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095:精神崩壊
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キンタロウはゲームを続けるために自分の位置まで戻り4面ダイスを振った。4面ダイスを振るキンタロウの瞳は怒りと悲しみが渦巻き涙となってこぼれ落ちていた。
連続する仲間の死でキンタロウの精神は崩壊寸前。
4面ダイスを振り目の前にカードの山が移動しその山のトップを引く。そして再び4面ダイスを2回振る。その動作は俯く視線を一点に置いたとしても体が動きさえ覚えていれば最初から最後までできる動作だ。
「キンタロウ。しっかりするんじゃ。前を向くんじゃ。まだ勝負は終わっておらん」
キンタロウの檸檬色の髪の上に乗るイリスは必死にキンタロウに呼びかけた。その声はキンタロウの耳に届いているが心には届いていない。
イチゴもキンタロウと同じく悲しみに支配され止まることのない涙を流しながら自分のターンを終わらせた。
2人は魔王サイドの手など見ていない。もはや自分が出した目や引いたカードなども見ていなかった。それほど悲しみは心を蝕んでいたのだ。
仲間が目の前で死に冷静でいられる人間などどこにいる。キンタロウにとっては二度目の仲間の死。イチゴにとっては初めての仲間の死だ。1度も2度も関係ない。死は死だ。
1つしかない命が鼓動を止め、その生命から魂が抜け天に向かっていく。神様が作り出したこの世界の天はどこなのだろうか。モリゾウとノリの魂はどこへ向かって行ったのだろうか。
死者の魂が元の世界に戻り天に昇るのなら道理だ。しかしこの世界で行き場をなくし彷徨い続けるのなら無慈悲だ。
死のゲームを作り出した神様に言えることではないが命を弄び軽く見ているとしか感じられない。
高校生のキンタロウには命の重さを語れるほど立派な人間ではない。だが、少なからずとも神がやっていることは間違いだとわかっている。
だからこそ泣い俯く自分に鞭を打ち死んでいったモリゾウとノリを救うためにこの死のカードゲームを終わらせようと考えた。
しかし頭でわかっていても心が追いついてこない。そして再び自分のターンが開始しイリスの呼びかけに反応するまでキンタロウは気が付かなかった。
「キンタロウ! キンタロウ! しっかりするんじゃ! キンタロウ!」
「ぁ……」
精神崩壊。キンタロウは精神が崩壊した中、かろうじて意識が戻った。意識が戻った瞬間にキンタロウは気が付いた。
「イチゴ……」
イチゴが仰向けになり倒れていることに気が付いたのだ。不自然な倒れ方ですぐに理解した。それはイチゴの死なのだと。
モリゾウとノリの死で精神が崩壊している間にイチゴが死んでしまったのだ。
イチゴのターンがあったのは精神が崩壊している中でもわかった。だからいつ死んでしまったのかキンタロウにもすぐに理解できた。イチゴのターンの後、そしてキンタロウのターンの前、それはピエロのクローバーのターンしかない。イチゴはクローバーのターンにクローバーの攻撃によって命を失ってしまったのだ。
「うふふふふ♣︎」
「うふふふふ❤︎」
イチゴの死を理解した瞬間、ピエロの笑い声が頭の中に侵食してきた。悲しみで精神崩壊していたキンタロウの心に激しい怒りがこみ上げる。
「ふざ……ふざけるな!!」
俯いていたキンタロウは目の前に立つクローバーに向かって吠えた。しかし吠えた後に呆気に取られる。
目の前のピエロとその奥で座っている2人のピエロは笑っていなかった。否、笑ってはいるがそれは微笑み程度の笑いだ。笑い声が聞こえるほどの笑い方ではない。
しかしキンタロウには今もなおピエロの笑い声が聞こえている。
「うふふふふふ♣︎」
「うふふふふふ❤︎」
この笑い声は幻聴だ。仲間の死で精神が崩壊したキンタロウはピエロの笑い声の幻聴が聞こえるようになってしまったのだ。
「うふふふふふ♣︎うふふふふふ♣︎うふふふふふ♣︎うふふふふふ♣︎うふふふふふ♣︎」
「うふふふふふ❤︎うふふふふふ❤︎うふふふふふ❤︎うふふふふふ❤︎うふふふふふ❤︎」
重なる2つの声が反響し不協和音や耳鳴りのような鬱陶しい音となりキンタロウの心を刺激する。同じ声だが少し違い。絶対音感を持たずとも声の違いに気付けるほどだ。
「はぁ……はぁ、う、ぅるせ……はぁ……」
キンタロウの頭から離れないピエロの笑い声。なんとか精神を保ちながら再びイチゴが倒れていた方に目をやった。
頭の中のピエロの笑い声が幻聴ならイチゴが倒れていた姿が幻の可能性があるのではないかと思ったからだ。しかし現実はさらにキンタロウを苦しめた。
そこにいたはずのイチゴの体がどこにもないのだ。これは死体を消失させるボドゲ空間のシステムが働いた証拠。つまりイチゴの体がないのは死んだということの証明になってしまった。
体がないのはイチゴだけではないモリゾウも、その前に死んだノリの体もない。
「ぅ、うそだ……はぁ……」
魔王サイドの方へ目をやるとそこに立っているのはクローバーのみで参加していた他2名の女性プレイヤーの姿がなかった。
たった1ターンで畳み掛けるように人が死んでいったのだ。それほど激しい攻防があったのにも関わらずキンタロウの意識はここになかったのだ。
何が起きたのかこの場でわかっているのは2人のピエロと妖精だけだろう。もしこのゲームをどこかで傍観している者がいるのならその人物も含まれる。
先ほどのキンタロウは魂がどこにいくのか考えていた。元の世界に戻るのか、それともボドゲ空間を彷徨い続けるのか。
それは消えた体も同じことが考えられる。しかしボドゲ空間のシステムで消えたとなれば肉体は元の世界に還れないということだ。同時にそれは魂も元の世界に還れずにいることを暗示させた。
だからこそキンタロウは怒った。頭の中の幻聴も崩壊しかけている精神も怒りで我を忘れることによって一時的ではあるが忘れさせ誤魔化すことが可能だからだ。
怒り狂ったキンタロウだったがゲームを中断するような真似はしなかった。むしろ我を忘れてもゲームを続けている。直前まで頭で覚えていたゲームの流れを体が覚えていたのだ。そしてゲームでなければピエロを殺すことができないことも心のどこかで知っていた。
だからこそキンタロウは怒りに身を任せたのだ。そうでもしないとキンタロウはこの場には立っていられないからだ。
そんなキンタロウは攻撃フェイズの4面ダイスを振り終えた後、倒れた。これはイリスがキンタロウの怒り狂った心と崩壊寸前の精神に治癒魔法かけたからだ。
本来治癒魔法は外傷や疲労を治すものであって心の傷は治せない。それでも治癒魔法を浴びることによってキンタロウの心は温かなものに触れ意識を正常に近付けることができた。
そうでもしないとキンタロウの心は二度と戻ってこない場所へまで消えていったかもしれないのだ。だからこそイリスは攻撃フェイズで4面ダイスを振り終わったのと同時に治癒魔法をかけた。
そう。クローバーが敗北するタイミングで。
連続する仲間の死でキンタロウの精神は崩壊寸前。
4面ダイスを振り目の前にカードの山が移動しその山のトップを引く。そして再び4面ダイスを2回振る。その動作は俯く視線を一点に置いたとしても体が動きさえ覚えていれば最初から最後までできる動作だ。
「キンタロウ。しっかりするんじゃ。前を向くんじゃ。まだ勝負は終わっておらん」
キンタロウの檸檬色の髪の上に乗るイリスは必死にキンタロウに呼びかけた。その声はキンタロウの耳に届いているが心には届いていない。
イチゴもキンタロウと同じく悲しみに支配され止まることのない涙を流しながら自分のターンを終わらせた。
2人は魔王サイドの手など見ていない。もはや自分が出した目や引いたカードなども見ていなかった。それほど悲しみは心を蝕んでいたのだ。
仲間が目の前で死に冷静でいられる人間などどこにいる。キンタロウにとっては二度目の仲間の死。イチゴにとっては初めての仲間の死だ。1度も2度も関係ない。死は死だ。
1つしかない命が鼓動を止め、その生命から魂が抜け天に向かっていく。神様が作り出したこの世界の天はどこなのだろうか。モリゾウとノリの魂はどこへ向かって行ったのだろうか。
死者の魂が元の世界に戻り天に昇るのなら道理だ。しかしこの世界で行き場をなくし彷徨い続けるのなら無慈悲だ。
死のゲームを作り出した神様に言えることではないが命を弄び軽く見ているとしか感じられない。
高校生のキンタロウには命の重さを語れるほど立派な人間ではない。だが、少なからずとも神がやっていることは間違いだとわかっている。
だからこそ泣い俯く自分に鞭を打ち死んでいったモリゾウとノリを救うためにこの死のカードゲームを終わらせようと考えた。
しかし頭でわかっていても心が追いついてこない。そして再び自分のターンが開始しイリスの呼びかけに反応するまでキンタロウは気が付かなかった。
「キンタロウ! キンタロウ! しっかりするんじゃ! キンタロウ!」
「ぁ……」
精神崩壊。キンタロウは精神が崩壊した中、かろうじて意識が戻った。意識が戻った瞬間にキンタロウは気が付いた。
「イチゴ……」
イチゴが仰向けになり倒れていることに気が付いたのだ。不自然な倒れ方ですぐに理解した。それはイチゴの死なのだと。
モリゾウとノリの死で精神が崩壊している間にイチゴが死んでしまったのだ。
イチゴのターンがあったのは精神が崩壊している中でもわかった。だからいつ死んでしまったのかキンタロウにもすぐに理解できた。イチゴのターンの後、そしてキンタロウのターンの前、それはピエロのクローバーのターンしかない。イチゴはクローバーのターンにクローバーの攻撃によって命を失ってしまったのだ。
「うふふふふ♣︎」
「うふふふふ❤︎」
イチゴの死を理解した瞬間、ピエロの笑い声が頭の中に侵食してきた。悲しみで精神崩壊していたキンタロウの心に激しい怒りがこみ上げる。
「ふざ……ふざけるな!!」
俯いていたキンタロウは目の前に立つクローバーに向かって吠えた。しかし吠えた後に呆気に取られる。
目の前のピエロとその奥で座っている2人のピエロは笑っていなかった。否、笑ってはいるがそれは微笑み程度の笑いだ。笑い声が聞こえるほどの笑い方ではない。
しかしキンタロウには今もなおピエロの笑い声が聞こえている。
「うふふふふふ♣︎」
「うふふふふふ❤︎」
この笑い声は幻聴だ。仲間の死で精神が崩壊したキンタロウはピエロの笑い声の幻聴が聞こえるようになってしまったのだ。
「うふふふふふ♣︎うふふふふふ♣︎うふふふふふ♣︎うふふふふふ♣︎うふふふふふ♣︎」
「うふふふふふ❤︎うふふふふふ❤︎うふふふふふ❤︎うふふふふふ❤︎うふふふふふ❤︎」
重なる2つの声が反響し不協和音や耳鳴りのような鬱陶しい音となりキンタロウの心を刺激する。同じ声だが少し違い。絶対音感を持たずとも声の違いに気付けるほどだ。
「はぁ……はぁ、う、ぅるせ……はぁ……」
キンタロウの頭から離れないピエロの笑い声。なんとか精神を保ちながら再びイチゴが倒れていた方に目をやった。
頭の中のピエロの笑い声が幻聴ならイチゴが倒れていた姿が幻の可能性があるのではないかと思ったからだ。しかし現実はさらにキンタロウを苦しめた。
そこにいたはずのイチゴの体がどこにもないのだ。これは死体を消失させるボドゲ空間のシステムが働いた証拠。つまりイチゴの体がないのは死んだということの証明になってしまった。
体がないのはイチゴだけではないモリゾウも、その前に死んだノリの体もない。
「ぅ、うそだ……はぁ……」
魔王サイドの方へ目をやるとそこに立っているのはクローバーのみで参加していた他2名の女性プレイヤーの姿がなかった。
たった1ターンで畳み掛けるように人が死んでいったのだ。それほど激しい攻防があったのにも関わらずキンタロウの意識はここになかったのだ。
何が起きたのかこの場でわかっているのは2人のピエロと妖精だけだろう。もしこのゲームをどこかで傍観している者がいるのならその人物も含まれる。
先ほどのキンタロウは魂がどこにいくのか考えていた。元の世界に戻るのか、それともボドゲ空間を彷徨い続けるのか。
それは消えた体も同じことが考えられる。しかしボドゲ空間のシステムで消えたとなれば肉体は元の世界に還れないということだ。同時にそれは魂も元の世界に還れずにいることを暗示させた。
だからこそキンタロウは怒った。頭の中の幻聴も崩壊しかけている精神も怒りで我を忘れることによって一時的ではあるが忘れさせ誤魔化すことが可能だからだ。
怒り狂ったキンタロウだったがゲームを中断するような真似はしなかった。むしろ我を忘れてもゲームを続けている。直前まで頭で覚えていたゲームの流れを体が覚えていたのだ。そしてゲームでなければピエロを殺すことができないことも心のどこかで知っていた。
だからこそキンタロウは怒りに身を任せたのだ。そうでもしないとキンタロウはこの場には立っていられないからだ。
そんなキンタロウは攻撃フェイズの4面ダイスを振り終えた後、倒れた。これはイリスがキンタロウの怒り狂った心と崩壊寸前の精神に治癒魔法かけたからだ。
本来治癒魔法は外傷や疲労を治すものであって心の傷は治せない。それでも治癒魔法を浴びることによってキンタロウの心は温かなものに触れ意識を正常に近付けることができた。
そうでもしないとキンタロウの心は二度と戻ってこない場所へまで消えていったかもしれないのだ。だからこそイリスは攻撃フェイズで4面ダイスを振り終わったのと同時に治癒魔法をかけた。
そう。クローバーが敗北するタイミングで。
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