27 / 71
翡翠のバジリコ担々麺 (特盛り)
027:襲撃を受けた魔勇家、魔王と勇者の安否は?
しおりを挟む
〝災厄で最凶〟の邪竜カタストロフィーが城の上空から姿を消したのと同時刻、魔王マカロンが口を開く。
「迂闊じゃった……」
反省の色を浮かべながら、すぐ近くにいる勇者ユークリフォンスへと話かけている。
「ゆーくんが《絶対防御壁》を展開していなければ、この城は崩れ大惨事になっていたに違いない……妾の気の緩みが招いた不幸じゃ。くっ、ゆーくんに見惚れすぎておったわ。すまぬ。そしてありがとうなのじゃ」
魔王マカロンが言うように、邪竜カタストロフィーが放った光線にいち早く気付いた勇者ユークリフォンスは、特殊な力――勇者の加護による力で《絶対防御壁》を展開し、城を守ったのである。
しかし感謝されている勇者ユークリフォンスにもしっかりと言い分があった。
「いや、正直のところあと一撃放たれてたらヤバかった。まーちゃんが機転を利かせて幻影魔法を発動してくれてなかったら本当にヤバかったぞ。まーちゃんのおかげで、攻撃を仕掛けた何者かが満足して帰っていったんだからさ。手柄は全部まーちゃんのだよ。まーちゃんが居てくれて本当に助かった。俺はこのことを一生忘れないと思う。というか目に焼き付けた。幻影魔法を発動しているまーちゃんはすごく神秘的だったよ」
邪竜カタストロフィーが見ていた光景――瓦礫と化した城と辺り一帯の火の海、その光景は魔王マカロンの幻影魔法によるものだったのだ。
この幻影がなければ、城が崩壊するまで何度も光線を放っていたに違いない。
そうなった場合、勇者ユークリフォンスが展開した《絶対防御壁》だけでは城はおろか、大切な人の命すら守ることができなかったであろう。
それだけ強力な光線が放たれていたと言うことなのだ。
「妾こそ、ゆーくんが居てくれて助かったのじゃ。二人の力で難を免れたと言うことじゃな! 妾も忘れんぞ。ゆーくんのスキルを発動するそのかっこいい姿を。魂に焼き付けたのじゃ! それでじゃ! 誰が妾たちの城に攻撃を? 心当たりはあるか?」
一番の懸念点は誰が攻撃を仕掛けてきたかだ。
担々麺専門店とはいえ、ここは元魔王城だ。
元魔王城を攻撃してくる者などそうそういないはず。
「俺は心当たりなしだ。魔王城を狙ったってことは、魔王軍に恨みでもあるんじゃないか?」
「恨みか。恨みを買うことばかりをしてきたからのぉ。誰じゃろ? だが、世間では魔王も魔王軍も亡き存在。それにここはもう料理屋じゃぞ! とんだ八つ当たり野郎が居たもんじゃのぉ。見つけ次第懲らしめんといかんのじゃ!」
「だな。でも本当に何もかもが無事でよかったよ。それじゃ開店準備の続きをしようか。開店と同時にエルバームさんが来そうな気がするからな。急がなきゃだぞ」
「うぬ。そうじゃな。妾はあの龍人が『くははははっ』と高笑いしながら最初に来店すると予想しよう。外れた方は草抜きじゃ!」
「草抜きか。いいぜ。でも待て! 予知魔法とか使ってないよな?」
「そんなもんは使っておらぬよ。ズルして勝ちたいとは思っておらん。それは勇者であるおぬしがよく知っておるじゃろ? ささ、開店準備の続きをするのじゃ」
二人は何事もなかったかのように中断していた開店準備を再開した。
そして開店準備が終わり営業が開始した直後、魔勇家に一番最初に来店したのは、正義の盗賊団の二人――ブリガンとバンディーだった。
魔王マカロンと勇者ユークリフォンスの予想が外れたことになり、二人で草抜きをする約束をしたのだった。
「迂闊じゃった……」
反省の色を浮かべながら、すぐ近くにいる勇者ユークリフォンスへと話かけている。
「ゆーくんが《絶対防御壁》を展開していなければ、この城は崩れ大惨事になっていたに違いない……妾の気の緩みが招いた不幸じゃ。くっ、ゆーくんに見惚れすぎておったわ。すまぬ。そしてありがとうなのじゃ」
魔王マカロンが言うように、邪竜カタストロフィーが放った光線にいち早く気付いた勇者ユークリフォンスは、特殊な力――勇者の加護による力で《絶対防御壁》を展開し、城を守ったのである。
しかし感謝されている勇者ユークリフォンスにもしっかりと言い分があった。
「いや、正直のところあと一撃放たれてたらヤバかった。まーちゃんが機転を利かせて幻影魔法を発動してくれてなかったら本当にヤバかったぞ。まーちゃんのおかげで、攻撃を仕掛けた何者かが満足して帰っていったんだからさ。手柄は全部まーちゃんのだよ。まーちゃんが居てくれて本当に助かった。俺はこのことを一生忘れないと思う。というか目に焼き付けた。幻影魔法を発動しているまーちゃんはすごく神秘的だったよ」
邪竜カタストロフィーが見ていた光景――瓦礫と化した城と辺り一帯の火の海、その光景は魔王マカロンの幻影魔法によるものだったのだ。
この幻影がなければ、城が崩壊するまで何度も光線を放っていたに違いない。
そうなった場合、勇者ユークリフォンスが展開した《絶対防御壁》だけでは城はおろか、大切な人の命すら守ることができなかったであろう。
それだけ強力な光線が放たれていたと言うことなのだ。
「妾こそ、ゆーくんが居てくれて助かったのじゃ。二人の力で難を免れたと言うことじゃな! 妾も忘れんぞ。ゆーくんのスキルを発動するそのかっこいい姿を。魂に焼き付けたのじゃ! それでじゃ! 誰が妾たちの城に攻撃を? 心当たりはあるか?」
一番の懸念点は誰が攻撃を仕掛けてきたかだ。
担々麺専門店とはいえ、ここは元魔王城だ。
元魔王城を攻撃してくる者などそうそういないはず。
「俺は心当たりなしだ。魔王城を狙ったってことは、魔王軍に恨みでもあるんじゃないか?」
「恨みか。恨みを買うことばかりをしてきたからのぉ。誰じゃろ? だが、世間では魔王も魔王軍も亡き存在。それにここはもう料理屋じゃぞ! とんだ八つ当たり野郎が居たもんじゃのぉ。見つけ次第懲らしめんといかんのじゃ!」
「だな。でも本当に何もかもが無事でよかったよ。それじゃ開店準備の続きをしようか。開店と同時にエルバームさんが来そうな気がするからな。急がなきゃだぞ」
「うぬ。そうじゃな。妾はあの龍人が『くははははっ』と高笑いしながら最初に来店すると予想しよう。外れた方は草抜きじゃ!」
「草抜きか。いいぜ。でも待て! 予知魔法とか使ってないよな?」
「そんなもんは使っておらぬよ。ズルして勝ちたいとは思っておらん。それは勇者であるおぬしがよく知っておるじゃろ? ささ、開店準備の続きをするのじゃ」
二人は何事もなかったかのように中断していた開店準備を再開した。
そして開店準備が終わり営業が開始した直後、魔勇家に一番最初に来店したのは、正義の盗賊団の二人――ブリガンとバンディーだった。
魔王マカロンと勇者ユークリフォンスの予想が外れたことになり、二人で草抜きをする約束をしたのだった。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。
転生はデフォです。
でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。
リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。
しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。
この話は第一部ということでそこまでは完結しています。
第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。
そして…
リウ君のかっこいい活躍を見てください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界ラーメン
さいとう みさき
ファンタジー
その噂は酒場でささやかれていた。
迷宮の奥深くに、森の奥深くに、そして遺跡の奥深くにその屋台店はあると言う。
異世界人がこの世界に召喚され、何故かそんな辺鄙な所で屋台店を開いていると言う。
しかし、その屋台店に数々の冒険者は救われ、そしてそこで食べた「らーめん」なる摩訶不思議なシチューに長細い何かが入った食べ物に魅了される。
「もう一度あの味を!」
そう言って冒険者たちはまたその屋台店を探して冒険に出るのだった。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
魔拳のデイドリーマー
osho
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生した少年・ミナト。ちょっと物騒な大自然の中で、優しくて美人でエキセントリックなお母さんに育てられた彼が、我流の魔法と鍛えた肉体を武器に、常識とか色々ぶっちぎりつつもあくまで気ままに過ごしていくお話。
主人公最強系の転生ファンタジーになります。未熟者の書いた、自己満足が執筆方針の拙い文ですが、お暇な方、よろしければどうぞ見ていってください。感想などいただけると嬉しいです。
推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる
ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。
彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。
だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。
結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。
そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた!
主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。
ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる