていけないのだと実感した。
大変だけど『楽しい』と感じられるようになったのは大きな事だと思う。
そんな感じで今日1日のバイトは幕を閉じた。
バイトの忙しさを気にしているのは僕だけじゃない。
店長も同じだった。もともと店長のミスでこうなったのだから当然だろう。
店長は、来ている従業員全員に『ウサギの顔の形をしたケーキ』を用意してくれていた。
このケーキは従業員の中でも評判が高い。
1年間働いている僕だがこのケーキを見たのは5回目だ。結構頻繁に出てくるイメージだ。
そして僕もリナもこのケーキは大好きなのだ。だから一緒に食べたかったって気持ちが真っ先に浮かんだ。
店長は「クリスマスにはもっといいケーキ用意するからな! 楽しみにしてろよー!」と言いながら全員にケーキを配っていった。
これよりも良いケーキがあるのだろうか?
僕はまだ出会った事がない。すごい楽しみだ。
そのまま僕は店長からケーキを受け取った。
その場では食べずに家に持ち帰るようにテイクアウト用の容器に入れた。
このケーキは今夜の金縛りちゃん面接の3人目、リナが来た時に食べようと思っている。
ケーキが入った容器を大事に抱えながら僕は家に向かった。
僕は家までの帰り道で今までのことを振り返っていた。
はじめの頃は不摂生な生活を繰り返していた。
ケーキをカナにあげようともしていた。なんだか不思議な気持ちで懐かしい。
結局のところ不規則な生活と金縛りとの因果関係はないことがわかったんだけど……。
家に帰る前に僕はコンビニに寄った。
ケーキは1つしかなくて他の2人に申し訳ないのでシュークリームとチョコレートケーキを購入した。
シュークリームはなんとなくレイナに似合うと思って選んだのだ。
丸いロリ顔のレイナのぷにぷにとしたほっぺとシュークリームの丸い形が重なって見えた。
家に着いたあとは冷蔵庫にケーキを入れ、夜食を済まし、風呂など全てを終わらせ寝支度を整えた。
あとは眠りについて金縛りにかかるのを待つだけとなった。
金縛りちゃん面接の1人目はレイナ、2人目はカナ、3人目はリナだ。
1人10時間で合計で30時間も金縛りにかけられてしまう。かなりの長丁場だが1秒1秒を大事にしようと思う。
だって今後の人生を決める大事な時間なのだから。
これからの金縛りちゃん面接の大切さを改めて実感したところで僕の意識は暗い暗い闇の中へと消えて行った。
目を開けると、目の前の布団が山のように膨れ上がっていた。
布団の中を覗いてみると、金縛りちゃんの3人が窮屈そうに並んで座っていた。
そして浮かない表情の3人。どうしたのか尋ねようとしたが僕は言葉を飲んだ。
先にカナから声をかけてきたのだ。
「すごーく暗い暗ーい気持ちがいっぱいよ。ウサギくん。大丈夫?」
カナは僕の暗い気持ちを心配そうに気にかけてくれた。
クリクリな瞳で僕の方へと近付いて来る。
「バイトの疲れが溜まってるんじゃないか? また迷惑な酔っ払いが来たんだろ。なんでも相談に乗るぞ」
リナはバイトの大変さを知っている。特に迷惑な酔っ払いに関しては僕よりも知っているだろう。
そんなバイトの先輩でもあったリナは僕の悩みを聞こうとカナよりも前に出た。
そして豊満な胸が僕の目の前にまで迫ってきている。
そんなリナを僕に近付けさせまいと、レイナが横から肩をぶつけ防いでいる。
「レイナになんでも相談してください! なんでも、なんでも、どんなことだってやりますよ! だからレイナに頼ってくださいね」
レイナは相変わらず僕のためならなんだってする。というスタンスだ。
おしくらまんじゅうを繰り返すレイナとリナ。
また言い争いが始まるのかと、心配になったがそんなことにはならなかった。
僕の気持ちに勘付いている。いや、金縛り霊の不思議な力でわかっているのかもしれない。
だから僕のことを心配してくれているんだろう。余計な不安を与えないようにしてくれているんだと思う。
これはみんなの優しさに甘えて相談するしかない。
僕は心配そうに見つめてくれている3人の金縛りちゃんの顔を一人ずつ見てから口を開いた。
「あのさ……ユーさんから話があったんだけど……専属霊についての……みんなも知ってると思うけど……ど、どうしたらいいのかな?」
「ウサギくんはどうしたいの?」
カナの率直な意見に僕は驚いた。
質問を質問で返してきたカナだった。それもそうだろう。まずは自分の気持ちを伝えなければ……。
そして他にも驚いた事がある。レイナだ。いつもなら飛びかかってくるレイナだが僕の悩みを真剣に聞こうとして大人しく正座している。
強引に行ってもダメなんだと理解しているのだろう。それはそれで寂しい気がするが……大人になったのだと思えばいい。
レイナの隣では、リナが腕を組みながら真剣な表情をしていた。
「まずはウサギくんの気持ちが知りたいな」
「僕は……」
真剣に僕を見つめる3人の金縛りちゃん。その表情を見てありのまま話そうと口を開いた。
「僕は誰も選ばずに現状維持がいいと思ってる。金縛り霊がいる霊界のルールとか法律とか規則みたいなものは全くの無知だから今回の件についての打開策が僕には見つからない。現状維持するって可能なのかな? それとも僕は一人だけを選ばなきゃいけないのかな? 選ぶ時が来てしまったら、僕はたった一人の専属霊を決めることってできるのかな?」
「ウサギくんならできますよ! ウサギくんが1番好きな人を選べばいいんですよ。これはレイナたち金縛り霊にとっても重要な事なんですよ。だから残りの期間で1人だけ……ウサギくんの1番好きな金縛り霊を選んで下さい」
僕の左手を握り真剣な表情でレイナが語ってきた。
いつのように強引に手を握ったわけじゃない。優しく包み込むように僕の左手を握ったのだ。
そして珍しくレイナの言葉にリナは頷いている。
「あたしもそうしてほしい。選ばれなかったことを考えたら辛いけど受け入れるしかないからな。それにあたしもそこはしっかりとけじめをつけたいと思ってる。あたしが金縛り霊になれたのはウサギくんのおかげだからな。金縛り霊として生きている間はウサギくんのそばにいたい」
「そうだよね……やっぱり一人選ばなきゃだよね……残りの期間でなんとか考えてみるか……」
この道しか残されていない。全員を選ぶなんてわがまますぎる。現状維持なんてできるほど甘くないんだ。僕も覚悟を決めないといけない。
リナとレイナの二人の言葉を聞き俯いてしまった僕に、カナは飛びついてきた。
「うわぁ」
「そこで! 悩むウサギくんに、ていあーん!」
僕は飛びついてきたカナに押し倒された。
それを見たレイナとリナは、お互いの顔を見合って悪巧みを企んだような顔を見せた。
「ずるい!」
2人の声が重なった。
そしてカナに押し倒されている僕に向かって同時に飛び込んできた。
3人の金縛りちゃんに僕は押しつぶされた。
「く、くるし……あ、え? 苦しくない」
3人は完全に、僕の上に乗っているのに僕は苦しさを感じなかった。
金縛りちゃんたちの体重が軽いからだ。幽霊は肉体がなく、魂だけの存在なのだと実感した。
「カナちゃん、ずるいですよ! 抱き付く時は同時だって約束してたじゃないですか! レイナだって我慢してたのに……ずるいです、ずるいですよ!!」
「そうだぞカナちゃん! 話が違うじゃないか! 一人で抜け駆けしやがってー!」
リナとレイナは、カナに怒りを飛ばしている。そんな二人の息はぴったりだ。
「えへへへ」
惚けた顔でカナは笑った。この笑顔は反則すぎる。
3人の言い合いを僕は押し倒されながら見ていた。そして目線を少し下にズラすと大中小3種類の山がそびえ立っていた。
山と山がぶつかり合っている。素晴らしい光景だ。これは富士山の初日の出よりもご利益がありそうだ。
僕は大中小3種類の山に見惚れながら中くらいの山に向かって口を開いた。
「ところで、カナの提案ってなんなの? 何かこの状況の打開策でもあるの?」
「ウサギくんって今日の仕事が終われば次の日は休みでしょ?」
「あ、うん。そうだけど」
「私の提案はね。ウサギくんの仕事が休みの日に1日中金縛りをかけよってことなの!」
「ぇえ!? 規則があるでしょ! 規則が! そんなことしたらまた謹慎処分になっちゃうよ!」
カナとレイナは、つい先日まで謹慎処分を受けていた。その理由は規則を破ったからだ。
破った規則は、対象者つまり僕に1日中金縛りをかけた事が原因だった。
そして今カナが提示した提案はそれと全く同じものだった。再び規則を破るようなことをしたら1ヶ月間の謹慎処分、いや、それ以上の謹慎処分が待ち受けているかもしれない。
そんなことになってしまったら専属霊を選ぶ前に会えなくなってしまう。二度と金縛りちゃんに会えなくなるではないか。
カナは、一体何を考えているんだ……
そんなカナは自信満々な表情をしながら胸を揺らした。
「規則を破らなければいいのよ!」
カナの言ってる意味がわからない。1日中金縛りをかける事が規則違反。それなのに1日中金縛りをかけようとする。
何か策があるとでもいうのか?
「ウサギくんは1日中金縛りにかかるけど、私たちは交代で金縛りをかけに来るってこと。月曜日の2時から火曜日の8時まで! 1人10時間で3人合わせて30時間金縛りをかけることになるわ! 交代で金縛りをかければ規則を破った事にはならないの! どう? いい案でしょ~」
「な、なるほど。規則違反にならないんだったら僕の休みの日に金縛りをかけてもらっても構わないけど……1日中金縛りにかかっている僕は何をしたらいいの?」
「私たちに面接みたいな事をしたらいいと思うの! 私たちのことを今よりも知れて専属霊を1人選ぶ参考になるはずよ!」
カナは瞳をキラキラと輝かせている。
カナの提案を簡単にまとめると1人10時間という決められた時間で僕にアピールするということになるな。それで僕は面接官ってことね。
たしかに専属霊を選ぶ判断材料が揃うかもしれない。そのまま専属霊を1人選べる可能性だってある。
黙って聞いていたリナとレイナの瞳もキラキラ輝いていた。
そしてニヤリと笑って自信満々の表情を浮かべている。ニヤリと笑った瞬間、二人は何かを企んだのだろう。それはそれで怖いんだが……。
けれど3人をもっと知れるいい機会だ。
いいだろう。金縛りちゃん面接をやってやろうじゃないか!
金縛りちゃん面接で丸裸にしてみせる!
押し倒されたままの僕は、目の前の大中小3つの山を見上げながら気合を入れた。
カナが提案したのは、僕を1日中金縛りにか蹴ること。そして1人10時間の面接&アピールタイム。金縛りちゃんは3人いるので合計30時間も僕は起きてなくてはいけないのだ。
「その~、金縛りちゃん面接をやるのはいいんだけど……僕は30時間も起きていられる自信はないんだけど……。バイトのあと、だしかなりキツイ……」
そんな僕に向かってカナは、チッチッチと指を立てた。
「それは問題ないかなー! 私たちで調整するよー!」
人の睡眠を調整する? 理解できない答えが返ってきたが、カナの自信満々な表情から、金縛り霊ならそれが可能なのだろうと思ってしまった。
今までだって金縛り霊の不思議な力を目の当たりにしてきたのだから。安心して任せよう。
「わかった。とりあえずその調整とやらは任せるけど……順番ってどうするの? 誰が1番目でやるとか決められる?」
次の問題は面接を受ける順番だ。
そんな僕の言葉を受けて直ぐに、レイナは意気揚々と元気よく小さな手を目一杯挙げた。
「はいはーい! 1番はレイナがいいです! 絶対1番がいいです! 2人の番が来てもレイナのことを忘れられないようにしてあげますよ! だからレイナが1番です!」
金縛り霊は幽霊だ。幽霊の口から出る『忘れられないようにしてあげる』という言葉はかなり怖い。
そして満面の笑みでよだれを垂らしそうになりながら僕のことを見つめているのが余計に怖く感じる。
さすがレイナだ。それに1番を選ぶなんてレイナらしい。でも他の2人が納得するとは思えないが……。
「それじゃあたしは3番がいいな。次に別の女が来るって想像すると、めちゃくちゃ嫌な気持ちになるから最後で! 最後なら2人の印象もかき消せるだろうし」
リナはレイナとは張り合わず最後を選んだ。
確かに自分のあとに別の人が来ると考えると心が病む。リナの考えは僕にもよくわかる。
「じゃあ私は真ん中の2番ね!」
誰も選ばなかった2番目をカナが選んだ。仕方なくって感じではない。余ったからって感じでもない。
カナは何番になっても大丈夫と言わんばかりの表情だ。
順番の取り合いは無く、スムーズに話が進んでくれて良かったと、僕は安堵した。
あとは僕がちゃんと金縛りちゃんたちを面接できるのかどうかだ。
面接で変なことされなきゃいいけど……。
専属霊を決める期間は短い。この短い期間の中で1歩でも前進できればいいなと思う。
一人で考えるよりも一緒に考えてくれる人がいて本当に心強い。
話がまとまってきたところで3人は各々寝息を奏で始めた。
「…………フヌーフヌー…………フヌーフヌー」
「…………スハースハー…………スハースハー」
「…………ハフーハフー…………ハフーハフー」
僕の上にはカナが乗っている。右側ではレイナが抱きついていて、左側ではリナが抱きついている。
「こ、これが金縛りか……動けない……」
3人が僕を抱き枕にして寝てしまったため僕は物理的に動けない状態になってしまった。
金縛りちゃんたちの体は軽い。だから動こうと思えば動けるのだが、動いてしまうとせっかく眠った3人を起こしてしまうことになる。それはなんか可哀想に思える。
「寝顔も可愛いな~」
僕は3人の寝顔に見惚れていた。
そんな天使のような寝顔を見て僕の心は揺らいでしまった。
「選べるのかな……」
大好きな金縛りちゃんの中から専属霊を1人選ばないといけない。
選ばれなかった金縛りちゃんには、もう会えなくなってしまう。そして誰も選ばなかった場合は、僕は一生金縛りにかからなくなってしまう。
本当に覚悟がいる選択を強いられている。それを今年中に決断しなければならない。
僕は金縛りちゃんたちを強く抱きしめたくなった。眠っている3人を起こさないように抱きしめた。
誰も離れないように、強く抱きしめた。
「…………フヌーフヌー…………フヌーフヌー」
「…………スハースハー…………スハースハー」
「…………ハフーハフー…………ハフーハフー」
僕は3人の寝息を子守唄にして眠りについた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ピピピピッピピピピッ
目覚まし時計が鳴った音だ。
昨夜のことが数秒前の出来事のように思える。
まるで瞬きし時間がワープしたかのような感覚に陥っていた。
今日のバイトが終われば、大事な大事な『金縛りちゃん面接』が始まる。
この面接で専属霊を決める何かきっかけのようなものを掴めればいいなと思っている。
僕は寝起き一発目に、寝返りが打てなかった体をぐーんと伸ばした。
金縛りちゃん達のおかげで体の疲労はすっかり消えていた。寝返りが打てなかったはずなのに体を伸ばしてもそこまで気持ち良くはない。腰の骨も鳴らない。
それほど体の調子が良いのだ。
そして僕を苦しめていた、落ち込んだ暗い気持ちが嘘のように晴れている。
精神的ストレスもそうだが不安や恐怖なども金縛り霊は吸い取ってくれるのだ。
これなら今日のバイトも乗り切れそうだ。
「金縛りちゃんたちのためにも今日は頑張るぞ! 迷惑な酔っ払い共よ! 僕にストレスと疲労を与えたまえ!」
僕はベットに立ち天井に向かって拳を突き上げた。気合十分だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
寝起きの時は、意気込んでいたのに、いざバイトが始まると気持ちが小さくなってしまう。
小心者の僕はいつもそうだ。
どんなに気合を入れても迷惑な酔っ払いの対応には困る。
迷惑な酔っ払いに対しての正解の対応を僕はまだ知らないからだ。
答えなんて存在しないと僕は思っているけれど。
そして店長の『全品50%OFF』効果で店は尋常ではないほどの忙しかった。
お客さんの中には「閉店するの?」と心配する声も多数あった。
確かにいきなり『全品50%OFF』なんてやると店が閉店するのかと誰だって勘違いしてしまう。
どんなに忙しくても店長や料理長、そしてパートのおばちゃんはいつも通り仕事をこなしている。
僕には真似できない。
僕はギリギリを保ちながら仕事をやっている。
まだ忙しさには慣れていない。順応するまでに時間がかかる。
猫の手も借りたいとはこの事だ。
でも僕はウサギの手でも借りたい、とでも言っておこうか。
ウサギは猫よりも賢いと僕は思っている。
こんな僕でも昨日の失敗を取り戻せるくらいの働きはしたと思っている。
金縛りにかかるのと、かからないのとで、バイトにもこんなに影響が出るのだ。
金縛り霊の力って恐ろしい。いや、それに頼り切っている僕もどうかと思うけど……。
僕は金縛り霊の力がないとこの世界を生きていけないのだと実感した。
大変だけど『楽しい』と感じられるようになったのは大きな事だと思う。
そんな感じで今日1日のバイトは幕を閉じた。
バイトの忙しさを気にしているのは僕だけじゃない。
店長も同じだった。もともと店長のミスでこうなったのだから当然だろう。
店長は、来ている従業員全員に『ウサギの顔の形をしたケーキ』を用意してくれていた。
このケーキは従業員の中でも評判が高い。
1年間働いている僕だがこのケーキを見たのは5回目だ。結構頻繁に出てくるイメージだ。
そして僕もリナもこのケーキは大好きなのだ。だから一緒に食べたかったって気持ちが真っ先に浮かんだ。
店長は「クリスマスにはもっといいケーキ用意するからな! 楽しみにしてろよー!」と言いながら全員にケーキを配っていった。
これよりも良いケーキがあるのだろうか?
僕はまだ出会った事がない。すごい楽しみだ。
そのまま僕は店長からケーキを受け取った。
その場では食べずに家に持ち帰るようにテイクアウト用の容器に入れた。
このケーキは今夜の金縛りちゃん面接の3人目、リナが来た時に食べようと思っている。
ケーキが入った容器を大事に抱えながら僕は家に向かった。
僕は家までの帰り道で今までのことを振り返っていた。
はじめの頃は不摂生な生活を繰り返していた。
ケーキをカナにあげようともしていた。なんだか不思議な気持ちで懐かしい。
結局のところ不規則な生活と金縛りとの因果関係はないことがわかったんだけど……。
家に帰る前に僕はコンビニに寄った。
ケーキは1つしかなくて他の2人に申し訳ないのでシュークリームとチョコレートケーキを購入した。
シュークリームはなんとなくレイナに似合うと思って選んだのだ。
丸いロリ顔のレイナのぷにぷにとしたほっぺとシュークリームの丸い形が重なって見えた。
家に着いたあとは冷蔵庫にケーキを入れ、夜食を済まし、風呂など全てを終わらせ寝支度を整えた。
あとは眠りについて金縛りにかかるのを待つだけとなった。
金縛りちゃん面接の1人目はレイナ、2人目はカナ、3人目はリナだ。
1人10時間で合計で30時間も金縛りにかけられてしまう。かなりの長丁場だが1秒1秒を大事にしようと思う。
だって今後の人生を決める大事な時間なのだから。
これからの金縛りちゃん面接の大切さを改めて実感したところで僕の意識は暗い暗い闇の中へと消えて行った。
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