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極上の担々つけ麺 (熱盛り)
050:尾行する者、拳を構える
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今日も担々麺専門店『魔勇家』は大盛況。それもいつも以上の大盛況っぷりを見せている。
その要因の一つとしてはスケルトンキング率いる150体ものスケルトン軍団が来店したからだ。
人数もそうだが〝至福の豆乳担々麺〟のあまりの美味しさに全員が踊り狂っているのである。
そんなお祭り騒ぎの『魔勇家』に向かう一人の男がいた。
「くははははっ! 今日も賑わっているな! 魔勇家は! くははははっ! 世界最強の龍人族である俺も盛り上げなくてはな!」
高らかに笑う男は、自称世界最強の龍人族の男――〝極上の担々つけ麺〟をこよなく愛する龍人だ。
龍人はすれ違うスケルトンたちと挨拶を交わしながら『魔勇家』の入り口を目指す。
スケルトンキング率いるスケルトン軍団、そして邪竜は『魔勇家』の入り口正面に設置されている屋外席にいる。なのでスケルトンたちとすれ違うのは必然なのだ。
――チャリンチャリンッ。
心を癒す銀鈴の音色が客の来店を歓迎する。
そして銀鈴の音色が小さくなっていくのと同時進行で扉がゆっくりと閉まる。
そんな閉ざされた扉を驚愕の色いっぱいに染めた表情をしながら見ていた人物が一人いた。
たまたま見ていたわけではない。尾行していたのだ。龍人を。
だからここまで――担々麺専門店『魔勇家』付近にまで辿り着いたのだ。
「まさかこんな場所があっただなんてガオ……」
驚愕の色いっぱいに染めた表情の人物は、白髪から小さな三角形の獣耳を生やし、鋭い牙と鋭い爪、そして黄色の瞳が特徴的な虎人族の男だ。
「元世界最強の獣人であるオレに黙って、こんな場所で修行をしていたのガオか」
虎人は邪竜とスケルトンキング、そして149体ものスケルトンを黄色の瞳に映しながら震えた声で呟いた。
「だから最近アイツの強さが増していたのガオか」
虎人が言うアイツとは龍人のこと。
龍人が世界最強と自称する前は、虎人が世界最強だと自称していた。
龍人が虎人に勝利したことによってその自称の称号が移り変わったのだ。
元世界最強となってしまった虎人は、それから何度も龍人に一騎討ちを挑んでいる。
謂わば龍人と虎人は好敵手――ライバル関係にあるのだ。
一騎討ちの勝敗は言わずもがな龍人の連勝だ。そうじゃなければ今もなお世界最強を自称してはいないだろう。
まったく勝つことができなくなった虎人は、龍人が強くなった秘密を探るために尾行してきたのである。
その結果がこれである。
「元魔王軍大幹部……鬼人の大男まで現れたガオ! 一体城内でどんな修行をしているんだガオ!?」
盛大に勘違いをしてしまっているのだ。
「龍人の修行が見たいガオ。どうにかして見れないのガオか? やはり正面突破するしかないガオね。となると邪竜とスケルトンキングを倒さなきゃいけないということになるガオ……」
虎人は恐怖で体が小刻みに震え始めた。
しかしその震えは拳を強く握りしめたことによってすぐに収まった。
「やるしかないガオね」
全ては龍人に勝利するため。そして世界最強という称号を取り戻すため。
「いくガオ!」
虎人は『魔勇家』に向かって歩き出した。
恐怖心など一切感じられない堂々とした足取りで『魔勇家』の敷地内に足を踏み入れる。
「おい! 邪竜! スケルトンキング! ガオ!」
虎人が吠えるように叫んだ。
『何事だ?』「なんだ?」
邪竜は食事を止め、スケルトンキングは踊るのを辞めて声がした方へ振り向く。
「オレは元世界最強の獣人ガオ! オマエらを倒して中に入らせてもらうガオ!!」
虎人は拳を構えて臨戦態勢に入った。
その要因の一つとしてはスケルトンキング率いる150体ものスケルトン軍団が来店したからだ。
人数もそうだが〝至福の豆乳担々麺〟のあまりの美味しさに全員が踊り狂っているのである。
そんなお祭り騒ぎの『魔勇家』に向かう一人の男がいた。
「くははははっ! 今日も賑わっているな! 魔勇家は! くははははっ! 世界最強の龍人族である俺も盛り上げなくてはな!」
高らかに笑う男は、自称世界最強の龍人族の男――〝極上の担々つけ麺〟をこよなく愛する龍人だ。
龍人はすれ違うスケルトンたちと挨拶を交わしながら『魔勇家』の入り口を目指す。
スケルトンキング率いるスケルトン軍団、そして邪竜は『魔勇家』の入り口正面に設置されている屋外席にいる。なのでスケルトンたちとすれ違うのは必然なのだ。
――チャリンチャリンッ。
心を癒す銀鈴の音色が客の来店を歓迎する。
そして銀鈴の音色が小さくなっていくのと同時進行で扉がゆっくりと閉まる。
そんな閉ざされた扉を驚愕の色いっぱいに染めた表情をしながら見ていた人物が一人いた。
たまたま見ていたわけではない。尾行していたのだ。龍人を。
だからここまで――担々麺専門店『魔勇家』付近にまで辿り着いたのだ。
「まさかこんな場所があっただなんてガオ……」
驚愕の色いっぱいに染めた表情の人物は、白髪から小さな三角形の獣耳を生やし、鋭い牙と鋭い爪、そして黄色の瞳が特徴的な虎人族の男だ。
「元世界最強の獣人であるオレに黙って、こんな場所で修行をしていたのガオか」
虎人は邪竜とスケルトンキング、そして149体ものスケルトンを黄色の瞳に映しながら震えた声で呟いた。
「だから最近アイツの強さが増していたのガオか」
虎人が言うアイツとは龍人のこと。
龍人が世界最強と自称する前は、虎人が世界最強だと自称していた。
龍人が虎人に勝利したことによってその自称の称号が移り変わったのだ。
元世界最強となってしまった虎人は、それから何度も龍人に一騎討ちを挑んでいる。
謂わば龍人と虎人は好敵手――ライバル関係にあるのだ。
一騎討ちの勝敗は言わずもがな龍人の連勝だ。そうじゃなければ今もなお世界最強を自称してはいないだろう。
まったく勝つことができなくなった虎人は、龍人が強くなった秘密を探るために尾行してきたのである。
その結果がこれである。
「元魔王軍大幹部……鬼人の大男まで現れたガオ! 一体城内でどんな修行をしているんだガオ!?」
盛大に勘違いをしてしまっているのだ。
「龍人の修行が見たいガオ。どうにかして見れないのガオか? やはり正面突破するしかないガオね。となると邪竜とスケルトンキングを倒さなきゃいけないということになるガオ……」
虎人は恐怖で体が小刻みに震え始めた。
しかしその震えは拳を強く握りしめたことによってすぐに収まった。
「やるしかないガオね」
全ては龍人に勝利するため。そして世界最強という称号を取り戻すため。
「いくガオ!」
虎人は『魔勇家』に向かって歩き出した。
恐怖心など一切感じられない堂々とした足取りで『魔勇家』の敷地内に足を踏み入れる。
「おい! 邪竜! スケルトンキング! ガオ!」
虎人が吠えるように叫んだ。
『何事だ?』「なんだ?」
邪竜は食事を止め、スケルトンキングは踊るのを辞めて声がした方へ振り向く。
「オレは元世界最強の獣人ガオ! オマエらを倒して中に入らせてもらうガオ!!」
虎人は拳を構えて臨戦態勢に入った。
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