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第1章
15 妖艶な大人の顔付きで誘惑されたら、おかしくなります
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「ウサギく~ん! どう? 可愛い~? 似合ってる?」
黒い下着姿のリナ先輩だ。
ランジェリーショップで悩みに悩んで購入した下着を僕に見せつけてきている。
豊満なおっぱいが、実りに実った禁断の果実が溢れ落ちてきそうだ。
リナ先輩の魅力的なボディは、童貞の僕にとっては刺激が強すぎる。
「か、可愛いです! 似合ってます! 120点、いや、200点ですっ! ハァハァ……」
本物のウサギみたいに僕はリナ先輩に発情してしまっている。
もう欲望も興奮も何も隠してない。本能のまま興奮してしまっている。
「ハァハァ……ハァハァ……」
「じつはさ~赤色のも買ってたんだ~」
「あ、赤色のも!?」
まさか両方買ってたなんて。
見てみたい。赤い下着姿のリナ先輩も見てみたい!
「これさ~着てみたいからさ~ブラ外してくれる~?」
ブ、ブラ!?
ブラを外すってなんだ?
「ホックが特殊で外すの大変なんだよ~」
小悪魔のように微笑むリナ先輩。
ブラの後ろにあるホックに手が届かないようなそぶりを見せている。いや、見せ付けている。
いやらしい。本当にいやらしい。なんて誘惑なんだ。
「ハァハァ……ハァハァ……」
ああ、リナ先輩。
最高にエロい体だ。
それにエロいのは溢れ落ちそうなほど大きなおっぱいだけじゃない。
長くて細い腕と脚もエロい。
背中と腰は曲線があってエロい。
パーフェクトだ。パーフェクトボディだ。
「は、外しますよ! ハァハァ……」
初めて外すブラジャーのホック。
器用な方ではない僕でも簡単に外すことができた。
ん? 待てよ。これを外したらリナ先輩は……リナ先輩のおっぱいは……。
「ウサギくん。ノーブラ~」
ノーブラだ!
見せ付けるように黒色のブラジャーを振り回している。
片腕でおっぱいを隠してるけど、全然隠し切れてない。
やばいエロい。エロすぎる。
「ハァハァ……ハァハァ……」
リナ先輩は見せつけ続けている。黒いブラジャーを振り回し続ける。
振り回し過ぎてヘリコプターのようにどこかへ飛んでいってしまいそうだ。
なんだか今日のリナ先輩は大胆だな。
僕も発情してるのを全く隠す気なんてないけど。
おかしい。でも幸せ。この幸せが一生続いてほしい。
「って!? え!? リナ先輩それって?」
「どうしたのウサギくん?」
「へ、蛇です! それも大きな!」
ヘリコプターのプロペラのように振り回されていた黒いブラジャーが大蛇に化けた。
『シャーーーー』
僕に向かって威嚇している。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
大蛇は舌をちょろちょろと出しながら睨みつけている大蛇。
牙からは酸の高い唾液が垂れている。噛まれたら終わりだ。
なんで、なんでこんなことに。
さっきまで幸せすぎたからか?
逃げないと。逃げないと殺される!
リナ先輩と一緒に逃げよう。
「リナせんぱ……い?」
リナ先輩がいない。
それどころか大蛇がもっと大きくなってる。
もしかしてリナ先輩はもう……だ、ダメだ。そんなこと考えたら。
きっと逃げたんだ。そうだ。
それじゃ僕も逃げ――
「うわぁああああああああ!!!」
左足が! 左足が!
大蛇に噛まれた。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
足が! 足がァ! 足がぁぁあアア!
「足がァアアア!!!!」
ん? あ、あれ?
「はぁはぁ……はぁはぁ……」
夢か。また悪夢に魘されてたのか……。
せっかくリナ先輩が夢に出てきたのに。いい夢だったのに。
ホラー映画のウサギの着ぐるみよりはまだマシだったけど……。
って! あれ?
左足に違和感を感じる。
悪夢の中の大蛇に噛まれた左足だ。
もしかして金縛り?
いや、悪夢から目覚めただけで金縛りにかかって目覚めたんじゃない。
きっと歩き疲れて足が痛くなったんだ。きっとそうだ。
それに体だって動く。足も普通に動かせるぞ。
だから金縛りじゃない。金縛りなわけがない。
でも確かめたい。今すぐに確かめたい。
体が動くんだ。手だって、足だって。
だからこの目で確認してやる。
「カナちゃん!!」
名前を叫びながら布団をめくった。
「え?」
布団の中にはカナちゃんはいなかった。
けれど衝撃が僕を襲った。
だって布団の中にカナちゃんではない金縛りの幽霊がいたのだから。
「レイナちゃん!?」
「はい! レイナです!」
年齢は十代後半くらい。
栗色のボブヘアー。それが似合う丸顔のロリフェイス。
ぷにぷにで柔らかそうな頬。
まん丸でキラキラと輝く黒瞳。
カナちゃんに負けず劣らずの超絶美少女のレイナちゃんだ。
「あっ、えーっと、金縛り?」
「そうですよ。金縛り以外ありえないじゃないですか」
そうか。金縛りか。金縛りにかかったんだ。
でもカナちゃんは? カナちゃんはなんでいないんだ?
「カナちゃんは? って顔してますね」
「え? あっ、そんな顔してた?」
「してますよー。カナちゃんは別の人のところに行ってますよ。だからえーっとウサギさん? のところにレイナが来ました。ではでは早速、手を出してくださいっ」
「え? ちょ、ちょっと、ちょっと待って!」
「どうしたんですか?」
「カ、カナちゃんが別の人のところに行ったの? な、なんで?」
「なんでって言われましても……誰が誰を金縛りにかかけるとかきまりがないので。だから今日は別の人のところに……ってすごく悲しそうな顔してますよ。ウサギさん」
そりゃ悲しいよ。
せっかく金縛りにかかったのにカナちゃんに会えないだなんて。
カナちゃんに会いたい。カナちゃんに……会いたい。
心にぽっかりと穴が開いたような感覚だ。
というか、別の人のところ?
カナちゃんが別の人と寝てるってこと?
想像するだけで胸が痛む。苦しい。
もしかしてこれって嫉妬ってやつ?
生まれて初めてこんな感情に陥ってるよ。
嫉妬心か……。こんなに苦しいんだね。心が苦しいよ……。
「なので今日はレイナがウサギさんを独り占めですっ!」
「あっ、え、ちょ!」
馬乗り! 顔に似合わず大胆だ!
しかも強引に左手を引っ張って恋人繋ぎ!? レイナちゃんの細い指が絡まってきた。
めっちゃ大胆だ!
「ウサギさんの栄養…………美味しいです……」
「お、美味しいの?」
「はい。昨日からずっとずーっと、忘れられませんっ」
「そ、そうなんだ」
「……責任とってくださいよ」
「せ、責任!?」
「ハァハァ……もっと栄養を……もっと栄養をレイナにください……ハァハァ……」
やばい。すごく顔が近い。
それにすごく息が荒い。荒すぎて息が当たってる。
「ウサギさん以外の栄養なんてもう無理です。レイナはウサギさんの栄養しか受け付けませんっ! なので……毎日ウサギさんに金縛りをかけにきますね」
「ま、毎日!?」
「はい。毎日です。いいですよね? いいですよね? これからよろしくお願いしますねっ……ハァハァ……」
息が荒いだけじゃない。頬がすごく赤い。
こんなに幼い顔なのにすごく妖艶だ。
僕は勘違いをしていた。
レイナちゃんを妹属性の可愛い女の子だと思ってた。
けど違う。
結構やばい女の子なんじゃね?
これってメンヘラってやつなんじゃね?
普通はこんなに求められるの嬉しいはずなのに、求められすぎて怖いんですけど……。
「ウサギくんの栄養最高ですよ。すっごく美味しいです……ハァハァ……」
馬乗りされて、手を繋がれて、顔は息がかかるほど近くて。
いや、これはこれでいいのかもしれない。メンヘラ妹属性。いいかもしれない。
レイナちゃんはカナちゃんやリナ先輩に負けないくらい可愛い。
そしてカナちゃんとリナ先輩にない魅力がある。
その魅力が童貞の僕には刺激が強すぎる。
こんなに求められるのには慣れてないし、どうしたらいいんだ……。
このままレイナちゃんを受け入れていいものなのか?
毎日こんな感じでレイナちゃんに求められて……って待てよ。
毎日ってことはカナちゃんはもう来ないのか?
「ウサギさんっ。レイナがいるのに他の女の人のこと考えてませんか?」
「え?」
「え? じゃないですよ。レイナがいれば十分じゃないですか。レイナがウサギさんの疲労をたくさん吸い取ってあげますよ。だからレイナのことだけ考えてください」
ああ、カナちゃん。僕は罪な男だ。
レイナちゃんを受け入れちゃってる。
抱きしめてくるレイナちゃんの体がすごく心地良い。
隙間なんて一切ない。ぴったりとくっつく体が気持ちがいい。
抱き枕にされてるし、抱き枕にしてしまっている。
ひんやり冷たいのも気持ちがいい。
動けない。動きたくない。
これこそ本当の……本物の金縛りだ。
「ドキドキしてますね。ウサギさん。うふふっ。今日は栄養も昨日以上に最高ですよっ。あっ、そっか。独り占めしてるからですかね。そうだ! ちょっとしたサービスしてあげますね。うふふ」
「え? え? え? サ、サービス……? ちょっと待って、なになになに……? 金縛りの幽霊のサービスってなに……? めちゃくちゃ怖いんですけど……でもめっちゃ気になる!」
「サービスはですね……」
レイナちゃんの顔がさらに近付く。
というか当たってる。ほっぺが柔らかい。ものすごく柔らかい。
「はーむ」
ん?
なんだ?
なんか変な感じがする。
「はむはむはむはむはむはむはむはむ」
はむはむ?
何? はむはむって。
「え? ちょ……ちょっと、レイナちゃん! な、何してんの……!」
「何って栄養補給ですよっ! 男の人ってこうされると喜ぶんですよね。どうですかレイナのサービスは」
「なんなのこのサービス……嬉し恥ずかしさと罪悪感があるんだけど……ってダメだって! やめよう、やめよう! というかやめて! サービス禁止っ!! 僕の頭がおかしくなっちゃう! 壊れちゃう!」
「も~う、動かないでくださいよ。ウサギさん興奮しすぎですっ! ただ耳たぶをはむはむしてるだけじゃないですか! はむはむはむっ」
「そ、それがダメなんだって……あぁ! だ、ダメー!」
「口でこうやって吸うとですね。流れてくる栄養の量が増えるんですよ。だからやめませんっ! やめられません」
「ええー! な、何それ!」
だ、ダメだ。レイナちゃんやめる気一切ない。
ロリフェイスがいつの間にか大人の……妖艶な大人の顔つきに!
「このままキスしちゃいますか? 舌を入れたキスを」
な、何を言ってるんだこの子はー!!!
や、やばい……僕のファ、ファ、ファーストキスが……。
カ、カナちゃんとする予定の……いや、そんな予定ないけど、でもカナちゃんとしたかったファーストキスを……レイナちゃんに奪われてしまう!
か、体が動かない。抵抗できない。
なら仕方ないよな……。このまま僕のファーストキスをレイナちゃんに捧げるしかないよな。
覚悟を決めろ! 山中愛兎! 覚悟を決めるんだ!
どうせ体が動かないんだ。これは仕方ないことなんだ。
だから覚悟とかそういうのじゃなくて仕方ないことなんだ!
そうだ。仕方がないことなんだ!
って、体が動かないくせに唇をめちゃくちゃ尖らせられてるわ。
だって体が動かないのは金縛りのせいじゃないから。気持ちのせいだから。
こい! いつでもいいぞ! レイナちゃん!
ファーストキスをキミに捧げる!
「………………ん? あ、あれ……?」
「…………スハースハー…………スハースハー」
レイナちゃんの寝息?
ね、寝ちゃったのか?
栄養を吸いすぎて寝ちゃったのか……。
せっかくのファーストキスのチャンスが……残念だ。
でも……これで良かったのかもしれない。
レイナちゃんの幸せそうな顔。
幼い子供のように幸せそうに眠っている顔を見れたから。
嵐の後の静けさというのはこの事だろうか……。
この静けさが、レイナちゃんの寝息がなんだか心地良い。
黒い下着姿のリナ先輩だ。
ランジェリーショップで悩みに悩んで購入した下着を僕に見せつけてきている。
豊満なおっぱいが、実りに実った禁断の果実が溢れ落ちてきそうだ。
リナ先輩の魅力的なボディは、童貞の僕にとっては刺激が強すぎる。
「か、可愛いです! 似合ってます! 120点、いや、200点ですっ! ハァハァ……」
本物のウサギみたいに僕はリナ先輩に発情してしまっている。
もう欲望も興奮も何も隠してない。本能のまま興奮してしまっている。
「ハァハァ……ハァハァ……」
「じつはさ~赤色のも買ってたんだ~」
「あ、赤色のも!?」
まさか両方買ってたなんて。
見てみたい。赤い下着姿のリナ先輩も見てみたい!
「これさ~着てみたいからさ~ブラ外してくれる~?」
ブ、ブラ!?
ブラを外すってなんだ?
「ホックが特殊で外すの大変なんだよ~」
小悪魔のように微笑むリナ先輩。
ブラの後ろにあるホックに手が届かないようなそぶりを見せている。いや、見せ付けている。
いやらしい。本当にいやらしい。なんて誘惑なんだ。
「ハァハァ……ハァハァ……」
ああ、リナ先輩。
最高にエロい体だ。
それにエロいのは溢れ落ちそうなほど大きなおっぱいだけじゃない。
長くて細い腕と脚もエロい。
背中と腰は曲線があってエロい。
パーフェクトだ。パーフェクトボディだ。
「は、外しますよ! ハァハァ……」
初めて外すブラジャーのホック。
器用な方ではない僕でも簡単に外すことができた。
ん? 待てよ。これを外したらリナ先輩は……リナ先輩のおっぱいは……。
「ウサギくん。ノーブラ~」
ノーブラだ!
見せ付けるように黒色のブラジャーを振り回している。
片腕でおっぱいを隠してるけど、全然隠し切れてない。
やばいエロい。エロすぎる。
「ハァハァ……ハァハァ……」
リナ先輩は見せつけ続けている。黒いブラジャーを振り回し続ける。
振り回し過ぎてヘリコプターのようにどこかへ飛んでいってしまいそうだ。
なんだか今日のリナ先輩は大胆だな。
僕も発情してるのを全く隠す気なんてないけど。
おかしい。でも幸せ。この幸せが一生続いてほしい。
「って!? え!? リナ先輩それって?」
「どうしたのウサギくん?」
「へ、蛇です! それも大きな!」
ヘリコプターのプロペラのように振り回されていた黒いブラジャーが大蛇に化けた。
『シャーーーー』
僕に向かって威嚇している。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
大蛇は舌をちょろちょろと出しながら睨みつけている大蛇。
牙からは酸の高い唾液が垂れている。噛まれたら終わりだ。
なんで、なんでこんなことに。
さっきまで幸せすぎたからか?
逃げないと。逃げないと殺される!
リナ先輩と一緒に逃げよう。
「リナせんぱ……い?」
リナ先輩がいない。
それどころか大蛇がもっと大きくなってる。
もしかしてリナ先輩はもう……だ、ダメだ。そんなこと考えたら。
きっと逃げたんだ。そうだ。
それじゃ僕も逃げ――
「うわぁああああああああ!!!」
左足が! 左足が!
大蛇に噛まれた。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
足が! 足がァ! 足がぁぁあアア!
「足がァアアア!!!!」
ん? あ、あれ?
「はぁはぁ……はぁはぁ……」
夢か。また悪夢に魘されてたのか……。
せっかくリナ先輩が夢に出てきたのに。いい夢だったのに。
ホラー映画のウサギの着ぐるみよりはまだマシだったけど……。
って! あれ?
左足に違和感を感じる。
悪夢の中の大蛇に噛まれた左足だ。
もしかして金縛り?
いや、悪夢から目覚めただけで金縛りにかかって目覚めたんじゃない。
きっと歩き疲れて足が痛くなったんだ。きっとそうだ。
それに体だって動く。足も普通に動かせるぞ。
だから金縛りじゃない。金縛りなわけがない。
でも確かめたい。今すぐに確かめたい。
体が動くんだ。手だって、足だって。
だからこの目で確認してやる。
「カナちゃん!!」
名前を叫びながら布団をめくった。
「え?」
布団の中にはカナちゃんはいなかった。
けれど衝撃が僕を襲った。
だって布団の中にカナちゃんではない金縛りの幽霊がいたのだから。
「レイナちゃん!?」
「はい! レイナです!」
年齢は十代後半くらい。
栗色のボブヘアー。それが似合う丸顔のロリフェイス。
ぷにぷにで柔らかそうな頬。
まん丸でキラキラと輝く黒瞳。
カナちゃんに負けず劣らずの超絶美少女のレイナちゃんだ。
「あっ、えーっと、金縛り?」
「そうですよ。金縛り以外ありえないじゃないですか」
そうか。金縛りか。金縛りにかかったんだ。
でもカナちゃんは? カナちゃんはなんでいないんだ?
「カナちゃんは? って顔してますね」
「え? あっ、そんな顔してた?」
「してますよー。カナちゃんは別の人のところに行ってますよ。だからえーっとウサギさん? のところにレイナが来ました。ではでは早速、手を出してくださいっ」
「え? ちょ、ちょっと、ちょっと待って!」
「どうしたんですか?」
「カ、カナちゃんが別の人のところに行ったの? な、なんで?」
「なんでって言われましても……誰が誰を金縛りにかかけるとかきまりがないので。だから今日は別の人のところに……ってすごく悲しそうな顔してますよ。ウサギさん」
そりゃ悲しいよ。
せっかく金縛りにかかったのにカナちゃんに会えないだなんて。
カナちゃんに会いたい。カナちゃんに……会いたい。
心にぽっかりと穴が開いたような感覚だ。
というか、別の人のところ?
カナちゃんが別の人と寝てるってこと?
想像するだけで胸が痛む。苦しい。
もしかしてこれって嫉妬ってやつ?
生まれて初めてこんな感情に陥ってるよ。
嫉妬心か……。こんなに苦しいんだね。心が苦しいよ……。
「なので今日はレイナがウサギさんを独り占めですっ!」
「あっ、え、ちょ!」
馬乗り! 顔に似合わず大胆だ!
しかも強引に左手を引っ張って恋人繋ぎ!? レイナちゃんの細い指が絡まってきた。
めっちゃ大胆だ!
「ウサギさんの栄養…………美味しいです……」
「お、美味しいの?」
「はい。昨日からずっとずーっと、忘れられませんっ」
「そ、そうなんだ」
「……責任とってくださいよ」
「せ、責任!?」
「ハァハァ……もっと栄養を……もっと栄養をレイナにください……ハァハァ……」
やばい。すごく顔が近い。
それにすごく息が荒い。荒すぎて息が当たってる。
「ウサギさん以外の栄養なんてもう無理です。レイナはウサギさんの栄養しか受け付けませんっ! なので……毎日ウサギさんに金縛りをかけにきますね」
「ま、毎日!?」
「はい。毎日です。いいですよね? いいですよね? これからよろしくお願いしますねっ……ハァハァ……」
息が荒いだけじゃない。頬がすごく赤い。
こんなに幼い顔なのにすごく妖艶だ。
僕は勘違いをしていた。
レイナちゃんを妹属性の可愛い女の子だと思ってた。
けど違う。
結構やばい女の子なんじゃね?
これってメンヘラってやつなんじゃね?
普通はこんなに求められるの嬉しいはずなのに、求められすぎて怖いんですけど……。
「ウサギくんの栄養最高ですよ。すっごく美味しいです……ハァハァ……」
馬乗りされて、手を繋がれて、顔は息がかかるほど近くて。
いや、これはこれでいいのかもしれない。メンヘラ妹属性。いいかもしれない。
レイナちゃんはカナちゃんやリナ先輩に負けないくらい可愛い。
そしてカナちゃんとリナ先輩にない魅力がある。
その魅力が童貞の僕には刺激が強すぎる。
こんなに求められるのには慣れてないし、どうしたらいいんだ……。
このままレイナちゃんを受け入れていいものなのか?
毎日こんな感じでレイナちゃんに求められて……って待てよ。
毎日ってことはカナちゃんはもう来ないのか?
「ウサギさんっ。レイナがいるのに他の女の人のこと考えてませんか?」
「え?」
「え? じゃないですよ。レイナがいれば十分じゃないですか。レイナがウサギさんの疲労をたくさん吸い取ってあげますよ。だからレイナのことだけ考えてください」
ああ、カナちゃん。僕は罪な男だ。
レイナちゃんを受け入れちゃってる。
抱きしめてくるレイナちゃんの体がすごく心地良い。
隙間なんて一切ない。ぴったりとくっつく体が気持ちがいい。
抱き枕にされてるし、抱き枕にしてしまっている。
ひんやり冷たいのも気持ちがいい。
動けない。動きたくない。
これこそ本当の……本物の金縛りだ。
「ドキドキしてますね。ウサギさん。うふふっ。今日は栄養も昨日以上に最高ですよっ。あっ、そっか。独り占めしてるからですかね。そうだ! ちょっとしたサービスしてあげますね。うふふ」
「え? え? え? サ、サービス……? ちょっと待って、なになになに……? 金縛りの幽霊のサービスってなに……? めちゃくちゃ怖いんですけど……でもめっちゃ気になる!」
「サービスはですね……」
レイナちゃんの顔がさらに近付く。
というか当たってる。ほっぺが柔らかい。ものすごく柔らかい。
「はーむ」
ん?
なんだ?
なんか変な感じがする。
「はむはむはむはむはむはむはむはむ」
はむはむ?
何? はむはむって。
「え? ちょ……ちょっと、レイナちゃん! な、何してんの……!」
「何って栄養補給ですよっ! 男の人ってこうされると喜ぶんですよね。どうですかレイナのサービスは」
「なんなのこのサービス……嬉し恥ずかしさと罪悪感があるんだけど……ってダメだって! やめよう、やめよう! というかやめて! サービス禁止っ!! 僕の頭がおかしくなっちゃう! 壊れちゃう!」
「も~う、動かないでくださいよ。ウサギさん興奮しすぎですっ! ただ耳たぶをはむはむしてるだけじゃないですか! はむはむはむっ」
「そ、それがダメなんだって……あぁ! だ、ダメー!」
「口でこうやって吸うとですね。流れてくる栄養の量が増えるんですよ。だからやめませんっ! やめられません」
「ええー! な、何それ!」
だ、ダメだ。レイナちゃんやめる気一切ない。
ロリフェイスがいつの間にか大人の……妖艶な大人の顔つきに!
「このままキスしちゃいますか? 舌を入れたキスを」
な、何を言ってるんだこの子はー!!!
や、やばい……僕のファ、ファ、ファーストキスが……。
カ、カナちゃんとする予定の……いや、そんな予定ないけど、でもカナちゃんとしたかったファーストキスを……レイナちゃんに奪われてしまう!
か、体が動かない。抵抗できない。
なら仕方ないよな……。このまま僕のファーストキスをレイナちゃんに捧げるしかないよな。
覚悟を決めろ! 山中愛兎! 覚悟を決めるんだ!
どうせ体が動かないんだ。これは仕方ないことなんだ。
だから覚悟とかそういうのじゃなくて仕方ないことなんだ!
そうだ。仕方がないことなんだ!
って、体が動かないくせに唇をめちゃくちゃ尖らせられてるわ。
だって体が動かないのは金縛りのせいじゃないから。気持ちのせいだから。
こい! いつでもいいぞ! レイナちゃん!
ファーストキスをキミに捧げる!
「………………ん? あ、あれ……?」
「…………スハースハー…………スハースハー」
レイナちゃんの寝息?
ね、寝ちゃったのか?
栄養を吸いすぎて寝ちゃったのか……。
せっかくのファーストキスのチャンスが……残念だ。
でも……これで良かったのかもしれない。
レイナちゃんの幸せそうな顔。
幼い子供のように幸せそうに眠っている顔を見れたから。
嵐の後の静けさというのはこの事だろうか……。
この静けさが、レイナちゃんの寝息がなんだか心地良い。
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