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第2章
29 三姉妹の金縛り霊と、深夜の旅館でかくれんぼ
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なぜか旅行先の旅館で3姉妹の金縛り霊と遊ぶ事になった。
「自己紹介がまだでしたわね。私はハナ。この子たちのお姉さんよ」
「あたしはヒナだ。よろしく」
「フナはフナだよー! おにーさん! よろしくねー」
やっぱり思った通り3姉妹だったか。それに名前に特徴があって覚えやすいぞ。
ハナちゃんに、ヒナちゃんに、フナちゃんか。姉妹でハヒフの順番になっているのね。
それに今更気付いたんだけどカナちゃんやレイナちゃんたちと同じ白いワンピースを着ている。
金縛り霊はみんなこの衣装が決まりなのかな。
えーっと、ハナちゃんは一番上のお姉さんで一番美人だ。
マシュマロボディの体つきは世の男性を魅了するだろうな。
真ん中の子がヒナちゃん。ボーイッシュでクールな感じが魅力的だ。
けど完全に警戒されてるな。ずっと睨んでる……。
一番下の元気な子がフナちゃん。
元気いっぱいの明るい女の子。妹にしたいくらい可愛い。
うん。とても覚えやすい名前だ。もう覚えた。
「それでお兄さんは誰なんだよ」
ヒナが睨みながら言ってきた。
そうだ、自己紹介は大事だ。僕も名乗らないと。
「僕は山中愛兎です。みんなからはウサギくんって呼ばれてる。僕は見ての通り家族旅行でここに来たよ」
「ウサギってウサギさんと同じ名前だー、すごー!」
僕の名前を聞いてフナちゃんがはしゃいだ。はしゃぎ過ぎて両親の周りを走り回ってる。
踏まないか心配なんだけど、というよりも本当に全然起きないな。
これが金縛りにかかってる人の普通の反応って事なんだろうな。
動ける僕がおかしい……。
「そ、そうだ、ところで何して遊ぶの? 楽しい事って?」
「かくれんぼー!!!!!」
太陽のように明るい無邪気な笑顔を見せながらフナが叫んだ。
「かくれんぼってこの部屋の中じゃすぐに見つかちゃうじゃん。そんなのでいいの?」
「お兄さん。それは心配ご無用だぜ」
腕を組みながら得意げな顔でボーイッシュの少女ヒナが口を開いた。
「かくれんぼはこの旅館全てを使う行う!」
「えぇええええ!」
まさかの衝撃発言。この旅館全てってマジかよ……
「ちょ、ちょっと待って旅館全部って結構広いよ、一晩じゃ見つけられないと思うんだけど……」
「そうね。一晩は絶対無理よ。だからウサギさんの旅行が終わるまでに見つけて欲しいの」
どこか寂しそうな顔をしたハナちゃんを僕は見逃さなかった。
なんだろうこの気持ちは。どうしてそんな顔をしたんだ……。気になって仕方ない。
その答えがこのかくれんぼにあるって事なのか? いや、考え過ぎか……。
「とりあえず旅行中は金縛りにかかる事は確定したって事ね……。まあいいか、かくれんぼやろう!」
4泊5日の家族旅行で金縛り霊3姉妹とかくれんぼする事になった。
僕が帰るまでに全員を見つけるのが僕の勝利条件だ。かくれんぼの範囲はこの旅館の敷地内全て。
1日の制限時間としては、金縛りがかかる深夜2時から5時までの3時間だそうだ。
5時になったら僕の疲労を吸い取ってくれるらしい。それなら思う存分かくれんぼに集中できる。
さて、めちゃくちゃやる気が出てきた。なんか楽しくもなってきたぞ。
とりあえず部屋の扉を開けてみるか。夜の旅館はどんな感じなのか見てみたいし。
ガラガラと、扉を開けた瞬間に僕のやる気が一気に失せた。
旅館の廊下とは思えないほどの暗すぎる廊下。足元がやっと見えるくらいだ。前なんて暗過ぎてよく見えない。まるでホラー映画だよ……。
それに異常に寒過ぎじゃないか。これって怖いから寒いのか?
いや、11月の深夜だもんな。これくらい寒いか……。
それにしても怖すぎる。かくれんぼなんてできないしやっちゃいけない気がしてならないんだけども……。
僕は開けた扉をガラガラと閉めた。
怯えている僕の背中にヒナの鋭い声が刺さった。
「おい、何で閉めた?」
「あの……怖すぎて叫んじゃうかもしれないんだけど……他のお客さんに迷惑になっちゃうと思うんだ……。だからさ、かくれんぼは辞めない?」
体は正直だ。めちゃくちゃ震えてる。こんなに震えながら言えば流石にわかってくれるだろう。
「ああ、客はお兄さんたちだけだぜ。安心しな。それに旅館の人たちはウサギ様がどうとか言って出てこないから問題ないぞ。思う存分かくれんぼできるからな。よかったなお兄さん」
「あ、そうなのね、お客さんって僕たちだけなのね。余計に怖いんですけど……。この旅館本当に大丈夫な旅館? もう僕死んでたりしない?」
「何言ってんだ? それにいつまで震えてんだよ。濡れた子兎か」
いや、ヒナちゃん辛辣すぎるんですけど……。もう少し優しくしてほしい。
僕だって優しくされればやる気が戻るかもしれないのに。もう怖すぎるよ……。
そうだ、お姉さんのハナちゃんなら僕を癒してくれるかもしれない。
「あの、ハナちゃ――」
「かくれんぼスタートー! おにーさんフナたちを見つけてねー」
3姉妹が一斉に浮かびながら去っていった。ものすごいスピードだ。
「行かないでー! 一人にしないでー! 戻ってきてー! せめて一人だけでもー」
ダメだ。もう僕の声なんて届かないくらい遠くに行っちゃった。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
お化け屋敷みたいだと思ってたけど完全にお化け屋敷だよ……。
なんでこんなところでかくれんぼしなきゃいけないんだ。最悪だ。
とりあえず叫んでも誰にも迷惑がかからないって言ってたから行けるところまで行ってみようかな……。
僕は一歩廊下に足を踏み入れた。
うわ、完全に空気変わった。違う世界にいる気分だ。何これ怖すぎる。
暗い廊下だけど歩けないほどの暗さじゃないな。でも暗いのには変わりない。
「旅館の廊下ならもっと明るくしろよ、なんでこんなに暗いんだよ」
ぶつぶつ文句を言いながらじゃなきゃ怖くて進めない。
二歩、三歩、震える足を無理やり動かす。
ガサガサ
「ひいぃい、なになになになに」
ガサガサって物音がしたんですけど、暗くてよくわかんないし。
もう勘弁してくれよ……。
ズザザザーーン
目の前を黒い影がものすごいスピードで横切った。
「ギヤァアアアアヤアヤアア!」
かくれんぼ開始1分で悲鳴を上げてしまった。他の旅行客がいなくて本当によかったと思った。
僕は悲鳴を上げながら尻餅をついてしまった。もう震える足は生まれたての小鹿のようだ。立てる気がしない。
尻餅をついたおかげで黒い影の正体がわかった。目の前には廊下のフットライトに照らされている野生のウサギがいる。
「あはは……ウサギか……。そうだよね、旅館の中にもいるんだもんね」
安心した瞬間、足首に違和感を感じた。何者かが触っている感覚だ。
「イヤァアアアアアアアア!」
腕を使い後ろに勢いよく下がる。もはやその姿はゾンビ映画に出てきそうな勢いだ。
どんなに後ろに下がっても足首の違和感は消える気配がない。
「ンッンッ」
足首の違和感が声を上げた。先ほど現れた野生のウサギではない別のウサギがいた。
違和感の正体は野生のウサギだった。
「う、ウサギ様……もうお許しください。これ以上僕を脅かさないで……」
旅館の中に入り込んだ野生のウサギに驚かされてしまい、かくれんぼどころではない。
もうかくれんぼとかどうでもいいや。部屋に戻って寝よう。もう無理。心拍数上がりまくって死んじゃう。
そのまま飛び込むように部屋に戻った。そして布団の中に潜り込む。
「これで一安心だ。3姉妹には申し訳ないけど寝る。もう絶対廊下に出ない」
廊下で冷たい風を浴びていたから布団の中は暖かくて最高だ。
この暖かさは幸せの象徴。このまま布団と結婚したい。布団の幽霊とかいないかな。いや、僕にはカナちゃんがいるだろ。
カナちゃんの事を想像するだけでニヤけてしまう。
そんな時だった。ざばっと布団が勢いよくめくられ飛ばされた。
「おいおい、お兄さん。かくれんぼはどうしたんだよ。ってなんだその顔」
布団をめくったのはヒナちゃんだ。ニヤけ顔も見られてしまった最悪だ。
「怖いです。怖いです。一人じゃ無理です。お願いします。もう無理です。あと僕のニヤけ顔忘れてください」
僕はガクガクと震え始めた。布団がなくなり寒くて震えてるのではない。怖くて震えているのだ。
またあの廊下に出なきゃいけないと考えたら体が無意識に震えてしまう。
「たくっ……臆病者のお兄さんが心配で見にきたらこれだよ……」
「はい。ごめんなさい。僕は臆病者で小心者でビビリで弱虫です」
もうどんなに貶されてもいい。無理なものは無理だ。このまま睨まれ続けたっていい。
一人じゃ無理だ。怖すぎる。
「しょうがねえから、あたしもついて行ってやるよ。二人なら大丈夫だろ?」
「へ、今なんて……?」
「だから一緒に行ってやるって言ってんの」
「本当?」
「ああ、本当だ」
うぉおお。なんてかっこいいんだ。ヒナちゃんかっこよすぎる。
尊敬。リスペクト。もうヒナちゃんの子分になってもいいくらいだ。
「二人なら怖くない大丈夫だ。こんなホラゲ攻略してやる」
「いやいや、お兄さん、立ち直り早過ぎないか」
「絶対僕から離れないでね。絶対だよ」
「はいはい」
僕はヒナちゃんが来てくれたおかげでかくれんぼを再開する事ができた。
深夜の旅館。暗すぎる廊下で僕は金縛り霊のヒナちゃんと共に隠れているハナちゃんとフナちゃんを探す事になった。
「あの~、ヒ、ヒント教えてください」
「ダーメだ。それだと意味がないだろ。男ならちゃんと歩けって、情けない。みっともない。かっこ悪い」
僕の足取りは亀のように遅い。それにイラついてる同行者のヒナちゃんは辛辣だ。もう少し優しくしてくれてもいいと思うんだけどな。
でもこうやって一緒にいてくれてるって事は実は優しいのかも。あ、これってツンデレってやつ?
「ンッンッ!」
「ひぃ」
たまに脅かしてくる野生のウサギは心臓に悪い。暗くて見えないせいで毎回驚かされてしまう。
「おーいお兄さん置いてくぞ」
いつの間にかヒナちゃんは廊下の先まで行っていた。このままだと置いてかれてまた一人ぼっちになってしまう。
ダメだ。もうここまで歩いてきちゃってる。こんな暗くて長い廊下で一人ぼっちだけは嫌だ。
「ヒナちゃん、ちょっと待ってくださいよー。一人にしないでよ」
「ヒナでいい。待ってるから早くここまでこいよ」
「は、はい!」
怒ってるのか優しいのかどっちなのか全然読めない。でももっと優しくして。
ここで一人にされたら絶対自分の部屋に戻れないと思う。急いでヒナのところに行こう。
「うわ、早く歩けんじゃん」
「もう無理だからね、ゆっくり行こうよ、怖すぎるって」
とりあえず旅館の全体図を見なければ話にならない。
確かここの旅館は2階建てで宿部屋が20部屋ぐらいあったな。敷地内って言ってたから庭園や露天風呂なども合わせたらかなり広いぞ。
こりゃ確かに一晩じゃ見つけるのはキツそうだな。というか旅行中に見つける事ってできるのか?
「時間だな……」
なんだろう突然。なんの時間がきたんだ?
「時計を見ろ5時だ。かくれんぼ終わりだ」
ヒナが指差す方には時計があった。時刻は5時を指している。
決められているかくれんぼのタイムリミットが来てしまったのだ。つまり今日のかくれんぼは終了となる。
「そ、そんなまだ全体図も見てないのに……」
「そうだな。ここまで来るのにお兄さんがもたもたしてたからな。まあ、全体図ぐらい朝のうちに覚えとけよ」
もたもたしてたって……、確かにその通りだ。
えーっと、3時くらいからかくれんぼが始まって今は5時だろ。つまり2時間かくれんぼをやった事になるな。
僕の部屋は1階の一番端で今いるのが1階の中央付近だ。という事は2時間かけて1階の廊下を半分しか歩いていなかったって事か?
なんとも情けない。そりゃヒナもイラつくわ。でも怖いんだから仕方ないよな……。
「う、なんか急に目眩が……」
なんだろう。急に目眩がして意識がグラグラする。怖がりながら2時間も歩いた影響か?
いや、違う。これは僕にかかっている金縛りの限界が来たんだ。
いつもならベットの上だからそのまま練ればいいだけなんだけどここは廊下のど真ん中だぞ。こんなところで倒れたりなんかしたら……
あれ? おかしい。視界が変だ。壁にぶつかった? いや、違う。僕は倒れたんだ。これは壁じゃない。廊下の床だ。
まずい意識が……。
「お兄さん。時間切れだ」
ヒナの冷たい声が聞こえた。その声に続いて僕を心配するような声と明るく元気な声が聞こえてくる。
「あらら。ウサギさんここまでしか来れなかったのね。意識はまだあるみたいだけど大丈夫かしら?」
「おにーさん! へなちょこー! ちょーつまんない!」
ハナちゃんとフナちゃんの声か。へなちょこ……つまらなくて……悪かったな……。
「うぅ……」
ダメだ。意識が朦朧としてるせいで声が出ない
「とりあえず布団まで運ぶか。足持つぞ」
足って……いや、引きずってない? 金縛り霊に足引っ張られて暗い廊下を引きずられてるんだけど……。
もう少し丁寧に運んでくれよ……。というか3人なら持ち運べただろ。
「もっと、うぅ、ていねい、うぐ」
ああ、ダメだ聞こえてない。このまま身を委ねるしかないか……
でもよかった。あんなところで倒れたままだったら凍え死んでてもおかしくなかった。
「おらお兄さんの大好きな布団だ」
うおい、雑だな。今投げ飛ばさなかったか? あ、でもふかふかの布団だ。気持ちい。
「そうじゃあ、約束通り疲労を取ってあげましょうか」
「えいよーう、えいよーう! いただこーう!」
やっと疲労を吸い取ってくれるのか……
「や、優しく……お願い……」
「うるせーな。黙って寝てろ」
うぅ……ヒナ辛辣すぎる。絶対嫌われたじゃん。
「な、なんだこの栄養は……」
え、僕の栄養もお気に召さなかった? もしかして相性とかそういうのもあったりするわけ?
レイナちゃん達が言ってた味ってそういう事なのか? 不味い? 僕の疲労そんなに不味いのか?
「ヒ……ナ……」
って気になって目を開けてみたんだけど、めちゃくちゃ抱きつかれてる。何これどうなってるの?
僕の疲労不味かったんじゃないの?
「おにーさんすごー! えいよーすごー!」
今度はフナちゃんまで抱きついてきた。
ああ、よかった。僕の疲労ってやっぱり特別な何かがあるんだ……
「えぇ……こんなの今まで味わったことなかったわ。最高よ」
お姉さんのハナちゃんが喋り出した途端視界が謎の柔らかいものに包まれたんだけど何これ……。
柔らかくて冷たい。苦しいけど落ち着く。赤ちゃんに戻ったみたいだ。これも金縛り霊の不思議な力って事か……。
というか僕の疲労を吸い取るだけのはずだったのに3姉妹みんな布団に入ってきてないか?
「おいおいずるいぞ姉貴。吸い取りすぎだろ」
「そーだ、そーだ! ねーねはおっぱいおっきいんだからー、おにーさんの栄養はフナたちにわけるべきー」
ヒナとフナちゃんが一番上のハナちゃんに怒ってるぞ……。どうしたんだ? おっぱい? なんのことだ……。
「そんなに吸ってませんよ。だからと言って栄養を譲ったりもしないよ。姉妹平等よ、平等!」
ああ、何となく声でみんなの位置がわかるぞ。
僕の右側に長女のハナちゃんがいるな。一番声が近く聞こえるから僕の顔の上に何かを乗せてるのはハナちゃんだろう。
どっしりと柔らかく冷たいもの……柔らかくて……冷たい……ハナちゃん……。
もしかしてこれ……おっぱい……?
いや、そんなわけないか。金縛り霊の不思議な力のなんかだろう。
それで僕の体の左側に抱きついてるのはさっきまでイラついてた次女のヒナだな。
細い腕で力一杯抱きしめてるんだけど、すごい悪い気はしないな。これが新手のツンデレってやつだな。
幼いフナちゃんは僕の上に乗って抱きついているって事か。抱きついてるって言うか小さな体をいっぱいに使って乗ってるって感じだな。
「「「…………ホヘーホヘー…………ホヘーホヘー」」」
喋らなくなったと思ったら寝息が!
しかも3姉妹同じヘンテコな寝息。可愛い。
寝顔が見たいのに前が見えない。しかも抱きつかれてて動けないし……。
「「「…………ホヘーホヘー…………ホヘーホヘー」」」
でも悪い気はしないな……。ちゃんと疲労もとってくれてるみたいだし、僕もこのまま寝よう。
意識を寝る事だけに集中させた途端、僕の意識は一瞬で暗い闇の中へと消えていった。
家族と眠る部屋には金縛り霊3姉妹の可愛らしく揃いに揃った寝息だけが鈴の音色のように朝まで響き渡った。
「自己紹介がまだでしたわね。私はハナ。この子たちのお姉さんよ」
「あたしはヒナだ。よろしく」
「フナはフナだよー! おにーさん! よろしくねー」
やっぱり思った通り3姉妹だったか。それに名前に特徴があって覚えやすいぞ。
ハナちゃんに、ヒナちゃんに、フナちゃんか。姉妹でハヒフの順番になっているのね。
それに今更気付いたんだけどカナちゃんやレイナちゃんたちと同じ白いワンピースを着ている。
金縛り霊はみんなこの衣装が決まりなのかな。
えーっと、ハナちゃんは一番上のお姉さんで一番美人だ。
マシュマロボディの体つきは世の男性を魅了するだろうな。
真ん中の子がヒナちゃん。ボーイッシュでクールな感じが魅力的だ。
けど完全に警戒されてるな。ずっと睨んでる……。
一番下の元気な子がフナちゃん。
元気いっぱいの明るい女の子。妹にしたいくらい可愛い。
うん。とても覚えやすい名前だ。もう覚えた。
「それでお兄さんは誰なんだよ」
ヒナが睨みながら言ってきた。
そうだ、自己紹介は大事だ。僕も名乗らないと。
「僕は山中愛兎です。みんなからはウサギくんって呼ばれてる。僕は見ての通り家族旅行でここに来たよ」
「ウサギってウサギさんと同じ名前だー、すごー!」
僕の名前を聞いてフナちゃんがはしゃいだ。はしゃぎ過ぎて両親の周りを走り回ってる。
踏まないか心配なんだけど、というよりも本当に全然起きないな。
これが金縛りにかかってる人の普通の反応って事なんだろうな。
動ける僕がおかしい……。
「そ、そうだ、ところで何して遊ぶの? 楽しい事って?」
「かくれんぼー!!!!!」
太陽のように明るい無邪気な笑顔を見せながらフナが叫んだ。
「かくれんぼってこの部屋の中じゃすぐに見つかちゃうじゃん。そんなのでいいの?」
「お兄さん。それは心配ご無用だぜ」
腕を組みながら得意げな顔でボーイッシュの少女ヒナが口を開いた。
「かくれんぼはこの旅館全てを使う行う!」
「えぇええええ!」
まさかの衝撃発言。この旅館全てってマジかよ……
「ちょ、ちょっと待って旅館全部って結構広いよ、一晩じゃ見つけられないと思うんだけど……」
「そうね。一晩は絶対無理よ。だからウサギさんの旅行が終わるまでに見つけて欲しいの」
どこか寂しそうな顔をしたハナちゃんを僕は見逃さなかった。
なんだろうこの気持ちは。どうしてそんな顔をしたんだ……。気になって仕方ない。
その答えがこのかくれんぼにあるって事なのか? いや、考え過ぎか……。
「とりあえず旅行中は金縛りにかかる事は確定したって事ね……。まあいいか、かくれんぼやろう!」
4泊5日の家族旅行で金縛り霊3姉妹とかくれんぼする事になった。
僕が帰るまでに全員を見つけるのが僕の勝利条件だ。かくれんぼの範囲はこの旅館の敷地内全て。
1日の制限時間としては、金縛りがかかる深夜2時から5時までの3時間だそうだ。
5時になったら僕の疲労を吸い取ってくれるらしい。それなら思う存分かくれんぼに集中できる。
さて、めちゃくちゃやる気が出てきた。なんか楽しくもなってきたぞ。
とりあえず部屋の扉を開けてみるか。夜の旅館はどんな感じなのか見てみたいし。
ガラガラと、扉を開けた瞬間に僕のやる気が一気に失せた。
旅館の廊下とは思えないほどの暗すぎる廊下。足元がやっと見えるくらいだ。前なんて暗過ぎてよく見えない。まるでホラー映画だよ……。
それに異常に寒過ぎじゃないか。これって怖いから寒いのか?
いや、11月の深夜だもんな。これくらい寒いか……。
それにしても怖すぎる。かくれんぼなんてできないしやっちゃいけない気がしてならないんだけども……。
僕は開けた扉をガラガラと閉めた。
怯えている僕の背中にヒナの鋭い声が刺さった。
「おい、何で閉めた?」
「あの……怖すぎて叫んじゃうかもしれないんだけど……他のお客さんに迷惑になっちゃうと思うんだ……。だからさ、かくれんぼは辞めない?」
体は正直だ。めちゃくちゃ震えてる。こんなに震えながら言えば流石にわかってくれるだろう。
「ああ、客はお兄さんたちだけだぜ。安心しな。それに旅館の人たちはウサギ様がどうとか言って出てこないから問題ないぞ。思う存分かくれんぼできるからな。よかったなお兄さん」
「あ、そうなのね、お客さんって僕たちだけなのね。余計に怖いんですけど……。この旅館本当に大丈夫な旅館? もう僕死んでたりしない?」
「何言ってんだ? それにいつまで震えてんだよ。濡れた子兎か」
いや、ヒナちゃん辛辣すぎるんですけど……。もう少し優しくしてほしい。
僕だって優しくされればやる気が戻るかもしれないのに。もう怖すぎるよ……。
そうだ、お姉さんのハナちゃんなら僕を癒してくれるかもしれない。
「あの、ハナちゃ――」
「かくれんぼスタートー! おにーさんフナたちを見つけてねー」
3姉妹が一斉に浮かびながら去っていった。ものすごいスピードだ。
「行かないでー! 一人にしないでー! 戻ってきてー! せめて一人だけでもー」
ダメだ。もう僕の声なんて届かないくらい遠くに行っちゃった。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
お化け屋敷みたいだと思ってたけど完全にお化け屋敷だよ……。
なんでこんなところでかくれんぼしなきゃいけないんだ。最悪だ。
とりあえず叫んでも誰にも迷惑がかからないって言ってたから行けるところまで行ってみようかな……。
僕は一歩廊下に足を踏み入れた。
うわ、完全に空気変わった。違う世界にいる気分だ。何これ怖すぎる。
暗い廊下だけど歩けないほどの暗さじゃないな。でも暗いのには変わりない。
「旅館の廊下ならもっと明るくしろよ、なんでこんなに暗いんだよ」
ぶつぶつ文句を言いながらじゃなきゃ怖くて進めない。
二歩、三歩、震える足を無理やり動かす。
ガサガサ
「ひいぃい、なになになになに」
ガサガサって物音がしたんですけど、暗くてよくわかんないし。
もう勘弁してくれよ……。
ズザザザーーン
目の前を黒い影がものすごいスピードで横切った。
「ギヤァアアアアヤアヤアア!」
かくれんぼ開始1分で悲鳴を上げてしまった。他の旅行客がいなくて本当によかったと思った。
僕は悲鳴を上げながら尻餅をついてしまった。もう震える足は生まれたての小鹿のようだ。立てる気がしない。
尻餅をついたおかげで黒い影の正体がわかった。目の前には廊下のフットライトに照らされている野生のウサギがいる。
「あはは……ウサギか……。そうだよね、旅館の中にもいるんだもんね」
安心した瞬間、足首に違和感を感じた。何者かが触っている感覚だ。
「イヤァアアアアアアアア!」
腕を使い後ろに勢いよく下がる。もはやその姿はゾンビ映画に出てきそうな勢いだ。
どんなに後ろに下がっても足首の違和感は消える気配がない。
「ンッンッ」
足首の違和感が声を上げた。先ほど現れた野生のウサギではない別のウサギがいた。
違和感の正体は野生のウサギだった。
「う、ウサギ様……もうお許しください。これ以上僕を脅かさないで……」
旅館の中に入り込んだ野生のウサギに驚かされてしまい、かくれんぼどころではない。
もうかくれんぼとかどうでもいいや。部屋に戻って寝よう。もう無理。心拍数上がりまくって死んじゃう。
そのまま飛び込むように部屋に戻った。そして布団の中に潜り込む。
「これで一安心だ。3姉妹には申し訳ないけど寝る。もう絶対廊下に出ない」
廊下で冷たい風を浴びていたから布団の中は暖かくて最高だ。
この暖かさは幸せの象徴。このまま布団と結婚したい。布団の幽霊とかいないかな。いや、僕にはカナちゃんがいるだろ。
カナちゃんの事を想像するだけでニヤけてしまう。
そんな時だった。ざばっと布団が勢いよくめくられ飛ばされた。
「おいおい、お兄さん。かくれんぼはどうしたんだよ。ってなんだその顔」
布団をめくったのはヒナちゃんだ。ニヤけ顔も見られてしまった最悪だ。
「怖いです。怖いです。一人じゃ無理です。お願いします。もう無理です。あと僕のニヤけ顔忘れてください」
僕はガクガクと震え始めた。布団がなくなり寒くて震えてるのではない。怖くて震えているのだ。
またあの廊下に出なきゃいけないと考えたら体が無意識に震えてしまう。
「たくっ……臆病者のお兄さんが心配で見にきたらこれだよ……」
「はい。ごめんなさい。僕は臆病者で小心者でビビリで弱虫です」
もうどんなに貶されてもいい。無理なものは無理だ。このまま睨まれ続けたっていい。
一人じゃ無理だ。怖すぎる。
「しょうがねえから、あたしもついて行ってやるよ。二人なら大丈夫だろ?」
「へ、今なんて……?」
「だから一緒に行ってやるって言ってんの」
「本当?」
「ああ、本当だ」
うぉおお。なんてかっこいいんだ。ヒナちゃんかっこよすぎる。
尊敬。リスペクト。もうヒナちゃんの子分になってもいいくらいだ。
「二人なら怖くない大丈夫だ。こんなホラゲ攻略してやる」
「いやいや、お兄さん、立ち直り早過ぎないか」
「絶対僕から離れないでね。絶対だよ」
「はいはい」
僕はヒナちゃんが来てくれたおかげでかくれんぼを再開する事ができた。
深夜の旅館。暗すぎる廊下で僕は金縛り霊のヒナちゃんと共に隠れているハナちゃんとフナちゃんを探す事になった。
「あの~、ヒ、ヒント教えてください」
「ダーメだ。それだと意味がないだろ。男ならちゃんと歩けって、情けない。みっともない。かっこ悪い」
僕の足取りは亀のように遅い。それにイラついてる同行者のヒナちゃんは辛辣だ。もう少し優しくしてくれてもいいと思うんだけどな。
でもこうやって一緒にいてくれてるって事は実は優しいのかも。あ、これってツンデレってやつ?
「ンッンッ!」
「ひぃ」
たまに脅かしてくる野生のウサギは心臓に悪い。暗くて見えないせいで毎回驚かされてしまう。
「おーいお兄さん置いてくぞ」
いつの間にかヒナちゃんは廊下の先まで行っていた。このままだと置いてかれてまた一人ぼっちになってしまう。
ダメだ。もうここまで歩いてきちゃってる。こんな暗くて長い廊下で一人ぼっちだけは嫌だ。
「ヒナちゃん、ちょっと待ってくださいよー。一人にしないでよ」
「ヒナでいい。待ってるから早くここまでこいよ」
「は、はい!」
怒ってるのか優しいのかどっちなのか全然読めない。でももっと優しくして。
ここで一人にされたら絶対自分の部屋に戻れないと思う。急いでヒナのところに行こう。
「うわ、早く歩けんじゃん」
「もう無理だからね、ゆっくり行こうよ、怖すぎるって」
とりあえず旅館の全体図を見なければ話にならない。
確かここの旅館は2階建てで宿部屋が20部屋ぐらいあったな。敷地内って言ってたから庭園や露天風呂なども合わせたらかなり広いぞ。
こりゃ確かに一晩じゃ見つけるのはキツそうだな。というか旅行中に見つける事ってできるのか?
「時間だな……」
なんだろう突然。なんの時間がきたんだ?
「時計を見ろ5時だ。かくれんぼ終わりだ」
ヒナが指差す方には時計があった。時刻は5時を指している。
決められているかくれんぼのタイムリミットが来てしまったのだ。つまり今日のかくれんぼは終了となる。
「そ、そんなまだ全体図も見てないのに……」
「そうだな。ここまで来るのにお兄さんがもたもたしてたからな。まあ、全体図ぐらい朝のうちに覚えとけよ」
もたもたしてたって……、確かにその通りだ。
えーっと、3時くらいからかくれんぼが始まって今は5時だろ。つまり2時間かくれんぼをやった事になるな。
僕の部屋は1階の一番端で今いるのが1階の中央付近だ。という事は2時間かけて1階の廊下を半分しか歩いていなかったって事か?
なんとも情けない。そりゃヒナもイラつくわ。でも怖いんだから仕方ないよな……。
「う、なんか急に目眩が……」
なんだろう。急に目眩がして意識がグラグラする。怖がりながら2時間も歩いた影響か?
いや、違う。これは僕にかかっている金縛りの限界が来たんだ。
いつもならベットの上だからそのまま練ればいいだけなんだけどここは廊下のど真ん中だぞ。こんなところで倒れたりなんかしたら……
あれ? おかしい。視界が変だ。壁にぶつかった? いや、違う。僕は倒れたんだ。これは壁じゃない。廊下の床だ。
まずい意識が……。
「お兄さん。時間切れだ」
ヒナの冷たい声が聞こえた。その声に続いて僕を心配するような声と明るく元気な声が聞こえてくる。
「あらら。ウサギさんここまでしか来れなかったのね。意識はまだあるみたいだけど大丈夫かしら?」
「おにーさん! へなちょこー! ちょーつまんない!」
ハナちゃんとフナちゃんの声か。へなちょこ……つまらなくて……悪かったな……。
「うぅ……」
ダメだ。意識が朦朧としてるせいで声が出ない
「とりあえず布団まで運ぶか。足持つぞ」
足って……いや、引きずってない? 金縛り霊に足引っ張られて暗い廊下を引きずられてるんだけど……。
もう少し丁寧に運んでくれよ……。というか3人なら持ち運べただろ。
「もっと、うぅ、ていねい、うぐ」
ああ、ダメだ聞こえてない。このまま身を委ねるしかないか……
でもよかった。あんなところで倒れたままだったら凍え死んでてもおかしくなかった。
「おらお兄さんの大好きな布団だ」
うおい、雑だな。今投げ飛ばさなかったか? あ、でもふかふかの布団だ。気持ちい。
「そうじゃあ、約束通り疲労を取ってあげましょうか」
「えいよーう、えいよーう! いただこーう!」
やっと疲労を吸い取ってくれるのか……
「や、優しく……お願い……」
「うるせーな。黙って寝てろ」
うぅ……ヒナ辛辣すぎる。絶対嫌われたじゃん。
「な、なんだこの栄養は……」
え、僕の栄養もお気に召さなかった? もしかして相性とかそういうのもあったりするわけ?
レイナちゃん達が言ってた味ってそういう事なのか? 不味い? 僕の疲労そんなに不味いのか?
「ヒ……ナ……」
って気になって目を開けてみたんだけど、めちゃくちゃ抱きつかれてる。何これどうなってるの?
僕の疲労不味かったんじゃないの?
「おにーさんすごー! えいよーすごー!」
今度はフナちゃんまで抱きついてきた。
ああ、よかった。僕の疲労ってやっぱり特別な何かがあるんだ……
「えぇ……こんなの今まで味わったことなかったわ。最高よ」
お姉さんのハナちゃんが喋り出した途端視界が謎の柔らかいものに包まれたんだけど何これ……。
柔らかくて冷たい。苦しいけど落ち着く。赤ちゃんに戻ったみたいだ。これも金縛り霊の不思議な力って事か……。
というか僕の疲労を吸い取るだけのはずだったのに3姉妹みんな布団に入ってきてないか?
「おいおいずるいぞ姉貴。吸い取りすぎだろ」
「そーだ、そーだ! ねーねはおっぱいおっきいんだからー、おにーさんの栄養はフナたちにわけるべきー」
ヒナとフナちゃんが一番上のハナちゃんに怒ってるぞ……。どうしたんだ? おっぱい? なんのことだ……。
「そんなに吸ってませんよ。だからと言って栄養を譲ったりもしないよ。姉妹平等よ、平等!」
ああ、何となく声でみんなの位置がわかるぞ。
僕の右側に長女のハナちゃんがいるな。一番声が近く聞こえるから僕の顔の上に何かを乗せてるのはハナちゃんだろう。
どっしりと柔らかく冷たいもの……柔らかくて……冷たい……ハナちゃん……。
もしかしてこれ……おっぱい……?
いや、そんなわけないか。金縛り霊の不思議な力のなんかだろう。
それで僕の体の左側に抱きついてるのはさっきまでイラついてた次女のヒナだな。
細い腕で力一杯抱きしめてるんだけど、すごい悪い気はしないな。これが新手のツンデレってやつだな。
幼いフナちゃんは僕の上に乗って抱きついているって事か。抱きついてるって言うか小さな体をいっぱいに使って乗ってるって感じだな。
「「「…………ホヘーホヘー…………ホヘーホヘー」」」
喋らなくなったと思ったら寝息が!
しかも3姉妹同じヘンテコな寝息。可愛い。
寝顔が見たいのに前が見えない。しかも抱きつかれてて動けないし……。
「「「…………ホヘーホヘー…………ホヘーホヘー」」」
でも悪い気はしないな……。ちゃんと疲労もとってくれてるみたいだし、僕もこのまま寝よう。
意識を寝る事だけに集中させた途端、僕の意識は一瞬で暗い闇の中へと消えていった。
家族と眠る部屋には金縛り霊3姉妹の可愛らしく揃いに揃った寝息だけが鈴の音色のように朝まで響き渡った。
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