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《ドキドキの文化祭編》
034:37枚目のツーショットチェキは突然に
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教室に戻った僕たちはゆっくり休むことにした。
どっと疲れが溜まってる。疲労感が半端ない。寝不足も相まってキツすぎる。
抱きしめられている時の感覚がまだ腰に残ってるよ。
着替えたくても着替えらんないから、とりあえず着ぐるみのまま座ってる。
これもいい宣伝になると思う。
そんな僕の隣にはクマの着ぐるみを着た小熊さんが座っている。
小熊さんも僕と同じで疲れてるんだろうな。
次は小熊さんの班なのに大丈夫だろうか。
「隼兎くんっ。隼兎くんっ」
小熊さんの元気な声とバシバシ叩く小さな手。
回復したみたいでよかった。
でもどうしたんだろう。
「長峰さんが、今なら2人でチェキ撮れるよ、だってよ。ちょうど空いたみたい」
「え? あっ、本当だ」
「うんっ。私の担当の時間だとさすがに別の衣装に着替えるからさ。せっかくだし着ぐるみどうしで撮ろうっ」
確かにいつまでも着ぐるみを着ているわけにはいかない。それは両方に言えることだ。
だとしたら撮らないわけにはいかない。こんな貴重なペアルックをチェキに納めないわけにはいかない!
「撮ろう! 今すぐ!」
僕たちは立ち上がってチェキが撮れるスペースへと向かった。
すでにクラスの女子がチェキカメラを持ってスタンバイしている。
魔女の衣装を着ている長峰さんだ。
長峰さんは小熊さんと軽く挨拶をしてチェキカメラをいじり始めた。撮る準備を始めたのだろう。
それなら僕たちも立ち位置やポーズの準備をしないと。
まあ、立ち位置はマスキングテープが貼ってあるところに……って、視界が狭くて見えづらい。
「撮るよ~。ポーズして~」
チェキカメラが向けられた。
まだポーズを決めてないのに。
「隼兎くん。ポーズポーズ」
「いや、ポーズって言われても……」
――カシャッ!!!
ポーズを決める前にチェキカメラのシャッターが切られる音がした。
というか被り物も取ってないんですけど!!
これじゃただのウサギの着ぐるみとクマの着ぐるみのツーショットチェキだよ。
いや、違う。小熊さんの可愛さは着ぐるみを貫通するほどのものだった。
だから今のチェキは、ポーズを決められずおどおどしているウサギの着ぐるみと可愛さ全開のクマの着ぐるみを着た小熊さんのツーショットチェキになる。
「映ってきたよ~。いい感じじゃん~」
長峰さんが見せてきたチェキは僕の予想通りのものだった。
「ふふっ。かわいいねっ」
小熊さんが言った通り、かわいい。可愛すぎる。もちろん小熊さんが、だ。
しっかりとくままポーズを取っていて、着ぐるみなのに目線もバッチリ。
小熊さんという可愛さは着ぐるみから溢れ出ている。やっぱり世界一かわいい存在だ。この可愛さは着ぐるみを着たところで隠しきれない。
「はいっ。隼兎くんにあげる」
「えっ、いいの?」
「もちろんっ!」
長峰さんから小熊さんに。小熊さんから僕にチェキが回ってきた。
これで小熊さんとのツーショットチェキは通算37枚となった。
着ぐるみを着ていたとしても、このツーショットチェキは紛れもなく僕と小熊さんのツーショットチェキだ。しっかりと枚数に加算させてもらうぞ。
意外にレアなチェキだな。というかこれから、小熊さんの担当の時間はレアなチェキがたくさん撮れるはずだ。着ぐるみチェキよりももっともっとレアなチェキが。
くぅうううう。緊張してきたー。
とりあえず小熊さんの可愛さに充てられて気絶しないようにしないとな。
「おやっ? とっても気に入ってるみたいだね」
「うん。めちゃくちゃ気に入ってるよ。着ぐるみなんてレアだからね。文化祭とかじゃないと一生着ぐるみなんて着る機会ないだろうしさ」
「それもそうだねっ。この隼兎くんのおどおどポーズもとってもいいもんねっ」
「そ、それは……は、恥ずかしい」
着ぐるみを被っててよかった。顔が真っ赤になってるのがバレずに済んだよ。
「顔真っ赤になってる?」
「もしかして透視能力まで!? さすがくまま様だ」
「ないないないないっ。隼兎くんがわかりやすいだけっ」
どんだけわかりやすいんだ僕は……。でもそれはただの小熊さんの謙遜だ。
小熊さんは……くまま様は透視能力もある。
くまま様は神以上の存在だからな。さすがだ。
「それじゃ私着替えるね。髪を束ねたりもしなきゃだしっ」
「神!? 神を束ねる!? さすがくまま様だ!」
「えっ? あ、うん。セットしてくるね」
すごいや。神を束ねるとは。さすがくまま様。神をも従える存在。
僕もチェキを仕舞うついでに着替えとかないとな。
ここからが本番なんだから。
どっと疲れが溜まってる。疲労感が半端ない。寝不足も相まってキツすぎる。
抱きしめられている時の感覚がまだ腰に残ってるよ。
着替えたくても着替えらんないから、とりあえず着ぐるみのまま座ってる。
これもいい宣伝になると思う。
そんな僕の隣にはクマの着ぐるみを着た小熊さんが座っている。
小熊さんも僕と同じで疲れてるんだろうな。
次は小熊さんの班なのに大丈夫だろうか。
「隼兎くんっ。隼兎くんっ」
小熊さんの元気な声とバシバシ叩く小さな手。
回復したみたいでよかった。
でもどうしたんだろう。
「長峰さんが、今なら2人でチェキ撮れるよ、だってよ。ちょうど空いたみたい」
「え? あっ、本当だ」
「うんっ。私の担当の時間だとさすがに別の衣装に着替えるからさ。せっかくだし着ぐるみどうしで撮ろうっ」
確かにいつまでも着ぐるみを着ているわけにはいかない。それは両方に言えることだ。
だとしたら撮らないわけにはいかない。こんな貴重なペアルックをチェキに納めないわけにはいかない!
「撮ろう! 今すぐ!」
僕たちは立ち上がってチェキが撮れるスペースへと向かった。
すでにクラスの女子がチェキカメラを持ってスタンバイしている。
魔女の衣装を着ている長峰さんだ。
長峰さんは小熊さんと軽く挨拶をしてチェキカメラをいじり始めた。撮る準備を始めたのだろう。
それなら僕たちも立ち位置やポーズの準備をしないと。
まあ、立ち位置はマスキングテープが貼ってあるところに……って、視界が狭くて見えづらい。
「撮るよ~。ポーズして~」
チェキカメラが向けられた。
まだポーズを決めてないのに。
「隼兎くん。ポーズポーズ」
「いや、ポーズって言われても……」
――カシャッ!!!
ポーズを決める前にチェキカメラのシャッターが切られる音がした。
というか被り物も取ってないんですけど!!
これじゃただのウサギの着ぐるみとクマの着ぐるみのツーショットチェキだよ。
いや、違う。小熊さんの可愛さは着ぐるみを貫通するほどのものだった。
だから今のチェキは、ポーズを決められずおどおどしているウサギの着ぐるみと可愛さ全開のクマの着ぐるみを着た小熊さんのツーショットチェキになる。
「映ってきたよ~。いい感じじゃん~」
長峰さんが見せてきたチェキは僕の予想通りのものだった。
「ふふっ。かわいいねっ」
小熊さんが言った通り、かわいい。可愛すぎる。もちろん小熊さんが、だ。
しっかりとくままポーズを取っていて、着ぐるみなのに目線もバッチリ。
小熊さんという可愛さは着ぐるみから溢れ出ている。やっぱり世界一かわいい存在だ。この可愛さは着ぐるみを着たところで隠しきれない。
「はいっ。隼兎くんにあげる」
「えっ、いいの?」
「もちろんっ!」
長峰さんから小熊さんに。小熊さんから僕にチェキが回ってきた。
これで小熊さんとのツーショットチェキは通算37枚となった。
着ぐるみを着ていたとしても、このツーショットチェキは紛れもなく僕と小熊さんのツーショットチェキだ。しっかりと枚数に加算させてもらうぞ。
意外にレアなチェキだな。というかこれから、小熊さんの担当の時間はレアなチェキがたくさん撮れるはずだ。着ぐるみチェキよりももっともっとレアなチェキが。
くぅうううう。緊張してきたー。
とりあえず小熊さんの可愛さに充てられて気絶しないようにしないとな。
「おやっ? とっても気に入ってるみたいだね」
「うん。めちゃくちゃ気に入ってるよ。着ぐるみなんてレアだからね。文化祭とかじゃないと一生着ぐるみなんて着る機会ないだろうしさ」
「それもそうだねっ。この隼兎くんのおどおどポーズもとってもいいもんねっ」
「そ、それは……は、恥ずかしい」
着ぐるみを被っててよかった。顔が真っ赤になってるのがバレずに済んだよ。
「顔真っ赤になってる?」
「もしかして透視能力まで!? さすがくまま様だ」
「ないないないないっ。隼兎くんがわかりやすいだけっ」
どんだけわかりやすいんだ僕は……。でもそれはただの小熊さんの謙遜だ。
小熊さんは……くまま様は透視能力もある。
くまま様は神以上の存在だからな。さすがだ。
「それじゃ私着替えるね。髪を束ねたりもしなきゃだしっ」
「神!? 神を束ねる!? さすがくまま様だ!」
「えっ? あ、うん。セットしてくるね」
すごいや。神を束ねるとは。さすがくまま様。神をも従える存在。
僕もチェキを仕舞うついでに着替えとかないとな。
ここからが本番なんだから。
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