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究極の担々麺
001:魔王と勇者、魔王城最奥部にて
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ここは〝最悪にして最強〟と人々に恐れられている魔王――マベル・マカロンの根城である魔王城。その最奥部である。
そこで汚れひとつない白色のマントを羽織った男が彼女の名を叫んでいた。
「魔王ー!! 魔王マカロンーッ!」
彼はこの世界で唯一魔王に対抗できる存在――人類の希望でもある〝勇者〟である。
汚れひとつない白色のマントの下には鎧が軽装備されており、腰には歴戦を潜り抜けたであろう聖剣が鞘に収まっている。
その男の外見は誰がどう見ても〝勇者〟という言葉が最初に頭に過ぎるほど仕上がっている。
「くくく、懲りずにまたやって来たか。勇者ユークリフォンスよ」
玉座に座る少女が不敵な笑みを浮かべ、勇者――サフィール・ユークリフォンスを見下しながら言った。
彼女がこの国の〝最悪にして最強〟の存在――〝魔王〟である。
「ふんっ。当然だ。俺は〝決して諦めることのない男〟で有名なんだ。何度でも……何度でもやってやる――!」
「知っておる。そのしつこい性格のせいで妾の可愛い部下たちが何人やられたことか……。幹部も全員倒しおって……」
勇者ユークリフォンスは、魔王マカロンから放たれる覇気や威圧に怖気付くことなく歩き始めた。
常人なら気を失っていてもおかしくないほどの覇気と威圧だ。勇者だからこそ――否、勇者でなければ進むことができないだろう。
その足取りは力強く勇ましい。覚悟を決めた者の足取りでもあった。
それに応じるように魔王マカロンは、玉座から立ち上がり一歩踏み出す――。
そしてまた一歩、また一歩と二人の距離は歩幅の数だけ近づく。
「では、今度こそ決着を着けようではないか。妾とおぬしで決着を――」
魔王から禍々しいどす黒いオーラが溢れ出る。覇気や威圧とはまた異質のオーラだ。
そのオーラに触れてしまえば、肉体は疎か魂までもが絶たれるであろう。
それほど恐ろしい〝死のオーラ〟を魔王マカロンは放っているのだ。
「そのためにここに来たんだ。望むところだ――! 魔王マカロン――!」
勇者ユークリフォンスからは、神々しい黄金色のオーラが放たれる。
弱き者に勇気を与え、朽ちた肉体を再生し、枯れた草木を元の姿に戻す。
そんな力が込められたオーラ――魔王マカロンが放つ〝死のオーラ〟とは対照的な〝生命に満ち溢れたオーラ〟だ。
二人の対照的なオーラが衝突――。
空間は歪み、裂かれ、魔王城内に激しい轟音が鳴り響く――。
「さあ、始めようではないか――!」
いつの間にか魔王マカロンと勇者ユークリフォンスは、手の届く距離まで間合いを詰めていた。
剣で斬りかかれば、確実に一刀両断できる距離。
魔法を放てば、確実に風穴を開けられる距離。
しかし魔王マカロンも勇者ユークリフォンスもそれをすることはなかった。
ただただ瞳を交差させるだけ。まるで何かを確かめ合っているかのように。
その後、二人が放出している生と死のオーラがゆっくりと混ざり合っていく。
オーラが完全に混ざり合ったのと同時――勇者ユークリフォンスと魔王マカロンは、打ち合わせでもしたかのように声を揃えて言った。
「「究極の担々麺作りを――!!!!!」」
それは魔王マカロンと勇者ユークリフォンスの死闘が始まる合図――否、究極の担々麺作りが始まる合図だった。
そこで汚れひとつない白色のマントを羽織った男が彼女の名を叫んでいた。
「魔王ー!! 魔王マカロンーッ!」
彼はこの世界で唯一魔王に対抗できる存在――人類の希望でもある〝勇者〟である。
汚れひとつない白色のマントの下には鎧が軽装備されており、腰には歴戦を潜り抜けたであろう聖剣が鞘に収まっている。
その男の外見は誰がどう見ても〝勇者〟という言葉が最初に頭に過ぎるほど仕上がっている。
「くくく、懲りずにまたやって来たか。勇者ユークリフォンスよ」
玉座に座る少女が不敵な笑みを浮かべ、勇者――サフィール・ユークリフォンスを見下しながら言った。
彼女がこの国の〝最悪にして最強〟の存在――〝魔王〟である。
「ふんっ。当然だ。俺は〝決して諦めることのない男〟で有名なんだ。何度でも……何度でもやってやる――!」
「知っておる。そのしつこい性格のせいで妾の可愛い部下たちが何人やられたことか……。幹部も全員倒しおって……」
勇者ユークリフォンスは、魔王マカロンから放たれる覇気や威圧に怖気付くことなく歩き始めた。
常人なら気を失っていてもおかしくないほどの覇気と威圧だ。勇者だからこそ――否、勇者でなければ進むことができないだろう。
その足取りは力強く勇ましい。覚悟を決めた者の足取りでもあった。
それに応じるように魔王マカロンは、玉座から立ち上がり一歩踏み出す――。
そしてまた一歩、また一歩と二人の距離は歩幅の数だけ近づく。
「では、今度こそ決着を着けようではないか。妾とおぬしで決着を――」
魔王から禍々しいどす黒いオーラが溢れ出る。覇気や威圧とはまた異質のオーラだ。
そのオーラに触れてしまえば、肉体は疎か魂までもが絶たれるであろう。
それほど恐ろしい〝死のオーラ〟を魔王マカロンは放っているのだ。
「そのためにここに来たんだ。望むところだ――! 魔王マカロン――!」
勇者ユークリフォンスからは、神々しい黄金色のオーラが放たれる。
弱き者に勇気を与え、朽ちた肉体を再生し、枯れた草木を元の姿に戻す。
そんな力が込められたオーラ――魔王マカロンが放つ〝死のオーラ〟とは対照的な〝生命に満ち溢れたオーラ〟だ。
二人の対照的なオーラが衝突――。
空間は歪み、裂かれ、魔王城内に激しい轟音が鳴り響く――。
「さあ、始めようではないか――!」
いつの間にか魔王マカロンと勇者ユークリフォンスは、手の届く距離まで間合いを詰めていた。
剣で斬りかかれば、確実に一刀両断できる距離。
魔法を放てば、確実に風穴を開けられる距離。
しかし魔王マカロンも勇者ユークリフォンスもそれをすることはなかった。
ただただ瞳を交差させるだけ。まるで何かを確かめ合っているかのように。
その後、二人が放出している生と死のオーラがゆっくりと混ざり合っていく。
オーラが完全に混ざり合ったのと同時――勇者ユークリフォンスと魔王マカロンは、打ち合わせでもしたかのように声を揃えて言った。
「「究極の担々麺作りを――!!!!!」」
それは魔王マカロンと勇者ユークリフォンスの死闘が始まる合図――否、究極の担々麺作りが始まる合図だった。
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