60 / 71
神秘の担々飯
059:神様、時間を止めて来店
しおりを挟む
ある日の魔勇家――
「フォフォフォフォ。久しぶりじゃのぉ」
陽気に笑う老人が開店準備中の魔勇家へやってきた。
真っ白なローブと白い髪、白い髭が特徴的な老人だ。
長い真っ白な髪は腰の位置ほどまで伸びている。髭も髪と同じ色をしており胸の位置まで伸びている。
そんな長い髭を上下に触りながら来店した老人の招待は――
「「神様!?」」
魔王と勇者の驚いた声が重なった。
二人が言った通り老人の正体は神様だ。
この世界の――あるいは幾つのも存在する世界の神様だ。
「今や二人は魔王と勇者。いや、料理屋の店主か。フォフォフォフォフォ。何も知らなかったお主らがこうなることはのぉ。神である儂でも想像できなかったぞ。フォフォフォフォ」
神様は魔王と勇者を見た後、魔勇家の店内を見回した。
来店時に『久しぶり』と言っていた時点で魔王と勇者の二人と面識があることは判明している。
しかしそれ以上に二人を知っているかのような口ぶりだ。
それもそのはず。この神様は――
「二人を転生させて正解じゃったかも知れんのぉ」
魔王と勇者を転生させた張本人なのだから。
「本当に久しぶりすぎますね。転生の時以来ですね」
「妾もじゃ。転生の時以来じゃな。まさかゆーくんも同じ神から転生しておったとは」
「それも驚きだけど、あの転生した日から一度も現れなかった神様がどうして今現れたのか。それが一番の驚きであり、疑問でもある」
「うぬ。そうじゃな」
魔王と勇者は突然現れた神様に警戒心を強めた。
幾度も世界のピンチがあった。魔王自身のピンチも、勇者自身のピンチも。世界大戦もだ。その時は一度も現れなかった神様。魔王と勇者が警戒するのも当然だ。
「そう警戒しなくてよい。儂はただの客じゃよ」
「客って……神様がこんなところにいるの見られたら大変なことになりませんか? うちは客は少ないけど、常連さんは結構いますよ? それに曲者揃いですから、神様のことにも気付きますよ」
「その心配は不要じゃよ。この店以外の時間は止めてある。所謂〝貸切〟というやつじゃな! フォフォフォフォフォ」
「まじですか……」
「時間を止めるとはヤバすぎるのじゃ……」
時間を止めるという規格外な能力に唖然とする魔王と勇者。
魔王と勇者の二人自体この世界の規格外的存在。それを遥かに凌駕する神様。規格外から見ても規格外なのだ。
そんな規格外の神様は陽気に笑いながらカウンター席へと座った。
神様が言った通り本当に客として来店したみたいだ。
「飯はないのかのぉ。飯は」
「米ですか。一応やってますよ。まだ炊いてないので時間をもらいますが……」
この世界にも普通に米は存在する。
魔勇家のメニューにもライスの表記はある。
しかし、米はまだ炊かれていない。開店準備の最中だからタイミングよく米を炊いていなかったのだ。
「かまわんよ。儂は飯を食べに来たのじゃからのぉ。いくらでも待つぞ。なんなら時間を進めようか?」
「時空が歪みそうなので、これ以上時間を操るのはやめてください」
「フォフォフォフォフォ。わかった。ゆっくり待つとしようではないか」
神様は大人しく引き下がった。
直後、メニュー表を見ながら魔王と勇者に向かって口を開く。
「それじゃ〝神秘の担々飯〟とやらをよろしく頼む」
「かしこまりました!」「かしこまりましたなのじゃ!」
神様から注文を受けた魔王と勇者の声が重なった。
直後、二人は踵を返して厨房へと向かった。
〝神秘の担々飯〟を作るために。
「フォフォフォフォ。久しぶりじゃのぉ」
陽気に笑う老人が開店準備中の魔勇家へやってきた。
真っ白なローブと白い髪、白い髭が特徴的な老人だ。
長い真っ白な髪は腰の位置ほどまで伸びている。髭も髪と同じ色をしており胸の位置まで伸びている。
そんな長い髭を上下に触りながら来店した老人の招待は――
「「神様!?」」
魔王と勇者の驚いた声が重なった。
二人が言った通り老人の正体は神様だ。
この世界の――あるいは幾つのも存在する世界の神様だ。
「今や二人は魔王と勇者。いや、料理屋の店主か。フォフォフォフォフォ。何も知らなかったお主らがこうなることはのぉ。神である儂でも想像できなかったぞ。フォフォフォフォ」
神様は魔王と勇者を見た後、魔勇家の店内を見回した。
来店時に『久しぶり』と言っていた時点で魔王と勇者の二人と面識があることは判明している。
しかしそれ以上に二人を知っているかのような口ぶりだ。
それもそのはず。この神様は――
「二人を転生させて正解じゃったかも知れんのぉ」
魔王と勇者を転生させた張本人なのだから。
「本当に久しぶりすぎますね。転生の時以来ですね」
「妾もじゃ。転生の時以来じゃな。まさかゆーくんも同じ神から転生しておったとは」
「それも驚きだけど、あの転生した日から一度も現れなかった神様がどうして今現れたのか。それが一番の驚きであり、疑問でもある」
「うぬ。そうじゃな」
魔王と勇者は突然現れた神様に警戒心を強めた。
幾度も世界のピンチがあった。魔王自身のピンチも、勇者自身のピンチも。世界大戦もだ。その時は一度も現れなかった神様。魔王と勇者が警戒するのも当然だ。
「そう警戒しなくてよい。儂はただの客じゃよ」
「客って……神様がこんなところにいるの見られたら大変なことになりませんか? うちは客は少ないけど、常連さんは結構いますよ? それに曲者揃いですから、神様のことにも気付きますよ」
「その心配は不要じゃよ。この店以外の時間は止めてある。所謂〝貸切〟というやつじゃな! フォフォフォフォフォ」
「まじですか……」
「時間を止めるとはヤバすぎるのじゃ……」
時間を止めるという規格外な能力に唖然とする魔王と勇者。
魔王と勇者の二人自体この世界の規格外的存在。それを遥かに凌駕する神様。規格外から見ても規格外なのだ。
そんな規格外の神様は陽気に笑いながらカウンター席へと座った。
神様が言った通り本当に客として来店したみたいだ。
「飯はないのかのぉ。飯は」
「米ですか。一応やってますよ。まだ炊いてないので時間をもらいますが……」
この世界にも普通に米は存在する。
魔勇家のメニューにもライスの表記はある。
しかし、米はまだ炊かれていない。開店準備の最中だからタイミングよく米を炊いていなかったのだ。
「かまわんよ。儂は飯を食べに来たのじゃからのぉ。いくらでも待つぞ。なんなら時間を進めようか?」
「時空が歪みそうなので、これ以上時間を操るのはやめてください」
「フォフォフォフォフォ。わかった。ゆっくり待つとしようではないか」
神様は大人しく引き下がった。
直後、メニュー表を見ながら魔王と勇者に向かって口を開く。
「それじゃ〝神秘の担々飯〟とやらをよろしく頼む」
「かしこまりました!」「かしこまりましたなのじゃ!」
神様から注文を受けた魔王と勇者の声が重なった。
直後、二人は踵を返して厨房へと向かった。
〝神秘の担々飯〟を作るために。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
44
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる