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087:95マス以上の秘密
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「では次のマスに進みましょう。イリスさんのおかげで傷も癒えましたし体力もだいぶ回復しました。これ以上ここに長居する理由がありません」
モリゾウは飲んでいた紅茶を飲み干して立ち上がった。そして次のマスに進むように提案をする。しかしその提案にキンタロウとイチゴは噛み付いた。
「待て待てメイドウサちゃんはどうするんだよ」
「そうだそうだ」
「こんな可愛いウサちゃんを仲間にしないのかよ」
「そうだそうだ」
キンタロウとイチゴは目の色を変えながらモリゾウに言った。話の的となったメイドウサギのタルトはキンタロウのマグカップに紅茶のおかわりを入れ始めた。その後、モリゾウのマグカップにも紅茶を入れる。
「あ、ありがとうございます。それじゃ、あと1杯だけですよ。紅茶はリラックス効果もありますし思考力も高まりますからね」
モリゾウは再び座り始めマグカップを手に取った。注がれた熱々の紅茶を飲む前に「タルトさんのことは自分たちで勧誘してください」と一言言ってから飲み始めた。
そのモリゾウの反応を見て子供のような明るい笑顔で目をキラキラと輝かせたイチゴがタルトを勧誘しようと口を開く。
「ねぇタルトちゃん。私たちと」
「できません」
「一緒に」
「申し訳ありません」
「い、一緒に……」
メイドウサギのタルトの勧誘を速攻で断られたイチゴはウッドチェアに座りながらで体育座りをして落ち込んだ。
その小動物のように小さく丸まった背中を同じく落ち込んでいるキンタロウが涙を流しながら摩った。
「申し訳ございません。私は案内兎。召喚兎のように同行することはできないのです。それがこの世界のシステム」
申し訳なさそうにペコペコと頭を下げて謝るタルト。そんなタルトの謝る姿とタルトが同行できない現実にキンタロウは怒りをぶつけた。もちろん怒りの矛先はタルトにではなくこの世界を作った神様にだ。
「クソヤロウ! 神様め! 絶対ぶっ倒してメイドウサちゃんを俺たちのメイドにしてやる!」
「うん! そうしよう! 待っててねタルトちゃん!」
落ち込んでいた2人は闘志を燃やしウッドチェアから立ち上がった。そして紅茶を一気に飲み干した。本来の目的とかけ離れたがやる気が出たのなら結果オーライだろう。
「よし。次のマスにいくぞ。今ならドラゴンでも神様でも倒せそうだ。モリゾウは赤、ノリは青を振ってくれ!」
やる気に満ち溢れたキンタロウは燃えている。そしてサイコロを振る役割を瞬時に指示する。その後、イチゴと目を合わせ、お別れになってしまうメイドウサギのタルトに向かって同時に飛び込んだ。
「ぬぉおお、もっふもっふ。いい匂い。可愛い。最高最高最高」
「うさぁうさぁうさぁうさぁ」
キンタロウは鼻を伸ばしながらタルトの頬に自分の頬を擦りつけている。イチゴはタルトの小さな耳をはむはむとし始めた。
このマスに来てタルトと出会った時に以上に激しい。
そんな2人を呆れた様子で見ているモリゾウは『ダイス』を唱え赤いサイコロと青いサイコロを出現させた。
ラッキーマスだと説明したタルトが言った通りに青いサイコロは2つ出現。そしてキンタロウの指示通り2つの青いサイコロをノリが指の握力を使いながら片手で1個ずつ掴んだ。赤いサイコロはモリゾウが両手でしっかりと掴む。
「振るぞー!」
ノリはカフェの店内のような空間でサイコロを投げるところがないのでゆっくりと転がすように木製の床に転がした。
ノリが持つ最大値スキルの効果が自動的に発動して転がる2つの青いサイコロは『6』の目を出し静止した。青いサイコロは進むマスを決めるサイコロだ。6の目が2つで合計12マス進むことが確定した。
「じゃあ僕も振ります」
赤いサイコロを大事そうに抱えるモリゾウは優しく赤いサイコロを転がした。赤いサイコロは層を決めるサイコロだ。コロコロとカフェの店内を転がる赤いサイコロはウッドチェアにぶつかった反動で跳ね返り目が確定する。
赤いサイコロ目は1が出た。よってボドゲ部は第1層95マスにワープすることが確定した。
止まるマスが確定した途端にボドゲ部たちは赤と青の光に包まれる。そしてワープする。ワープする寸前までキンタロウはタルトの頬に自分の頬を擦り付け続けた。同じくイチゴもワープする寸前までタルトの耳をはむはむし続けた。
「い、いってらっ、しゃ、しゃいま、せ~」と案内兎のタルトは体をキンタロウとイチゴにもみくちゃにされながらもいってらっしゃいの挨拶をする。
ボドゲ部たちが止まるマスは第1層95マス。
第1層はスキルや武器を獲得することができるマスだ。ゴール直前にこのマスに止まることは運が良いとしか言えない。
『第1層95マス』にワープしたボドゲ部。そこは白い壁にトランプの模様がスプレーの落書きのように不均等に描かれている。そしてトランプが不気味と浮かんでいる。
「ここ、本当に第1層かよ。嫌な雰囲気が漂ってるんだけど」
キンタロウは宙に浮かぶトランプのジョーカーと目が合い嫌な予感を感じている。嫌な予感を感じているのはキンタロウだけではない。全員同じだ。
第1層は安全な層だと思っていたが全員が嫌な雰囲気や漂う邪悪なオーラに身構えるほどだ。その嫌な雰囲気、邪悪なオーラの正体がボドゲ部に向けて声をかけた。
「うふふふ❤︎まさかここまで来るなんてね~ん❤︎」
そこいたのは、肌をピンク色に塗り大きな鼻は丸く赤い。大きなピンク色の靴を履いていて髪はピンク色に染まっている。全身ピンク色の道化師の衣装を着たピエロがトランプの扉の先から現れ声をかけたのだ。
「お前はピエロ!」
「そう私はピエロ。みんな大好きピエロよ~ん❤︎」
ピエロはくるくると回りながらボドゲ部たちの目の前まで近付いた。そして狂気的な笑みを見せながら言葉を放つ。
「ようこそ♣︎ようこそ♦︎ようこそ♠︎第・6・層・95マスへようこそ~ん❤︎」
ピエロはここ第1層を第6層と言ったのだった。その言葉に真っ先にモリゾウが反応した。
「第6層って言いましたか? 赤いサイコロは1が出ました。なのでここは第1層のはずですよ」
「うふふ❤︎当然の反応ね。でも残念♣︎残念♦︎残念♠︎95マス以降は全て第6層になるのよ~ん❤︎驚いた~ん?」
ピエロはくるくると回りながら答えた。
層を決める赤いサイコロは確実に1の目が出た。なので第1層にワープするはずだったが第6層にワープしたのだ。ピエロ曰く神様が作った盤上遊戯ボードゲームの層は95マス以降全て第6層になるらしい。
つまり95マス以降は死のゲームが必ず待ち受けるのだ。
そんな事実に驚きを隠せないノリとイチゴ。信じられない様子で頭を抱えるモリゾウ。そしてキンタロウは理不尽なルールに拳を握りしめた。
第1層から第6層。可愛いメイドウサギのタルトから狂気的な笑みを浮かべるピエロ。まさに天国から地獄だ。
神様が作った盤上遊戯ボードゲームのマスは0マスのスタート地点から100マスのゴール地点まで存在する。そして94マスまで1層から6層まで存在するのだ。95マス以上は全てが第6層になる。これは頭の中にあるルールには書かれていないボドゲ空間のマスと層の真実だ。
「それじゃあ早速ゲームを始めましょ~ん❤︎死のゲームを~ん❤︎」
ピエロは待ちきれずに死のゲームを開始しようと急かす。まるで買ってもらったばかりのゲームを開封し1秒でも早く遊ぼうとしている無邪気な子供のように。
モリゾウは飲んでいた紅茶を飲み干して立ち上がった。そして次のマスに進むように提案をする。しかしその提案にキンタロウとイチゴは噛み付いた。
「待て待てメイドウサちゃんはどうするんだよ」
「そうだそうだ」
「こんな可愛いウサちゃんを仲間にしないのかよ」
「そうだそうだ」
キンタロウとイチゴは目の色を変えながらモリゾウに言った。話の的となったメイドウサギのタルトはキンタロウのマグカップに紅茶のおかわりを入れ始めた。その後、モリゾウのマグカップにも紅茶を入れる。
「あ、ありがとうございます。それじゃ、あと1杯だけですよ。紅茶はリラックス効果もありますし思考力も高まりますからね」
モリゾウは再び座り始めマグカップを手に取った。注がれた熱々の紅茶を飲む前に「タルトさんのことは自分たちで勧誘してください」と一言言ってから飲み始めた。
そのモリゾウの反応を見て子供のような明るい笑顔で目をキラキラと輝かせたイチゴがタルトを勧誘しようと口を開く。
「ねぇタルトちゃん。私たちと」
「できません」
「一緒に」
「申し訳ありません」
「い、一緒に……」
メイドウサギのタルトの勧誘を速攻で断られたイチゴはウッドチェアに座りながらで体育座りをして落ち込んだ。
その小動物のように小さく丸まった背中を同じく落ち込んでいるキンタロウが涙を流しながら摩った。
「申し訳ございません。私は案内兎。召喚兎のように同行することはできないのです。それがこの世界のシステム」
申し訳なさそうにペコペコと頭を下げて謝るタルト。そんなタルトの謝る姿とタルトが同行できない現実にキンタロウは怒りをぶつけた。もちろん怒りの矛先はタルトにではなくこの世界を作った神様にだ。
「クソヤロウ! 神様め! 絶対ぶっ倒してメイドウサちゃんを俺たちのメイドにしてやる!」
「うん! そうしよう! 待っててねタルトちゃん!」
落ち込んでいた2人は闘志を燃やしウッドチェアから立ち上がった。そして紅茶を一気に飲み干した。本来の目的とかけ離れたがやる気が出たのなら結果オーライだろう。
「よし。次のマスにいくぞ。今ならドラゴンでも神様でも倒せそうだ。モリゾウは赤、ノリは青を振ってくれ!」
やる気に満ち溢れたキンタロウは燃えている。そしてサイコロを振る役割を瞬時に指示する。その後、イチゴと目を合わせ、お別れになってしまうメイドウサギのタルトに向かって同時に飛び込んだ。
「ぬぉおお、もっふもっふ。いい匂い。可愛い。最高最高最高」
「うさぁうさぁうさぁうさぁ」
キンタロウは鼻を伸ばしながらタルトの頬に自分の頬を擦りつけている。イチゴはタルトの小さな耳をはむはむとし始めた。
このマスに来てタルトと出会った時に以上に激しい。
そんな2人を呆れた様子で見ているモリゾウは『ダイス』を唱え赤いサイコロと青いサイコロを出現させた。
ラッキーマスだと説明したタルトが言った通りに青いサイコロは2つ出現。そしてキンタロウの指示通り2つの青いサイコロをノリが指の握力を使いながら片手で1個ずつ掴んだ。赤いサイコロはモリゾウが両手でしっかりと掴む。
「振るぞー!」
ノリはカフェの店内のような空間でサイコロを投げるところがないのでゆっくりと転がすように木製の床に転がした。
ノリが持つ最大値スキルの効果が自動的に発動して転がる2つの青いサイコロは『6』の目を出し静止した。青いサイコロは進むマスを決めるサイコロだ。6の目が2つで合計12マス進むことが確定した。
「じゃあ僕も振ります」
赤いサイコロを大事そうに抱えるモリゾウは優しく赤いサイコロを転がした。赤いサイコロは層を決めるサイコロだ。コロコロとカフェの店内を転がる赤いサイコロはウッドチェアにぶつかった反動で跳ね返り目が確定する。
赤いサイコロ目は1が出た。よってボドゲ部は第1層95マスにワープすることが確定した。
止まるマスが確定した途端にボドゲ部たちは赤と青の光に包まれる。そしてワープする。ワープする寸前までキンタロウはタルトの頬に自分の頬を擦り付け続けた。同じくイチゴもワープする寸前までタルトの耳をはむはむし続けた。
「い、いってらっ、しゃ、しゃいま、せ~」と案内兎のタルトは体をキンタロウとイチゴにもみくちゃにされながらもいってらっしゃいの挨拶をする。
ボドゲ部たちが止まるマスは第1層95マス。
第1層はスキルや武器を獲得することができるマスだ。ゴール直前にこのマスに止まることは運が良いとしか言えない。
『第1層95マス』にワープしたボドゲ部。そこは白い壁にトランプの模様がスプレーの落書きのように不均等に描かれている。そしてトランプが不気味と浮かんでいる。
「ここ、本当に第1層かよ。嫌な雰囲気が漂ってるんだけど」
キンタロウは宙に浮かぶトランプのジョーカーと目が合い嫌な予感を感じている。嫌な予感を感じているのはキンタロウだけではない。全員同じだ。
第1層は安全な層だと思っていたが全員が嫌な雰囲気や漂う邪悪なオーラに身構えるほどだ。その嫌な雰囲気、邪悪なオーラの正体がボドゲ部に向けて声をかけた。
「うふふふ❤︎まさかここまで来るなんてね~ん❤︎」
そこいたのは、肌をピンク色に塗り大きな鼻は丸く赤い。大きなピンク色の靴を履いていて髪はピンク色に染まっている。全身ピンク色の道化師の衣装を着たピエロがトランプの扉の先から現れ声をかけたのだ。
「お前はピエロ!」
「そう私はピエロ。みんな大好きピエロよ~ん❤︎」
ピエロはくるくると回りながらボドゲ部たちの目の前まで近付いた。そして狂気的な笑みを見せながら言葉を放つ。
「ようこそ♣︎ようこそ♦︎ようこそ♠︎第・6・層・95マスへようこそ~ん❤︎」
ピエロはここ第1層を第6層と言ったのだった。その言葉に真っ先にモリゾウが反応した。
「第6層って言いましたか? 赤いサイコロは1が出ました。なのでここは第1層のはずですよ」
「うふふ❤︎当然の反応ね。でも残念♣︎残念♦︎残念♠︎95マス以降は全て第6層になるのよ~ん❤︎驚いた~ん?」
ピエロはくるくると回りながら答えた。
層を決める赤いサイコロは確実に1の目が出た。なので第1層にワープするはずだったが第6層にワープしたのだ。ピエロ曰く神様が作った盤上遊戯ボードゲームの層は95マス以降全て第6層になるらしい。
つまり95マス以降は死のゲームが必ず待ち受けるのだ。
そんな事実に驚きを隠せないノリとイチゴ。信じられない様子で頭を抱えるモリゾウ。そしてキンタロウは理不尽なルールに拳を握りしめた。
第1層から第6層。可愛いメイドウサギのタルトから狂気的な笑みを浮かべるピエロ。まさに天国から地獄だ。
神様が作った盤上遊戯ボードゲームのマスは0マスのスタート地点から100マスのゴール地点まで存在する。そして94マスまで1層から6層まで存在するのだ。95マス以上は全てが第6層になる。これは頭の中にあるルールには書かれていないボドゲ空間のマスと層の真実だ。
「それじゃあ早速ゲームを始めましょ~ん❤︎死のゲームを~ん❤︎」
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